こんにちは、ワンキャリ編集部です。
公務員に興味がある就活生へ。こちらの記事を読むことで、具体的な仕事内容やキャリアパス、有利な資格、選考対策を把握し、職種選びに役立てられます。公務員に向いている人や仕事の大変さについても解説するので、ぜひ参考にしてください。
<目次> ●公務員とは? 種類や仕事概要 ・公務員とは? 公務員の種類 ・公務員と民間の違いについて ●公務員の仕事内容一覧 ・国家総合職(行政) ・国家総合職(技術系) ・国家一般職 ・地方上級 ・公安系公務員 ●公務員のキャリアパス ・昇進する ・研修や資格での専門性を高める ・異動や転勤をする ・民間企業に転職する ・他職種・未経験から公務員への転職事例 ・公務員から他職種への転職事例 ●公務員のやりがい ・大規模な仕事に携われる ・人々の暮らしを支えられる ・多くの仕事や人と関われる ・労働環境が安定している ●公務員のメリット ・収入が安定している ・ボーナスや退職金が大きい ・福利厚生が充実している ・社会的信用性が高い ・数字に追われる仕事が少ない ・働きやすい環境が整っている ・身分に関係なくフラットなサービスが提供できる ●公務員のデメリット ・仕事を頑張っても給料が変わらないこともある ・異動が多い ・残業の多い部署もある ・年功序列制度が根強い ・クレーム対応が多い ・副業が禁止されている範囲・制限が多い ●公務員に向いている人 ・社会貢献をしたい人 ・使命感を持って仕事をしたい人 ・コミュニケーションをとるのが上手な人 ・適応力がありモチベーションを維持できる人 ・粘り強い人 ・地域への愛着がある人 ●公務員の仕事に有利に働く資格 ・公務員全般で活用できる資格 ・専門的な知識を持った公務員を目指したい人におすすめの資格 ・医療系の分野を目指す人におすすめの資格 ・福祉系の分野を目指す人におすすめの資格 ・IT系を目指す人におすすめの資格 ●公務員の選考に向けた対策 ・公務員試験の種類 ・公務員就活のスケジュール ・選考対策 ●おわりに
公務員とは? 種類や仕事概要
公務員とは、国や地方自治体に勤めることで、安定した社会の構築や維持に必要な業務を行う人のことです。
公務員とは? 公務員の種類
公務員にはさまざまな職種がありますが、大きく以下の2つに分類できます。
・国家公務員 ・地方公務員
それぞれについて解説します。
国家公務員
国家公務員は、国の運営に携わる業務を行う職種です。国家公務員は、大きく国会職員や裁判官などの「特別職」と、その他の「一般職」に分けられます。さらに一般職は、「一般職・専門職・総合職」で分類可能です。
具体的な業務内容は、政策立案・予算編成・国会対応・法令整備など、スケールが大きい傾向にあります。責任が大きい分、地方公務員よりも高収入のケースが多いです。
地方公務員
地方公務員は、各都道府県の県庁や市役所などに勤める職種です。地域住民が安全で快適に生活するためのサポートを行います。公立学校の教師や警察官なども地方公務員に該当します。
国家公務員に比べると住民と直接関わる機会が多いため、やりがいを感じやすいでしょう。また、基本的に別の都道府県や市区町村外への異動が発生しない点も魅力です。
公務員と民間の違いについて
公務員と民間とでは、就職後に以下の違いが生じます。
・仕事内容の違い ・就職方法の違い ・待遇の違い
こちらの記事では、公務員と民間の違いについて詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
▼公務員と民間の違いについて詳しく知りたい方はこちら ・公務員と民間の違いを解説!共倒れしない併願スケジュールも紹介
公務員の仕事内容一覧
国家総合職(行政)
「国家総合職(行政)」とは、日本の政策を企画・立案する役割を担う公務員です。中央省庁において、法律制定や予算編成、国会対応など、難易度が高く幅広い業務を行います。将来の幹部候補生であるため、昇進スピードも速い点が特徴です。仕事の規模が大きくなる傾向にあり、責任は膨らみますが収入も上がりやすいでしょう。
国家総合職(技術系)
「国家総合職(技術系)」とは、理系の専門的な知識を生かし、中央省庁で政策立案などを行う公務員です。情報系や機械系、土木系、建築系、数理系、物理系など、幅広い職種があります。例えば国土交通省の技術系職員は、上下水道施設の復旧や災害時における道路の復旧作業を担います。気象庁であれば、スーパーコンピューターを活用した気象予測の計算や気象衛星を用いた大気観測を行うことが一般的です(※1)。
(※1)参考:人事院「国家公務員 技術系職種ガイド2025 P.18/P.19」
国家一般職
「国家一般職」とは、国家総合職が企画・立案した政策や法令などを、中央省庁や地方の出先機関で運用する役割を持つ公務員です。国の実動部隊として「政策を実行する」「必要な事務処理を行う」「運用後のフォローアップを行う」など、実務的な部分を担っているとイメージしましょう。具体的な業務内容は、勤務先の省庁や出先機関で異なります。国家総合職よりも昇進スピードはゆったりしている点が特徴です。
地方上級
「地方上級」とは、都道府県や市町村の行政を担う公務員のことです。地域住民の福祉向上やまちづくりに貢献できるような業務を行います。具体的には、各地域の産業復興や地方の政策立案、都市開発、防災対策の実行、福祉サービスの提供、公共物の建設、各種試験の実施などが挙げられます。
地方上級として採用されると、都道府県や政令指定都市における幹部候補生として働くことが可能です。さらに細かく行政職や心理職、福祉職などの種類があり、数年単位で異動を繰り返し幅広い知識を身に付けます。
公安系公務員
「公安系公務員」とは、国民の安全を守る役割を果たす公務員です。主に警察官や消防士、自衛官、刑務官、海上保安官、皇宮護衛官などが該当します。
具体的な業務内容は種類ごとで異なります。例えば消防士は、災害発生時に救助活動を行ったり、地域住民に防火訓練を実施し火災予防の意識を啓発したりすることが一般的です。
公務員のキャリアパス
公務員の主なキャリアパスとしては、以下が挙げられます。
昇進する
公務員の昇進は、勤務年数や業績を参考にして決まります。基本的には年功序列の要素が強いですが、試験に合格したり実績を残したりすれば、早めに管理職に就くことも可能です。
例えば総務省の場合、「一般職員として6〜10年程度勤務→20代後半で係長級に昇進→30代後半で課長補佐級に昇進」といったルートで昇進できます(※2)。
昇進の際は、人事評価だけでなく管理職登用試験や面接をもとに結果が決まる場合もあります。個人の業務遂行スキルだけでなく、組織運営能力やリーダーシップなど、マネジメント側に回る上でふさわしい能力が必須です。
(※2)参考:総務省「総務省入省後のキャリアステップの一例」
研修や資格での専門性を高める
公務員は、職種ごとで必要なスキルが異なります。そのため、職員が必要な知識や経験を身に付けられるよう、研修や資格取得支援制度を整えている場合もあります。例えば人事院では、課長補佐就任1年目の職員を対象にした「初任行政フォローアップ研修」を受けることが可能です(※3)。また、国税庁では税務大学校で税法科目や簿記会計学、データリテラシーなどの研修を受けられます(※4)。
このように、各省庁や機関ごとで用意された研修を受けて資格を取得しスキルアップできれば、より専門性を高められるでしょう。
(※3)参考:人事院公務員研修所「行政研修のご案内2024 P.3」
(※4)参考:国税庁「普通科」
異動や転勤をする
公務員では定期的に異動があるため、さまざまな業務を経験しながらスキルアップしながらキャリアを形成できます。地方自治体の職員は市役所や県庁内での異動が多く、国家公務員は全国規模での転勤が一般的です。例えば地方自治体の職員は、3〜5年ごとに福祉課や税務課、都市計画課など異なる部署へ異動します。
部署にもよりますが、異動によって業務が大幅に変わるため、幅広いスキルを習得できます。一方で勤務地や職場環境が頻繁に変わるため、人によっては大きなストレスを感じるかもしれないため注意しましょう。
民間企業に転職する
公務員としての経験を生か、民間企業へ転職する人も増えています。業務にもよりますが、法律や行政、インフラ整備、IT分野などの専門知識を持つ公務員であれば、同じ領域で仕事を行う民間企業でも活躍できるでしょう。例えば「中央省庁で大規模なプロジェクトに参画していた」といった経験があれば、施策立案能力やプロジェクト遂行スキルを生かせるはずです。
このように公務員から民間企業への転職は、特定の専門知識やスキルを持つ人にとっては有利に進められます。ただし民間企業の中には、公務員と評価制度や給与体系が大きく異なる組織もあるため、新たな環境への柔軟な対応力が必須です。
他職種・未経験から公務員への転職事例
ここでは、具体的な転職事例とともに、他職種・未経験から公務員へのキャリアパスをご紹介します。
転職のきっかけや理由としては、 現職への関心や適性に疑問を感じ、社会貢献や持続可能な働き方を求めてキャリアの方向転換を図る事例が見られます。
リサーチ・データ分析から公務員(事務系)への転職事例 転職を考えた理由・きっかけ コロナ禍に接し、さまざまな苦しまれている方のニュースを目にした中で、自分はこれまで通り、クライアントの課題解決を通じて給料をもらっていることにモヤモヤを感じた。クライアントの課題解決業務ではなく、世の中の利益をピュアに追求できる仕事に挑戦してみたいと考えた。 ※出典:ワンキャリアプラス「博報堂/博報堂DYメディアパートナーズからの転職体験談」
経営企画・経営戦略から公務員(事務系)への転職事例 転職を考えた理由・きっかけ やりたいことがない中で入社した総合商社であったが、自身が業務の中で担当するセクターはおろか、ビジネスそのものに関心がないこと、人間関係や企業文化が合わないこと、自身の関心が公共性の高い国際協力にあることが分かったため、まだキャリアの方向転換ができるうちにパブリックセクターへの転職活動にチャレンジした。 ※出典:ワンキャリアプラス「伊藤忠商事からの転職体験談」
SE(システムエンジニア)(ウェブ・オープン系)から公務員(事務系)への転職事例 転職を考えた理由・きっかけ SEとしての自身の将来を考えた際に、残業や休日返上で働くことは難しいと感じ、長く働け、かつ発注者側の立場で働いてみたいと考えるようになったため。 ※出典:ワンキャリアプラス「富士通からの転職体験談」
公務員から他職種への転職事例
続いて、公務員から他職種への転職事例を紹介します。
転職背景としては、現職での裁量ややりがいの欠如、待遇や職場環境への不満を背景に、自身のスキルや適性を生かし、収入や成長機会の向上を求めて転職を決意する事例が見られます。
公務員(技術系)から品質管理への転職事例 転職を考えた理由・きっかけ 留学経験が生かされなかったこと 2017年から2019年にかけて行政官長期在外研究員として◯◯の大学で品質管理の修士課程を修了したが、帰国後は全く異なる土木関連の業務に従事することとなり、留学で得た知見やスキルを活用する機会が与えられなかった。 不適切な業務分担 帰国直後、事前説明が一切ないまま、新規事業を一任される形で丸投げされ、その内容が筋の悪いものだったため業務への納得感を得られなかった。 職場環境への不満 課内や部内の人間関係が悪く、生存者バイアスが強く残る組織文化の中で働くことに困難を感じた。また、希望していた海外勤務についても、「留学経験が既にあるから」との理由で機会を与えられなかったことに理不尽さを感じた。 ※出典:ワンキャリアプラス「農林水産省からの転職体験談」
公務員(事務系)から業務プロセスコンサルタントへの転職事例 転職を考えた理由・きっかけ 1.結婚を機に収入を上げたいと思うようになった 2.仕事に対して民間企業では要求されないようなコミットメントが求められる(サービス残業、休日出勤、ボランティアなど) 3.外部委託業者に実運用を任せることが多く手触り感がない 以上3点が転職を考えた理由です。 ※出典:ワンキャリアプラス「東京都庁からの転職体験談」
公務員(技術系)から法人営業への転職事例 転職を考えた理由・きっかけ 化学メーカーの営業から市役所に転職しており、公務員での業務は、裁量がなく、事務処理が多く、やりがいを感じづらかった。年収アップとメーカー営業をもう一度したいと考えたことが転職のきっかけである。タクマはプラントエンジニアリング業界であり、そこでの営業は扱う金額が大きく、プラントをお客様と作り上げていく仕事内容に興味を持ったため、転職を決意した。 ※出典:ワンキャリアプラス「横浜市役所からの転職体験談」
公務員のやりがい
公務員のやりがいとしては、大きく以下の4つが挙げられます。
大規模な仕事に携われる
公務員の仕事には、公共施設の建設や社会保障制度の整備など、規模が大きい業務も数多くあります。こうした仕事は国民に影響を及ぼす機会が多く、自分の働きを目に見える形で実感しやすい点が特徴です。人々の暮らしに関わるため責任も発生しますが、やり遂げた後の達成感も大きくなるでしょう。
人々の暮らしを支えられる
公務員の仕事は、国民の生活に直接影響を与えるものがメインです。そのため、人々の暮らしを支えているというやりがいを実感できるでしょう。例えば福祉課であれば、生活困窮者や障がい者、高齢者など、生活に困っている人向けの支援を通じて直接貢献できます。特に公務員の場合は、民間企業と異なり非営利で仕事を行うため、利益を求めず住民へ充実したサービスを届けられるでしょう。
多くの仕事や人と関われる
行政の仕事は多岐にわたっており、関わる業務の種類も幅広いため、さまざまな人と協力する機会があります。例えば公共事業では、ゼネコンや建築士と連携してプロジェクトを推進したり、住民説明会を通じてコミュニケーションを取ったりすることで関われるでしょう。特に地方の公務員なら窓口で直接住民と関わります。サポートを提供した後に直接感謝の気持ちを伝えられることもあるため、やりがいを実感できるでしょう。
労働環境が安定している
民間企業の場合は、利益を求めて競合に勝つ必要があるため、業績が悪いと倒産するリスクがあります。
一方で公務員は、国や自治体の暮らしを支えることを最優先に運営されるため、雇用の安定性が高い点が特徴です。育休制度や住宅手当、人間ドックなどの福利厚生も充実しているため、安心して働き続けられます。
公務員のメリット
公務員の主なメリットは、以下の7つです。
収入が安定している
公務員は民間企業と異なり非営利であるため、景気や組織の業績に影響を受けず、安定した収入を確保できます。年功序列の傾向が強いため、年次を重ねるごとに給与は上がります。長期的に収入を安定させたい人にとっては魅力的です。
ボーナスや退職金が大きい
公務員は基本的に、夏・冬の年2回ボーナスが支給されます。ボーナス金額は内閣官房内閣人事局によって決定されており、約60万円前後になるでしょう(※5)。
長期間勤務すれば退職金も手厚く支給されます。金額は「定年まで勤めたか?」などで変動しますが、約2,000万円にのぼるケースもあります(※6)。このような理由から、退職後の生活設計を立てやすいことも公務員の魅力です。
(※5)参考:尚学院公務員法律大学校「公務員のボーナスっていつ?実際どのくらいもらえるの?」
(※6)参考:人事院「退職手当制度の概要」
福利厚生が充実している
公務員は、以下のような福利厚生が充実しています。
・通勤手当 ・住宅手当 ・人間ドックの費用負担 ・扶養手当 ・リフレッシュ休暇制度 ・慶弔やお見舞金 ・スキルアップ支援
特に公務員専用の「共済組合」では、社会保障の支援を含め、職員の生活や健康を手厚くサポートしてもらえます(※7)。
(※7)参考:尚学院公務員法律大学校「公務員の福利厚生ってどうなってるの?どんなものがあるのかご紹介します!」
社会的信用性が高い
公務員は安定した仕事であり、国や自治体に身分を保障されています。そのため社会的信用性が高く、住宅ローンや自動車ローン、クレジットカード審査などに通りやすくなります。共済組合員向けの貸付制度もあるため、大きな買い物をしたい人でも使える点が魅力です。
数字に追われる仕事が少ない
民間企業では売上目標や利益を出す必要があるため、ノルマに追われることもあります。一方で公務員は基本的に非営利であるため、業務ノルマも厳しくありません。例えば市役所の窓口業務では、住民からの各種申請および相談への対応が主な業務ですが、「何件相談に乗ったから評価される」といったことはありません。ノルマに追われないため、プレッシャーをあまり感じず自分のペースで働けます。
働きやすい環境が整っている
公務員は「給料が安定して上がる」「福利厚生が整っている」「職員の働き方が多様」といった環境が整っているため、比較的働きやすい点が特徴です。育休や有給も取得しやすいため、ワークライフバランスを優先したい人には魅力的でしょう。
身分に関係なくフラットなサービスが提供できる
公務員は、法律に基づいて公平な行政サービスを提供する仕事です。特定の企業や個人に有利な扱いをすることなく、誰に対しても平等な対応を行うため「立場に関係なく困っている人を助けたい」と考えている人にとっては働きやすいでしょう。
公務員のデメリット
上記のようなメリットだけでなく、公務員には以下のようなデメリットもあるため注意しましょう。
仕事を頑張っても給料が変わらないこともある
民間企業では、営業成績などが良ければ、定期的にインセンティブや昇給を受けられます。自分の頑張りを給与に反映できる点が魅力です。
一方で、公務員は年功序列の要素が強いため、優秀な業績を上げても短期間で大幅な昇給は難しいかもしれません。頑張った分だけ報酬が増える仕組みではないため、仕事に真面目に取り組むモチベーションを保てないこともあるでしょう。
異動が多い
公務員は数年ごとに部署異動があるため、特定の分野で長く働けない傾向にあります。異動先によっては転職と同じくらい業務が大きく変わるため、専門的なスキルを身に付けられないケースもあるでしょう。特に「スキルを身に付けて転職でもっとキャリアアップしたい」という人にとっては、厳しい環境かもしれません。
残業の多い部署もある
公務員であっても、自治体や部署によっては残業が多いケースがあります。例えば防災担当の職員の場合、台風や地震が発生すると、夜間や休日に緊急対応が求められます。「ワークライフバランスを重視して公務員になりたい」と考えている人は、事前にどれくらいの残業時間があるかをしっかり調べておきましょう。
年功序列制度が根強い
公務員の昇進は勤続年数を重視して決めるため、若手職員が短期間で管理職に昇格するのは難しいでしょう。例えば総務省の場合、課長補佐級に昇進するのは30代後半が一般的です。「若手の間にどんどん出世して大きな仕事で経験を積みたい」という人にとっては、働きにくいかもしれません。
クレーム対応が多い
公務員は住民対応が多いため、クレーム処理に追われることがあります。例えば市役所の窓口では、税金や福祉制度に関するクレームが日常的に寄せられるため、納得してもらうまで丁寧に説明することが必須です。
副業が禁止されている範囲・制限が多い
公務員は原則として副業が禁止されています。一定の条件下で認められることもありますが、民間企業ほどの柔軟性はありません。過去には「承認を受けず不動産賃貸を行っていた」「テニスコーチをしていた」といった公務員が罰せられた事例も存在しているため、就職後に副業したいと考えている人にとっては働きにくさを感じるでしょう(※8)。
(※8)参考:衆議院「公務員の副業に関する質問主意書」
公務員に向いている人
公務員に向いている人の特徴は、以下の通りです。
社会貢献をしたい人
公務員の仕事は、国に住む人々の生活に直接影響を与えるものも多いでしょう。例えば、社会保障制度の整備や公共事業の遂行、法律の策定などが挙げられます。いずれも責任は大きいですが、もし自身が携わった制度や事業がスムーズに遂行されれば、人々の成果を大きく改善できるかもしれません。このように、自分の仕事を通じて人々の生活に良い影響を与え、社会に貢献したい人に公務員は向いています。
使命感を持って仕事をしたい人
上記の通り、公務員の仕事は人々の生活に大きな影響を与えるものばかりです。成功したときの達成感はありますが、万が一「地域住民の要望に添えなかった」「お金の使い方に不適切な部分があった」といった事態が起きれば、悪い意味で人々に影響を及ぼすでしょう。
そのため、「自分は人々の成果を守っている」という意識を持ち、使命感を抱きながら働くことが求められます。
コミュニケーションをとるのが上手な人
公務員の仕事では、職場の同僚や上司はもちろん、社外の関係者や地域住民など多くの人とコミュニケーションを取る機会があります。特に市民課などの配属先によっては、毎日地域住民とやり取りする機会もあるでしょう。こうした中で相手のニーズや悩みを聞き取り、日々適切な解決策を提案できるコミュニケーションを取れる人が、公務員に向いています。
適応力がありモチベーションを維持できる人
公務員は、住民からのクレームに対応したり規模の大きな業務をこなしたりと、さまざまな仕事を柔軟にこなす必要があります。部署異動によって、転職と同じレベルで仕事内容が変わることもあるでしょう。ルーチンワークも多いですが、実際は柔軟な業務対応が求められる機会があるため、柔軟な対応力が必要です。また、このように変わっていく業務に対して常にモチベーションを保ちながら対応できることが理想です。
粘り強い人
公務員の仕事の中には、法律の整備や議員対応など地道な業務も含まれます。確かに規模が大きい仕事に取り組むこともありますが、実際の業務を遂行し終わるまでは、こうした地道な作業を着実にこなすことが必須です。そのため、大きな仕事の達成に向けて、細かい業務を毎日粘り強く進められることが公務員に求められます。
地域への愛着がある人
公務員は、地域に暮らす人々の環境を改善するために働く仕事です。特に地方公務員の場合は、地域住民と直接関わって、日々の困りごとや行政への意見を聞く機会も多いでしょう。こうした声に耳を傾け「自分の関わる地域を良くしていきたい」という愛着を持てる人が、公務員に向いています。
公務員の仕事に有利に働く資格
公務員の仕事を目指すなら、以下の資格を取得しておくと良いでしょう。いくつかの種類に分けて解説しているため、自分が目指す公務員のジャンルに合わせて参考にしてください。
公務員全般で活用できる資格
公務員全般で活用できる資格としては、主に以下が挙げられます。
MOS(マイクロソフト オフィス スペシャリスト)
MOSは、マイクロソフト社が開発したWord、Excel、PowerPointなどのソフトの操作スキルを証明する資格です。日本のみならず海外でも認知度が高い資格となっています。Word、Excel、PowerPoint、Access、Outlookの5種類のテストがあり、WordとExcelには一般レベルと上級レベルがあります(※9)(※10)。
今やどんな職種においてもパソコンスキルを求められ、それをマスターすることが業務の効率化には欠かせません。MOSの資格を持っていることで基礎的なパソコン知識が身についていることを証明でき、おすすめの資格です。
(※9)参考:マイクロソフト オフィス スペシャリスト(MOS)「MOSとは/MOS取得のメリット」
(※10)参考:マイクロソフト オフィス スペシャリスト(MOS)「試験概要」
日商簿記
簿記は経営管理に役立つ知識として、企業から最も求められる資格の1つです。日商簿記は、簿記検定にある3種類の検定の中では最もよく知られたものです。1級・2級・3級・簿記初級・原価計算初級の5種類がありますが、3級から受けることをおすすめします。
企業で行われているビジネス取引に関して、規則に基づいて帳簿に記録し、会社の経営成績や財政が確認できる決算書を作ることがこの資格の目的なので、経理や会計といった業務で生かせるはずです。簿記の勉強をすることでビジネスの基本スキルを養え、経済的な面から企業を分析できます。こうしたスキルはどの業界・企業でも生かせるのでおすすめです。
3級は難易度がそれほど高くなく、入門の資格なので取得しやすいのでおすすめです。一方2級から工業簿記が加わるので格段に難易度が上がります。合格率は3級から1級の順に約40%、約20%、約10%あたりに推移しています(※11)。
(※11)参考:商工会議所の検定試験「受験者データ」
ファイナンシャルプランナー(FP)
この資格を持っていると主に金融や保険、証券などの業界で有利になります。幅広い分野を勉強するのでお金の知識が身につき、資産運用や家計管理で生かせます。また、就活だけでなく今後の人生においてもマネープランを設計する際に役に立つのでおすすめです。
日本FP協会の試験では、FP2級の合格率は、学科が約47〜60%、実技は約55〜57%あたりです。一方FP3級の合格率は、学科、実技ともに80〜90%あたりです。FP3級は国家資格の中では取りやすい資格ですが、2級になると難易度はかなり高くなります。3級を取ることを目標にしましょう(※12)。
(※12)参考:日本FP協会「FP技能士の取得者数 及び 試験結果データ」
自動車運転免許
公務員の仕事では、「生活保護受給者の自宅を訪問する」「建設源を訪問する」など、さまざまな場面で外出することがあります。そのため、自動車運転免許を持っておくと良いでしょう。基本的には普通免許を持っていれば大丈夫です。もし業務で大型トラックや原付などが必要な場合は、適宜最適な免許を取得しましょう(※13)。
(※13)参考:警視庁「運転免許試験のご案内」
ビジネス実務法務検定
ビジネス実務法務検定は、ビジネスで必要な法律の知識を身に付けられる検定試験です。人事や総務など、あらゆるビジネスシーンで使える法律知識を学べるため、法的違反リスクを冒さず公務員の仕事を実直に遂行できるようになるでしょう。特に公務員は国や自治体のために働く仕事であるため、なおさら法律に基づいた行動が求められます(※14)。
(※14)参考:東京商工会議所「ビジネス実務法務検定」
VBAエキスパート
VBAエキスパートとは、ExcelとAccessのスキルを身に付けられる資格です。「ベーシック」「スタンダード」の2つのレベルに分かれており、取得することでマクロとVBAの知識を学べます。例えば「Excel VBA ベーシック」なら、マクロ記録の活用方法やモジュール、プロシージャ、セルの操作などを勉強できます(※15)。
公務員でもマクロやVBAを活用する機会があるため、ExcelとAccessの知識を知っておけば、業務を効率化しながらスムーズに仕事に取り組めるでしょう。
(※15)参考:VBAエキスパート「試験概要」
専門的な知識を持った公務員を目指したい人におすすめの資格
専門的な知識を持った公務員を目指したい人であれば、以下の資格がおすすめです。
行政書士
行政書士は国家資格で、年齢や学歴に関係なく、誰でも受験が可能です。試験は毎年11月に行われます(※16)。
合格率は13%程度です(※17)。
(※16)参考:生涯学習のユーキャン「【2024年/令和6年】行政書士試験の実施日はいつ?スケジュールや試験内容、合格のコツも解説」
(※17)参考:法務省「令和5年度行政書士試験/都道府県別試験結果一覧」
司法書士
司法書士は国家資格です。年齢、学歴関係なく誰でも受験できます。試験は7月に行われ、筆記試験合格者のみ10月に口述試験が行われます。合格率は5%程度であるため(※18)、難関試験といえるでしょう。
(※18)参考:法務省「令和5年度司法書士試験の最終結果について」
税理士
税理士とは国が認めた税務の専門家です。独占業務である「税務代理・税務書類の作成・税務相談」を行えます。独占業務は税理士しか実施できないため、企業からすると高い専門知識を持つ貴重な人材として重宝されるでしょう。独占業務以外に、税務面からの経営コンサルティングやM&Aのアドバイスなども行います。
資格取得の難易度は高く、最終合格率は10〜20%程度です(※19)。
(※19)参考:国税庁「令和4年度(第72回)税理士試験結果」
弁理士
弁理士とは、知的財産を守るための知識を身に付けられる資格です。特許出願や商標出願、意匠出願などの業務を適切に行う役割を持っています。人々が考えたアイデアや技術などを守る役割があるため、住民への貢献度は高いです。特許権や意匠権、商標権を取得する場合は特許庁の審査を受ける必要があるため、「特許庁へ就職したい」「人々のアイデアを守る仕事がしたい」と考えている人は、ぜひ取得しておきましょう(※20)。
(※20)参考:日本弁理士会「弁理士とは」
社会保険労務士
社会保険労務士は、企業の年金手続きや職場環境整備など、お金や労働に関するサポートをする仕事です。社会保険の手続きや安全衛生管理、従業員の健康管理なども行います。国家資格なので、持っていると就職での強みになるでしょう。
社会保険労務士を受験する際は、以下のいずれかを満たす必要があります。
・学歴による受験資格を満たしている ・実務経験による受験資格を満たしている ・すでに指定の試験に合格している
具体的に、受験資格として認められる学歴や実務経験などの内容は「社会保険労務士試験オフィシャルサイト」をご確認ください。
令和5年度の合格率は「6.4%」と非常に低いため(※21)、資格取得に向けて入念に勉強をする必要があります。合格基準点については、令和5年度は選択式試験で「26点以上」、択一式試験で「45点以上」でしたが、合格点の目安は年度によって異なるため要注意です(※22)。
(※21)参考:厚生労働省「第55回社会保険労務士試験の合格者発表」
(※22)参考:厚生労働省「第55回(令和5年度)社会保険労務士試験の合格基準について」
中小企業診断士
中小企業診断士は、中小企業における経営の課題を解決するため診断や助言を行う専門家です。経営コンサルティング分野では日本で唯一の国家資格であり、コンサルティング企業を目指す人におすすめの資格です。
試験の流れは、「7科目をマーク方式で解く1次試験→筆記+口述の2次試験→合格後に実務補習または実務従事」となっています(※23)。
合格率は5.2%程度であるため難易度は高いですが(※24)(※25)、取得できれば就活時に大きなアピールポイントになるでしょう。
(※23)参考:一般社団法人 中小企業診断協会「どうしたら中小企業診断士になれるの?」
(※24)参考:一般社団法人 中小企業診断協会「令和5年度中小企業診断士第1次試験に関する『統計資料』」
(※25)参考:一般社団法人 中小企業診断協会「令和5年度 第2次試験に関する統計資料」
医療系の分野を目指す人におすすめの資格
医療系の分野を目指す人であれば、以下の資格がおすすめです。
臨床心理士
臨床心理士は、心理カウンセリングの専門家として教育現場や医療機関で働くための資格です。国家資格ではありませんが、信頼性が高く、心理業界での需要が多い傾向です。子どもの気持ちに寄り添って教育したいと考えている人は、ぜひ取得しておきましょう。
資格を取得するには、「指定大学院で修士課程を修了する」などの要件を満たして、日本臨床心理士資格認定協会が行う試験に合格する必要があります(※26)。合格率は令和5年度で「66.5%」です(※27)。
臨床心理士は、高度な心理学の知識とカウンセリング技術を求められますが、その分就職先での信頼性も高い資格です。
(※26)参考:公益財団法人日本臨床心理士資格認定協会「受験資格」
(※27)参考:公益財団法人日本臨床心理士資格認定協会「『臨床心理士』資格取得者の推移」
看護師
各地域や市立病院、県立大学などが公務員として看護師を採用していることもあります。例えば東京都文京区では、文京区職員(看護師・2類)として看護師の採用を行っています。採用後は保育園や教育センター、児童相談所などへ配属されることが一般的です(※28)。
看護師資格を保有し、各地域や病院が独自で出している求人に応募し選考に通れば、公務員として勤務できます。選考条件は地域や病院ごとで異なるため、事前にチェックしておきましょう。
(※28)参考:文京区「令和6年度文京区職員(看護師・2類)募集案内」
保健師
保健師とは、自治体の保健所に所属し、保健・福祉・介護などの分野でサービスを提供する仕事です。住民の健康を守るために、「生活習慣病の予防教室を開催する」「乳幼児健康検査を行う」といった業務に取り組みます。地域住民と直接コニュニケーションを取りながら健康問題を解決できるため、大きなやりがいを実感できるでしょう。
資格を得るには国家試験に合格する必要があります。看護系大学や短大などで指定のカリキュラムを履修する必要があるため、資格取得を目指す場合は自分の進路を慎重に検討しましょう(※29)。
(※29)参考:jobtag「保健師」
薬剤師
薬剤師は、病院や薬局で薬の調合や服薬指導などを行う仕事です。患者の病状に合わせ、副作用の症状や適切な薬の飲み方などについてアドバイスします。相手の健康に直接影響を与えるため、責任は大きいですがやりがいも感じられるでしょう。
公務員として働くのであれば、県・市の職員に応募したり厚生労働省の薬系技官に就職したりすることがおすすめです。薬系技官であれば、医薬品や医療機器の開発などに携われるため、より国に貢献している実感を得られるでしょう(※30)。
(※30)参考:厚生労働省「薬系技官 採用情報」
作業療法士
作業療法士とは、身体や精神に障害を抱える人が日常生活を送れるよう、日常動作のトレーニングや家事・遊びの援助などを行う仕事です。病院や患者の自宅で症状を見ながらアドバイスします。
作業療法士として公務員になると、各地域の職員や自衛隊中央病院、国立のリハビリセンターなどで働くことが一般的です。病気やけがなどさまざまな困難に苦しむ住民を直接サポートできるため、公務員としてのやりがいを実感できます(※31)。
(※31)参考:jobtag「作業療法士(OT)」
理学療法士
理学療法士とは、身体に障害を抱える人が再び運動機能を取り戻せるよう、回復や維持に向けた指導および作業療法を行う仕事です。医師から共有された患者の情報をもとに筋力の状態を測定し、最適な指導プログラムを構築します。場合によっては、健康な人が病気予防の一環として理学療法を受けることもあります。このように、さまざまな健康状態の住民へ貢献できる点が魅力です(※32)。
(※32)参考:jobtag「理学療法士(PT)」
臨床検査技師
臨床検査技師とは、患者の血液や尿、体の表面などをチェックする臨床検査を行う仕事です。患者の健康状態を隅々まで調べて、病気の原因を探ります。業務内容は、心電図による心臓機能チェックや脳波系の検査などさまざまです。実際に担当する業務の幅は、勤務先の病院や診療所の規模によって変わります。規模が大きいほど業務が細分化されて、特定の仕事を深掘りすることになります(※33)。
(※33)参考:jobtag「臨床検査技師」
福祉系の分野を目指す人におすすめの資格
福祉系の分野を目指す人であれば、以下の資格がおすすめです。
社会福祉士
社会福祉士は、高齢者や障がい者、児童が抱える福祉的な問題を解消するために、相談に乗ったり支援したりする専門家です。社会福祉士の資格を取得していると、専門知識をもとに適切な福祉サービスを提供できると認定されるため、介護や教育業界など幅広い仕事の就職で有利です。社会福祉士の需要は年々高くなっており、教育や医療機関、高齢者養護施設などさまざま職場で活躍できるのが特徴です。
社会福祉士の難易度は比較的高めで、2024年の合格率は「58.1%」でした(※34)。社会福祉士は合格率の変動が大きく、過去には合格率が30%前後の年が続いていたため、受験する年によっては難易度がさらに上がる可能性があります。約300時間を目安に、入念に試験勉強を進めましょう(※35)。
(※34)参考:厚生労働省「第36回社会福祉士国家試験合格発表」
(※35)参考:アガルートアカデミー「【2024年】社会福祉士試験の合格率は?合格点・合格基準・難易度についても解説」
精神保健福祉士
精神保健福祉士とは、精神障害の治療を受けている患者がスムーズに社会復帰できるよう、適切なアドバイスや指導を行う仕事です。具体的には、受診・入退院のサポートや就労支援施設での勤務、住民への普及活動などを行います。公務員の場合は、都道府県庁の障害福祉担当課や精神保健福祉センター、都道府県の医療機関などで勤務することが一般的です。
一般大学から資格を取得するには、一般養成施設などでの実務経験が必要なため、長期的な視点で就職を目指しましょう(※36)。
(※36)参考:厚生労働省「精神保健福祉士について」
保育士
保育士とは、子どもの保育や保護者への子育てアドバイスを行う仕事です。「日中は仕事で子育てが難しい」などの事情を抱えた住民を、子育ての面からサポートできます。保護者の生活をサポートできることはもちろん、子どもの成長を間近で見られるため、より住民へ貢献している実感を持てるでしょう。公務員の場合は、公立保育園で勤務することが一般的です(※37)。
(※37)参考:jobtag「保育士」
IT系を目指す人におすすめの資格
IT系の分野を目指す人であれば、以下の資格がおすすめです。
ITパスポート
ITパスポート試験は、ITを活用する社会人にとって必要となる知識を身に付けていることを証明できる資格です。ITの基礎的な知識のみならず経営管理やリスクマネジメントといった幅広い知識も問われます。
ITの知識はどの職場でも求められるため、IT業界志望の就活生だけでなく、経営やマーケティングをはじめとするあらゆる業界志望の就活生に有利な資格です。職場でのITに関する広い基本的な知識があることで、就活のみならず入社後も有利に働くことがあります。
基本情報技術者
この試験はエンジニアやプログラマーといった開発職を対象にした国家資格で、ITパスポートに比べて専門的なシステム開発に関する知識が問われます(※38)。エンジニアを目指すなら第一に取得したほうがいい資格です。
(※38)参考:IPA 独立行政法人 情報処理推進機構「基本情報技術者試験」
応用情報技術者
この試験はIT人材に必要な応用的な技術だけでなく、情報活用技術を用いた戦略立案の際に情報分析を正確にできる能力も求めています(※39)。基本情報技術者試験の上位に当たる資格なので難易度が高い分、就活で有利に働くでしょう。
(※39)参考:IPA 独立行政法人 情報処理推進機構「応用情報技術者試験」
公務員の選考に向けた対策
ここからは、公務員の選考についてご紹介します。
公務員試験の種類
公務員になるためには、試験に合格する必要があります。ここでは、以下2種類の公務員試験の詳細を解説します。
・国家公務員 ・地方公務員
それぞれの試験内容や出題傾向などを紹介するので、ぜひ参考にしてください。
国家公務員
国家公務員採用試験には、以下の3種類があります。
総合職試験 | 一般職試験 | 専門職試験 | |
区分 | 大卒程度試験・院卒者試験 | 大卒程度試験・高卒者試験・社会人試験 | 大卒程度試験・高卒程度試験・社会人試験 |
一次試験 | 基礎能力試験・専門試験。どちらも多肢選択式 | 多肢選択式の基礎能力試験・専門試験に加え、一般論文試験も実施 | 皇宮護衛官採用試験や法務省専門職員採用試験試験などの種類や区分により異なる |
二次試験 | 記述式の専門試験・政策論文試験・政策課題討議試験に加え、英語試験・面接などによる人物試験も実施 | 面接などによる人物試験。 | 皇宮護衛官採用試験や法務省専門職員採用試験試験などの種類や区分により異なる |
※参考:人事院「国家公務員採用 一般職受験(大卒程度試験) P.1/P.2」
※参考:人事院「国家公務員採用一般職試験(高卒者試験)」
※参考:人事院「国家公務員採用一般職試験(社会人試験(係員級))」
※参考:人事院「国家公務員採用試験 受験案内一覧」
自身が目指したい職種を明確にした上で、合格に向けて適切な対策をとりましょう。
地方公務員
地方公務員試験は、各地方自治体が独自で行っています。自治体により試験内容や難易度は多岐にわたりますが、特に多いのは以下のような形式です(※40)(※41)。
・一次試験:教養科目試験・専門科目試験 ・二次試験:面接試験(個別面接・集団面接・集団討論など)
近年では、一次試験でSPIなどの民間企業が導入している試験を実施する自治体が登場するなど、多様化が進んでいます。
(※40)参考:資格広場「地方公務員試験とは?試験内容・合格率・試験対策や独学受検のポイントを徹底解説」
(※41)参考:公務員試験総合ガイド「公務員試験とは?」
公務員就活のスケジュール
厳密な公務員就活のスケジュールは、受ける試験の種類によって異なります。ここでは、代表的な5つの試験におけるスケジュールを紹介します。
【国家公務員・総合職】
項目 | 時期 |
公務員試験日告知 | 大学3年生の2月頃 |
一次試験 | 3月頃 |
二次試験 | 4~5月頃 |
合格発表 | 5月下旬 |
内定 | 10月頃 |
※参考:人事院「総合職試験(院卒者・大卒程度)」
【国家公務員・一般職】
項目 | 時期 |
公務員試験日告知 | 大学3年生の2月〜3月頃 |
一次試験 | 6月頃 |
二次試験 | 7月頃 |
合格発表 | 8月頃 |
内定 | 10月頃 |
※参考:人事院「一般職試験(大卒程度)」
【地方公務員・上級】
項目 | 時期 |
公務員試験日告知 | 3月上旬~4月下旬 |
一次試験 | 6月頃 |
二次試験~最終合格発表 | 7月上旬~8月中旬 |
内定 | - |
【地方公務員・初級】
項目 | 時期 |
公務員試験日告知 | 5~8月頃 |
受付開始 | 7月上旬~8月下旬 |
一次試験 | 9月下旬 |
二次試験 | 10月中旬~10月下旬 |
最終合格発表 | 11月頃 |
年によって変動する可能性もあるため、志望する職種のスケジュールを調べておきましょう。
選考対策
公務員試験を受ける際には、以下2つの対策が必要です。
具体的な対策内容や方法を解説するので、ぜひ参考にしてください。
筆記試験対策
多くの場合、面接前に筆記試験に合格する必要があります。職種によって異なりますが、国家一般職や特別区(地方上級)試験に合格するためには1,000〜1,500時間程度の勉強が必要だといわれています(※42)。
筆記試験の出題範囲や問題内容は、職種によってさまざまです。傾向や対策を理解した上で、しっかりとスケジュールを立てて勉強に取り組みましょう。独学で合格する人もいますが、予備校に通うのも手段の1つです。大学で公務員試験対策のための講義を実施しているケースもあるため、上手に活用しましょう。
(※42)参考:LEC東京リーガルマインド「公務員試験で合格する勉強法!独学でも可能?スケジュールや1日の勉強時間は?」
面接試験対策
公務員を目指す際は、面接対策も大切です。特に、筆記試験と面接試験を切り離して合否判定をする「リセット方式」(※43)を採用している自治体では、筆記試験の成績が高くても面接試験結果によっては不採用となることもあります。
面接形式は、個別面接・集団面接・集団討論などさまざまです。志望理由や自己PR、公務員としての将来像などの質問を受けることが多いため、しっかりと対策しておきましょう。
(※43)参考:公務員試験ラボ「人物評価の位置づけ」
おわりに
いかがでしたか。今回は公務員の仕事についてご紹介しましたが、他にもさまざまな職種があります。自己分析などを通じて自分に合った、自分がしたい仕事をぜひ探してみてください。
公務員の仕事内容一覧 ・国家総合職(行政) ・国家総合職(技術系) ・国家一般職 ・地方上級 ・公安系公務員
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