理系就活生の方は受ける企業によって「技術面接」を実施することがあります。他の面接と何が違うのか、どう対策をしたらいいのか迷いますよね。そこでこの記事では技術面接での質問例やスライドの作成を中心に技術面接について詳しく解説します。
<目次> ●技術面接とは ・研究内容とスキルの確認を行う面接 ●技術面接で評価される能力 ・プレゼンテーション能力 ・技術力・専門性 ・論理的思考力 ・課題解決力 ●技術面接で気を付けるべきポイント ・面接官が専門知識を持っているかその場で判断 ・自分の言葉で明瞭に伝える ・面接官からの深掘り質問に対応 ・具体的なエピソードを盛り込んで説明 ・逆質問の準備 ・面接での基本的マナーを確認 ●技術面接で準備しておきたいこと ・社会や業界の動き ・企業研究 ・研究内容のスライド作成 ●技術面接で評価されるスライド ・スライド枚数(10枚程度が目安) ・スライド全体の構成 ・各スライドを作る際のポイントや注意点 ●技術面接の練習方法 ・友人やOB・OGにプレゼンテーションを見てもらう ・就活エージェントに依頼する ・過去の体験談を見てみる ●技術面接でよくある質問と例文 ・研究に関する質問 ・研究が仕事にどう生かされるかに関する質問 ●技術面接で用意しておきたい逆質問集 ・質問は5個以上準備 ・面接官の役職に合わせた質問 ・質問を通してアピールしたいことを決める ・入社後の活躍をイメージさせる ・「特にありません」は避ける ・ウェブサイトで確認できるものや待遇面の質問は避ける ●技術面接で落ちる理由 ・研究内容の説明が分かりづらい ・研究のオリジナリティが分からない ・基礎的な技術力が満たせていない ・研究を成功させる具体的なアプローチをしていない ・なぜその研究をしたのか説明ができていない ・研究と企業の事業がマッチしていない ●まとめ
技術面接とは
まずは、就職活動における「技術面接」の概要や形式などについて詳しく解説します。合格率を高めるためにも、技術面接の概要を正しく理解しましょう。
研究内容とスキルの確認を行う面接
技術面接とは、「学生時代に取り組んだ研究内容」「研究を通じて得たスキル」などを企業からチェックされる面接です。主に理系の就活生を対象に実施されます。
技術面接の特徴は、以下の4点です。
・プレゼンテーション形式で実施
・学部生でも実施
・メーカーやIT企業が実施
・面接官はほぼ技術職員
まずは技術面接がどのようなものなのか理解しておきましょう。
プレゼンテーション形式で実施
基本的に、技術面接はプレゼンテーション形式で実施されます。PowerPointなどで事前に用意したスライドを使いながら、研究内容を面接官に説明します。他にも以下のようなケースがあります。
・紙の資料やホワイトボードを使う
・制限時間のみ指定されておのおのが自由なスタイルでプレゼンテーションをする
プレゼンテーション後の質疑応答も、合否を左右する重要なポイントです。プレゼンテーションで伝えた研究内容を深掘りされたり、通常の面接と同じような質問をされたりする場合もあります。
事前に質問されそうな内容を想定し、回答を用意しておきましょう。
学部生でも実施
従来の技術面接は大学院生に対して実施されることが多かったですが、近年では学部生に対して行われるケースもあります。学部卒業者を対象に技術職・研究職採用を進める企業が増えているためです。
学部生に対する技術面接では、研究内容だけでなく、大学で勉強した学問全般を質問されることもあります。また、通常の面接のように「ガクチカ」や「自己PR」を尋ねられる場合がある点も特徴です。
メーカーやIT企業が実施
技術面接はメーカー業界の総合職や技術職、IT業界の技術職の採用面接で行われることが多いです。技術面接を行う企業は高い技術力や専門性のある学生を求めています。
面接官はほぼ技術職員
面接官は技術職員であることがほとんどです。専門性の高い社員に研究内容について質問されるので、専門的な領域の質問をされると想定しておきましょう。対して、相手が全く専門外のこともあります。誰にでも分かりやすいプレゼンテーションができるように心がけましょう。
技術面接で評価される能力
技術面接では、以下4つの能力を面接官から評価されます。
・プレゼンテーション能力
・技術力・専門性
・論理的思考力
・課題解決力
これらを存分にアピールすることで、選考通過率がアップするでしょう。
プレゼンテーション能力
就活生は技術面接を通して、「知識を持たない人へ制限時間以内に分かりやすく伝えるプレゼンテーション能力があるか?」という点をチェックされます。入社後もプレゼンテーションの機会があるため、能力の高い人を採用したいと考えているのです。
具体的には、以下の項目をチェックされます。
・知識を持たない人でも理解できるか?
・シンプルにまとめられているか?
・分かりやすい構成で作られているか?
・グラフや図を使って理解しやすくしているか?
・指定時間内に説明できているか?
専門的な研究内容を時間内に説明するのは簡単ではありません。しかし、「分かりやすくプレゼンテーションができる人材だ」と思われれば、自分の能力を評価され技術面接通過の可能性は上がります。
技術力・専門性
技術職や研究職の人材を採用したい企業は、技術面接中に「技術力・専門性」をチェックします。入社後は大学で勉強した内容以外の知識や技術も必要となるため、どの程度ベースの知見があるかをチェックされるのです。
特に、面接官が精通している分野に関するプレゼンテーションをした場合は、深い内容の質問を受けることも珍しくありません。また、習得済みの分野の知識を、さらに学ぶ姿勢があるかもチェックされます。
論理的思考力
技術職・研究職として活躍するうえでは、物事を筋道立てて考える「論理的思考力」が欠かせません。
具体的には、以下をチェックされるケースが多いです。
・因果関係と相関関係を間違えていないか?
・質問に対し論理的に正しく回答できているか?
・「主観的な意見」と「客観的な論証・データ」を混同していないか?
プレゼンテーション内容はもちろん、面接官への回答からも「論理的に思考できる人材か?」を判断されます。
課題解決力
課題解決力も、技術面接を通じてチェックされる重要な能力の1つです。
企業は、仕事で困難な問題に直面した際、解決のために自分で考えられる人材を求めています。実際に技術面接では「研究を進める中で課題に直面した際はどのように解決しましたか?」といった質問をされることが多いです。
実際に課題を解決したエピソードを、以下の順番で面接官に伝えれば好印象を与えられます。
1. 具体的に直面した課題
2. 課題が発生した原因
3. 原因をもとにした対処法の設定
4. 対処法の実施
5. 課題の解決
6. 課題の解決から得た学び
これまでに取り組んだ研究を振り返り、整理してみてください。
技術面接で気を付けるべきポイント
以下4つのポイントを押さえることで、技術面接に合格しやすくなります。
・面接官が専門知識を持っているかその場で判断
・自分の言葉で明瞭に伝える
・面接官からの深掘り質問に対応
・具体的なエピソードを盛り込んで説明
選考通過の可能性を高めるために、しっかり確認しておきましょう。
面接官が専門知識を持っているかその場で判断
学会発表と異なり、技術面接では面接官がプレゼンテーション内容に関する専門知識を持っているとは限りません。「生物学が専門の面接官に物理学の研究内容を伝える」といった場合もあります。
そのため、面接官の反応を見ながら「どの程度の専門知識があるか?」を判断し、臨機応変に伝え方を変えることが必要です。「面接官の専門範囲外だと判断したら嚙み砕いて説明する」「知識が豊富そうならより深く説明する」といった具合に、柔軟に話しましょう。
自分の言葉で明瞭に伝える
相手へ分かりやすく説明するには、まず専門知識をかみ砕いて理解し、自分の言葉に変換して伝えることが重要です。専門用語を理路整然と話すだけにならないよう注意しましょう。
分かりやすく説明できるようになるには、専門知識を持たない人に向けてプレゼンテーションし、フィードバックをもらうことがオススメです。自力で「分かりやすいか?」を正確に判断するのは難しいため、積極的に周囲を頼りましょう。
面接官からの深掘り質問に対応
面接官から研究内容について深掘りして質問された際、スムーズに回答できるよう準備しましょう。特に、面接官が専門知識を持つ場合、難しい内容を質問されるケースも珍しくありません。うまく回答できないと「専門性を高められていない」「深く研究していない」と判断される恐れがあります。
事前に深掘り質問を想定しておき、受け答えを練習しましょう。
ただし「十分に準備したがどうしても適切に回答できない」という場合は、素直に「分からない」と伝えればOKです。素直さや学びの姿勢が評価される可能性があります。
具体的なエピソードを盛り込んで説明
技術面接の際は、適度に具体的なエピソードを盛り込みましょう。特に以下のようなケースでは、エピソードを使いながら説明することで、面接官に伝わりやすくなります。
・学生時代に力を入れたこと(ガクチカ)・自己PRについて質問された
・研究に取り組む中で課題を解決した経験を質問された
・チームワークや協調性について質問された
研究内容をプレゼンテーションする際も、エピソードを盛り込むことが効果的です。専門知識を持たない面接官でも研究内容を理解しやすくなるでしょう。
逆質問の準備
技術面接では通常の面接と同様に逆質問の時間があります。研究職や技術職の社員に質問できるので、人事担当者に対する逆質問とは異なる、具体的な業務の話を聞いてみるといいでしょう。
▼逆質問の対策をしたい方はこちら
・【面接の逆質問】厳選32例|質問の終わり方と業界・面接官別の鋭い質問
面接での基本的マナーを確認
技術面接も通常の面接と同じマナーがあります。面接のマナーが徹底されているかどうかで就活生の印象を左右するので、確認しておきましょう。
▼面接マナーをチェックしたい方はこちら
・【面接マナー】新卒就活の決定版!集団面接やオンライン面接も解説
技術面接で準備しておきたいこと
技術面接に合格しやすくするためには、以下の準備が欠かせません。
・社会や業界の動き
・企業研究
・研究内容のスライド作成
しっかりと準備をしておくことで、技術面接に通過しやすくなるでしょう。
社会や業界の動き
自身の研究内容だけでなく、社会全体や志望業界の動向に関する理解を深めておきましょう。面接官は「入社後に活躍できる人材か?」をチェックしているため、日頃から社会や業界の動きに敏感だとアピールできれば、採用されやすくなります。技術面接の中には、社会や業界に関する知識がないと回答できない質問を聞かれる場合もあるため、情報収集を怠らないようにしてください。
具体的には、「ニュースや新聞を見る」「インターネットで業界について検索する」などで情報収集できます。
企業研究
技術面接は研究内容をプレゼンテーションする場ですが、企業研究も必要です。
企業によって、理念や注力している事業、求めている人材などは異なります。そのため、企業に合わせてプレゼンテーションをカスタマイズすることが理想です。
技術面接を受ける全ての企業に合わせたスライドを用意することは困難ですが、「説明の仕方を変える」などの工夫は行いましょう。志望度合いに応じて優先順位をつけ、時間を決めて企業研究をすることも効果的です。
研究内容のスライド作成
技術面接を通過するには、こだわってスライドを作成しましょう。例え同じ内容の研究でも、スライドの質によって伝わりやすさが大きく左右されます。スライドを元に口頭で説明するため、話の分かりやすさにも影響します。
分かりやすいスライドの作り方が分からない場合は、就職活動を終えた先輩に見せてもらい参考にするのもオススメです。
なお、PowerPointなどのスライド以外に紙の資料やホワイトボードの準備を求められるケースもあるため、必要に応じて準備しましょう。
技術面接で評価されるスライド
ここでは、どのようなスライドを作成すれば技術面接で評価されるかを解説します。
・スライド枚数(10枚程度が目安)
・スライド全体の構成
上記を、参考にしながら実際にスライドを作成してみてください。
スライド枚数(10枚程度が目安)
技術面接のスライド枚数は、10枚程度が目安です。技術面接では時間制限を10分間で設定されている場合が多いため、「1枚のスライドを1分間で説明する」ことを意識しましょう。
もちろん、あくまでも目安であるため、企業から指定された時間に応じてスライド枚数や1枚あたりの説明時間の調整が必要です。
スライド全体の構成
技術面接で使うスライドは、以下の構成に沿って作成すると分かりやすくまとめられます。
・導入
・目的
・実験方法
・実験結果
・今後の展望
具体的に解説します。
導入
まずは、研究の全体感をつかんでもらうための、導入スライドを作成します。研究した分野・研究テーマの背景などを簡潔に伝えましょう。
面接官に「面白そうな研究だ」と感じてもらい、興味関心を刺激できるスライドを作ることが理想です。そのためには、専門用語を使いすぎず誰が見ても分かるようにまとめましょう。
誰にでも伝わる導入の作成が難しい場合は、企業のニュースリリースを読むことがオススメです。ニュースリリースは専門知識を持たない人でも理解しやすくまとまっているため参考になります。
目的
続いて、研究目的を伝えるスライドを作成しましょう。ここで大切なのは、「既存の研究との違いを伝える」ということです。例えば「既存の研究でAと分かっていますが、私は◯◯という理由からBの解明を目的に取り組みました」といったイメージです。
また、チームで研究に取り組んだ場合は、研究室内での自分の役割も伝えましょう。役割を述べることで、協調性の高さやチームワークへの意識をアピールできるため、面接官から魅力的に映りやすくなります。
実験方法
導入・目的の次に必要なのが、実験方法について説明するスライドです。目的達成のために、どのような方法で実験を進めたか伝えましょう。
「既存の研究で解明されていないAを研究するために、Bという工夫をしました」のように、課題や困難に立ち向かったことをアピールすることで、主体性を強調できます。
また、図・グラフ・イラストなどを活用して視覚的に理解しやすくしたうえで、なるべく簡単な言葉を使うことが理想です。ただし、企業の事業領域と研究分野が近い場合は、多少であれば専門用語を使っても問題ありません。
実験結果
次に、研究・実験によって得た結果についてのスライドを用意します。グラフや図を用意してコンパクトに結果を伝えましょう。
就職活動の技術面接では学会発表と異なり、結果よりも「結果に至るまでの過程」をチェックすることで、課題解決力や論理的思考力の有無を判断します。
そのため、誰が見ても瞬時に理解できるように結果を示し、余分な情報を省いて簡潔にまとめましょう。
今後の展望
最後に、結果に対する自分なりの解釈や考察、今後の展望について記載したスライドを作ります。ここで論理的思考力などをアピールできるため、今後の展望はしっかりと伝えましょう。
「大学での研究を通して何を学んだか?」が、このスライドに集約されているといえます。面接官にとって最も印象に残る可能性が高いため、注力して作成しましょう。
また、研究を通して見つけた新たな課題についても盛り込むことで「自ら課題を見つけて解決に向けて行動できる人材だ」と感じてもらえます。
各スライドを作る際のポイントや注意点
ここまでで紹介したスライドを作成する際には、以下の3点に注意しましょう。
・情報を絞る
・分かりやすく配置する
・デザインを整える
上記を実践することで、より魅力的なスライドを作れます。
情報を絞る
決められた時間内に研究内容や学びを説明したうえで面接官に理解してもらうには、スライドの情報を絞る必要があります。具体的には、「1スライド・1メッセージ」を意識しましょう。メッセージを絞れば、短時間でも重要なポイントを確実に伝えられます。
伝えるメッセージを決めてからスライド作成に取りかかれば、余計な情報を記載してしまう心配もありません。
分かりやすく配置する
スライド作成においては、文章・図・表・グラフなどの位置も工夫しましょう。人間の視線は「左上→右下」に流れる性質があるため、以下を意識することですんなり理解しやすくまとまります。
・スライド全体の概要や重要な内容を上部にまとめる
・時系列がある内容は「過去を左・未来を右」に配置する
また、「左目で捉えたものを右脳で処理する」という性質もあるため、イラストや写真を左に配置することも効果的です。
デザインを整える
デザインを整えることで、スライドを一目見てスムーズに理解できます。「無駄に色が多い」「意味もなく立体的にしている」「フォントがバラバラ」「字が小さい」といったごちゃごちゃしたスライドでは、内容が素晴らしくても面接官はスムーズに理解できません。
デザインを整えるためには、「スライド内で使用する色」「色ごとの役割」を決めてそろえることが大切です。具体的には、以下の4色を事前に決めておきましょう。
・背景色
・文字の色
・メインとなる色
・アクセントとなる色
「背景色は白・文字色は黒」を選ぶことが無難です。また、メインカラーとアクセントカラーはお互いに反対のイメージを持つ色を選ぶことで、それぞれが引き立ちます。例えば「メインカラーは赤・アクセントカラーは青」といったイメージです。
他にも「色弱の方に配慮し分かりやすい色を設定する」「モノクロにしても分かるよう線や点のデザインを変える」なども意識しましょう。
技術面接の練習方法
技術面接は、以下3つの方法で事前に練習しておくことがオススメです。
・友人やOB・OGにプレゼンテーションを見てもらう
・就活エージェントに依頼する
・過去の体験談を見てみる
あらかじめ練習することで、落ち着いて本番に臨めます。
友人やOB・OGにプレゼンテーションを見てもらう
友人やOB・OGなどにプレゼンテーションを見てもらうと、自分では気付けない客観的なアドバイスをもらえるため、効率的にプレゼンテーションをブラッシュアップできます。
練習相手には研究内容の知識を持たない人を選ぶことで、「専門知識がなくても理解できたか?」をチェックできます。知識を持つOB・OGには深掘り質問を行ってもらうと、効率よく受け答えを練習できるでしょう。
就活エージェントに依頼する
就活エージェントに登録して、プロから技術面接対策をしてもらうこともオススメです。数多くの就活生をサポートしてきた就活エージェントであれば、より的確なアドバイスを受けられます。また、自分の志望業界や企業に精通している担当者であれば、より技術面接の通過率アップが期待できるでしょう。
複数の就活エージェントに登録しておけば、さまざまな視点から技術面接対策を実施してもらえます。「友人やOB・OGにプレゼンテーションを見てもらうことはあるけれど、プロに対策してもらったことはない」といった就活生もいるため、周りの人より優位に就職活動を進められるでしょう。
過去の体験談を見てみる
過去の面接体験談から、先輩たちがどのように技術面接をしたのか、どんな質問をされたのか確認しましょう。対策の方向性がつかめるはずです。
▼ワンキャリアで過去の体験談を確認しよう
・ES・体験談一覧
技術面接でよくある質問と例文
ここでは、実際の技術面接で聞かれることが多い質問に対する回答例を紹介します。
・研究に関する質問
・研究が仕事にどう生かされるかに関する質問
あらかじめ理解を深めることで、想定外の質問を受けてもしっかり回答できます。
研究に関する質問
研究内容に関してよくある質問は、以下の2つです。
・研究に興味を持ったきっかけはなんですか
・研究のオリジナリティはなんですか
回答例とポイントについて詳しく説明します。
研究に興味を持ったきっかけはなんですか
私は昔から物が動く仕組みに興味を持っていました。自由研究でも電子工作をしたことがあり、一生懸命作った作品が動く瞬間を見るのはとても楽しかったです。そうした経験を通じて機械の仕組みを知るほど、物作りにハマっていきました。そして少しずつ難しい仕組みの機械を作っていく中で、それを動かす回路設計について深く学びたいと思うようになったんです。
具体的なエピソードを交えながら、「どんな経験をキッカケにして研究へ興味を持ったのか?」を述べることがポイントです。
研究のオリジナリティはなんですか
私の研究室では回路設計について学んでいます。私の研究分野ではある程度論文が発表されており、決まった方法で製作することが多くありました。しかし私は「もっと良い方法があるのでは?」と考え、今までのアプローチに関する論文や実験を入念に読み込んだうえで、別角度からの製作方法を模索してきました。思い通りにいかないことも多くありましたが、自分の予想が当たった箇所もありとてもうれしかったです。
大学の研究は「実験手順などが毎年同じ」と思われることもあります。そこで「自分はこんなことを意識して別角度からアプローチした」と回答できると、自分で試行錯誤できる人材であると印象付けられるでしょう。
研究が仕事にどう生かされるかに関する質問
企業にとっては、研究内容を仕事にどのように生かせるかも気になるものです。そのため、以下のような質問をされることもあります。
・研究で課題が出てきたときはどのように解決しましたか
・研究で得られたものはなんですか
・あなたの研究は入社後にどのように生かせますか
・研究室内での役割を教えてください
・進学ではなく、就職を選んだ理由はなんですか
各質問に対する回答の例とポイントを解説するので、ぜひ参考にしてください。
研究で課題が出てきたときはどのように解決しましたか
今までと違うアプローチからの実験結果を得るために日々いろんな方法で検証していたのですが、やはり新しいアプローチを考えるのは簡単ではありませんでした。長期間思うような成果が出なかったこともあります。それを解決するために、目の前の研究にこだわりすぎず「もう一度論文や先行研究を調査し直そう」と考え方を変えました。実験に集中できず不安なときもありましたが、結果として新しく見つけた先行研究をもとに、新しいアプローチを考えるキッカケにつながり、最終的に教授からも高く評価していただきました。
「課題を乗り越えるために一度冷静に具体的な原因を探った」という点をアピールしましょう。課題の原因を突き止めようとする視点は、仕事でも大いに役立ちます。
研究で得られたものはなんですか
課題を解決するために、さまざまな可能性を捨てず試行錯誤を繰り返す能力が身に付きました。私は自分独自の研究方法を模索してきたので、思うような成果を出せない期間も長かったです。成果を出せないと、焦ってやみくもに研究を進めることも多くありました。しかし一度冷静になり、論文の見直しや先行研究の再調査など、違う角度から自分の研究を精査することで、結果的に独自の知見を獲得することに成功しました。御社で働く中で課題に直面しても、目の前の研究にとらわれすぎず、あらゆる観点から解決に向けて試行錯誤できればと思います。
自分の研究の進め方などを振り返り、「何を得て・どのように企業で生かせるか?」まで話せると、企業からの印象は上がります。
あなたの研究は入社後にどのように生かせますか
御社には電子回路に関する設備が整っていると聞いておりますので、私の電子回路に関する研究の成果を生かせます。学生時代は多くの論文や先行研究を読み込み独自の実験方法を日々試してきたので、そこで得た別角度からの知見を御社の業務でも生かせればと思います。また、似ている設備を研究中に何度も操作してきたので、御社の教育の手間を減らして早めに業務貢献できるようまい進いたします。
自分の研究分野と企業の領域が似ていれば、その経験を存分に生かせるでしょう。領域が異なっても「独自性を追い求めた」「課題解決のために考え抜いた」といった角度からアピールすれば、自分のスキルを企業に示せます。
研究室内での役割を教えてください
実験をサポートしつつチーム間を連携させる役割を担っていました。私の研究室には優秀な人が多く、みんながそれぞれの考えを持って行動できる人たちです。しかしそれが理由で、意見が衝突してなかなか実験が進まないということもよくありました。そこで私は、自分の作業を行いつつみんなの意見を取りまとめて落とし所を見つけることで、連携しやすい環境を整えることを意識しました。
必ずしもリーダーである必要はありません。「研究室のメンバーが連携しやすいように調整役を担った」といった経験を伝えることで、企業に自分のコミュニケーション能力や協調性の高さをアピールできます。
進学ではなく、就職を選んだ理由はなんですか
今までの研究成果を具体的に社会に還元していきたいと考えたからです。もちろん進学してもっと研究を深めることも考えました。ですが、最終的には研究成果を生かして社会に貢献したいと考えていたので、それなら早いうちに社会へ出て力を試し、実戦でブラッシュアップしたほうがもっと早く貢献できる力が身に付くのではないか、と考え就職を選びました。
理系は博士課程に進む人も多いため、企業も「なぜ就職を選んだのか?」は気になるところです。上記のようにポジティブな理由でまとめられるといいでしょう。
技術面接で用意しておきたい逆質問集
技術面接では逆質問の時間があります。面接前までに何を質問するか用意しておきましょう。ポイントを解説します。
質問は5個以上準備
質問は5個以上準備しましょう。基本的に2、3問質問するのが望ましいですが、予備と合わせて5個以上用意するといいでしょう。質問しようとしていたことが、面接の途中で面接官から説明がある場合があるからです。当日慌てないように準備しておきましょう。
面接官の役職に合わせた質問
技術面接の面接官は上述した通り研究職や技術職の社員であることが多いです。そのため、人事担当者が詳しい企業全体について質問するよりも、実際の業務や事業について聞くとより企業のことを理解できます。例えば「◯◯というサービスに携わりたいと考えているのですが、1日の業務について教えてください」など社員のリアルを聞くといいでしょう。
質問を通してアピールしたいことを決める
質問を通し自身の能力や意欲をアピールすると、面接官からの印象がアップします。例えば、「研究以外で◯◯について勉強していますが、御社で生かせる場面はありますか?」といった質問です。逆質問はESや面接中でアピールできなかったことをアピールする良い機会なので、積極的に質問しましょう。
入社後の活躍をイメージさせる
入社後に自分がどんな活躍ができるのか、面接官にイメージさせるような質問をしましょう。例えば「将来的には、責任あるポジションで活躍したいと考えています。御社の評価制度について教えてください」といった質問です。入社してどんなことを成し遂げたいかが固まっている人は面接官としても好印象なので、自分自身でも考えておくといいでしょう。
「特にありません」は避ける
技術面接において「特にありません」という返答は避けましょう。面接官は逆質問から自社への志望度を測り、入社後のミスマッチを防ごうと考えています。そのため、逆質問がないというのは印象が下がってしまう可能性が高いです。
ウェブサイトで確認できるものや待遇面の質問は避ける
ウェブサイトで確認できるものや待遇面の質問は避けましょう。ウェブサイトで確認できることを質問してしまうと、「自社のサイトを確認していない、企業研究ができていない」とみなされ、印象が下がってしまう可能性があります。また、待遇面の質問ばかりだと事業や仕事に興味がなくやる気がないという印象に繋がってしまいます。
自分の意欲が伝わるような逆質問をしましょう。
▼逆質問についてさらに詳しく知りたい方はこちら
・【面接の逆質問】厳選32例|質問の終わり方と業界・面接官別の鋭い質問
技術面接で落ちる理由
技術面接で落ちてしまう理由として、以下の6つが挙げられます。
・研究内容の説明が分かりづらい
・研究のオリジナリティが分からない
・基礎的な技術力が満たせていない
・研究を成功させる具体的なアプローチをしていない
・なぜその研究をしたのか説明ができていない
・研究と企業の事業がマッチしていない
上記を理解しておけば、失敗を未然に防ぎ技術面接を成功させやすくなるでしょう。
研究内容の説明が分かりづらい
研究内容の説明が分かりにくいと、仮に自分が研究を通して課題解決力や論理的思考力などを身に付けていても、面接官へ十分にアピールできません。また、「相手に分かりやすく伝える力が低い」とみなされる原因にもなります。
学会発表と異なり「専門知識をあまり持たない人にプレゼンテーションする」ということを念頭に置き、本記事内で紹介した方法を踏まえて繰り返し練習しましょう。
研究のオリジナリティが分からない
「既存の研究との違いを伝えられない」という点も、技術面接で落ちる要因の1つです。研究方法を説明する際は、既存の研究との違いを明確に伝えることを意識してください。
オリジナリティのある研究だと示せれば、「新たな課題を発見して自分なりの方法で解決に導ける人材だ」と感じてもらえるでしょう。
基礎的な技術力が満たせていない
技術面接を実施する企業の多くが研究職・技術職の人材を採用したいと考えているため、基礎的な技術力が不足していると見なされれば、落ちる可能性が高いです。
もちろん企業も育成することを前提に採用していますが、最低限の技術力は持っていなければなりません。特に研究分野と企業の事業領域が近い場合は、即戦力として働けることをアピールしましょう。
研究を成功させる具体的なアプローチをしていない
研究内容に興味を持ってもらえても、研究を成功させるためのアプローチができていない場合、技術面接に合格することは難しいです。なぜなら「入社後に課題に直面した際、解決に向けて具体的な行動を取れないのではないか?」と思われるためです。
企業は結果の成否より、課題に対して「どのように考え、どのような手段でアプローチしたのか?」を重視しています。そのため、具体的なアプローチ方法や根拠についてもしっかり伝えましょう。
なぜその研究をしたのか説明ができていない
技術面接では、研究内容や結果、考察だけでなく、そもそも「なぜその研究をしたのか?」についても説明する必要があります。明確な理由がないと採用されない恐れがあるため、注意しましょう。
具体的には「◯◯という理由で社会に貢献できると考えた」「社会が抱える◯◯という課題を解決する糸口になると考えた」といった具合に、社会貢献を意識した理由を伝えることが理想です。
研究と企業の事業がマッチしていない
研究内容と企業の事業がかけ離れていることも、技術面接に落ちる原因です。プレゼンテーションの質が高くても「自社に生かせる研究内容ではない」と捉えられてしまうと、自社と親和性の高い研究経験を持つ学生を優先するでしょう。
この理由で落ちる場合は、応募する企業選びを見直すことが必要です。就活エージェントを上手に活用して、研究内容を評価してもらいやすい企業を探してみてください。
まとめ
今回は技術面接について解説しました。技術面接はいかに自分の研究を分かりやすく伝えるかが大切です。技術面接を突破して、内定獲得を目指しましょう。
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