こんにちは、ワンキャリ編集部です。
今回は「セオリー通りに、結論から話しているのにうまく伝わらない!」という悩みを持つあなたへ「結論から述べる」がうまくいくための話し方をお伝えします。
<目次>
●「結論から述べる」はどうして成功しないのか?
●(1)会話をコントロールする
●(2)0.5秒の間を使う
●(3)安心感を与える
●おわりに
「結論から述べる」はどうして成功しないのか?
論理的な話し方をする方法として「結論から述べる」というものがあります。「結論から言うと……」から始める、または「これから3つのことを話します」などの話法です。これは確かに有効で、聞き手は「なるほど、そういう結論だな」と分かった上で、その理由を安心して聞くことができます。
ところが、この「結論から述べる」を実践しているのに、なぜか思うような会話にならない、という人がいます。最初はとてもいいスタートを切ることができているのに、話が進むにつれて「え? なんだっけ?」「で、結局どうなの?」「うん、まぁそれはいいとして……」と思いもよらぬ展開……。「こんなはずじゃなかった!!」と頭を抱えてしまうのはなぜでしょうか?
それは「会話を育てる」ということができていないからです。会話というのは生き物です。「こんにちは」「はじめまして」というあいさつから誕生して、どんどん成長させなければ「話が通じる」「話が盛り上がる」という現象は起きません。会話を育てることができていなければ、せっかく「結論から述べる」という必殺技を使っても相手の気持ちを射止めることはできないのです。
今回は論理的会話の鉄板である「結論から述べる」を成功させるための、会話の育て方についてお話しします。
(1)会話をコントロールする
会話にはコントロールをする人が必要です。会話をコントロールする人がいなければ、話は込み合ってしまい、伝えたいことが伝わりません。伝わらなければ、会話は育たないままです。
あなたが相手よりも立場が下であれば、自然と相手の方が会話をコントロールすることになります。しかし、相手が「あなたのことを聞きたい」「あなたはどう思っているのかを知りたい」と言っているときは、あなたが会話をコントロールしなければなりません。自分の話を自分でコントロールすることができて、初めて「あなたの話」ができるのです。
相手の言葉の一部を使う
会話をコントロールするためには、言葉の使い方や雰囲気作り、話題の提供などさまざまな方法があります。しかし、会話をコントロールすることに慣れていないのであれば、最初から無理をする必要はありません。まずは「相手の言葉の一部を使う」ということに気を配りましょう。
例えば、「これはどういうこと?」と聞かれたのであれば、「はい、これはどうゆうことかといいますと~ということです。」という風に、相手の言葉を使って話します。「へぇ、そんなことがあったんだね!」と言われたのであれば「はい、そんなことがありました」と、返すのです。
どうしてこれが会話のコントロールにつながるのかというと、相手と同じ温度で話ができるためです。人は無意識の内に「この人と自分は合うか?」と常に考えながら話しています。それはもちろん「性格」や「感性」について、なのですが、そんな深いことは短い会話では分かりません。しかし、その人が使った言葉を使って、話を返すことによって心理学でいうミラーリングの状態を作ることができます。「この人と自分は何となく馬が合いそうだ」と感じると、相手は話しているあなたに、話のコントロールを任せてくれやすくなるのです。
会話の段取りをつける
「会話をコントロールする」ということは、自分がツラツラと話すだけのことではありません。会話は相手がいて初めて成立します。自分のことに気を取られず、相手の反応をしっかりと見ましょう。
人は話に飽きたり、ついていけなくなったりすると「目線を外す」「相づちを打たなくなる」などのしぐさが出始めます。相手のリアクションを見ながら「もう少し話そう」とか「この辺で一度話を締めよう」「相手の理解が追い付いていないようだから、一度様子を見よう」など臨機応変に対応しなければなりません。
(2)0.5秒の間を使う
会話を育てるためには、会話の中で大事となる「キーワード」を正確に聞き取ってもらう必要があります。そのために、一番伝えたいことを話す時に、その言葉の前後を0.5秒ずつ空けましょう。その0.5秒の間が、あなたの言いたいことを相手の記憶に残してくれます。
ただの強調では伝わらない
間が言いたいことを強調してくれるのにはワケがあります。
何となく音楽を聴きながら他のことをしていてる時に、急に音楽が止まると「あれ?」と気が付くことができます。間を意識的に作るということは、これと同じ現象を起こすということです。「ここは聞き流してもらっては困る」という時には間を作りましょう。
例えば「昨日の夜はお寿司(すし)を友達と食べたんだ」という言葉があるとします。これを「昨日の夜は……お寿司を……友達と食べたんだ」と間を含んで言われるとどうでしょうか?(……は0.5秒です)
「お寿司? お寿司を食べたんだね!」と相手は「お寿司」を印象に残します。何日がたって「あの日、私が何を食べたか覚えてる?」と聞いてみれば「お寿司!」と答えてくれます。
この手法はテレビショッピングでもよく使われています。金額や、注文電話番号を発表する時、前後に微妙な間が空いているので、機会があったら確かめてみてください。
(3)安心感を与える
会話を育てるためには、「お互いに安心感を持って」話すことが大切です。あなたが話している時に「それって結局?」とか「つまりどういうこと?」などという言葉を挟まれると、とても話しにくいですよね。「これからそれを言おうと思っていたのに」とがっかりしてしまうこともあるでしょう。
これは、あなたの話に「安心感」がないからです。相手はその会話に安心ができず、「自分がしっかりしなくては!」と正義感から言葉を挟んでしまいます。では、どうすればあなたの話に安心感を持ってもらえるのでしょうか?
言葉をつなぎ過ぎない
これは、「結論を最初に述べて、その後に理由を述べる」というセオリーが確立され過ぎているからこそ起こる現象です。失敗の多くは、結論と理由を述べた後をどうすればいいかいまいち分かっていない、ということが原因で起こります。
例えば「カレーは手早く作れば30分で完成します。それは市販のルーを使うからです。」ここまではいいのです。ここからが問題。「まず野菜を切るんですが、形は特には決まっていなくて、野菜を切ったら鍋で炒(いた)めるのですが、この時にニンニクを入れて、炒めたら、野菜と一緒にして、次に水を入れるんですけども、水の量は鍋の大きさによるんですが、足りなかったら足せばいいので……」
これではいつになったらカレーが出来上がるか分かりません。
人が不安を感じるタイミングは「よく分からない」と思った時です。逆に言えば「うんうん、分かる」と思ってもらえれていればいいのです。そのためには一文を短くして、その都度理解をしてもらうことが必要です。
終わり良ければ、まぁまぁ良し
「言葉はハッキリと」ということは常識ですが、話している内に「つい、しどろもどろになってしまって」などの理由で語尾が消えてしまう人がいます。そんな時の応急処置は「語尾だけでもハッキリと発音する」ということです。
「~でして、あの、○○ですので……はい」では、相手の不安感100%で話が終わってしまいます。せっかくいいことを言っていても、これでは「なんだかよく分かんなかったね」という評価が下ってしまうでしょう。それは「人の会話は最後が一番印象に残る」からです。
「~でして、あの、……○○です!」と勇気を出して、最後だけでもハッキリと発音をしてください。それだけで、最悪の場合でも「うん、熱意は伝わったよ!」と受け取ってもらえます。本当なら、こういう場面がないに越したことはありませんが、人間ですから失敗することもあります。大事なことは「最後まであきらめない!」「最後だけでも安心感を持ってもらえる努力をする!」という意識です。
おわりに
いかがでしたか?
ここまで「結論から述べる」を成功させるコツについてご紹介しました。
(1)会話をコントロールする
(2)0.5秒の間を使う
(3)安心感を与える
会話は生きています。だから難しいのです。同じことを話したとしても、最初から最後まで全く同じ会話になることはありません。10人と話せば10通り、100人と話せば100通りの会話が生まれます。そして、時に、相手の都合によって会話がうまくいかないこともあるでしょう。しかし、会話はひとりでは成立しません。その都度相手の都合を考えましょう。
会話は人間と同じです。話題や相手によって育て方が違います。
「結論から述べる」という話法はあくまでも「ヒント」のひとつであり、会話を育てるのはあなたです。会話の基本をしっかりと押さえることができれば、あなたの「結論から述べる」はきっと成功しますよ。
※こちらは2019年11月に公開された記事の再掲です。