PwCアドバイザリー合同会社は世界151カ国に約36万人のスタッフを擁するPwCグローバルネットワークのメンバーファームとして、ディール戦略策定、統合・買収支援、事業再生、公共インフラ・社会インフラという4領域を軸に事業を展開しています。
変化の激しい現代、企業は直面するさまざまな社会課題に迅速に対応できるかが問われています。同社は高い専門性を持ち、経営層とのコミュニケーションを重ね、社会貢献と企業価値の向上の両立を経営の側面から支援しています。
今回は同社の業務などについて、パートナーを務める赤間穏子さんとシニアアソシエイトの平井涼真さんに、お話を聞きました。
他社や業界を巻き込み新しいムーブメントを作りたい
──平井さんは新卒でPwCアドバイザリー合同会社に入社されましたが、同業他社ではなく同社を選んだ理由を聞かせてください。
平井:私は2020年入社で5年目ですが、選んだ理由は二つありました。
学生時代、自分自身の興味や適性を考え、コンサルティング業界を中心とした就職活動をスタートしました。就活を通し、自身がやりたいことは自社で完結する事業ではなく、他社や業界全体を巻き込んで新しいムーブメントを作り出すことだと分かり、当社の業務がまさに当てはまったといえます。
そして、もう一つの理由が当社職員の印象でした。職員や他の内定者との会話を通し、親しみが持てて、自分らしくいられると感じたところが、決め手でした。
──他社や業界を巻き込む業務ですから、社会的インパクトも大きいのではないでしょうか。
平井:手前味噌(てまえみそ)で恐縮ですが、社会的インパクトは非常に感じます。自分で担当したプロジェクトに関して、他社クライアントから「同じようなことをやりたい」と相談されたときは、業界はおろか日本全体から注目されるような仕事という実感がありました。
また、メディアで報道されるような案件を担当することもあり、注目をされることで改めて襟を正す気持ちにもなりますね。
──幅広い領域で事業展開ができる背景について教えてください。
赤間:まず、ニーズがあるからこそ事業展開ができていることに間違いありません。
PwCは黎明期(れいめいき)からイギリスで事業再生や公共インフラ、社会インフラに携わっていました。「やがて世界各国でもニーズが生まれる」という考えから日本でも同事業を展開するようになりました。
業務も国内案件のみならず、PwC Japanグループのメンバーだけで海外案件を担当することもあれば、他国拠点のメンバーと協働することもあります。現在は国内だけで完結する案件はほとんどなく、何かしらの形で海外との関わりがあるといえますね。
平井:国内外の案件があることのメリットとして、個人的には日本という市場をフラットな目線で見られるようになったと思います。
私たちは業務上、自社だけでなく他社としての目線、あるいは日本だけでなく海外からの目線を持つ必要があります。多角的な視点を持つことで日本市場を客観視でき、改めてその特徴やポテンシャルなどに気付けました。
一筋縄ではいかないM&Aは数年かかる大プロジェクト
──赤間さんはこれまで、M&Aや事業売却に長年携わってきたと聞きましたが、具体的な業務内容も詳しく教えてください。
赤間:M&Aといえば企業買収というイメージがあるかもしれませんが、業務は多岐にわたります。
まずM&Aは企業の成長ストーリーの一つであり、「M&Aをやる」と決めたからといって、すぐに実行に移せるわけでもありません。まずM&Aを選択し、希望に沿う企業を模索して、買収先が絞られていきます。
とはいえ、相手企業が決まったからといって買収は決まりません。相手企業の将来性や財務的なリスクなどの事前調査を通して企業価値を算出し、条件交渉、成約という流れがあります。また、買収後も統合効果を最大化させるためのプロセスが続いていきます。
私たちは戦略策定や企業選定、事前調査、交渉、統合効果の最大化などにおいて各担当チームがあり、それぞれが連携することで、M&Aの一連の流れを支援しています。支援期間も各プロジェクトで異なり、長ければ3年にわたる場合もありますね。
──平井さんは、個人的に印象に残っている業務はありますか。
平井:2050年を予想するという依頼です。
コンサルティングといえばロジックを積み上げていくイメージがあるかもしれませんが、理論だけで予測してしまえば、面白味もなくなってしまいます。「理論だけでなく、そこに想像力を掛け合わせた予測こそに価値が生まれる」と考え、今までにない視点や気付き、まだ見ぬ将来のビジョンを提示できた瞬間はやりがいも感じられましたね。
──入社前後で業務に対するギャップは感じましたか。
平井:業務においては想像通りでした。入社の決め手にもなった「他社を巻き込んだ新しい取り組みを支援したい」という思いが実現できる業務に、どっぷりつかれています。
一方、入社時にはコンサルタント像をおぼろげにしか捉えられていなかったこともあり、実際の業務で自身の至らなさを実感することも多かったです。当初思い描いていたような順風満帆なキャリアとはいえないかもしれません。
ただ、常に懸命に業務にあたれる環境があり、上司の仕事ぶりや言動などから、学び続けられる日々を送れているとも感じています。
メリハリのある働き方で、しっかり休暇も取る
──職員の成長を後押しする教育サポートについても聞かせてください。どのように知識や専門性を身につけていくのでしょうか。
平井:まず基礎的なスキルや大枠の専門スキルを学ぶ集合研修があり、その後はそれぞれの専門的なプロジェクトをローテーションで実際に担当していきます。
また、新卒時だけでなく、入社後も定期的に行われるESGや金融と言った専門性のある研修の他、職階が上がるタイミングでの研修などもあります。研修によるインプットと実践でのアウトプットを繰り返していくことで、学び続ける体制が整っています。
赤間:昇進も年次によって決まるのではなく、能力が満たされていると新たな職階に上がる制度を取っています。そのため、マネージャーといった管理職への昇進時にはマネジメントやコーチングといった職階に応じた研修が受けられます。
平井:独自の研修としては、入社数年目のタイミングで「Edgeプログラム」と呼ばれる、PwCの海外各拠点のメンバーと共に行う集合研修もあります。Edgeプログラムは専門スキルよりもリーダーシップやコミュニケーションといったマインドセットが主なテーマで、ケーススタディーを通して学んでいきます。
赤間:アジアパシフィックにおける研修で、開催場所もシンガポールや日本など毎年異なります。終了後にはPwCの他拠点への出向や、プログラムで培った人脈を日々のプロジェクトに生かすこともありますね。
──コンサルティング業界は激務のイメージもありますが、「働きやすさ」について聞かせてください。
平井:個人的には、自分自身で考えて柔軟に働き方を選択することが尊重される企業であると感じています。
当社では同僚と議論を交わすのに、出社して膝を突き合わせることも、場所を問わないオンライン会議にもできます。細かい分析を集中して進めたいので在宅勤務にしようといったように、自分でワークスタイルをデザインすることが可能です。
赤間:仕事と子育てを両立させる制度も整い、お子さんの保育園への送り迎えや家族の食事の準備をする時間帯は業務を避けることもできます。朝方に集中的に業務を行うメンバーもいれば、午後に業務にあたるメンバーもいるなど、チーム内で協力し合うことで各メンバーの働き方を尊重しています。
また、働き方にもメリハリが利いていることで、プロジェクトが完結すると1週間ほどの旅行に行く若手職員もいるほどです。
平井:私もプロジェクトの合間でオンオフの切り替えができるスケジュールで働いているため、近々2週間の休暇を取得予定です。
──最後に、なぜコンサルティング業界を選んだかを改めて教えてください。
赤間:私は一つの企業の中で働くよりも、さまざまな企業の価値観を知りながら成長していきたいという思いを抱いていました。それだけに、一つのプロジェクトが終われば、次は異なる業界とのプロジェクトがはじまるコンサルティング業界は魅力的に映っていました。
いざ就職活動を始める際も、多くの企業や業界を肌で感じられるかどうかを軸に考え、最終的にコンサルティング業界を選びました。
平井:私も同意見ですが、他の視点としては仕事に疾走感が欲しいという思いがありました。
現在、私の業務であるディールズストラテジー領域はクライアントがビジョンを早く固めて戦略を進めたいという考えからプロジェクト期間が短くなりやすく、まさしく希望通りの働き方であったことも大きいですね。
企業や業界も多岐にわたる中、プロジェクトをぐいぐいと進めながら、しっかりと休暇も取る。常にお祭りが続いているような高揚した気持ちで業務にあたれるところは、今も最も魅力に感じています。
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【ライター:小谷紘友/編集:吉川翔大】