ボストン コンサルティング グループ(以下、BCG)、ベイン・アンド・カンパニー(以下、ベイン)と並び、MBBの一角として圧倒的な存在感を誇る外資系戦略コンサル、マッキンゼー・アンド・カンパニー(以下、マッキンゼー)。本記事では、そんなマッキンゼーの選考フロー概要と、対策方法について解説していきます。
<目次> ●1. マッキンゼーとは ●2. マッキンゼー25卒の選考フローの概要 ・(1)選考の時期 ・(2)内定者の選考フロー ・(3)例年のフローとの比較 ・(4)その他の選考フロー ●3. フローごとの対策法 ●3-1. プレエントリー ●3-2. ES ・評価ポイント ・対策方法 ●3-3. Webテスト ・質問内容の詳細 ・評価ポイント ・対策方法 ●3-4. 1次面接 ・評価ポイント ・対策方法 ●3-5. 最終面接 ・評価ポイント ・対策方法 ●3-6. 内定 ●4. 内定者の感想
1. マッキンゼーとは
「The Firm」とも称される、世界屈指のコンサルティングファームであるマッキンゼー。BCG、ベインと並び、MBBの一角として戦略コンサル業界を率いる存在です。
そんなマッキンゼーが企業理念として掲げるのは、「One Firm」。一般的に日本に拠点を持つ外資系企業は、あくまでグローバル企業の日本支社的な立ち位置で国内の案件を多く手がけることが多いですが、「One Firm」という合言葉を持つマッキンゼーでは、海外支店との隔たりなく、世界的な人材やノウハウの共有が全社的に盛んに行われていることが特徴です。事実、ある社員によると「BCGは、グローバル企業の日本支社的な立ち位置であり、クライアントも日本企業が多い。一方マッキンゼーは、まさに「One Firm」で、海外企業からの案件が多い」とのこと。
以上より、外資系戦略コンサルティングファームに関心があり、グローバルな環境で働きたいと考える学生と、マッキンゼーはマッチしているといえるでしょう。以下で、MBBについて比較しますので参考にしてください。
2. マッキンゼー25卒の選考フローの概要
(1)選考の時期
マッキンゼーの選考は、時期別に3回実施され、1度受験すると2年間は再受験できないそう。そのため、志望度が高い場合には、ケース面接対策などを行い、自分の実力が高まった時期を見極めて受けると良いでしょう。
2026年卒の夏選考締切は以下の通りでした。
【26卒夏選考締切】 ・プレエントリー締切:2024年5月12日(日) ・本応募締切:2024年5月15日(水) ・応募URL:マッキンゼーアンドカンパニー「2026 Campus Recruiting Pre-Registration Form」
(2)内定者の選考フロー
本記事で紹介する選考フローは以下の通りです。
(3)例年のフローとの比較
2025年卒の選考では、過去の選考フローからの変更はありません。
採用数に関しては、2024年卒までは約60名の内定者数でしたが25卒では約40名ほどと減少傾向。26卒ではさらなる採用数減少が予想されます。
また、内定者によると、今後は女性の採用枠を増やす流れがあるようです。
(4)その他の選考フロー
3. フローごとの対策法
ここでは、内定者のインタビューに基づき、各フローごとの概要や対策方法を紹介していきます。
3-1. プレエントリー
プレエントリーでの質問項目は以下の通りです。
<質問項目> ・氏名 ・メールアドレス ・大学名 ・卒業年 ・学位 ・希望勤務地(第3希望まで) ※英語で記載
3-2. ES
評価ポイント
エントリーシート(ES)での絞り込みは少ないと思われますが、少ない文字数で簡潔かつ論理的な文章力はコンサルタントとして必須のスキルです。
また、最終面接の人物面接では、本ESの内容に基づき、多少深掘りが行われるため、以下の点に関連する経験を記載すると良いでしょう。
【ESで書くべき経験】 ①多様性を感じ、乗り越えた経験 ②リーダーシップを発揮した経験
対策方法
【全体】
200〜400字以内のES。結論から端的に書こう
マッキンゼーのESでは、例年200字または400字以内で志望理由や学生時代に力を入れて取り組んだことの回答が求められます。短い字数制限の中で伝えたいことを伝えるためには、端的に分かりやすい文章を構成する力が必要でしょう。
以下の点を参考に、端的な文章構成を意識しましょう。
<ESを書く際に押さえたいポイント>
【結論ファースト】
「学生時代力を入れたことは、~~である。その中で行った施策は大きく◯個ある。まず1つ目は、~~~。次に2つ目は~~~」
【定量的な記述】
「売上は前年比◯◯倍の◯◯円になった」
【キーワードの強調】
「自分の強みは『チャレンジ精神』である」
など
<ESを提出する前にチェックすること>
・文末の口調は統一されているか
・省略できる無駄な文がないか
・熟語にできる無駄な語がないか
・誤字脱字はないか
・自分の意図したことが伝わる文章になっているか
・質問で聞かれていることに答えているか
など
【(1)について】
内定者のES構成紹介
以下では、ES選考を通過した選考経験者の(1)への回答を複数紹介します。ES作成時に、構成や体裁を参考にするなどして役立ててください。
<1人目:冬選考での内定者>
- 内容:マッキンゼーで成し遂げたいこと
- 構成:マッキンゼーの魅力→自身の経験→経験から学んだこと→目指すコンサルタント像
・「企業の経営判断に携わる過程で、クライアントと社員の成長を目指すバリューに惹かれたからだ。 私は塾講師として、誰かの分岐点に共に立ち、目標に向かうことのやりがいを知った。 この経験から、相手の成長に興味を持ち、役に立つことを模索しながら、そのプロセスの中で自己や仲間の成長を大事にする貴社の文化に魅力を感じた。 貴社での様々な出会いと共に、他者に影響を与えられるコンサルタントを目指したい。」
※出典::マッキンゼー・アンド・カンパニー|ビジネスアナリスト2025年卒本選考のES
<2人目:夏選考での内定者>
- 内容:将来成し遂げたいこと
- 構成:将来成し遂げたいこと→そのために必要なもの→マッキンゼーで得られること
・「私は将来的に業界をリードする事業を創出したいと考えており、そのために貴社での成長と経験が必要だと考えたからだ。 個人の実力や意志を重視する貴社で、高いプレッシャーと責任感を持って働くことで、迅速な成長が可能だと認識している。 また、幅広い産業の深層的な経営課題に取り組み、その解決策を策定するため、その過程で経営に関する洞察と知識を獲得できるのではないかと考え志望した。」
※出典:マッキンゼー・アンド・カンパニー|ビジネスアナリスト2025年卒本選考のES
<3人目:夏選考での内定者>
- 内容:マッキンゼーの魅力である「グローバル環境・リーダーシップを重視する環境」の2点
- 構成:志望理由は2点→グローバル環境が魅力である理由→リーダーシップを獲得したい理由→要約
・「志望理由は2点ある。 1点目は、グローバル環境である。 日本企業の海外でのプレゼンスを向上させたく、グローバルな環境で日本企業の変革に携わりたい。2点目は、リーダーシップを重視する環境である。 私は将来海外で活躍する人材になりたいと考えており、国や人種に左右されない絶対的なリーダーシップを獲得したい。 よって、グローバルに強く、かつリーダーシップに重きを置いている貴社で働きたい。」
※出典:マッキンゼー・アンド・カンパニー|ビジネスアナリスト2025年卒本選考のES
上記の通り、選考体験者は「マッキンゼーの魅力」や「自身の経験をもとにマッキンゼーのコンサルタントとして成し遂げたいこと」について端的に記入しています。
【(2)について】
書くべきエピソードと一貫性について
内定者によると、最終面接ではこのESに記載した内容に基づいて人物面接が行われるようです。面接では、リーダーシップ経験や多様性に関わる経験についての質問が例年頻出のため、これらの質問に対応できる経験をESに記入しておくと良いでしょう。
内定者のESの構成紹介
以下では、ES選考を通過した選考経験者の(2)への回答を複数紹介します。ES作成時に、構成や体裁を参考にするなどして役立ててください。
<1人目:夏選考での内定者>
- 内容:リーダーシップ経験
- 構成:エピソードにおける成果→存在した課題→実際に取った行動→結論・成果再掲
・「◯◯部主将として、チームの勝率を50%あげた。 私は大学2年時、就任直後のリーグ戦では一戦も勝てないという経験をした。 当時の練習では肉体強化を目指し、筋力トレーニングを行っていたが、トレーニングの成果報告で虚偽の報告がまん延し、練習が形骸化するという課題に直面した。 この問題に対して、『自分が1番に成果を出すこと』そして、『共通の目標を立てる』ことで改善を図った。まず、1番に成果を出してチームを率いるため、自分を徹底的に追い込み、三ヶ月で10kgの増量に成功した。 そして、目標設定と連帯感の構築のために、5人で1つのグループを作り、グループ内でトレーニングと食事の、写真及び動画を送り合うような仕組みを作った。 これにより誰が1番ストイックかを競い合う文化が自発的にチーム内で起こり、チームは肉体改造に成功し、勝率の50%以上上昇に成功した。」
※出典:マッキンゼー・アンド・カンパニー|ビジネスアナリスト2025年卒本選考のES
<2人目:冬選考での内定者>
- 内容:多様性に関わる経験
- 構成:エピソードにおける結論→存在した課題→実際に取った行動→結論再掲
・「私は◯◯◯◯への留学で、様々な国から来る異なる価値観を持つ学生とのディスカッションに力を入れた。 現地では、国際関係論を学び、異なる角度から歴史を見つめた。ディスカッションの中で、それぞれの歴史に関する観点や解釈の違いが、国籍や人種を超えた合意点を見つけることを困難にした。 そこで私は、それぞれの立場の主張を客観的に精査し、議論の主軸をずらさない事を意識して発言した。 その結果、様々な角度から歴史や戦争を俯瞰し、自分にしかない視点を英語で周りの学生に共有しながら、議論をリードする事でグループワークを前に進め、結論を明確化することに貢献できるようになった。」
※出典::マッキンゼー・アンド・カンパニー|ビジネスアナリスト2025年卒本選考のES
行動の成果を明確に示そう
上記ESの例や他内定者によると、明らかな成果を明記して過去のエピソードを記入する学生が多く見受けられます。論理的な文章構成は前提として必要ですが、エピソードの成果はしっかりと明記をすることで自身の行動のやり切りを示すと良いのではないでしょうか。
3-3. Webテスト
質問内容の詳細
マッキンゼーは企業オリジナルのWebテストに関する動画を公開しています。全容をつかむのは難しいですが、Webテストの解像度をなるべく高くしておくことが選考通過の鍵であるため、受験する前に必ず目を通しておく必要があるでしょう。
マッキンゼー公式動画(1)Ecosystem Building(生態系構築)のシミュレーションゲーム
(2)調査レポート
(3)Webテストに対するアンケート(選考要素なし)
<質問内容> ・このテストを受けるのが初めてかどうか ・受けてみた感想 ・時間が足りたかどうか など ※英語で記載
(4)注意事項
・キーボード操作やマウスの動きなどパソコン動作も見られているので以下に注意 └ページの行き戻りを繰り返さない └長時間同じページに滞在せず、手順よく次のステップに進む ・上記2つ以外の形式のWEBテストも確認されている └島を守るタワーディフェンスゲーム └ある植物を外来種から守るパズルゲーム └新形式のWEBテストが課される可能性も十分ある
評価ポイント
<必須のポイント> ・持続可能な生態系を作ること ・調査レポートは7〜8割程度正答すること <+α評価のポイント> ・優先順位をつけて調査をし、より少ない行動回数で情報を絞り込めたかどうか ・整理した情報から、より短い時間で選択肢を選べたかどうか
対策方法
オンラインゲーム型の独自試験に備えよう
マッキンゼーのWebテストは企業オリジナルで情報も少ないため対策が難しいですが、内定者は以下の方法で事前に対策を行っていたようです。
1度受験すると2年間再受験不可であり、ここで落ちてしまっては元も子もないため以下を参考に対策してみてください。
【事前に情報を入手】
ゲームの説明文が複雑で、一読でルールを把握するのが難しいため、事前に過去の情報を集め、内容をイメージしておくと良いでしょう。内定者が参考にしていた情報は以下の通りです。
<参考ツール> ・マッキンゼーが公開しているテスト紹介動画 └マッキンゼー・アンド・カンパニー「Solve, McKinsey’s assessment game」 ・インターネットやYoutubeで公開されている「McKinsey Problem Solving Game」の解説動画
生態系構築問題のポイント
生態系を選ぶ問題では、以下を参考に解くと良いでしょう。
<選ぶ流れ> 動植物を闇雲に選ぶのではなく、生態系のピラミッドを4段階ほどに分けてイメージし、約2種類ずつ選択する 1. まず、1番上にくる熊やおおかみなどの強い肉食動物を選ぶ 2. 次にくる草食動物や比較的小型な動物を選ぶ 3. 最後は植物や微生物など捕食される動植物を選ぶ
<ポイント> ・選ぶ際に捕食関係、蓄積カロリーと消費カロリーがなくならないかは必ずチェックし持続可能であることを確認する ・キーボード操作やマウスの動き、クリックなどのパソコン動作も見られているようなので、効率よく整然としたアプローチでプレイする必要がある。どの動物を選んだかなどメモを取っておくと良い
調査レポートのポイント
<ポイント> ・7~8割の正答率を目指し、分からない問題は捨てて時間内に多く解答する必要がある ・クリック状況などから、計算にかかった時間は分析され得る。速くて正確な計算とわからなくても次に進む潔さが求められる
Webテストに関するアンケートのポイント
本Webテストはマッキンゼーが独自で作成しているもので、受験後に本テストに関するアンケートが実施されます。英語での質問ですが、以下の項目を押さえて丁寧に回答しましょう。
<ポイント> ・すべての問題に回答する ・英語で回答する
3-4. 1次面接
以下、詳細な1次面接の流れです。
【1次面接の流れ】 入室後、間髪入れずにケース問題が始まる ・ケース問題「幹線道路沿いにあるスーパーへのチャージャー(EV)導入」(30分) └設問1:「検討すべき軸を網羅的に挙げてください」(思考時間3分、議論7分) └設問2:「設置によって可能になる他のビジネスをブレストしてください」(思考時間2分、議論15分) └設問3:「設置した際の利益を計算してください」(思考時間4分、発表2分) ※資料はすべて英語で記載されている。議論は日本語で行う。
評価ポイント
すべての設問において面接官からの深掘りを軸としたディスカッションが行われるため、会話の中で与えられたヒントをうまく活用し、キャッチアップできる力を見せることがポイント。
対策方法
過去3年(23〜25卒)のケース面接の出題傾向
直近3年間のマッキンゼーのケースについて、特徴や傾向は以下の通りです。
【傾向】 ・シチュエーションが具体的に指定される └例:「幹線道路沿いにあるホテルへのチャージャー(EV)導入」 └例:「ある老舗自動車メーカーの新商品の売り上げ向上施策」 └例:「アメリカの自転車アクセサリーを生産販売する企業の業績回復」 ・設問1か2で検討すべき項目について「網羅的に挙げよ」という設問が課される └施策の提案ではなく、条件を網羅的に挙げる └例:「新規事業や〇〇の導入に際して検討すべき項目」 └例:「業績低迷のボトルネックについて」 └例:「現状を理解するためのインタビューで誰に何を聞くべきか」 └例:「施策を列挙」 ・設問3で計算問題が課される └例:「施策を実行した際の利益計算、施策を実行すべきかの示唆出し」 └例:「施策の採算がとれるのは何年後か」 └例:「全体のコストがどれだけ削減できるか」
実際に本フローにおけるテーマの他に、以下のようなテーマで出題がされています。
【24、25卒選考で問われたテーマ例】 ・「ある老舗自動車メーカーの新商品の売り上げ向上施策」 ・「アメリカの自転車アクセサリーを生産販売する企業の業績回復」 ・「アメリカの地方銀行の業績回復」 ・「ゴルフクラブの売上向上施策」 ・「日本の米をヨーロッパで売る方法」 ・「ヘリコプターでへき地に物資を送る事業を行っている物流会社の売上が近年低下している原因」 ・「ライバル企業が敵対的買収を仕掛けてきた場合の、売却の判断のために必要な検討事項」
企業ホームページやインターネットで事前にケース面接の内容を把握する
ホームページに掲載されている例題が実際の面接で課されることもあるようなので、必ず事前に解いておく必要があります。マッキンゼーのホームページには全7問のケース問題と回答が公開されているので、最低でもホームページに載っている問題はすべて練習してから臨むと良いでしょう。
・マッキンゼー・アンド・カンパニー「PRACTICE CASES」
【マッキンゼーが公開している例題を3つご紹介】 ・高級化粧品会社のビジネス支援 └問1:「オンライン販売で美容コンサルタントを活用する際に考慮すべき項目を網羅的に挙げよ」 └問2:「対面販売の既存顧客がいる中で、オンラインへの切り替えを既存・新規顧客が行う要因は何か」 └問3:「収益と人件費の予想から、人件費への投資が黒字になるまで何年かかるか」 ・ある財団のメキシコの遠隔地の住民向けに提供する金融サービスの構築 └問1:「金融サービスの構築において財団のネットワークを活用できるか、また活用すべきかを判断するために調査すべき項目を挙げよ」 └問2:「すべての家庭が地元のディコンサの店舗で州の給付金を受け取ることができれば、州の給付金を受け取っているメキシコの農村部の全世帯で年間総額いくら節約できるか」 └問3:「グラフから読み取れることは何か」 ・米国トップ3の飲料メーカーの製品発売戦略の設計 └問1:「新製品を発売するかどうかを決定する際に考慮すべき重要な要素は何か」 └問2:「データをもとに、損益分岐点を達成するには電解質飲料市場のどのシェアを獲得する必要があるか」 └問3:「発売後に必要な市場シェアを獲得するために何をする必要があるか」
汎用(はんよう)できるものは暗記する
【内定者が行った対策】 ・一般的な計算式の暗記 └売上高=客数×客単価 └利益=売上-費用 └客数 = 日本人口×利用する人の割合×1人あたりの利用頻度 └一店舗あたりの売上=市場規模×シェア÷総店舗数 └〇〇の東京の市場規模=東京都人口×〇〇を利用する人の割合×〇〇の利用頻度×単価 ・頻出の項目に関する知識をつけておく <頻出テーマ> ・EV設置の流れ ・ドローン利用に必要なもの ・AI導入の流れ など <上記テーマに関する知識を得られるメディア> ・日本経済新聞 ・News Picks ・ウォール・ストリート・ジャーナル など
他社の選考でケース面接の練習を行う
他社の選考でケース面接を受験することも、対策の1つです。受験後は、受けたままで放置せず、以下の観点を参考に再度考え直すことをお勧めします。
【内定者がお勧めする企業と考え直す際のポイント】 ・実際に選考を受けた学生が練習した企業 └Strategy& └アクセンチュア(戦略コンサルタント職) └アーサー・ディ・リトル └A.T. カーニー └野村総合研究所 ・考え直す際のポイント └別のアプローチから、他の案がなかったか └自分が提案した施策の中に、論理の穴がなかったか
内定者の回答紹介
以下で、実際の内定者の回答を紹介します。
ディスカッションを通じた回答のブラッシュアップを重視しよう
マッキンゼーのケース面接は、最初に一方的にプレゼンテーションをするような形式ではなく、面接官との対話の中で提案をより良くしていく形式となっています。
以下を参考に、面接官との議論を進めましょう。
【面接官との議論で注意したいポイント】 ・面接官との対話を「1往復以上」先読みする意識を持つ。「この質問をしている意図は何なのか」、「この先にはどのようなことを聞こうとしているのか」といった一歩先の視点を持つことで、逆算的に面接官の求めている答えを探る。 ・面接官からの指摘は基本「おっしゃる通りで、」と受け入れる。指摘に合わせて回答どのように変更するかについてコメントを添える。 ・例えば、売上が落ちているクライアントへの提案の中で、「海外であればどのような地域に進出すべきか」という質問があった際、この後には海外売上の推定を含め、売上に焦点が当たるであろうことを想定すれば「売上を拡大することが今回の目的なので、その点で言えば、人口も多く〜も多い〇〇が良いと考えられます」といったように、目的を見据えた回答を行うことができる。 ・難しい指摘を課された際は1人で考え黙り込むより、仮説を持ったうえで面接官に助言を求める。 ・一方的に話し続けるのではなく、面接官をディスカッション相手のように捉えて議論を進める。
参考:面接対策に使える本・サイト
【参考書籍】
・『(現役東大生が書いた 地頭を鍛えるフェルミ推定ノート――「6パターン・5ステップ」でどんな難問もスラスラ解ける)』(東洋経済新報社、2009年)
・『東大生が書いた 問題を解く力を鍛えるケース問題ノート 50の厳選フレームワークで、どんな難問もスッキリ「地図化」』(東洋経済新報社、2010年)
・『過去問で鍛える地頭力 外資系コンサルの面接試験問題』(東洋経済新報社、2009年)
【ケース面接の対策記事】
【内定者が行っていたケース面接対策】
- 参考書を2~3周程度読み込んで、ケース面接の型や活用できるフレームワークをインプット
- 参考書に載っている練習問題を実際に自分で解く
- 友人とともに、本番を想定したケース面接の実践演習を実施
- 街中で見つけた商材やサービスについて、売上をフェルミ推定し、売上向上施策を検討
内定者の感想
- ケース面接では、地頭力を示すためにテンプレートにはまった進め方をしてケース対策をしてきたことをアピールするのでなく、自分で考えて流れを考えたという姿勢を示すことが重要。
- 計算問題では、英語で書かれた資料の読み取りから解を出すことが求められる。主に「地域の人口」や「学校に行けない児童の人数」など、数字が書いてある資料のため、そこまで英語力は必要ない。
- マッキンゼーのケース面接で意識したことは、施策に関してバラエティ豊かな選択肢を広げることと、それらの絞り込みを短時間で行うことだ。過去の経験を踏まえて、施策の選択肢に幅をもたせたところ、面接官から高評価を受けた。
3-5. 最終面接
以下、詳細な面接の流れです。
【1人目】(50代シニアパートナー)堅い雰囲気 ■ 人物面接(20分程度) - 1番チャレンジングだった、大変だったと思う経験 - 苦手な人と働いた経験 ┗ 何について誰と意見が合わなかったのか教えて ┗ 施策を2~3つ教えて ┗ コミュニケーションの具体的なやり取りが分かるように教えて ┗ どう変化したか教えて ┗ それが最善だと思ったか、どう改善できたと思うか ■ ケース面接:テーマ「メキシコの地方テレビ局の収益性を高める方法」(20分程度) - 設問1:「地方テレビ局とのミーティングのために、収益性を高めるために取るべき手段を構造化して整理して説明せよ」(思考時間3~4分) - 設問2:「議論した結果、若い顧客を獲得すべきだという方向性になった。マトリクスや表を見せられ、言えることをできるだけ多く述べてください」(思考時間なし) - 設問3:「オンラインのサービスをアップグレードしたいが、コストがかかってしまう。この施策は採算が取れるかどうか。」(思考時間なし) ┗ 採算が取れるなら、顧客を何人獲得すると良いか ┗ いつ頃採算が取れると良いか ┗ この施策をやるべきか否か ■ 逆質問(2つ程度/4~5分) - 各職位で大事だと思われていることは何か 【2人目】(40代パートナー)穏やかな雰囲気 ■ 人物面接(20分程度) - 自己紹介 - 研究に関して(5分程度) - チームで取り組む上で課題を乗り越えた経験 - リーダーシップ経験 ■ ケース面接:「化粧品の購買行動に関する問題」(20分程度) - 設問1:「購入に至るまでの時系列順の感情が書かれている図を見て、それぞれの感情において何が課題であるか」 - 設問2:「化粧品を販売する業務をデジタル化したいが、その時に起きる懸念点を教えて」 - 設問3:計算問題 ■ 逆質問(1つ)
評価ポイント
最終面接の評価は2人の面接官によって行われるため、どちらかの面接官に◎をもらう必要があります。
以下に、内定者が語る「人物面接」と「ケース面接」の評価ポイントを記載するので参考にしてみてください。
人物面接とケース面接の評価ポイント ■人物面接: 人物面接の評価の鍵は、どれだけ具体的に状況を説明できるかがポイント ■ケース面接: 1次面接と同様、すべての設問で面接官からの深掘りを軸としたディスカッションが実施。 そのため、会話の中で与えられたヒントをうまく活用し、キャッチアップできる力を見せることがポイント。
対策方法
内定者の回答
人物面接:リーダーシップがあることを示そう
マッキンゼーでは、社内でも国籍の違う多種多様な社員が集まっており、多様なメンバーを巻き込んで仕事を推進できる強力なリーダーシップや主体性が求められます。
そのため、面接ではリーダーシップの経験を問われ、かなり細かくエピソードを深掘りされます。
以下のエピソードの構成例を参考に面接に臨んでみてください。
<リーダーシップを示すエピソードの構成> 【取り組んだことの概要】 ・サークル活動 ・部活動 などチームでの経験 【取り組む上で発生した問題の例】 ・メンバーのコミット不足 ・参加者や顧客などの集客力のなさ ・活動が理解されないことで、リソースが集まらない 【問題に対して周りを巻き込んだ施策を講じた話の例】 メンバーの参加率を向上させるために一人一人とコミュニケーションをとることにした 全員と目標を共有し、地道に協力を呼び掛けた など 【施策の効果の例】 練習参加率が10%向上した 【具体例なエピソードの例】 ・サークル活動において上級生の練習参加人数が少なく、下級生の指導のための人手が足りないという課題が発生していた。そこでメンバー全員と話す機会を作るために週に1度ミーティングを開き、サークルに関する不満なども聞きながら課題を全員で共有することで各自が当事者意識を持ってくれるように取り組んだ。
(再掲)ケース面接:ディスカッションを通じた回答のブラッシュアップを重視しよう
最終面接で課される面接も、1次面接のケース面接と形式や難易度は同じです。
それぞれの設問の思考時間は他社の選考と比較して明らかに短いため、発表後のディスカッションでいかに回答をブラッシュアップできるが重要な観点となります。
以下を参考に、面接官との議論を進めましょう。
【面接官との議論で注意したいポイント】 ・面接官との対話を「1往復以上」先読みする意識を持つ。「この質問をしている意図は何なのか」、「この先にはどのようなことを聞こうとしているのか」といった一歩先の視点を持つことで、逆算的に面接官の求めている答えを探る。 ・面接官からの指摘は基本「おっしゃる通りで、」と受け入れる。指摘に合わせて回答どのように変更するかについてコメントを添える。 ・例えば、売上が落ちているクライアントへの提案の中で、「海外であればどのような地域に進出すべきか」という質問があった際、この後には海外売上の推定を含め、売上に焦点が当たるであろうことを想定すれば「売上を拡大することが今回の目的なので、その点で言えば、人口も多く〜も多い〇〇が良いと考えられます」といったように、目的を見据えた回答を行うことができる。 ・難しい指摘を課された際は1人で考え黙り込むより、仮説を持ったうえで面接官に助言を求める。 ・一方的に話し続けるのではなく、面接官をディスカッション相手のように捉えて議論を進める。
3-6. 内定
4. 内定者の感想
- 志望動機について面接で聞かれることはなかったので、それほど重視されていないだろう。
- マッキンゼーでは、ケース面接で必要とされる「論理的思考力」も、人物面接で求められる「リーダーシップ」もどちらも重視されているようで、内定者はどちらも兼ね備えた人ばかりだった。
- ケース面接では、一方的なプレゼンテーションではなく、面接官とのディスカッションを通してより良いアウトプットを出すことが重要だそう。面接官の言葉に隠れた誘導に気づき、自身のアウトプットの質を上げていけると良いだろう。
- ケース対策をほとんど行わずに内定を獲得している学生も多くいる。型にはまったロジック展開よりも、地頭力や発想の面白さ、アイデアの幅などが見られているのではないか。
【編集:岡美月】