外資系コンサルティングファームで活躍する女性社員のリアルに迫る特別企画。
今回は、ボストン コンサルティング グループ(以下BCG)の新卒2年目社員の蟹澤さん(写真左)、中途入社3年目の石川さん(写真右)にインタビューを行いました。
今回の見どころ
・正解のない課題に本気で向き合い、社会を変えていく面白さがある
・「修行の場」だけではない。クライアントやチームへの想いが踏ん張りの糧になる
・「辞めたいと思ったことはない」向き合うのは、成長のための悩み
・考えを深堀りしていく面接の面白さと、人への魅力が入社の決め手
「外資コンサル×女子」特集ラインナップ
ベイン・アンド・カンパニー/A.T. カーニー/ボストン コンサルティング グループ
正解のない課題に本気で向き合い、社会を変えていく面白さがある
──本日はよろしくお願いします。早速ですが、お二人の入社から現在までのキャリアを伺えますか。まずは蟹澤さんからお願いします。 蟹澤:はい。2017年に新卒入社してから半年間はエネルギー業界のチャネル改革支援に携わり、現在は製造業のクライアントに対する、全社戦略の実行支援プロジェクトに携わっています。主な業務は、市場や競合などの調査・分析です。戦略のベースとなる仮説を立てるためには、こうした調査・分析に基づいたデータが不可欠です。蟹澤 侑子(かにさわ ゆきこ):ボストン コンサルティング グループ アソシエイト。2017年入社。京都大学総合人間学部卒業、京都大学大学院情報学研究科修了。新卒で入社後、エネルギー業界や製造業界における流通戦略、全社戦略のプロジェクトに従事している。
──石川さんは中途入社だそうですが、前職も含めてお聞きします。
石川:以前は独立行政法人で医薬品の審査をしていました。BCG入社後は医薬品に関する知見も活かしながら、ヘルスケア領域のプロジェクトに入社2年半で10件以上携わっています。製薬会社や医療機器メーカーに向けて、中期経営戦略の策定から製品の販売戦略、組織改編の支援など、幅広いテーマを担当してきました。
──続いて、これまでのご経験の中で「苦労が大きかった」「社会に対して大きなインパクトを与えた」仕事のエピソードを教えてください。
蟹澤:現在携わっている、全社戦略のプロジェクトですね。新しく事業を立ち上げて、それを動かしていく渦中にいられるのは、非常に貴重な経験です。チームで「この事業は社会にとって、クライアントにとって、どのような意味があるのか?」という本質的な問いについて何度も議論を重ね、解を導き出し、クライアントに納得いただけた時には達成感がありました。本気でクライアントや社会について考え、立場の上下に関係なくフラットに議論ができることも、この仕事の魅力だと思っています。
石川:私の印象に残ったのは、日本のヘルスケア事業を他国に展開するプロジェクトです。日本とは医療制度も患者ニーズも大きく異なる国での事業展開にはチャレンジもありましたが、海外オフィスのメンバーとも協働して乗り越えました。テーマ自体が非常に社会貢献性の強いものでしたし、価値観や商習慣の異なる現地の文化に触れ、自分の視野が広がったという意味でも、強く印象に残ったプロジェクトでした。
ファイティングポーズをとり続ける限り、BCGは見放さない
──ありがとうございます。ここからは、コンサルティングファームに対する先入観について伺います。「激務」「UP or OUT」というイメージを持つ学生もいるようですが、実態はいかがでしょう。特にBCGは「BIG3」と呼ばれるトップファームの1角ということもあり、厳しい環境なのでは? と不安に感じる学生は少なくないかと思いますが。
石川:激務ということはないですね。クライアントに高い価値を届けるためには、オーバーワークの結果として生産性が低下してしまう事態を防がなければなりません。BCGではチームの働き方を振り返るセッションを週に1回実施し、問題があれば改善に努めています。
加えて、プロジェクト開始前に「自分は朝型/夜型だ」「土日は絶対に休みたい」など、ワークスタイルの希望を出せる仕組みもあります。力を発揮しやすい時間帯に働けるように配慮してもらえて助かっています。
石川 資子(いしかわ もとこ):ボストン コンサルティング グループ コンサルタント。2015年入社。東京大学薬学部卒業、東京大学大学院医学系研究科修了。独立行政法人 医薬品医療機器総合機構を経て、現職。ヘルスケア領域を専門に、経営戦略・販売戦略・組織戦略など、数多くのプロジェクトに従事している。
──生産性向上のために、持続可能な働き方をされているのですね。では「Up or Out(昇進か解雇か)」という、外資系企業の厳しい人事制度についてはいかがですか?
蟹澤:BCGでは、本人が成長しようと努力しているのに、会社が見放すという話は聞いたことがありません。その一つのエピソードとして、あるパートナーが「君たちがファイティングポーズをとり続けている限り、BCGは絶対に見放さない」と話していたのが、とても印象に残っています。
石川:例え苦手分野があっても、パートナーやプロジェクト・リーダーがアドバイスをしたり、経験豊富な先輩と組ませてくれたりと、絶対に引き上げようとしてくれます。コンサルティングは商材のないビジネスです。メンバーのモチベーションや生産性によって結果が大きく変わる仕事なだけに、人を大事にする文化が根付いているように思います。
──本人が「UP」しようと努力する限り、手を差し伸べてくれると。プロファームの殺伐とした印象を裏切るコメントですね。
「修行の場」だけではない。クライアントやチームへの想いが踏ん張りの糧になる
──お話を伺っていると、一部の学生がコンサルティング業界に抱く「お金好きが集まる」「ギラギラしている」という先入観とも違いますね。では、そんなBCGのコンサルタントとして活躍を続けられるのはどんな人材なのでしょうか。
蟹澤: BCGに入社した理由を聞くと、誰もが「社会に貢献したい」など、ピュアな想いを語ってくれます。一般にイメージされるような、お金だけをモチベーションに働く人には会ったことがないですね。
石川:そうですね。ただお金がもうかればいい、ということではないんですよね。前述の「UP or OUT」の否定にもつながりますが、コンサルティングは人に根差した仕事なので、意外にもウエットな面があります。「クライアントを喜ばせたい」「チームメンバーとともに達成感を味わいたい」など、ソフト面のモチベーションを大切にできる人が続けていける仕事だと思います。
──では、スキル志向についてはいかがでしょうか。「3年でノウハウを身に付けて起業したい」など、キャリアチェンジを見据えてコンサルティングファームを志望する学生も少なくありません。自己成長を目的に続けるのは難しいのでしょうか?
蟹澤:コンサルティングの仕事を「修行の場」と捉えることを否定はしません。ただ、周囲を見ていると、たとえ最初は「修行」のつもりで入社しても、働くうちにコンサルティングの仕事そのものが好きになって続ける人も多いです。
私自身も、入社時は「将来何かを成し遂げたいと思ったときのために、BCGで力をつけたい」と考えていた面もありましたが、1年経験しただけでも少し変わりました。クライアントと日々向き合い、クライアントと共にビジネスを確実に動かしている先輩たちを見ているうちに、「コンサルティングという仕事を通して社会に貢献するのも、一つの選択肢だ」と思うようになってきましたね。
「辞めたいと思ったことはない」向き合うのは、成長のための悩み
──社会的インパクトの大きい案件を担当する一方、それゆえの大変さもあるのではないでしょうか。お二人はこれまでに「BCGを辞めたい」と思ったことはありませんか?
石川:確かに自分の力不足を感じて悔しい思いをすることはあります。それでも、まだやり残したことがたくさんあるので、辞めたいとは思いません。もっといろいろなことを勉強したい、他のテーマもやってみたい、という次への気持ちのほうが強いからだと思います。
──とても前向きですね。蟹澤さんはいかがでしょうか。新卒入社から丸1年ということで、大変な局面は少なくないと想像しますが。
蟹澤:私も「辞めたい」と思ったことはありませんね。正直なところ、自分の実力不足からクライアントやチームに対して十分な貢献ができず、つらいと思うことはあります。しかし、一緒に悩みを掘り下げ、解決策を議論してくれる先輩たちがBCGにはいるので、気持ちを立て直すことができています。
また、私の悩みは、意義があり、チャレンジングな仕事に携われているからこそ生まれるもので、そのような環境に身を置けるということはありがたいことだと感じています。
石川:BCGでは前向きな悩みが多いと感じます。人間関係や社内政治といった本質的でないことに苦しむのではなく、「自分の能力をどう伸ばすか」「より高い価値をクライアントに提供するにはどうするか」など、プロフェッショナルとして成長するために必要な悩みが与えられていると思います。
加えて、周囲に悩みを話したときも、前向きに励ましてくれる人ばかりです。皆時には壁にぶつかりながらも、社会にインパクトを与えられる自分の仕事にやりがいを持ち続けているのだと思います。
BCG、今後の戦略は「デジタル」にあり
──事業面での展望についてもお聞きします。今後のBCGの事業展開について、ご自身が解釈されている範囲で教えてください。
石川:全世界的なデジタル化へのニーズの高まりに対応すべく、デジタル領域に注力しています。BCGが『デジタル』や『テクノロジー』を扱うイメージはあまりないかもしれませんが、人工知能(AI)などの先端技術が次々にビジネスチャンスを創り出している今、デジタル技術の活用が経営層のトップアジェンダになってきています。いわゆるITコンサルなどとは異なり、CEOやCIOといった経営層と一緒にデジタル戦略を推進することをミッションとしています。最近は社内にも、デジタル領域に強い人材が増えてきていますね。
蟹澤:デジタル領域での新規事業を創出することに特化した組織として「BCGデジタルベンチャーズ」も設立されました。BCGとのコラボレーションも頻繁に行われています。
──なるほど。BCG日本代表の杉田氏も、デジタル化によって今後10年の産業構造は劇的に変化していく(※参考:日経デジタル ONLINE)と述べていますね。
就活の軸は、業界や職種ありきではなく「どうありたいか」
──ここからは、お二人のキャリア選択について伺います。新卒で入社された蟹澤さんは、どのような軸で就職活動を行われていたのでしょうか?
蟹澤:私は、働いているときにどのような状態でありたいかを軸に考えました。具体的には、「社会に貢献している実感を持って働くこと」「刺激的な環境下で日々思考し、一人では行き着けない考えを得られること」の2つです。その軸からコンサルティングファーム、シンクタンク、メディアを中心に就職活動をしました。
──意外です。蟹澤さんは理系出身ですが、業界や職種ありきで就活したわけではなかったのですね。
蟹澤:悩み抜いた結果、特別に入りたい業界やなりたい職種がないことに気づいたんです。そこで、就活の軸を「ありたい自分」に変えて、業界を選ぶというアプローチをとりました。当時の専攻にもこだわらず、ゼロベースで考えましたね。
──なるほど。ではその中で、最終的にBCGに入社を決めた理由は何だったのでしょうか?
蟹澤:最後は直感を信じて、社員とフィーリングが合うかで決めました。BCGの社員とは選考以外でも説明会やOB・OG訪問で何回か話しましたが、どの年次の人でも皆、キラキラと目を輝かせて熱い想いを語ってくれて、理屈なく「いいな」と思えたんです。
考えを深堀りしていく面接の面白さと、人への魅力が入社の決め手
──石川さんは、どのような理由でBCGに転職されたのでしょうか?
石川:ヘルスケアの領域に、ビジネスサイドから携わりたいという思いが転職のきっかけです。前職の医薬品の審査はサイエンスとレギュラトリー(規制)の世界でした。しかし、革新的な医薬品を世に出して、苦しんでいる患者さんを救うには、もっとビジネスを学ぶ必要があると思いました。事業会社やMBAなどさまざまな道を考えましたが、幅広いテーマに携わりながら、短期間で実践的にビジネスを学べる点でコンサルティングファームを選びました。
最終的にBCGに決めたのは、パートナー面接でのディスカッションが面白かったからです。「こんなふうに目線の高い人たちと、毎日ディスカッションできたら楽しいだろうな」との思いから、入社を決めました。
──お二人とも、最後は人に魅力を感じたという点が共通していますね。では、採用に至った理由は、どういったところにあると思われますか?
石川:私の場合は「課題意識を持っていること」や「考えることが好き」な点がフィットしたのだと思います。BCGの社員は考えることが好きな人ばかりですから。面接時のディスカッションにおいても、用意してきた答えを話すのではなく、相手の意見を受けて自分の考えを深めていくというやりとりをしました。
蟹澤:私も、BCGの面接は楽しいと感じました。きっと面接官もそう感じたからご縁を得たのではないかと想像します。面接では、私が軸としている価値観をきちんと伝えることができ、さらにディスカッションを通じて考えを深掘りしていくことができました。
二次情報にとらわれず、社員と話してみてほしい
──最後に、就活生の読者に向けてメッセージをお願いします。
石川:学生さんには、幅広い可能性を見ていただきたいと思います。その中でもしコンサルタントの仕事に興味を持たれたら、「激務」や「UP or OUT」といった二次情報にとらわれずに、一度お話をしに来てくれるとうれしいです。社員と話すと、きっとガラリと印象が変わると思いますよ。
蟹澤:就活中は、じっくりと自分の価値観に向き合ってほしいと思います。私も悩み抜いたからこそ、選ばなかった道を後悔せずにいられるのだと感じます。また、就職先を選ぶ際は頭で考えるだけでなく、気持ちも大切にしてほしいですね。「ここで働きたい」という素直な気持ちを大切にすると、すてきな就職活動になるのではないかと思います。
──お二人とも、ありがとうございました。
・BCGの詳しい企業情報と魅力はこちら
・【6/25締切】サマー・インターン 詳細と応募はこちら
「外資コンサル×女子」特集ラインナップ
ベイン・アンド・カンパニー/A.T. カーニー/ボストン コンサルティング グループ