新卒採用で志望校の内定を得るには、自己PRで上手にアピールすることが大切です。自分の強みが企業の業務にどう生かせるか、説得力を持って伝えなければなりません。
本記事では、履歴書やエントリーシート(ES)、面接で必要になる自己PRのテンプレートや、面接でのポイントについて解説します。実際にESを通過した自己PRもご紹介しますので、ぜひご参考ください。
<目次> ●自己PRとは ・「強み・長所」や「自己紹介」との違い ●新卒採用における自己PRの4つの評価ポイント ・人柄・性格 ・候補者のアピールポイントと自社へのマッチ度 ・コミュニケーション能力 ・入社後に活躍できそうか ●自己PRテンプレート【4ステップ】 ・【ステップ1】アピールポイントを最初に伝える ・【ステップ2】根拠となるエピソード ・【ステップ3】得られた成果や学んだこと ・【ステップ4】入社後どのように仕事に生かせるか ●【書類・シーン別】自己PRの伝え方 ・ES ・履歴書 ・面接 ・一言PR ●自己PRで話すアピールポイントが見つからない場合 ・自己分析ツールを活用する ・応募企業が重視する能力を押さえる ・短所から言い換える ・過去の経験を洗い出す ・友人・家族など親しい人に聞く ●周りと差別化するための自己PRの書き方 ・客観的な数字や成果などを盛り込む ・企業が求める人物像を把握する ・企業理念や仕事の進め方とマッチする内容も盛り込む ●自己PRのNG例 ・内容が抽象的で分かりづらい ・複数のアピールポイント ・内容が少なすぎるあるいは詰め込みすぎ ・誤字脱字 ・内容を誇張しすぎる ●【職種別】自己PR例文 ・事務職 ・営業職 ・エンジニア ・研究職 ・コンサルタント ・金融系 ・医療系 ●【エピソード別】自己PR例文 ・ゼミ ・留学 ・サークル ・アルバイト ・ボランティア ●【アピールポイント別】自己PR例文 ・チャレンジ精神 ・行動力 ・継続力 ・責任感 ・協調性 ・コミュニケーション能力 ・リーダーシップ ●まとめ
自己PRとは?
自己PRとは、応募者が自分の強みやスキルなどをアピールすることです。企業側は、「自社にマッチする人材を採用したい」と考えているため、選考では自己PRの内容を重視しています。
ここでは、自己PRと「長所」や「自己紹介」との違いについて解説します。
「強み・長所」や「自己紹介」との違い
自己PRと同じようなニュアンスの言葉として「強み・長所」や「自己紹介」がありますが、自己PRとこれらは異なります。
強み・長所は、自分の人柄や性格上の優れている部分のことです。これに対し、自己PRは自分の強みやスキルが志望先企業の業務で生かせることをアピールするものです。
自己PRの目的は、自分の強みが「その企業に貢献できる」ことを伝え、企業に興味・関心を持ってもらうことです。一方、強み・長所を話すことの目的は、業務に役立つ優れた部分を伝え、人柄を知ってもらうことです。
自己紹介は、初対面の人に自分のプロフィールを簡単に知ってもらうために行います。面接のはじめに行うあいさつというニュアンスがあり、自己PRのように自分をアピールするものではありません。このように、自己PRと自己紹介についても目的が異なります。
新卒採用における自己PRの4つの評価ポイント
企業は新卒採用において、就活生の自己PRを4つの観点からチェックしています。
ここでは、自己PRで評価される4つのポイントを紹介します。
人柄・性格
企業側は、自己PRを通して候補者の人柄や性格をチェックしています。書類選考や面接は候補者のことを深く知るために行われますが、自己PRは人柄・性格を知るための要となる部分です。
特に、社会人経験がない新卒採用では、スキルよりも人柄や性格に注目されると考えて良いでしょう。
面接の時間は限られるため、自己PRで自分の人柄や性格をいかに詳細に伝えられるかが重要です。短い時間の中で個性を伝え、自分を正しく理解してもらわなければなりません。
候補者のアピールポイントと自社へのマッチ度
面接官は候補者の自己PRから、自社とのマッチ度を測ろうとします。企業は自社の社風になじみ、長く活躍できる人材を求めています。自社になじめない場合、早期離職につながる可能性があるためです。
採用のミスマッチによる早期退職は企業に大きな損害をもたらすため、自社へのマッチ度は、候補者を見極める際に重要視される項目です。長く働いてくれそうな人材を採用するため、候補者の強みが自社とマッチするかを重視しています。
コミュニケーション能力
自己PRでは、候補者のコミュニケーション能力も評価されます。コミュニケーション能力は、ビジネスのあらゆる業務で求められるスキルであるためです。
面接官から質問があればその意図をくみ取って回答し、自然な会話のキャッチボールを成り立たせることが大切です。
面接官の話をさえぎったり、質問からそれた回答をしたりするとコミュニケーション能力に問題があると判断されることもあるため、注意しましょう。
入社後に活躍できそうか
面接官は自己PRを見て、入社後に活躍できる人材かどうかを判断しようとしています。自己PRでアピールしている強みやスキルが自社の業務に生かされるのであれば、活躍が期待できるためです。
自己PRでは過去にどのような経験をして、その経験からどのようなことを学び、スキルを身につけたのか、業務でどのように生かせるのかなどを伝えることが大切です。具体的なエピソードを交えると、面接官も具体的に活躍をイメージしやすいでしょう。
自己PRテンプレート【4ステップ】
分かりやすく説得力のある自己PRを作るためには、手順に沿って作成する必要があります。4つのステップにあてはめる自己PRのテンプレートを使えば、読みやすい自己PRを作成できます。
4ステップを順に見ていきましょう。
【ステップ1】アピールポイントを最初に伝える
最初に、「私の強みは◯◯です」というように、自分のアピールポイントを簡潔に伝えます。結論から先に伝えることで、面接官は話のポイントを最初につかめます。
これは、最初に結論から話すPREP法というテクニックです。PREP法とは、結論(Point)、理由(Reason)、具体例(Example)、結論(point)の順番で話を展開するフレームワークです。自己PRでもこのテクニックを使うことで自分を分かりやすくアピールできます。
【ステップ2】根拠となるエピソード
自分の強みを伝えたら、その根拠となるエピソードを紹介します。部活やサークル、アルバイトなどで強みを発揮したエピソードを伝えるのが一般的です。
ただ、勉強に忙しく、他の活動をあまりしていないという学生もいるでしょう。その場合、強みの根拠となるエピソードは、高校、中学とさかのぼってもかまいません。また、自己PRのエピソードは特別な経験である必要はなく、趣味や家族のことなどでも問題ありません。
自分の強みを説得力を持って伝えられるのであれば、エピソード自体に優劣はありません。企業が求める人物像に合わせて、「自分ならどのような活躍ができるのか」を伝えることが大切です。
このステップのテンプレートは、次のとおりです。
「私は大学時代、◯◯に取り組んでいました」
エピソードの部分は、できるだけ詳細に記載しましょう。
「私は大学1年生のとき、大学の授業やアルバイトと並行して独学で英語の勉強を行い、英語検定の2級を取得しました。これを実現できたのは、1時間単位で計画を立て、徹底して自己管理したからです」
【ステップ3】得られた成果や学んだこと
強みの根拠となるエピソードを伝えたら、そこから得られた成果や学んだことを伝えます。成果や結果の内容には、こだわる必要はありません。
華々しい成果や世間的に誇れる結果ではなくても、強みを発揮して得られた成果や何かを継続して得られた成果を伝えてください。
このステップのテンプレートは、次のとおりです。
「◯◯の経験で◯◯という強みを発揮し、◯◯という成果(結果)を残しました」
特に大きな実績や成果ではなくても、自己PRになる例を紹介します。
「バスケットボール部のマネジャーを経験し、選手を支えることでコミュニケーション力とマネジメントの能力が身につきました」
「大学1年生のときから続けているカフェのアルバイトで、長く勤めたことで仕事の能力を評価され、他のアルバイトをまとめる責任のある仕事を任されるようになりました」
【ステップ4】入社後どのように仕事に生かせるか
強みを発揮したエピソードと得られた成果・結果を述べたら、強みを入社後どのように生かしていくかを伝えましょう。それにより、面接官は、候補者が入社後、どのように活躍するのかを具体的にイメージしやすくなります。
テンプレートは、次のとおりです。
「このような私の◯◯という強みを、御社の◯◯という業務に生かしていきたいと考えています」
自分の強みが、具体的に、企業のどの業務にどう生かされるか、どのように貢献できるかを伝えましょう。
「新規事業の拡大を進めてグローバル展開する御社で、これまでの経験で培った英語力とチャレンジ精神を生かし、新しいことに挑戦しながら貢献していきたいと考えています」
【書類・シーン別】自己PRの伝え方
自己PRの伝え方は、提出書類や面接によって異なります。
ここでは書類・シーン別の伝え方を解説します。
ES
ESは200〜400文字ほどの字数が設定されていることが多く、その範囲内で自己PRを簡潔に分かりやすく記載します。
この場合、内容を具体的に要点を絞って記載することが必要です。強みをPRできる具体的なエピソードを洗い出した上で、シンプルな文章で表現しましょう。
何かに真剣に取り組んだエピソードにはその人の人柄が表れます。過去のエピソードを具体的に伝え、あなたがどのような人なのかを伝えると良いでしょう。
履歴書
履歴書の自己PR欄は小さく、書ける文字数は限られているため、自己PRは短く簡潔に書きます。ESを読んでもらうための導入文と捉え、ESで記載した自己PRを要約してシンプルに記載しましょう。
書き方のポイントは、これまでの経験や身につけたスキルを入社後にどう生かし、会社に貢献できるかを明確にすることです。エピソードについて、なぜその行動をしたのかを記載し、経験にひもづく強みを入社後にどう生かせるかを記載します。
面接
面接では、限られた時間の中で自己PRを伝えます。前に紹介した4ステップに沿ってアピールすることが大切です。
また、次にご紹介する3つのポイントを押さえるようにしてください。
ESとの一貫性を持たせる
面接の自己PRは、ES、履歴書で書いた内容と一貫性を持たせることが大切です。ESと面接の内容に一貫性がないと、自己PRに信ぴょう性がなくなります。
一般的に面接官は手元に履歴書やESなど提出書類を用意しており、書類に書かれている内容と面接で話している内容に違いがあれば、すぐに気づいてしまいます。
一貫性がないのは、自己分析が十分にできていないことが主な原因です。自己分析が足りないと、自分の強みや性格をうまくつかめず、一貫性を保てません。自分の魅力をアピールすることは難しく、企業とのミスマッチも起こりやすくなります。
話す時間は2分以内
面接で自己PRを話す場合は、2分以内におさめるようにしましょう。自己PRを話す時間が面接官から指定される場合もありますが、その場合も1〜3分程度が一般的です。
1分で話せる言葉は300文字程度とされており、2分では600文字ほどです。自己PRは600文字程度でまとめておき、時間が前後した場合でも上手におさめられるよう、練習しておくと良いでしょう。
明るく謙虚な話し方
面接で自己PRをするときは、明るく謙虚な話し方を心がけましょう。面接で大切なことは、面接官から「一緒に働きたい」と感じてもらうことであるためです。
暗い雰囲気で元気のない話し方では、どれだけ自己PRが魅力的な内容でも「自社で働いてもらいたい」と思わせることは難しくなります。面接の間は、一貫して明るい表情と話し方を意識しましょう。
また、自信のある自己PRでも、高圧的な言葉遣いや態度は控えてください。あくまでも、貴重な時間を割いて面接を行ってくれているという謙虚な姿勢でのぞみましょう。
一言PR
面接では、自己PRについて「一言で簡潔に述べてください」といわれることもあります。そのような場面に備え、自己PRを一言でまとめておくことが大切です。
数分で話すことを想定して準備しているだけでは、一言PRを求められたときに動揺してしまい、うまく話せないかもしれません。事前に伝えたいポイントをまとめておけば、いざというときもスムーズに答えられます。
自己PRを一言にまとめることは、自分の強みや伝えたいことを明確にできる点がメリットです。いろいろと伝えようとしてまとまりのない話になるのを防ぎ、自信を持って伝えたい強みをアピールできます。
自己PRで話すアピールポイントが見つからない場合
自己PRを作るときは、自分のアピールポイントが見つからず、何をアピールして良いのか分からないと悩むことがあるかもしれません。
ここでは、適切なアピールポイントを見つける方法を紹介します。
自己分析ツールを活用する
過去の経験から自分の強みが見つからない場合、自己分析ツールを使って自分の強みを洗い出すという方法があります。インターネット上には無料で利用できる自己分析ツールも多いため、利用してみると良いでしょう。
診断機能はサービスによって異なり、診断結果もさまざまです。いくつか試してみて、納得できた分析結果を参考にしながら自己PRを考えてみてください。
自己分析ツールを利用する際は、あまり深く考えず、率直に回答しましょう。素直な気持ちで回答することで、より正確に自分の強みが分かります。
応募企業が重視する能力を押さえる
自分のアピールポイントが分からないときは、応募企業が重視する能力をチェックしましょう。
応募企業が重視する能力は、企業の公式サイトやSNS、経営者のインタビューなどで確認できます。社員のインタビューが掲載されていれば、共通点の中から自分に当てはまりそうなものを見つけるのも良いでしょう。
企業が重視する能力や強みが分かったら、そこに自分の強みと重なる部分がないかを考えます。自己分析ツールで分かった自分の強みと照らし合わせて重なる部分を見つけ、自己PRを作ると良いでしょう。
短所から言い換える
自分の短所を長所に言い換えて、強みにする方法もあります。自分のアピールポイントが分からなくても、短所といわれると思いつくことも多いのではないでしょうか。
例えば、自分のことを「決断力がない」と思っているとしたら、「何事にも慎重」と言い換えられます。
「諦めが悪い」と思っていた自分の性格も、「継続力がある」と言い換えれば、強みになります。思いついた自分の短所を良い側面で言い換えることで、簡単に強みを見つけられるでしょう。
短所は自覚していることでもあるため、そこからアピールポイントを考えることで、回答に一貫性を持たせられる点もメリットです。
過去の経験を洗い出す
過去の経験を洗い出してみると、自分の強みが見つかる場合もあります。過去から現在までの自分史を作り、出来事を思いつく限り洗い出してみましょう。
例えば、次のような出来事の項目を縦軸にした表を作り、小学生から大学生まで起こったことを思い出して記入します。
- 勉強
- 趣味
- 部活動
- 習い事
- アルバイト
- 頑張ったこと
- 褒められたこと
- つらかったこと
書き出してみると、自分でも意外な出来事が強みを発揮したエピソードだったと気づくかもしれません。
友人・家族など親しい人に聞く
自分のアピールポイントが分からないときは、家族や親しい友人など、自分のことをよく知っている人に自分の強みについて聞いてみることもおすすめです。
他者から見た自分の印象や評価を知ることを他己分析と良い、「客観的な視点」で分析ができるという特徴があります。他者から見た自分を知ることで、自分についての理解をより深められます。
「自分では弱みだと思っていた特徴が実は強みだった」という、新しい発見があるかもしれません。
面接でも、他者の目線が加わることで、より説得力のあるアピールができます。「友人から◯◯と褒められたことがある」というように他者からの評価を加えれば、面接官の納得を得やすいでしょう。
周りと差別化するための自己PRの書き方
面接官に強い印象を与える自己PRを書くためには、いくつかのポイントがあります。
ここでは、周りと差別化できる自己PRの書き方を3つ紹介します。
客観的な数字や成果などを盛り込む
自己PRで強みを根拠づけるエピソードには、客観的な数字や成果を盛り込むことで説得力が増します。過去の出来事を洗い出すときは、思い出せる限り客観的な事実を書き出しておきましょう。
例えば、過去の取り組みについてアピールする場合を例に、数字を入れない場合と入れる場合とを比較してみましょう。
<数字を入れない場合>
「私は高校時代に英語力を上げるためTOEICで高得点を目指し、達成しました」
<数字を入れる場合>
「私は高校時代に英語力を上げるため、学校に行く前の1時間と帰宅後の2時間を英語学習にあて、1年間継続した結果、TOEICで800点を取得できました」
数字を入れたほうが、どの程度頑張ったのかがよく分かり、強みをアピールできます。
企業が求める人物像を把握する
企業が求める人物像を把握し、それと共通する自分の強みを見つけてアピールすると、差別化につながります。求める人物像とは、企業が採用したい人材の性格や特性を具体的に示すものです。
ただ強みを伝えるのではなく、求める人物像に沿った強みをアピールすることで、企業に貢献できる人材だと評価してもらえるでしょう。
企業が求める人物像は、公式サイトの新卒採用ページや求人募集の欄、説明会での資料などで見つけられます。
企業理念や仕事の進め方とマッチする内容も盛り込む
自己PRは、企業理念や仕事の進め方に沿った内容にすることも大切です。担当者は自己PRから、候補者が自社にマッチする人材かを判断するためです。
自己PRで企業理念や仕事の進め方に共感し、自分の強みでどのようにそれらを実現していくかを伝えれば、説得力のあるアピールになります。担当者は、候補者が企業についてよく理解していると感じるでしょう。
そのためにも企業研究をしっかり行い、企業理念やビジョン、仕事の進め方などの理解を深めることが大切です。
自己PRのNG例
自己PRで失敗しないためには、これだけは避けたいというNG例があります。事前に把握しておくことで、重大なミスを避けられるでしょう。
ここでは、自己PRのNG例を紹介します。
内容が抽象的で分かりづらい
アピールが抽象的で、具体的なエピソードのない自己PRはNGです。抽象的なアピールは説得力がなく、面接官は入社後の活躍をイメージできないためです。
例えば、「私にはリーダーシップがあり、入社後はこの強みを生かして御社に貢献します」と伝えても、本当にリーダーシップがあるのか、その強みを何に生かし、どのように貢献するのかが分かりません。
自己PRの内容はできるだけ具体的に伝えられるように準備しておきましょう。
複数のアピールポイント
複数のアピールポイントを書くと、担当者は何をアピールしたいのか分からなくなります。1つ1つの情報量が少なくなり、根拠が乏しくなるため、自分の魅力をうまく伝えられないでしょう。
自己PRでアピールする内容は、企業の求める人物像と自分の強みを照らし合わせ、最も活躍がイメージできるものを1つに絞ることが大切です。
企業の求める人物像に合う強みがいくつかあり、それらをすべて伝えることが自分をアピールできると考える場合は、箇条書きで要点が分かるように記載すると良いでしょう。
内容が少なすぎるあるいは詰め込みすぎ
ESの自己PRは、内容が少なすぎても詰め込みすぎてもNGです。文字量が少ない自己PRは、入社意欲が低いと感じられる可能性があります。
反対に、通常の文字数を超え、小さな文字でびっしりと書かれている自己PRは、読みにくくなって要点も伝わりません。最後まで読んでもらえないうえに、上手にまとめる能力が疑われる可能性もあります。
担当者はすべての書類に目を通しますが、数多い書類を1つ1つ丁寧に読むほどの余裕はありません。読みやすく、要点を分かりやすく記入することが印象をよくするポイントです。
自己PRは記入欄の8割以上を埋めるようにして、読みやすいよう間隔をあけ、適度な文字サイズで書くようにしましょう。
誤字脱字
履歴書やESの自己PRに、誤字脱字があるのはNGです。これらの書類は選考に影響する重要なものであり、細心の注意を払わなければなりません。
その書類のミスに気づかず提出することは、「採用してもミスをする可能性があり、重要な仕事を任せられない」という判断につながります。
同じような内容の書類が提出された場合、企業側はミスのないほうを選びたいと考えるのが自然な感情です。
誤字脱字をしないよう、下書きをしてから清書したり、書き終わってから読み直したりするようにしてください。
内容を誇張しすぎる
履歴書やESの自己PRで、選考に通りたいからと内容を誇張しすぎることはNGです。書類選考では通過できても、面接で細かい点を深掘りされ、うまく答えられないことにもなるでしょう。
仮に内定をもらえても、入社後のミスマッチが起こる可能性があります。あくまでも、等身大の自分をアピールすることを忘れないでください。
【職種別】自己PR例文
ここで、ワンキャリアに掲載されている職種別の自己PR例文をご紹介します。これを参考にし、自分が取り組んだ内容を選び、自己PRに役立てましょう。
事務職
「情と論理の両面から行動できる」ことが強みである。高校の野球部副主将として、チームの得点力向上を目指したときに強みを発揮した。私は試合データから「相手投手に有利な状況を作っていること」が得点力低下の原因と分析した。そのため、小目標として「初球のストライクを振りに行くこと」を掲げ、情と論理の両面から仲間に協力を訴えた。情の面では「みんなで一致団結した行動が必要」と熱く訴え、論理の面では「初球のストライクを振りに行くことで、相手にプレッシャーが掛かる。結果として、四球や有利なカウントを得られる」と伝えた。両面からの働きかけにより、納得感を持って取り組んでもらうことができ、得点力向上につながった。今度は私の強みを生かして、安心・安全のフライトを提供する側になり、飛行機によって人々の可能性を広げたいと考えている。
※出典:日本航空(JAL)|業務企画職(地上職 事務系)2024年卒本選考のES
営業職
私の強みは「気付き・考え・行動する」事である。
この強みは長年のサッカーの経験で培ってきた。
大学ではこの強みを生かし、三つの取組で成果をあげてきた。一つ目は◯◯の◯◯で半年間店舗目標を達成し続けたことである。これは私自身がニつの取組として「◯◯」「周りを巻き込む」ことをした成果である。二つ目は学業において、GPA◯◯を維持していることである。◯◯科目を工夫して勉強をしていった結果、◯◯科目にとどまらず教養科目においても成績が向上し、高成績を維持できていると考えている。三つ目はゼミ活動においてゼミを代表して、◯◯討論会に出場し入賞を果たしたことである。私自身、「目標の細分化」と「先生の空き時間を利用した行動」をしたことが、入賞の要因だと分析している。この3つの取組と成果から私の強みは「気付き・考え・行動する」事である。この強みは貴社の業務でも生かすことができると考える。
※出典:大塚商会|営業職2024年卒本選考のES
エンジニア
私の強みは「目標達成に向けてあきらめずに挑戦すること」です。中学から陸上競技部で短距離を専門にし、大学では自己記録更新を目標に練習を重ねました。なかなか目標に到達できず苦しみましたが、課題であったスタートダッシュを克服するためにチームメイトの協力のもとフォームの確認による改善を繰り返しました。その結果、4年ぶりに100mと200mの2種目で自己ベストを更新できました。また、研究室では農業課題を解決するためにITを活用した研究にチャレンジしています。農学部出身でプログラミング未経験でしたが、先輩やウェブ情報を頼りにPythonを勉強し、画像分類や物体検出のモデルを作成することができました。社会人になっても、エンジニアとして知識・技術の習得やお客様の課題解決という目標に向かって、挑戦し続けたいです。
※出典:NTTデータ・アイ|システムエンジニア2024年卒本選考のES
研究職
私の強みは「考え抜く力」だ。
疑問や違和感、問題点はささいなものであっても放置せず、考え抜き、自分なりに納得のいく答えを導いた上で行動することを大切にしている。
これまでに強みを発揮し、新たなコンセプトの◯◯サークルを設立した。
私は当時所属していた◯◯サークルでの活動を楽しんでいたものの、小さな違和感を抱いていた。その違和感を放置せず2年間にわたり原因を考え抜いた結果、自分が現状よりも「高い競技性」を求めていることに気づき、新たに競技性を重視したサークルの設立に踏み切れた。
このように何事に対しても現状に満足せず、考え続けながら取り組むことで、物事の本質を見失わずに進めると考えている。
※出典:アステラス製薬|製剤研究職2022年卒本選考のES
コンサルタント
私の強みは課題形成力と柔軟な解決策提案力だ。これは大学1年の◯◯月から今まで続けている◯◯受験指導経験に起因する。昨年担当した、高卒で◯◯隊に入隊後一念発起して大学受験を志した当時◯◯歳の生徒の例を取る。4月時点で総合偏差値は◯◯代で、第一志望は◯◯大学◯◯部だった。まずは現実と目標とのギャップを把握し、受験本番までのスケジュールを参考書ベースで考えスタートした。しかし生徒が直面する課題、特に英語長文が解けない原因が明確に把握できない問題が生じた。そこで、生徒からつまずいている理由を聞き出すだけでなく、有り得る原因を列挙し一緒に原因究明する意識を持つことで課題を明確化できるようになった。さらに、一般的な解決策にとらわれず生徒の環境や時期、志望校を考慮し解決策を提案することで勉強がスムーズに進み、結果第一志望に合格した。以上の経験で得た課題形成力と柔軟な解決策提案力はコンサル業務で生かせると考える。
※出典:KPMGコンサルティング|コンサルタント2023年卒インターンシップ選考のES
金融系
目標に対しての計画を立て、努力を継続的に行える人間である。私はこれまで14年間◯◯を続けてきたが、壁にぶつかった時こそ、努力を重ねて乗り越えてきた。現在は、毎日練習の動画を何度も見返し、自身の弱点を分析するだけでなく、それを克服するための練習メニューも自分で考えながら取り組んでいる。またコミュニケーション能力にも長けている。私は小学校より◯◯に所属しているが、それがとても小さなコミュニティであることを理解している。親の方針もあり、習い事は◯◯の生徒が集まらない場所で行っていた。そこでバックグラウンドの異なる人たちとの交流を深めたことが、私のコミュニケーション能力の原点だと考える。大学では、部活動の同期に部として初めての外国人留学生がいるが、彼らと英語で会話をし、日本語も教えるなど、コミュニケーション能力を生かしながら、同じ目標に向かって日々練習に励んでいる。
※出典:バークレイズ|投資銀行部門2023年卒本選考のES
医療系
私の強みは「誰かの笑顔のために」を原動力にひたむきに努力を続けることができることです。私は◯◯で宴会場キャストのアルバイトをしております。そこでは、ゲストが笑顔になるためにはどのような技術が必要か考え、努力し、実行しました。その結果、披露宴というタイトなスケジュールの中でゲストが今何を求めているか、会話やしぐさ、表情からニーズを汲み取り、臨機応変に察知して、ゲストを笑顔にさせるサービスを行うことができました。このことが評価され優秀キャストにも推薦していただきました。御社では私に関わるすべての人の笑顔のためにということを原動力に、自己研さんに励み、患者様だけでなく医療ニーズのある全ての人の健康と笑顔に貢献していきます。
※出典:塩野義製薬|メディカル総合職2023年卒本選考のES
【エピソード別】自己PR例文
次はエピソード別の自己PR例文をご紹介します。
ゼミ
強みは、「周囲に配慮し、チームが良い方向へ向かうよう行動する」状況掌握力だ。『◯◯ゼミ長』として、ゼミ活動を円滑に行い、全員が満足するようなゼミ運営を心掛けた。質の高いゼミ運営を行うために「(1)教員への迅速な対応」「(2)資料の見やすさの追求」「(3)ゼミ生への気配り」に取り組んだ。(1)教員からのメールに半日以内で応対し、指示・相談内容にできるだけ端的に答えた。(2)ゼミメンバーの感想文や文献要約のレジュメを期日内に回収し、見やすいように編集することで、分かりやすい資料作成を行った。(3)欠席回数が多いゼミ生や、体調が悪く欠席したゼミ生に連絡を取り、状況を把握し、必要に応じ相談に乗った。結果、ゼミ生から「充実したゼミ活動だった」という声を多くもらい、今年度のゼミにおいて、新◯◯年生として◯◯人中◯◯人が繰り上がるという結果となった。私の「周りに配慮し行動する」対人スキルで、周りと積極的に協働し、貴学のビジョン実現に貢献する。
※出典:学校法人 東京電機大学|事務職員(総合職)2022年卒本選考のES
留学
私は「圧倒的な好奇心と行動力」を持っている人間である。私は◯◯の◯◯留学を筆頭にさまざまな事に興味を持ち、興味を持つだけでなく必ず実行してきた。このように、行動を起こすことで偏見や先入観ではなく、事実から物事を判断できる。そして、その行動を引き起こす要因が好奇心である。私は圧倒的好奇心からくる行動力により、偏見や先入観にとらわれず正しい視点で物事を判断することができる。この強みを生かして、お客様の潜在的なニーズにまでアプローチし、最大限の幸福を提供したい。
※出典:アサヒビール|事務系2023年卒本選考のESト
サークル
私の強みは、相手の立場に立って物事を考え、行動に移せるところだ。◯◯制作サークルでの編集長としての経験を挙げる。入会して間もないメンバーに対して、不安や疑問点が解消されるまで話を聞き、自分の新人時代を思い出して相手の気持ちに寄り添った。頻繁にコミュニケーションを取り、技術面、精神面共に全力でサポートした結果、彼女は新人ながら次期編集長に抜てきされるまでに成長した。
※出典:デロイト トーマツ コンサルティング|コンサルタント職2021年卒本選考のES
アルバイト
私の強みは自ら考え行動できる点だ。エピソードとして球場の売り子のアルバイトの経験がある。最初の頃、売上が伸びないという課題に直面した。そこで、2つの施策を行った。(1)年間の試合数の9割出勤し、常連客を増やす(2)団体客の座席位置を把握し効率よく売る、といった工夫を凝らした。その結果、初めは平均1日20杯弱だった売上を、1年間で10倍近い平均1日200杯まで伸ばすことができた。
※出典:JTB|総合職2024年卒本選考のES
ボランティア
私の強みは傾聴に基づく提案力だ。◯◯のボランティア活動で発揮した。◯◯に従い◯◯が希望する場所を案内し、時間通りに指定場所へ送り届ける中で、◯◯や◯◯の混雑で◯◯通りに案内できないことが課題だった。私は「◯◯が満足できるよう、全員が納得した◯◯にする」を目標に、◯◯から正確な要望を聞き出すことに注力を注いだ。当初は世代の異なる中高生と距離を縮めることに苦労したが、互いの地元の話や方言など◯◯が興味のある話題を投げかけ、親睦を深め意見が出やすい関係性を築くことに成功した。結果、◯◯終了時に多くの◯◯から「◯◯さんのおかげでもっと滞在したい」との評価を笑顔でいただく様になった。この経験で培った「常に顧客目線で考える傾聴力と提案力」を生かして、相手が必要とする情報を的確に聞き出し提案したい。
※出典:西日本鉄道|【事務系総合職】国際物流部門2024年卒本選考のES
【アピールポイント別】自己PR例文
ここで、ワンキャリアに掲載されているアピールポイント別の自己PR例文をご紹介します。
チャレンジ精神
現状に問題意識を持ち、挑戦し続けることができます。この力でサークルのイベント企画に注力しました。私は副会長として皆にとって充実感のあふれるサークルにしたいと考えていました。しかし、従来から、新鮮味のないイベント活動に不満や要望があり、その声は不明瞭で役員まで届いていませんでした。そこで要望への理解度を高め、企画に反映させることがメンバーの充実感につながると考えた私は、生の声に耳を傾け、役員と話し合う場を週1、2回設けました。事前にグループラインでメンバーの要望をふまえた具体例や各々の案を提示することで、各自で吟味する時間が設けられ、話し合いが捗りました。また論点を金銭面や実現性に分けることで、抜け目のない議論に努めました。最初こそ、経験値が足りず苦戦しましたが、何度もイベントを企画する中で、要望に沿ったオリジナリティのある企画を創り上げられるようになり、理想とするサークル像に近けられました。
※出典:京セラ|技術コース2023年卒インターンシップ選考のES
行動力
私には負けず嫌い精神とポジティブ精神に支えられる行動力があります。私は幼い頃から負けず嫌いでした。高校時代には私立高校に英語力で遠く及ばず、◯◯の大会でいつも負けてしまい、悔しさを感じていました。しかし、それは自分たちに大きな伸びしろがあるということだと前向きに考え、部長としてチームを鼓舞しました。また公立高校でもやり方を変えれば強くなれると思い、練習量を増やしたり、SNSを使って練習試合を申し込んだりした結果、多くの私立高校を破って◯◯大会出場を果たしました。また大学では会計学で自身初のCの成績を取り、悔しさと苦手意識を強く持ってしまいました。しかし、きちんと勉強すれば理解できるだろうと考え直し、独学で日商簿記3級を取得、現在は2級合格を目指して勉強しています。こうした負けず嫌いな性格とポジティブな思想は、地道な努力などの行動につながっています。失敗しても諦めず前向きに考えて行動を起こすことで新たな結果を生み出すことができる点が私の良いところです。
※出典:オープンハウス|総合職Sales(営業職)2025年卒インターンシップ選考のES
継続力
私の強みは挑戦する行動力と目標を達成する継続力の2点です。私は新しいことに挑戦することが好きで中学、高校、大学生活でテニス、バスケ、バレーに挑戦してきました。しかし、新たな挑戦は経験がないという点で不利です。身長が低く、体格的にも恵まれていない私は経験の差を埋めるため人一倍努力してきました。高校生活では毎朝7時に誰より早く登校し、朝練に励むなど継続的に努力を続けました。その結果、周囲から実力を認められ、ユニフォームを獲得することができました。また、私は部活以外でも継続力を発揮しておりました。受験期間では早起きする生活リズムをそのまま活用して毎朝1時間、教室で勉強をしておりました。私の持ち味は基本的な能力であるからこそどんな事にも応用できると考えております。私の強みである次々と挑戦する行動力と目標を達成するために行う継続的な努力は課題や困難を乗り越えるために欠かせない力だと考えております。
※出典:双日|総合職2022年卒インターンシップ選考のES
責任感
私は「責任感」がある人間だ。アルバイト先の◯◯では、アルバイトである身として、責任は果たせてはいるが、組織への貢献は少ないと思っていた。そこで誰よりも◯◯に関する知見を得ようと試みた。持ち前の「責任感」を生かし、◯◯資格の◯級の資格を取得した。そして今では、より専門的な◯◯といった業務など、努力することで行えるようになった。
※出典:三井住友銀行|総合職2023年卒インターンシップ選考のES
協調性
私の長所は協調性があることです。学生時代に◯◯でアルバイトをしており、学生30名ほどを抱えるアルバイトリーダーを務めております。◯◯の中でも歓楽街の店舗で勤務しているため、チームワークが重要視されます。そこで私はアルバイト同士の関係構築などの働きやすい環境整備に努めました。このような姿勢は貴社に入社した際にも役立つの考えております。
※出典:Sky|営業職2024年卒本選考のES
コミュニケーション能力
私らしさは、「高いコミュニケーション能力」です。
もともと転勤族だったこともあり、幼少期から周囲と打ち解けるのが早く、すぐに人と仲良くなれる性格です。人と話すことが大好きで、特に自分と違う考えを持つ人の話はすごく楽しいなと思います。
実際に部活では、部員一人一人との会話を大切にしています。
マネジャーの仕事の1つは共感だとおもっているので、練習の苦しさ・試合の達成感など、さまざまな感情を一緒にかみ締めて、寄り添えるマネジャーでありたいと思います。
部員からは、「◯◯はひまわりみたいだね」とたまに言われます。自分自身も、周囲も明るくできることが私の強みです。
※出典:富士フイルム|事務系2024年卒インターンシップ選考のES
リーダーシップ
私の強みは、周囲からの信頼を得て目標を達成できるリーダーシップがあることです。その力を発揮した例が、◯◯大学で◯◯という◯◯を促す団体のリーダーを◯カ月間務めたことです。私は約◯人が集まるイベントの企画と進行を担当しました。さまざまな価値観・背景を持った人たちが集まるため、最初は参加者の交流を活発にできませんでした。そこで、私は留学課のアドバイザーと交渉して集合場所を変えてもらい、集合時間を30分早め、イベント前に会話の時間を設けるようにしました。そして、リーダーの中でも全体の指揮をとるだけでなく、参加者の間に入って会話を手伝う役割を作り、参加者同士をつなげました。その結果、会話の時間が増え、イベントの雰囲気が活発になり、参加者の数も前年比より20%増加しました。この経験を通じて、信頼関係を構築していくためには、積極的にコミュニケーションをとることが大切だと再実感しました。
※出典:サイバーエージェント|ビジネスコース2020年卒本選考のES
まとめ
今回は、自己PRの書き方からテンプレート、押さえておくべきポイント、実際の例文、そして注意点までを詳しくご紹介しました。
自己PRでの高評価を目指すためには、これらのポイントや注意点をしっかり意識して準備すると良いでしょう。ご紹介した例文を参考に、自分の自己PRを作成し、企業に高く評価される内容を目指していただければと思います。
しっかりと事前対策して、内定を勝ち取りましょう。
(Photo:hachiware/Shutterstock.com)