※こちらは2018年1月に公開された記事の再掲です。
「大きな結果を出していなければいけない」という勘違い。
就職活動も本格的になってきた。
多くの就活生から相談を受ける内容に「自分の何をPRすればよいのか」というものがある。
「ネット上に落ちているESを読んでいると、自信がなくなる」
「留学経験や起業経験、組織の代表経験などの強いエピソードがない。どうすればよいか」
「インターンの選考で、面接を一緒に受けた学生がすごすぎてひいてしまった」
こんな話をよく聞いた。
他人が学生時代に成し遂げた実績や肩書などと自分を比較してしまい、自信を失ってしまうケースだ。彼らと比較すると、どうしようもなく自分が小さな存在に感じてしまい、PRするのに足りない経験しかしていないように感じてしまうのだ。
気持ちはわかる。
僕も就職活動をしていたとき、どれだけ自己分析を重ねて自己PRを練っても「上には上がいる」という感覚を拭えずに、行き詰まってしまった経験が何度もある。
今回は、この悩みに対して、きみがどのように向き合えばよいか。平凡に感じるきみの経験をどのようにPRすればよいのかを伝えていきたい。
「結果」を出していても、就職留年する学生たち。
まず、自己PRで採用担当者が何を見ているかを考えてみたい。
一番大切なのは、どんな成果を出したかの「結果(の大きさ)が大切」と言いたいところだが、これは間違いだ。ほとんどの就活生がしている大きな誤解がここにある。
実は、大きな「結果」を出した学生がいたとしても、それだけを聞いても、大人は簡単にすごいとは思わない。実際に、学生の間で「すごい」と言われる結果を出したにもかかわらず、一回目の就職活動に失敗して就職留年生として我究館に入館してきた学生と何人も出会ってきた。
いったい、彼らはなぜ結果を出せなかったのだろうか。
解説していこう。
結果よりも大切なこととは、きみがどれだけ自分の「弱さ」「困難」と向き合ってきたか。
就職留年で我究館に入ってくるメンバーはみんな優秀だ。
都内の有名私大で文化祭実行委員長をつとめたYくんも、学生団体で100人を超えるスタッフを束ねたHくんも、体育会で全国大会に出たTくんも、就職留年をした。
なぜか。
それは彼らが就職活動で「結果」ばかりを語ってしまったからだ。
「インターンで売り上げを1000万円つくりました!」
「1000人集客に成功しました!」
「200人の組織で代表をしていました!」
これらの結果はどれも素晴らしい。
しかし、採用担当者が一番知りたいのは彼らが語る結果ではない。
そこにいたる「プロセス」だ。
具体的には
・どんな苦労があったか
・自分の何が至らなかったからその苦労が発生したのか
・自分なりにどのように工夫したのか
・どのようにそれを乗り越えたのか
・自分にとってそれはどれほど難易度の高い挑戦だったのか
・そこから何を学んだのか
・学んだことは他の経験に活きているのか
こういったプロセスに注目をしている。
きみが乗り越えた困難や失敗、自分の弱さといった、ネガティブな要素をどのように乗り越えたのか。採用担当者はそこを見てる。
そこに人間の本質が出るからだ。
うまくいかないかもしれないことに挑戦し、失敗し、挫折したきみは、それをどのように乗り越えたのか。そして、きみがどのように成長していったのか。
社会人になってからも何度も繰り返す挑戦と失敗に、きみが耐えられるかどうかをそこから見ているのだ。
入社後も「自社で活躍ができるタイプかどうか」を見ているのだ。
「結果」が小さくても、人気企業から内定をもらう学生たち。
今まで普通の大学生が圧倒的な結果を出してきたのを何回も見てきた。
男だけのお茶サークルを3人で運営して総合商社に入っていったUくん。サークルで遅刻する仲間たちを厳しく指導し続けてリクルートに内定したHさん、自分を変えたくて、極度のあがり症にもかかわらず演劇サークルに挑戦し「一言のセリフ」を演じた話で大手金融に内定できたDくん、例を挙げたらきりがないほど、普通の大学生が内定していく姿を見てきた。
彼らの共通点は「自分の弱さと向き合い」「困難を乗り越えてきた」ことだ。
きみが、大学生活を頑張ってきた気持ちがあるのであれば、派手な結果など出ていなくても、絶対に大丈夫だ。
頑張ってきた感覚があるのであれば、プロセスに意味は絶対にある。そこには必ず苦労や工夫、きみが弱さと向き合ったトラックがあるはずだ。
小中高大学時代の経験を棚卸してみよう。
その中に必ず、きみが壁にぶつかり、それを乗り越えようとした経験があるはずだ。
採用担当者は、その話を聞きたがっている。
そして、きみがESや面接で、その経験をぶつけることができれば、必ずきみのことを評価してくれるはずだ。
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