昨年9月29日に東証グロース市場に上場したプログリット。2016年に創業され、現在は「英語コーチングサービス」と「サブスクリプション型英語学習サービス」を展開しています。専属コンサルタントが自習の方法などを教えるという新たな手法で、英語学習市場に新風を吹き込んでいます。
「世界で自由に活躍できる人を増やす」をミッションにした同社のサービスは、累計で1万5,000人以上が受講。英語力を向上させたいユーザーに対して、「人×テクノロジー」でサポートを続けています。
また同社では、未来を担う「25新卒ビジネス職」の採用を行っています。急成長を続ける同社の経営を間近で見て、担えるチャンスが得られる環境は、成長意欲が高い学生にとって魅力に感じるでしょう。
今回は英語学習市場の現状や同社の経営手法などをテーマに、創業者で代表取締役社長を務める岡田祥吾さんと弊社取締役CSOの北野唯我が対談を行いました。
<目次>
●英語学習市場でいかに存在感を生み出したか
●英語業界では異例。ITスタートアップの経営手法を導入
●コロナ禍で生まれた新たな柱。新規事業の作り方
●成長する人材としない人材の違い
●正しいことを続ければ、企業は成長する
●顧客・社員の言葉が原動力になる
英語学習市場でいかに存在感を生み出したか
北野:岡田さんははじめ、家事代行サービスでの起業を目指し、その後に現在の英語学習サービスに事業を切り替えています。切り替えた理由と英語学習の市場性について、聞かせてください。
岡田:家事代行サービスに関しては、問題意識から着想したアイデアドリブンの事業でした。ただ、出資してくれる投資家の立場からしても、ベンチャー企業の将来は予測しきれないものであり、出資する判断材料の1つとなる「最後までやりきれるのかどうか」という点が、今振り返ると、家事代行サービスを考えた時点では私には足りませんでした。
岡田 祥吾(おかだ しょうご):新卒でマッキンゼー・アンド・カンパニーに入社。日本企業の海外進出、海外企業の日本市場戦略立案など、数々のプロジェクトに従事。また、同社を退社後、プログリットを創業。
岡田:一方、英語学習サービスである「プログリット」を起業した際は、「何があってもやり切る」という意志は自身に宿っていました。
その変化の理由は、自分自身が英語学習サービスのユーザーだったことから、顧客の感情や悩み、問題を解像度高く理解できていたことが大きかったですね。また、英語学習産業においては、完全なアウトサイダーだったことも結果的に追い風になりました。
今となっては業界の従来の慣習や構造に染まらないまま参入したことで、英語学習における常識を全て変えていけたと考えています。ただ、初めから「変えてやろう」と意気込んでいたわけではなく、業界の慣習に捉われることなく、地道にビジネスの原理原則を実践した結果といえます。
北野:他社と一線を画するサービスをリリースしようと決めたのは、どこのタイミングでしたか。
岡田:起業当初から考えていましたね。まず、これまでの英語学習市場には「顧客が満足していない」と「業界がもうかっていない」という、2つの解決すべき課題がありました。
前者は英語業界における最大の問題で、多くの顧客はサービスに満足したからではなく、満足しなかったから学習をやめてしまっている構造がありました。なぜかといえば、英語学習は努力しなければ成果が出ないにもかかわらず、顧客の努力をサポートする仕組みが構築されていませんでした。ならば、私たちが顧客の努力をサポートする仕組みを作り出すことで解決できるはずだと。
後者に関しては、事業者側が満足に利益を出せないことから業界全体に余裕がなくなっていました。それが社員のモチベーションにも悪影響を及ぼし、良い人材も入ってこないという業界全体で負のサイクルに陥っていました。ただ、成果に対する料金システムであれば、時間に対する料金システムよりも料金単価を数倍に上げられるという感触があったことから、従来の常識を超えた利益率の実現を目指しました。
北野:革新的な動きをしたことで反発も起こったと思いますが、今となっては業界において存在感も高まっている印象も受けます。ターニングポイントはありましたか。
岡田:上場したことで、ビジネスのステージが明らかに一段上がった感覚はあります。
上場によって認知度が飛躍的に高まり、顧客数の増加や周囲からの抵抗が減った印象を持っています。認知度と好感度には相関性があるように思え、実際に会社を取り巻く雰囲気として、「プログリットは英語業界でもしっかりしている」という見られ方をしていると感じています。
英語業界では異例。ITスタートアップの経営手法を導入
北野:プログリットは優秀な人材が堅実な経営をしている印象があり、その源泉としては「事業創出力」「経営指標のコントロール力」「人材育成力」の3つの力があるのではないでしょうか。
岡田:私としては、現代のITスタートアップ企業の経営手法を、英語学習業界に持ち込んでいる感覚です。やっていることといえば、戦略を決め、KPIを管理し、社員のモチベーションを上げる仕組みを構築しているだけです。
私自身は京セラの創業者である稲盛和夫さんやニデック(旧:日本電産)の永守重信さんといった多くの経営者の経営哲学を書籍で学んで実践していて、特別なことは何もしていません。おそらく経営を熟知しているのであれば誰もが押さえているであろう基本を、淡々とこなしているといえます。
北野:ただ、岡田さんの経営手法を、書籍や動画ではなく現場で直接学べる場があれば得難い経験になるはずです。岡田さんの質実剛健な経営手法は、入社して直接学ぶことはできますか。
岡田:学べるはずですね。現在は本社に50名と9つの拠点に120名と、合わせて170人ほどが在籍している小規模な組織ですから、私との距離もかなり近いでしょう。少なくとも部門長と呼ばれる経営幹部とは、ほぼ全社員が直接関わりを持って働ける組織構造です。
北野:成長意欲の高い学生は、経営層とどれほど近いところで働けるかが気になると思います。実際、新卒入社の社員が経営陣と話す機会も多いのでしょうか。
岡田:どの社員も週1回の定例会議で、部門長と直接やりとりがあります。また、部門長は最年少が31歳で最年長でも40歳未満と、32歳である私を含めて経営陣は全員が30代です。社員との距離が近いことも含めて、経営幹部と直接働くことで学べることも多くあるはずです。
北野:岡田さんは新卒でマッキンゼー・アンド・カンパニーに入社されています。これまでのキャリアで経営手法に生かされている点はありますか。
岡田:経営では感覚と論理のバランスは欠かせず、私自身がもともと直感派だったこともあり、マッキンゼーではロジカルシンキングを学べましたね。
しかし、人を動かすには論理だけでは足りず、「これがやりたい」「こうしたら世界が変わる」という感覚も不可欠です。そして、その思いを実現させていくことの楽しみもあります。事業においては、最初の発想を感覚で生み出し、実現の過程を論理で突き詰めていっています。
コロナ禍で生まれた新たな柱。新規事業の作り方
北野:プログリットの強みである「事業創出力」として、コロナ禍で生まれたシャドーイング学習・添削サービスである新事業の「シャドテン」は、今では安定した経営に大きく寄与していると思います。サービスの誕生秘話を聞かせてください。
岡田:「シャドテン」は、私たちが創業以来大事にしている「Customer Oriented」という顧客の声を重視する姿勢と、より安定性のある新規事業の追求が合わさったことで生まれています。
まず、私たちは「Customer Oriented」の一環として、創業期から全顧客のアンケートには全て目を通しています。もちろん厳しいお言葉からうれしいお言葉まで内容はさまざまですが、忖度(そんたく)なく書かれた意見から改善点や要求をくみ取ることを毎月行い、「シャドテン」も確実にニーズがあるという確信めいた思いから生まれています。
北野:具体的にはどのような意見から誕生したのでしょうか。
岡田:そもそも「シャドテン」は、英語コーチングサービスである「プログリット」のスピンアウトサービスです。顧客アンケートでは、「プログリット」のサービスのメリットとして、シャドーイングを添削してくれる点が圧倒的な支持を受けていました。
当時はシャドーイング添削を事業化している企業がどこにもなく、私たちとしてもより安定性のある事業を作りたいという考えがありました。どの企業もはじめておらず、英語学習者からは明らかなニーズがあると分かったことで、新規事業として踏み切った形ですね。
北野:月額1万9,800円からのサブスクリプションサービスは、かなり強気な価格設定ですよね。この価格に決めた背景を教えてください。
岡田:企業の方針として、利益率が一定以下のビジネスはやらないと決めています。必然的に利益率の最低ラインが決まり、社内で議論を繰り返した結果、サービスを発表しています。
私たちの事業では利益率を下げてしまえば、全てが逆回転してしまうため、値下げをして続けても意味がないと考えています。そして、高価格で選ばれなかったら、それだけのサービスだったとも考えています。
成長する人材としない人材の違い
北野:新卒入社した場合、どのようなキャリアを積んでいくことになりますか。
岡田:現在は社員も在籍3年目が最長ですが、次々と経営幹部に出世しています。優秀な人材であれば、入社半年や1年の段階で、部門長に次ぐ役職であるマネージャーに就任することもあります。
北野:新卒入社の方を受け入れて3年がたつと、少しずつ成長度合いに違いが出てくると思います。成長する人材は何が違いますか。
岡田:新入社員における一番の違いは、数字への解像度といえるかもしれません。そもそも自分の担当領域における目標値や売上などの数字をパッと答えられなければ、まず目標に達することは難しいと思わざるをえません。担当している数字が常に頭に入っていて、その数字が良いか悪いかまで分かっているような解像度の高さがなければ、成長は遅くなってしまうでしょう。
北野:かつての新卒社員も、現在は数字に対する解析度も高まっていますか。
岡田:飛躍的に向上していますね。入社3年目で部門長を務めても問題ないという社員もいるほどです。マネージャーにふさわしいインターンもいるほど、誰もが大きな成長を遂げています。
彼らに共通するのは、「何があってもやり切る」「逃げない」ところ。マッキンゼーであれば「オーナーシップ」、リクルートにおける「圧倒的当事者意識」、当社では「Own Issues」という資質です。
あとは、運と縁という要素も見逃せません。そして、運と縁を得るためには、愛嬌(あいきょう)の良さのように、いかに他人から好かれるかは大事ですね。
北野:運と縁が大事というのは、興味深いですね。その真意をもう少しお話しいただけますか。
岡田:人間の魅力は生まれ育った環境などにも左右され、人それぞれだと思います。例えば私の場合であれば、自分の一番の武器は「礼儀正しさ」だと考えています。
私自身、礼儀正しさを幼少期からたたき込まれてきたことで、他の若手起業家とは違う見られ方をされます。
北野:私も創業期を思い出します。若手起業家はただでさえ調子に乗っていると思われがちなので、誰かに会えば必ずお礼のメールを送るなどは徹底していました。
岡田:それは大事なことですね。
北野:採用面接については、今も岡田さんが担当していると聞きました。面接の際に、岡田さんはどこに着目していますか。
岡田:採用面接は、創業時から私と副社長で分担しています。副社長がプログリット事業部で、私がそれ以外の全てを担当しています。
その上で、私が最も着目しているのは「人間的にいい人かどうか」です。具体的には熱意を持って仕事に打ち込めるか、成長意欲がどれほどあるかを重視しています。応募者は事前のテストや社員による面接を受けているため、一定水準をクリアしている前提ですが、私もしっかり見るようにしています。
正しいことを続ければ、企業は成長する
北野:岡田さんが考える人材育成の要点はありますか。
岡田:自分の核でもあり、基本コンセプトとなるのは「原理原則に従うこと」です。事業でも人材育成でも突然変異はほとんど起こらず、正しいことを続ければ人は成長するものです。
この考えは起業以前から抱いていて、事業をしている今でも痛感していますね。例えば「プログリット」のサービスでは、1日3時間の英語学習を3カ月続けてもらいますが、3カ月にわたって効率の良い勉強を1日3時間続ける努力をすれば、成果はおのずと出るものです。これが英語学習における原理原則です。
ところが、ビジネスをしていると、そんな原理原則にあらがいたくなる瞬間がふと訪れます。その代表が「楽に英語力が上がる」といったマーケティングであり、正直、私もその衝動に駆られるときがないといえばうそになります。
実際、顧客からも「楽に英語力を上げたい」という要求は多くありますが、原理原則に合わないことをやってしまえば、短期的に顧客が喜ぶ場合があっても、長期的に見ればいずれメッキははがれるものです。うまくいっていない他社を見ても、多くの場合は原理原則を外れた企業が多かったと感じます。
北野:遠回りに見えた道が、一番の近道だったといえそうですね。原理原則を積み重ねていくことが大事だと感じたタイミングはありますか。
岡田:創業時には確信していました。当時は根拠のない確信でしたが、振り返れば私自身も昔からそういう感覚は抱いていましたね。勉強も学生時代に打ち込んでいた野球も、正しい努力を続ければ自然と結果が出るという感じでした。
原理原則は華々しくも面白くもないかもしれません。ただ、5年後10年後に効果が出てきますね。
北野:努力を積み重ねてきた結果、どこかのタイミングで引き上げてくれる存在はいましたか。
岡田:マッキンゼー時代の上司と、エンジェル投資家の瀧本哲史さんの2人ですね。
マッキンゼーの上司には怒られ続けましたが、当時から愛情は感じていましたし、厳しいメンターとして今でも付き合いが続いています。一方で、瀧本さんは自分が想像していない一歩先、二歩先を指し示すメンターといえました。
2人は自分を甘えさせない環境に導いてくれ、彼らの存在によって自分が引き上げてもらえたのは間違いありません。私も弱い人間ですから、どうしても楽な方に流れてしまいかねません。もし彼らがいなければ、今のような努力もできていないでしょうし、調子に乗っていたかもしれませんね。
顧客・社員の言葉が原動力になる
北野:昨年、上場という新たなスタートラインに立ちました。経営していく中で、大きな変化は感じていますか。
岡田:上場によってファイナンスの手段が明らかに増え、信用力も圧倒的につきました。ただ、事業の本質は顧客の喜びに変わりありませんね。
以前、顧客と社員が参加した感謝祭を開催したことがあり、1人のお客さまが口にした「プログリットだから人生が変わった」というスピーチを聞き、心が動かされたことがあります。
どんな仕事でも大部分は単純作業かもしれません。ただ、私の場合は経営者なので社員の声も含まれますが、ときに顧客からいただく声に心動かされる瞬間があるからこそ、仕事に意義が生まれ、嫌なことや大変なことでも頑張れるはずです。
北野:上場しても原点を忘れないというのは大切なことですね。今後の事業の展望はどのように見えていますか。
岡田:英語学習市場は2,000億円弱というニッチなマーケットですが、競合相手がグーグル(Google)やアマゾンジャパンではないので大きな市場より勝ちやすいともいえます。やるからにはナンバーワンにならないと意味もないというのが私の考えで、ナンバーワンになれる可能性は圧倒的に高い市場です。
今後については、まず業界ナンバーワンとなること。そして、そこから見えてくる世界があると考えています。もしかしたら、できることが広がり、違う業界へ進出する可能性もあり得ます。
ただ、自分たちはまだその立場にないために見えていない世界ですから、まずは社員のみんなと一緒にナンバーワンの景色を見たいですね。
北野:最後に、今後プログリットに入社する可能性のある人材や学生へのメッセージをお願いします。
岡田:私は若い頃に何をするかで、30代や40代での生き方が決まると考えています。その生き方や価値観は人それぞれですが、仮に30代や40代に仕事で活躍したいのであれば、プログリットに入社してもらえると、相応の成長をさせる自信がありますし、そのための経験も提供するつもりです。
それに、私たちはまだまだ小さな組織ですから、大きくなっていく過程を楽しむこともできます。多くの上場したての企業と同様、私たちもギリギリ上場基準をクリアした管理体制や予算達成ができるようになっただけで、組織としてはまだまだです。しかし、それだけに20代の新入社員が活躍できる余地はいくらでもあります。
面白い仕事や難しい仕事も任せますから、責任者として仕事をしたいという人材には、その環境をうそ偽りなく与えられます。自分次第で成長の機会は数多くありますから、苦しいけれど楽しいプロセスをともに楽しめる人材には、ぜひ入社していただきたいです。
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【執筆:小谷紘友/撮影:百瀬浩三郎/編集:山田雄一朗】