※こちらの記事は2017年11月に公開された記事の再掲です。新型コロナウイルスの感染拡大などにより、働き方やライフスタイルに関して変化している部分もあります
こんにちは、トイアンナです。総合商社の方へインタビューを試みると、入社すぐの社員、もしくは40代中堅が目立ちます。50代以降は他社へ出向する方も多く、商社の業務フローを広く学び、海外経験ができるのはこの年代が中心です。ところが、30代商社パーソンが一体何をして、何に悩むのかはあまり知られていません。
そこで今回は総合商社にお勤めの30代にお話を伺い、彼らが一体どのようなキャリアを蓄積しているのかつまびらかにしたいと思います。
「忙しすぎてフラれる」「睡眠は飛行機で」外コン並に忙しい! 30代商社マンの証言
まずは「非体育会、海外留学経験なし」のハンデを乗り越え総合商社へ内定、そのまま活躍されている30代商社マンのコメントです。
商社マン:いやあ、忙しいですね。出張から帰ってきて、12時間後にまた出張。家へ帰ってシャワー浴びて洗濯した服をまたスーツケースへ入れて。いっそ駐在したいんですけど……(笑)。ただ今から駐在しちゃうと結婚できなくなるんで、彼女できてからだといいんですが。
トイ:今は彼女はいらっしゃらないんですか?
商社マン:2カ月前まで付き合ってたんですけど、ちょっと忙しすぎて構えなくて。でも(振られたのは)しょうがないなあと思いますね。俺も嫌だもん、3連休ずっと仕事してるヤツと付き合うのなんて。
トイ:本当に休めてないんですね。どれくらい寝てらっしゃいます?
商社マン:あ、結構寝てますよ、飛行機の中とかで。そこで寝ておかないと、次の日まともに働けないですし。2カ国で交互に働いてるから、時差がキツいっすね。どっちからもメールがバンバンきちゃうんで。出張先と日本にある本社との両方に応えなきゃいけなくて、朝から深夜まで結局働くことになっちゃって。
土日のどちらかは必ずフルで働いてます。睡眠時間はまちまちですけど、日によって3~5時間です。
この働きっぷり、昭和に流行した「モーレツ社員」という言葉がぴったりです。外資系コンサルティングファームの1年目は、プロジェクトにもよりますが終電~3時帰宅が一般的。30代商社パーソンは同じくらいの激務と推察されるでしょう。
東大はCA好き、早慶は学生時代の彼女とゴールイン? 仕事と結婚、両立は戦略的に
ただし、それだけ激務なら、相応のやりがいもあるはずです。さらにお話を聞いてみました。
商社マン:仕事は楽しくなりましたね。やっぱりペーペーの頃っていうのは、裁量権が小さいのがストレスでした。でも今思うと、あのとき鍛えてもらってよかったなと思います。
外資の友達のハナシを聞いていると、新卒の学生をいきなり崖から突き落とすようなことするじゃないですか。商社はそれで言うなら「崖の地図をまず配ってもらえて、落ちたときの対処法を教わって、それからやっと崖下りする」わけで。
トイ:全般的に、商社の方が優しいと。
商社マン:そうですね。取引先がブラックだったりすると、つられてブラック勤務になっちゃうんで100%そうだとは言えないですが。あと、商社ならではといえば海外勤務ですよね。日本にあるコンサルで海外転勤はほぼないみたいですけど、弊社は30代独身でも海外行かされますんで。そうなったら40歳まで独身とか、ありうると思いますよ。
トイ:それが嫌なら、結婚を急がないといけないわけですか。
商社マン:ええ、ただやっぱりモテはするので、20代そこそこで結婚する人は多いですね。CAさんとか好きな人も多いです。俺は違いますけど(笑)。
トイ:商社の男性って、女性の前では口をそろえて「俺、CA好きとかじゃない」っておっしゃいますけど……ぶっちゃけ最後はCAと結婚してません?
商社マン:まあ、社会人になってモテ出した連中はそうなりがちですよね。CAとかモデルと結婚するのは東大出た人に多いなと思います。早慶みたいに学生時代から遊んでた連中は、当時からの彼女と結婚する率が高いですね。
30代を機に「本当に商社で働きたいか」が見えてくる
と、ここまで商社に「残る」選択をした方のリアルを拝見しましたが、30歳前後は離職が増える年齢でもあります。責任あるプロジェクトを任され、いわゆる商社らしい仕事を任される30代は、同時に商社にマッチしなかった人に離職を決意させる契機にもなるのです。
そこで、ちょうど30歳で総合商社を離れ、ボランティア団体へ転職した女性へお話を伺いました。
元商社の女性:世間一般では、同業他社への転職が多いんですよね。でも、商社でそういうことはまずなくて、普通は自分が目覚めた「好きなこと」をやりに行きますよね。資格試験受けたりとか、私みたいにボランティアへ気持ちが向かったりとか。
トイ:それは面白いですね。それって商社がイヤになる、ということですか?
元商社の女性:どっちかっていうと、「好きなことがわからないからとりあえず商社で!」って就職した人が、やりたいことを見つけて卒業するって感じじゃないでしょうか。起業したり、世界一周したり、ザ・ベンチャー企業へ転職したり。だいたいみんな、親が反対しそうなことをやる(笑)。
私も「退職する」って親に伝えたときは、一週間口もきいてもらえなくて。でもアラサーでやりたいことが見つかるって、すっごく幸せだなって思うんですね。一生やりたいことが見つからない人もいるわけですから。
トイ:素敵ですね。……聞きづらいですが、心身の病気、たとえば鬱による退職もありますか?
元商社の女性:ありますけど、鬱になる方はもっと早くに辞めますね。あと、鬱になるような部署は大体決まってますから「あそこ(の部署)だけやたら倒れてるなあ」って印象です。それはもう、運ですね。
病気や大きなキャリアチェンジでもなければ、めったに退職をしない商社パーソン。つまり総合商社はよほど他にやりたいことがない限り残りたい場所といえるでしょう。
一般的に商社は「商社の仕事しかできない、つぶしがきかない」というイメージもありますが、実際には交渉力や語学を生かし、成功されている方も多いようです。激務と引き換えにやりがいを味わえる30代。それは同時に、「本当に商社で働きたいか」を問われるタイミングでもあります。いずれの道を選んだ方も、バイタリティ溢れるお話をされていたのが印象的でした。
まとめ:商社30代、仕事・結婚・キャリアのリアル
まずは商社パーソン、30代のリアルをまとめました。
<商社30代のリアル まとめ>
・仕事:外コン1年目並の激務。一方で、裁量権が増えてきて仕事が楽しくなってくる
・結婚:海外転勤もあり得るので戦略的に
・キャリア:「やりたいことを見つけて卒業」か「一生商社マン」の選択を迫られる
OB/OG訪問でもなかなか会えない、30代の商社パーソンの現実。どうしても会いたいのなら「Skype/電話で、日本時間深夜でも構いませんのでお時間いただけないでしょうか」と粘ってみましょう。海外出張中の隙間時間などに応対していただけるかもしれません。
また、質問をするときは「やりがい」など表面的なことだけでなく「他社へ行った30代の人と比べてどう思うか」「20代の頃と比べて仕事はどう変わったか」と比較対象を出すことで、志望動機へ活きる回答をいただけるはずです。忙しい30代商社パーソンに出会えたら、そのチャンスを逃さないように入念な準備をしてくださいね。