マッキンゼーのコンサルタント、看護師、データサイエンスを研究する学生。何の共通点もないように思えるこの3人が、同じ社会課題に取り組むべく集結した企業があります。
「ヘルスケア×データ」のパイオニアであるJMDCは、私たちの健康にまつわる無数の医療ビッグデータを集め、国内最大級の規模を誇ります。そのデータを活用した事業を形にすべく、新卒・中途にかかわらず多様な経歴の人材が集まっています。
「データで健康状態を可視化することで、近い未来に病気で苦しむ人を少しでも減らせたら」
今三者三様の背景を持つJMDCの社員に、「ヘルスケア×データ」に感じる可能性や、やりがい、未来を聞きました。
<目次>
●国民の「10分の1」をカバーするデータに可能性を感じ、マッキンゼーから転職
●データサイエンスと医療現場。異なる領域の2人がJMDCに集う理由
●ひとつの市場に特化しない事業提案と手厚いフィードバックで、新卒から成長を実感
●データビジネスは、「ダイヤの原石」を掘り当てる宝探しだ
●データと患者をつなぐことで、私たちが未来を変えていく
国民の「10分の1」をカバーするデータに可能性を感じ、マッキンゼーから転職
──野本さんはJMDCに転職で入られたとお聞きしました。入社するまでの経緯についてお聞かせください。
野本:新卒でマッキンゼーに入社し、戦略策定などコンサルティング業務に従事していました。さまざまな業界を担当するなかで、特にやりがいを感じたのがヘルスケア業界でした。自分の活動の延長に、誰かを健康にすること、誰かの命を救うことがつながっている。その実感から、ヘルスケア業界に軸足を置きたいと考えるようになりました。
もちろん、コンサルだからこそできる面白い仕事もたくさんありましたし、マッキンゼーだからこそできる大きなスコープの社会課題に取り組める機会もありました。一方で、もっと地に足を着けて、自分の手で何かを推進する側にいたいなとも思ったのです。そんなとき、JMDCを知りました。
野本 有香(のもと ゆか):製薬本部 コンサルティング部 プリンシパル
大阪大学人間科学部卒業後、マッキンゼー・アンド・カンパニーに入社。製薬を中心に幅広い業界のトップ企業に対して全社戦略策定や組織変革などのコンサルティングを提供。同社でエンゲージメント・マネジャーを経験したのち、2021年4月にJMDC入社。
──JMDCの印象はいかがでしたか?
野本:ヘルスケア領域とデータの掛け合わせに可能性を感じました。JMDCでは創業から20年にわたり、複数の健康保険組合のレセプト(※)および健診データを蓄積しています。累積母集団数は約1,600万人(2022年2月時点)で、日本国民の約10分の1をカバーしている計算です。
既に日本国内の主な製薬・医療機器メーカーをはじめ、保険会社や官公庁、50以上の大学にJMDCのデータベースが導入されており、研究やサービス開発などに活用されています。このデータを活用し、主に製薬企業に対してコンサルティング、ソリューション提案を行っています。
(※)……医療機関が保険者に提出する「診療報酬明細」のこと。医療機関に支払われる医療費は、3割負担の患者であれば、残り7割を健保などの保険者が負担する。医療機関が「残り7割」を保険者に請求する際の請求書がレセプトであり、「いつ誰がどの病院を受診し、どのような検査を受け、どんな処方薬が出たか」といった医療情報が含まれている。
──データを活用することで、どのような課題が解決できるのでしょうか?
野本:患者さん一人一人の今の健康状態を可視化するだけでなく、20年後30年後に向けた「未来の人々の健康」につながる取り組みも多く進めています。
例えば、患者さんのこれまでの疾患や受診に関する体験、通称「ペイシェント・ジャーニー」を追跡するのも重要な取り組みの1つです。
これまで、製薬会社が患者さんの実態を把握することは簡単ではありませんでした。希少疾患の治療や製薬開発に力を入れたくても、その疾患にかかった方がどれほど病院を回り、どの診療科にかかったのか、診断を受けるまでの過程が分からなかったのです。
JMDCのデータベースでは、個人を特定する情報を除いた、全てのレセプト情報を集約しています。これにより、1人が複数の医療機関をまたいで受診していても、受診や治療の流れを追跡することができるようになっています。
なかなか診断がつかなかった患者さんの傾向をつかめれば、解決策の検討もできる。ひいては、まだ治療法がない領域の薬の開発にもつながります。
データサイエンスと医療現場。異なる領域の2人がJMDCに集う理由
──村木さんと大久さんは、就職活動ではどのような業界を見られていましたか。
村木:大学院でデータサイエンス関連の研究をしていたので、ヘルスケア業界に限らず、AI(人工知能)や機械学習といったキーワードで企業研究をしていました。JMDCに決めた理由は大きく2つあります。
1つは、JMDCのデータが持つ価値です。JMDCの会社説明会で「他社も同じデータを集めたら、どうするのか」と質問したんです。すると、「私たちはビッグデータという言葉もなかった20年前からコツコツとデータを蓄積してきました。20年分のデータ量と、その間に培ったノウハウはすぐに模倣できません」との答えが返ってきました。「この会社の持つデータには大きな価値があるのかもしれない」と感じました。実際に、日々の業務を行う中でも、データの価値を実感しています。
村木 達弥(むらき たつや):インシュアランス本部 データサイエンス部 データサイエンスティスト
大学・大学院でデータサイエンスを研究し、2021年4月にJMDCに新卒入社。生命保険会社けのコンサルティングを経て、2021年10月からデータサイエンスチームへ異動。部署内でトップ3に入る大きな案件やボストン コンサルティング グループ出身の役員がアサインする案を1年目に経験。3年目の今は複数の責任あるプロジェクトを任されている。得意領域はレセプトデータと、ウェアラブルデータを用いた分析・モデル設計。
──もう1つの理由は……?
村木:私のわがままを聞いてくれたことです(笑)。入社前に会社のことを知りたくて、役員や先輩など10人以上と話をさせてもらったり、まだ前例がないのにインターンをやらせてもらったりしたんですね。
学生のわがままに、皆さん本音で向き合ってくれて。JMDCでなら、やる気次第で自分の可能性を最大限発揮できると確信しました。
──大久さんは、一度看護師を経験されてから入社されたと伺いました。
大久:はい。大学の看護学部を卒業した後、がん専門病院で3年ほど看護師として働いていました。その後、公衆衛生大学院に入学し、第二新卒としてJMDCに入社しています。
看護師は子どもの頃から憧れていた職業でしたし、病院で患者さんと接することも好きで、仕事にはとてもやりがいを感じながら働いていました。一方で病院はさまざまなデータを扱う割には、せっかく集めたデータをうまく生かし切れていないと感じることも多々ありました。特に看護師という仕事は定量的に評価するのが難しいこともあり、患者さんに日々提供されている「良い看護」を数値化できないことに、もどかしさを覚えていました。
大久 敬子(おおひさ けいこ):製薬本部 コンサルティング部
大学の看護学部を卒業したのちに一度看護師として就職。医療従事者が介入することの効果を定量的に評価する必要性を現場で実感し、3年間働いた後に公衆衛生大学院(SPH)に入学。修士課程ではデータベースを用いた臨床疫学を研究し、2022年3月に卒業。同年4月からJMDCに第二新卒として入社。
──データ活用に関する課題を、実際に病院で感じられていたわけですね。
大久:そうですね。もっと疫学や統計学を学び、データから言えることを適切に評価・解釈できる人材になりたいという思いから、公衆衛生大学院に進学しました。所属研究室ではJMDCのデータベースを用いて日々たくさんの研究が行われており、就活前から社名は認識していました。事業内容はもちろん、面接で感じた社風にもひかれて、入社を決意しました。
ひとつの市場に特化しない事業提案と手厚いフィードバックで、新卒から成長を実感
──村木さんと大久さんのお2人に伺います。JMDCに入社してから、どのような場面で自分の成長を感じられましたか。
村木:データサイエンスチームに所属後、1年目で大規模案件にメイン分析担当として携われたときは、自分の中で大きな成長を感じました。
ウェアラブルデータを用いたリスク計算モデルを再保険会社と共同で開発したのですが、部署内でもトップ3に入るほどの大きな案件でした。上司からは、仕事のやり方を徹底的に教わりましたね。
私の考えた分析定義や分析結果から得られる示唆について、上司に報告してはフィードバックをもらうのですが、「確かにその定義の方がいいな」「この結果が得られるのにはこんな理由があったのか」といった気づきが多くありました。その経験が成長につながり、プロジェクトを通して自信がついたのを覚えています。
大久:私は野本さんと同じ製薬本部コンサルティング部になり、入社後、早い段階からお客さまに提案営業をする機会がありました。異業種へのキャリアチェンジということもあり、ビジネス的にはまだまだ未熟ですので、チームメンバーからのフォローがとてもありがたかったですね。
メンバーには、製薬会社の営業出身の方や、野本さんのようなコンサルファーム出身の方など、さまざまなキャリアの方がいます。現在も勉強中ではありますが、法人営業のノウハウや、問題解決に導く提案の仕方など、多方面からハイブリッドに学びを得られることは大きな糧になっています。
また、製薬本部に入った新卒3名で、自主的に社内研究プロジェクトを立ち上げられたのも良かったですね。不妊治療領域の分析について、アイデアを出し合いながら社内研究を進めました。分析結果はウェビナーや記事、メルマガなどを通じて発表し、今後の提案につながる知見を共有できました。
──そうした自主的な動きというのは、会社としても推奨しているのでしょうか。
野本:特に制度を設けて推奨しているわけではなく、自然に生まれています。データを自由に触れる環境なので、やってみたいことを思いつくことも多いんです。それがお客さまにとって有意義なことなのであれば、時間を使うことに反対する人もいません。新しいことに取り組める雰囲気が醸成されていると感じます。
──新しいチャレンジを可能にするだけのデータがあるのも、大きな要因に感じます。
村木:そうですね。なんとなく思いついたアイデアが、実はJMDCのデータで分析可能だった……ということが何度かありました。
例えば「歯の健康と全身の健康の関連について分析できませんか?」と先輩に聞いてみたら、「うちのデータには歯科レセプトも含まれているから分析可能だよ」と返ってきました。まさに「こんなこともできるのか」と、今でも驚かされます。
野本:使えるデータの種類がどんどん増えているから、可能性も広がっていきますよね。
入社時はデータを使って何をするのか、具体的なイメージが湧かなかったのですが、今は新たなデータが増えるたびに「こんなニーズにも応えられるのでは」と活用法をずっと考えてしまいます。ひとつの市場に特化せず、さまざまな事業を生み出し続けられる環境にいられるのは、とてもエキサイティングですし、恵まれていると感じますね。
データビジネスは、「ダイヤの原石」を掘り当てる宝探しだ
──新しい事業が生まれ続けているJMDCに、このタイミングで新卒入社するからこそ得られる経験は何だと思いますか?
野本:会社が成長段階にあることもあり、やる気さえあればチャレンジできる領域がたくさんあることは、すごく魅力的だと思います。また、お2人の話にもあったように、いろいろな立場からのフィードバックを吸収できる環境なので、成長も実感しやすいのではないでしょうか。
──村木さんのデータサイエンスや、大久さんの看護師経験のように、新卒でも何かしらの専門性を持っている人でないと、入社は厳しいのでしょうか。
大久:そんなことはありません。私の同期には文学部出身の人もいます。入社当時は商談で飛び交う医療の専門用語がさっぱり分からなかったそうですが、今では戦力となって活躍しています。ヘルスケアやデータの専門知識よりも、新しい知識を学ぶ好奇心や意欲の方が大事です。入社後は先輩たちのサポートもあるので、専門性はなくても大丈夫です。
村木:新卒は数が少ないからか、仕事以外の部分で大事にされているのを感じます(笑)。一方で仕事は、新卒研修やメンター制度など新卒のためだけの仕組みもありますが、基本的に新卒も中途も別け隔てなく取り組んでいる印象です。
大久:新卒でもやる気と信頼があればプロジェクトを任せられたり、責任ある役割を与えられたりする。任せてもらえることにやりがいを感じる人には、とても向いている環境だと思います。
あとは、データが好きな人、データの可能性をポジティブに捉えられる人に来てもらいたいですね。
──皆さんはデータに対して、どんなポジティブなイメージを抱かれていますか?
野本:そうですね……。宝の山を持っているような感覚ですね。「この中にすごくきれいなダイヤモンドが埋まっている」と思うと、掘るのが楽しくなってくるというか。
大久:かといって、ゴールドラッシュというわけではないんですよね。掘れば掘るほど宝が出てくるわけではない。解釈や扱いに注意が必要だからこそ、たまに採れるダイヤモンドにときめく、みたいな(笑)。
野本:だからこそ、やりがいがありますよね。
大久:あとは、一見求めているものではなさそうでも、深く調べていくと意外と使えるかもしれない……というものもありますね。「磨いたら光る」ものがあるのも、面白さの1つでしょう。
野本:具体的な話をすると……データが使えそうな用途が見つかっても、レギュレーションや法務の見地から「難しいのでは」とストップがかかることがあるんです。では、どうやったらそのリスクを乗り越えられるのかと、関係者を巻き込みながら議論を重ねて、できることを探していく。こうした過程が、「ダイヤ」を磨く作業に近いのかなと思います。
データと患者をつなぐことで、私たちが未来を変えていく
──皆さんはやりがいや成長を感じる会社を見つけることができましたが、就活中の学生はまさに悩んでいる真っ最中です。そうした学生にアドバイスをするなら、何を伝えますか?
村木:そうですね……。就活生だった頃の自分にアドバイスをするとしたら、「どんな決断をしても頑張ればなんとかなるよ」、でしょうか。当時は「ここで選択を間違えたら一生が決まってしまう」と、就活を重く受け止めていたんですね。
JMDCに入社するときも正直「本当に良かったのか」と不安が拭い切れるわけではありませんでした。でも、入社後も周りに悩みを相談できる人がいましたし、自分で決断して前に進めた実感も強くなっていって、今ではこの会社に入って良かったと自信を持って言えます。過去の自分には「もう少し気軽に考えてみたら」と言いたいですね。
野本:確かに、最初から「この会社で結果を出さなくては」と肩肘を張って考えなくてもいいかなと思いますね。村木さんが周りに悩みを相談できたように、会社との相性もすごく大事ですし。将来もっといい環境が見つかったときのために、着実にスキルアップができる環境を優先したほうがいいのかなという気がしています。
大久:私の場合、ファーストキャリアがかなり特殊だったこともあり、「人」しか見ていなかった気がしますね。会社のカルチャーを作り上げているのは経営陣の考え方に寄るところが大きいので、経営陣が何を言っているかで選んでみるのも良いのではないでしょうか。
──JMDCの経営陣の言葉で、大久さんが印象に残っているものはありますか?
大久:以前に社長とランチをしたとき、「この会社は、誰が言うかではなく、何を言うかをすごく大事にしているから」と言われたのを覚えています。
野本:これは本当にそうなんですよ。社長や役員と一緒に会話をする場がよくあるんですが、上層部の発言に対しても「そうじゃないと思います」「こうだと思います」と、みんな平気で意見を投げ込むんです。偉い人が言うことだから……と尻込みする空気は、全然ありませんね。
──ありがとうございます。最後に、皆さんの目標について聞かせてください。
村木:より大きなプロジェクトで、責任のあるポジションを任せられるようになりたいです。今後は自分がフィードバックをする側に立てるようになりたいし、プロジェクト開始前の提案のフェーズでも中心人物として関わりたい。そのためにも、「この領域なら村木が日本で一番詳しいよね」と言われるようなナンバーワン領域を作っていけたらと思っています。
大久:2年目になり、いよいよ法人営業として独り立ちするので、早く自分のスタイルを見つけていきたいです。中長期的には、データと患者さんの「つなぎ役」になれたらと思っています。看護師時代も、医師と患者のつなぎ役を担うことが多かったですし、看護師とデータ分析の経験があるからこそできることに取り組めたらと考えています。
野本:個人的な話になるのですが、父が半年ほど前から入院していまして、症状に対して治療法がない状態にあるんです。私としては、せっかくヘルスケアの会社で働いているのに、一番近い人には何もしてあげられないことに、すごくもどかしさを感じていて。
今、このタイムスパンで父にしてあげられることは少ないのですが……もう少し遠い未来では、データによって健康状態を可視化することで、重症化を少しでも遅らせるような世界を実現していきたいですね。治療法がない領域での新薬開発なども、何らかの形でお手伝いできたら。私と同じような思いをする人を、少しでも減らせればと思っています。
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【ライター:井上マサキ/編集:黒木貴啓(ノオト)/撮影:百瀬浩三郎】