23卒内定図鑑シリーズも7本目。ついに、こちらが最終回となります。
最後にご紹介するのは、見事「大手広告代理店」の内定を獲得されたGさんの内定秘話です。
広告業界は、「個性的な志望者が多い」「選考では予期していない質問がされる」などというイメージから、「本選考の難度が高い」と思っている方がいるかと思います。
今回、インタビューしたGさんは、ご自身のことを「突出した個性は持っていない」と話しています。しかし、選考中の「ユニークな質問」に対して的確な回答をしたり、その他あらゆる対策を行ったりしたことで、難度が高い選考を通過しています。そんなGさんに、「広告業界」の就活を行う中で感じたことや、内定の秘けつ、予期しない質問に対する回答のコツまで、詳しくお話を伺います!
<目次> ●広告業界への決め手は「直感」。迷いなく志望業界を決定できた理由 ●高倍率を勝ち抜いて参加したインターン。参加学生の共通点から見えた広告業界で重要なスタンスとは ●突出した個性がなくても大丈夫。「自分らしさ」を伝えて「一緒に働きたい」と思わせることが選考突破のコツ ●内定獲得の秘けつは「伝え方」にある。「自分の良さ」を効果的にアピールする方法とは ●選考後は振り返りを。準備の量と自信で内定へと近づこう
広告業界への決め手は「直感」。迷いなく志望業界を決定できた理由
──はじめに、Gさんがどのような軸を持って就活を行っていたのか教えてください。
Gさん:3つあります。
・他者に寄り添って成長を支援できる ・ロジカルとエモーショナルのバランス ・憧れる人に出会える環境
これは、面接のときに話す「建前の軸」のようなものです。「本音の軸」としては、2点あって、「面白い人が多くいること・興味あるものに携われること」でした。
──どれもすてきな軸ですね。中でも、「ロジカルとエモーショナルのバランス」という点が気になりました。これはどういうことですか?
Gさん:私は自身のことを、「論理性」と「感性」のどちらも持っている人間だと思っています。そのため、「働きやすい環境」を考えたとき、それは「ロジカルとエモーショナル」な感覚のバランスが取れた仕事だと思い、軸の1つにしていました。
──なるほど。そのような軸がある中で、最終的にGさんが「広告」業界に決めた理由を教えてください。
Gさん:一言で言うと「直感」です。もちろん、これは就活の軸に合っていたこと・複数の業界の企業説明会に参加して、業界を理解している前提のもとでの「直感」です。
──「直感」ですか⁈ もう少し詳しく教えてください。
Gさん:私は、あらゆる活動において、「コミュニティ」と「人」を大事にしてきました。
これまで「特に注力した活動」において、「なぜここまで頑張れたのか」を深掘りしていくと、「人」が理由であることが大きいです。
また、その「人」というのも、「憧れる人・尊敬する人」にありました。
そのような背景から、自分の「憧れる人」が多い環境を考えたとき、企業説明会に登壇する社員の方の話や雰囲気から、「直感」的に広告業界だと思いました。
──内定先を決めるとき、「自分の決断がこれで良かったのか不安」と思う方もいるかと思います。これに対してGさんはどうですか?
Gさん:そのような不安はなかったですし、就活を終えた今でも決断は間違っていなかったと感じています。
決断って時間をかけたり、安全な道を選んだりしたとしても、後悔することはあると思いますし、その先に何が起こるか分からないじゃないですか。それであれば、選んだ道を納得できる結果にしたいと思っています。
高倍率を勝ち抜いて参加したインターン。参加学生の共通点から見えた広告業界で重要なスタンスとは
──広告業界の本選考だけでなく、イベントやインターンにも参加されたかと思います。同時に、コンサル業界のインターンにも参加されたそうですが、他業界と比べたときの、広告業界を志望する学生の特徴はありましたか?
Gさん:やはり、「個性の強さ」を感じました。他の業界のインターンで出会った学生と比べて、すごく人に興味を持つ方が多いという印象でした。
例えば、アイスブレイクの時間で、「どのようなことにワクワクするか」など、「こんなことを聞く……⁈」みたいな、性格に関する質問をされました。
──「人に興味を持つ」という性格は、広告業界でのお仕事に活きる部分が多いのでしょうか?
Gさん:広告の仕事は、人の感情を揺さぶるCM・イベントを作っていくため、相手が考えていることを知ろうとしたり、興味を持てたりする性格は大事なのではないかと思います。
突出した個性がなくても大丈夫。「自分らしさ」を伝えて「一緒に働きたい」と思わせることが選考突破のコツ。
──先ほど「個性」の強い学生が多いというお話もありましたが、やはり広告業界では「強い個性」が求められるのでしょうか。Gさんはどのようにアピールしていましたか?
Gさん:突出した個性があればアピールするべきだと思います。ですが、私は、広告業界にいる学生に比べて「自分には個性がない」と思っていたんです。
「個性がない自分だけど、実はこんな魅力がある人間なんです」ということを伝え、人としての魅力をアピ―ルしました。これに対しての面接官の反応も良く感じられ、最終的に内定をいただけたので、「面白い」と思ってもらえたのかなと思います。
──Gさんは「どのような魅力」をアピールしていたのでしょうか?
Gさん:私は、自分の魅力として、「柔軟性」や「視野の広さ」を掲げていたので、これをアピールしていました。
実際のインターンシップや、長期インターンでのエピソードを盛り込むことで、より再現性が高く、自身の「人としての魅力」を伝えました。
──なるほど。長期インターンでのエピソードについて教えてください!
Gさん:「柔軟性」と「視野の広さ」を生かして、自分の結果だけでなく、チームのことを考えながら行動して結果にコミットしてきたというエピソードです。
私が担当した仕事は学生中心のチームで、テレアポをするというものでした。
その際、チーム内で、結果を出すことができずに離職してしまいそうな学生がいたんです。
その学生も取りこぼしなく活躍できる環境を作るために、施策を考え、社長に提言しました。
──とてもすてきなエピソードですね! 強い個性がなくても再現性の高い魅力があればいいんですね。他にも、工夫していたことはありますか?
Gさん:企業側に「あいつ面白そう」「一緒に働きたい」と思ってもらうために、「対話をすること」を意識しました。
具体的にいうと、自宅の変わった環境を「話のネタ」として使っていました。
私の部屋は屋根裏のような設計をしているので、オンラインの面接をすると毎回と言っていいほど「どこで面接を受けているの⁈」と突っ込まれました。ここから会話を膨らませていくことで、距離を縮めていきました。
内定獲得の秘けつは「伝え方」にある。「自分の良さ」を効果的にアピールする方法とは
──改めて、Gさんが大手広告代理店に内定できた秘けつを教えてください。
Gさん:2つあります。
1つ目は、先ほどのお話に似ていますが、「自分の良さ」を的確に捉え、企業側に伝わるようにアピールできたことだと思います。
私は、「視野の広さ」と「柔軟性」を強みとしていました。この強みは、チームや組織の中で「人々を円滑に巻き込む」ことができると考えました。そのため、働くうえで、マネジメントをする場面や、多くの人を巻き込む広告代理店での仕事の場面で活きてくるということを本選考では伝えていました。
──なるほど。自分の強みをアピールするだけでなく、それをどのような場面で生かすことができるのかまでアピールしたのですね。
Gさん:はい。この点においては、言い方が悪いですが、「企業に寄せる形」で、企業の中で自分の強みが生かせる領域があることをアピールしていました。
──詳しく教えてください!
Gさん:企業が持つ強みや特徴はいくつかあると思います。
その中で、自分の強みや、就活軸とリンクしている点を強くアピールしていくという意味で、「企業に寄せる」ということをしていました。
面接中では、自分自身が持ち合わせている良さを、企業の社風や雰囲気に沿うような言い方で話すようにしていました。
──企業の特徴に沿って、自分の良さを作り替えるわけではなく、自分の良さと企業の特徴がマッチする部分を強調してアピールしたんですね。ちなみに、「自分の良さ」はどのように見いだしていったのでしょうか?
Gさん:友人に「自分はどんな人間か」という質問をするような他己分析を行っていました。
その中で、ありがたいことに、「おまえって視野が広いよな」「細かい気配りができるよな」 と言っていただけました。
言われた当時は、そこまで意識はしていませんでしたが、過去の体験を振り返るなど、自己分析をしていくと、長期インターンの活動で友人が言ってくれた「視野の広さ」「気配り」に対して納得感を持つことができました。
──続いて、内定をつかむことができた2つ目の理由を教えてください。
Gさん:面接官に「餌をまく」ことかと思います。
面接中に、「学生時代に力を入れたこと(ガクチカ)」や、志望動機などを聞かれることがあるかと思います。その際、部分的に情報量を「不完全」にして、話すようにしていました。
──どのような意図があったのですか?
Gさん:面接官に「自分がより強く伝えたい部分」を質問してもらうためです。
それにより、面接を自分の流れに持っていくことができますし、用意していた回答を話すことで「しっかり面接の準備している」学生だと感じてもらうことができます。
始めに不完全さを出すことで、面接官に「おやっ?」と思わせといて、質問に対する回答をしっかり話すことで、「ギャップ」を狙っていました。
──なるほど。自分の予想している通りに面接官に「聞かれたい質問」をしてもらえるものなのでしょうか?
Gさん:始めは的中率が低かったですが、面接回数を重ねるうちに的中率が上がってきました。「面接官はここが聞きたかったのか」と気付くたびに、その部分をブラッシュアップしていき、より「面接官が求める回答」ができるようにしていきました。
──ちなみに、他の業界と比べて労働時間の長い広告業界では「タフさ」を確認する質問もあると聞きます。どのように回答されていたんでしょうか?
Gさん:たしかに、労働時間に関する質問はされます。
その際は、「体力がある」「負荷がかけられた状況で高いパフォーマンスが出せる」ということを原体験を交えて話すことで対応していました。
ただ、広告の仕事は「答えのないものをひたすら探し続けること」だと思うので、労働時間は長くなると思っています。
選考後は振り返りを。準備の量と自信で内定へと近づこう
──これまで、Gさんの内定の秘けつを伺ってきました。これから本選考に臨む学生に向けて「これだけはしておきたい準備・対策」があれば教えてください。
Gさん:選考後の「振り返り」を欠かさず行うことです。 全ての選考において、「良かった点・反省点・次回に生かせる点」を振り返っていました。
例えば面接であれば、「自分はこの部分はアピールできた」「この質問をされた時に少し戸惑ってしまった」「この部分は面接官に響いていなかったから、次回は違う話し方をしてみよう」というのをまとめていました。
──選考での様子を振り返ることは大事ですよね。
Gさん:複数の企業の本選考を受けていると、選考に落ちてしまうことがあるかと思います。
ですが、振り返りを行うことで、「ここを直せば次の選考は大丈夫」と思うことができたので、次回の面接がより良くなるだけでなく、ポジティブに気持ちを保つことにもつながります。
──ありがとうございます。続いて、広告業界を志望する学生にメッセージをお願いします。
Gさん:本選考に対して、緊張や不安は誰にでもあるとは思います。
ですが、胸の内は「自分みたいな人材を取らなくて良いんですか?」と思えるくらいのテンションで本選考に臨むことをおすすめします。
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