「こんなに志望者減っているんですか……?」
省庁の学生向け座談会イベントに、内定者として初めて参加したときのこと。
座談会を行う部屋に入った私の目に飛び込んできたのは、まばらな志望者と、目立つ空席。外務省員の「卵」である自分には、衝撃的な光景でした。自分が志望者だったときは、あんなににぎやかだったのに。
実際、官僚志望者は驚くほど減っています。
2020年度から2021年度にかけての減少率は、なんと14.5%だったとのこと(※)。3年で半減してしまうペースです。
私も志望者の減少を知ってはいました。「ブラック霞が関」などと言われているし(この言葉自体は扇動的で好きですが)、超過勤務問題はよく報道で取り上げられている。志望者が減るのも無理はない……、そう思っていました。
しかし、心の底から「納得」できていなかったのかもしれません。
就活中は多くの省庁志望者と出会いました。それも優秀で、尊敬できる学生ばかり。イベントや選考の参加人数も民間企業とそんなに変わらない。「意外と減っていないんじゃないの?」くらいに捉えていました。でもそれは甘かった。
内定者になり、周りを冷静に見られるようになったことで、志望者の減少に初めて気付いたというだけ──かもしれない。でも、この現状にモヤモヤする自分がいます。
(※)参考:日本経済新聞「キャリア官僚志願者14.5%減 過去最大、働き方影響」
情報が回らない官庁就活。しかし、霞が関でしか経験できない仕事もたくさんある
就活中に訪れたある省庁の説明会で、職員の方がこう話していました。
「官僚になるということ、それは、例えば外国で意見を述べたときに、その主語が『日本』になるということなんです」
私はこの言葉が今でも忘れられません。「日本を代表する」なんてオリンピック選手のような一部の人にしかできないことで、私には経験できないことだと思っていたからです。
「役所は情報発信が下手」とよく言われるように、官僚の仕事は、普通に就活をしていてもあまり情報が入ってこないし、ネガティブなイメージも多い。でも、調べてみるとあまり知られていない魅力がたくさんあるのだと思っています。
今回、お届けする特集は「UPDATE 霞が関」。「みなさんの官僚就活に対するイメージをアップデートする」をテーマに、5本にわたって記事をお届けします。
あまり知られていない官僚の業務やキャリアパス、民間企業との比較や内定者の就活スケジュールまで。官僚志望の人もそうでない人も、社会人の方々も楽しめる内容になる予定です。
乞うご期待!
【3月17日(木)公開】「BCGに転職して成長もやりがいもあった」と語る官僚が、それでも霞が関に戻った理由
「どうせ人生費やすなら、『自分の仕事で社会が良くなった』って言える方が良い」
そう話すのは、新卒で外務省に入省、ボストン コンサルティング グループ(BCG)に転職するも、その後また外務省へ戻ってきた石田春菜さん。外務省唯一の再入省職員です。
そんな石田さんに、「霞が関がブラックって本当?」「コンサルとの違いは?」「何をモチベーションに働くべき?」など、知られざる官庁の魅力やコンサルとの比較を取材してきました。
【3月18日(金)公開】スケールの大きい仕事がしたい?そんなあなたに知ってほしい「国家総合職」という道
多くの学生が就活の軸として話す、「社会に影響を与えられる仕事」や「スケールの大きい仕事」。
「大きな仕事」というと非常に魅力的ですが、一部の大企業や難関企業でないとできないように感じられますよね。しかし、国家総合職(いわゆる「官僚」)になると、キャリアによっては、民間企業と同じくらい、もしくはそれよりも大きな仕事を担当することができるんです。
シリーズ2本目の記事では、意外と知られていない、国家総合職の業務内容やキャリアパス、さらに志望民間業界ごとのおすすめ省庁をご紹介します!
【3月22日(火)公開】企業選考を受けながら官僚も目指せる?サマーインターン前に知っておきたい「国家総合職・教養区分試験」とは
「官僚」というと、「とにかくめちゃめちゃ勉強している」みたいな印象ありませんか?
もちろん、そういう人もたくさんいます。でも、民間企業の選考も受けている官僚志望者も非常に多いんです!
ここで紹介するのは、比較的科目数が少なく、企業選考と両立しやすい「教養区分試験」。「官僚になるには長い勉強期間が必要」と思っている、民間企業志望者必見です!
【3月23日(水)公開】125社にエントリーした就活ガチ勢が、しれっと経済産業省から内定を得た方法
コンサルや総合商社とともに、経済産業省に内定したAさん。
はじめから国家総合職志望だったにもかかわらず、「ほとんど民間就活しかしていない」と話します。企業選考の経験だけで官庁就活を「クリア」する極意とは。
【3月24日(木)公開】年収1000万円、もらっても本当に使えますか……?私が外銀と悩んだ末に霞が関を選んだ理由
多くの就活生に共通するのが、「内定は得たけれど、結局どこに就職しよう……」という悩み。
「待遇・給与」を求める学生の多い中、インタビューしたBさんは一風ちがった観点で最終就職先を選びました。コンサル・外銀の内定を得ながら、外務省への入省を決めた、その選択の過程に迫ります。
(illustration:Viktoria Kurpas , Pretty Vectors , 21kompot/Shutterstock.com)