「就活は早くから準備を始めることに越したことがない。それはわかっているけど……」
こんな気持ちを抱え、なかなか就活のスタートが切れない方や、やってみたもののやり方が正しいのか不安な方も多いのではないでしょうか。
総合コンサルティングファーム「BIG4(※1)」の内定者4名を招いた座談会企画。後編のテーマは「就活の進め方」です。特に早期からの対策が必要とされる業界ですが、参加者全員がサマーインターン参加を一つの目安に据えて、大学2年生の冬から3年生春に「業界を知る」ことから就活を始めたようです。
コンサル志望の就活生がやっておくべきことや、やめたほうがよいことには、どんなことがあるのでしょうか。内定者だから語れるコンサル就活のリアルをお届けします。
(※1)……世界4大監査法人である、デロイト トウシュ トーマツ 、プライスウォーターハウスクーパース(PwC)、KPMG、アーンスト・アンド・ヤング(EY)の総称。コンサル業界においても各法人のグループファームである、デロイト トーマツ コンサルティング、PwCコンサルティング・PwCアドバイザリー、KPMGコンサルティング、EYストラテジー・アンド・コンサルティングの4社を総称し「BIG4」と呼ばれている
▼前編の記事はこちら
・【コンサルBIG4内定者座談会】「ぶっちゃけ、各社の違いなんてない」それでもあった、あのファームに決めた理由
※仮名が社名を想起させるものとなっておりますが、内定先企業による公式見解ではありません。ですが、座談会中の発言はすべて、各内定者が就活や選考を通じて感じた本音です。
就活のファーストアクションに絶対解はない。4名に共通していたのは、コンサル業界を「知る」ために、まずやってみること
──みなさんはいつから就活をスタートされましたか?
EY夫:大学2年生の3月からです。初めの頃は、コンサルに関連する本を読んだり、ケース面接の練習を行ったりしていましたね。他には、基礎知識を押さえるために、業界研究の記事もよく読んでいました。就活初期は、求める情報の深さがまだ浅いため、ウェブ記事の内容でも十分事足りていました。
PwC介:私もEY夫さんと同じ時期から動き出しました。最初は、ケース対策に関する書籍を読み、コンサル選考の面接ではどのようなことが聞かれるのかを把握するところから始めました。
デロ彦:私は大学3年生の5月に初心者向けセミナーに参加して就活をスタートしました。
そもそも何から手をつけてよいかわからなかったので、まず全体感を把握することから始めましたね。参加した企業説明会で、今思えばとんでもない質問なんですけど「最初にどこを受ければ後悔しないか」と聞きまして……(笑)。
「コンサルか外資系投資銀行を受ければよい」と回答をいただいて、コンサルのサマーインターンに向けて行動を始めました。
──すごいストレートな質問ですし、回答もシンプルというかなんというか……(笑)。
一同:(笑)。
デロ彦:でも、この質問が私のキャリアの分岐点になりました。セミナー後にすぐ先輩に連絡してコンサル内定者を紹介いただき、それからずっと就活のサポートをしてもらうようになり結果としてコンサルに入社することになったので。
──「まず、何から手をつけてよいかわからない」は毎年就活生の方が抱くお悩みですよね。KPMG郎さんは何から始めましたか?
KPMG郎:先に就活を始めていた友人から、偶然就活に関する話を聞いたことがきっかけですね。大学2年生の1月頃だったと思います。同じ業界を目指す同期や志望業界の先輩へヒアリングをしながら、Twitterでも情報収集を兼ねてコンタクトをとっていきました。
──SNSで情報収集を行うのは、今や就活の定番になりましたよね。具体的な活用事例を教えてください。
KPMG郎:志望業界の就活に関する情報をツイートする人だけフォローしている、いわゆる「就活アカウント」を作成し、そこで情報を仕入れていました。タイムラインに表示される情報を限定することで、得られる情報の精度が自ずと高くなりましたよ。
また、ヒアリングツールとしても使っていました。具体的には、現役でコンサルタントをされている方や、自分と同じ企業を受けている方にDMやリプライ(※2)を送り、選考でどのような質問を受けたのか、などを聞いていたんです。
その際に心がけていたことが1つあって、ギブの精神を心がけていました。情報をもらってばかりだと、相手の方に旨味(うまみ)がなく、信用もされないので。他のアカウントから情報が得られる可能性を少しでも高めるため、定期的に自身の選考体験をツイートしたり、同じ業界を志望するアカウントへコメントやいいねを送ったりなどは意図的に行っていましたね。
(※2)……Twitterでは、相手の投稿にリプライという形でコメントを送ったり、DM(ダイレクトメール)を送付したりできる
ケース対策はやりすぎるとよくないって本当? コンサル内定者に実施していた選考対策を聞いてみた
──他のみなさんは、どのような方法で情報収集を行っていましたか?
PwC介:主に内定者の方からお話を聞いていました。他にはワンキャリアなどの就活サイトも利用していましたね。就活サービスを利用する際は、情報の取捨選択を意識していました。例えば、掲示板やオープンチャットに書き込まれた意見は、主観の内容もあるため、鵜呑(うの)みしすぎないよう留意していました。総じて「生の声を集める」ようにはしていましたね。
デロ彦:内定者の声はもちろんですが、私は興味を持った会社のインターンに参加し、情報を集めました。内定者と社員で話している内容の共通点とギャップを探すことで、社風や大事にしている価値観をはっきりと理解できました。社風などの定性的な情報は、比較的交流時間が短い説明会や、選考だけでは見えにくい点なので、インターンなどで長時間接しないとわからないと思います。
EY夫:私も基本的には2人と同様ですね。書籍や就活サイト、インターンへの参加を通し、情報を取得していきました。サマーインターンでは、選考を受けながら各業界の特徴をつかむようにしていました。
──EY夫さんは書籍からのインプットが多いようですが、コンサルを受ける上で特に参考になった書籍はありますか?
EY夫:そうですね。コンサル系の書籍で特におすすめできるのは3冊あります。コンサル的な思考法だけでなく、仕事へのスタンスもリアルに感じ取れる『戦略「脳」を鍛える』(東洋経済新報社、2003年)、コンサル的な思考法のエッセンスが詰まっている『論点思考』(東洋経済新報社、2010年)、『仮説思考 BCG流 問題発見・解決の発想法』(東洋経済新報社、2006年)。これら3冊はとても勉強になりました。
──PwC介さんやデロ彦さんは「生の情報」を仕入れることに注力されていました。EY夫さんとKPMG郎さんはOB・OG訪問などは行っていましたか?
EY夫:私は、内定を取るためにOB・OG訪問は必要ないと判断したため行いませんでした。その会社を受けるか否かを判断する際に必要な情報や選考対策は、書籍やインターンで十分集められたので。
KPMG郎:私はTwitterで接点づくりをしていたので、それが社員訪問の代替になっていた感じですかね。一次情報を得るという意味では、OB・OG訪問は有用だと思います。コロナ禍では、オンラインで先輩と話すことが多いと思いますが、自宅などで集中できる環境が作れるため、話が聞きやすいのではないでしょうか。もし先輩と接点がない人でも、インターンや選考でつながった人、もしくは内定者からの紹介など、相手を見つける方法はいろいろとあると思います。
──ありがとうございます。続いて、コンサル業界を志望する上で対策が欠かせないフェルミ推定やケース面接の対策についてお聞かせください。
デロ彦:グループディスカッション(GD)の対策セミナーを3回ほど受けてから、自身でも就活仲間を集め、テーマと時間を設定し、何回か対策を行いました。
KPMG郎:私もです。就活を始めるきっかけとなった友人などに声をかけ、数回一緒に対策をしました。
EY夫:私は1人で対策をしていました。ただ、ケース対策本による対策は早々に飽きてしまったためそこまで数をこなしたわけではありません。その代わりに、日常生活で目に入ったビジネスやニュースを材料に、思考のトレーニングを行っていました。ケース面接の話からは逸れますが、コンサルのエントリーシート(ES)は、最新の社会潮流についての設問があるため一石二鳥かなと思って。
──ここまでの3名はケース対策にそこまで注力されたわけではなさそうですね。元外資系戦略コンサルの方も「ケース対策をやりすぎると悪影響もある」と言っていました。PwC介さんはいかがですか?
PwC介:私は結構やっていたほうかと思います。というのも、『東大生が書いた 問題を解く力を鍛えるケース問題ノート 50の厳選フレームワークで、どんな難問もスッキリ「地図化」』(東洋経済新報社、2010年)を読み進めるうちに、「今のままだと、かなりまずいんじゃないか……」と思いまして……(笑)。そこから、何名かのコンサル業界内定者の方にご協力いただき、ケース含めサマーインターンに向けた対策を手伝ってもらいました。
EY夫:PwC介さんは戦略コンサルも選考が進んでいたんですよね。私も戦略受けていたんですけど、ダメで。対策をやらなさすぎで戦略コンサル落ちた説がありますね。
KPMG郎:私も戦略落ちた理由がわかりました。
一同:(笑)。
「主観にとらわれない」「思考することを諦めない」。何事も疑ってみることは、コンサル志望の必須スタンス
──実際に選考を受ける中で、「こんな人がコンサルタントに向いている」と感じた点を教えてください。
PwC介:「粘り強さ」は必要だと思いました。選考を受けていく中で、自分の考えを何度も否定されたり、違うアプローチで考え直さないといけなかったりする場面が何度もありました。当たり前ながら初めに考えた自分の考えが、正解であることはほぼ100%あり得ないから。そんな中で、最初の答えに執着しすぎず、いろいろなアプローチや考えを吸収した上で、諦めずに粘り強く考える、思考を続けていくことがコンサルタントには必要だと感じました。
デロ彦:人や物事への興味を持ち続けられることも重要ではないでしょうか。実際の現場では、常に自身の意見を受け入れてもらえるわけではありません。コンサルの仕事はクライアントワークなので、自分が好きではない/興味がない物事とも向き合い続けなければならないことも発生します。人や物事への興味関心が強くないと、良好な関係性構築も、アウトプットの質向上も難しいのかなと感じました。
──ありがとうございます。続いて、改めて当時を振り返る中で、「就活でやってよかった」と思うことを教えてください。
デロ彦:とにかく「早い段階から動くこと」ですかね。当時の私は、3年生の夏の時点で、サマーインターンに行けるかが肝だと考えていました。そのため、4月頃から着実に就活を進められるようスケジュールを管理していました。
また、自分だけで動くとどうしても孤独を感じやすいため、ゼミやサークル、就活イベントなどを通し、ペースメーカーとなる人を1人でも見つけられると動きやすいと思います。ただ今は、コロナの影響でリアルの交流は減っているので、KPMG郎さんが話していたように、オンラインなどを通し、仲間を見つけるのも一つの方法ではないでしょうか。
KPMG郎:やはり「一次情報を獲得しにいく」ではないでしょうか。デロ彦さんも仰ってましたが、社風や社員の雰囲気などの情報は、そこで働く人たちに直接聞かないとわかりません。コンサル業務においても、一次情報は重視されると聞いています。したがって、今から自分で取得に動く癖をつけておいて、損はないと思います。
EY夫:私は「思考することを諦めない癖をつけること」ですね。何事も深く考えることは難しいし、頭のスタミナが必要になります。だからといって、さっさと思考を投げ出すというのはやめたほうがよいと思います。例えば、日頃の会話やニュースの中で出てくる話を「ふーん」で終わらすのではなく、「本当なのかな?」と疑う姿勢を普段よりも一段階、高めることから私は練習していきました。段階を上げていく中で、習慣化され、次第にコンサルタント向きの思考へ変わっていくはずです。
──では、「これはやめたほうがいい」というのはどのようなことでしょう?
EY夫:「少数のコンサルタントだけ見て一般化すること」は、避けたほうがいいですね。出会った人たちだけの印象から「この企業はこんな会社」と短絡的に考てしまう人は、コンサルタントには向いていないと思います。相手の言葉や印象をそのまま受け入れてしまうのは、やめたほうがよいですね。
──なるほど。ただ、実際に就活生が直接会えるコンサルタントの数は、正直限られていると思うのですが……。
EY夫:大前提として、学生側から「実際、ファーム全体ではどうですか?」のような、一般化した質問を投げる必要があると思います。それが難しいようであれば、「◯◯な人もいると思いますが、他の方も一緒とは限りませんよね?」などのように聞いた上で、あくまで1人の意見であると差し引いて捉えるべきですね。
PwC介:「自分が絶対正しい」と主観にとらわれてしまうのも、やめたほうがよいですね。少数の事例から、全体像を主観で作り上げてしまう可能性があるからです。まさにEY夫さんの言う、少数から一般化する状況を作り出してしまいます。
そのため、「自分の考えは完成系ではない」という意識を常に持っておいたほうがいいのではないでしょうか。ケース面接でも、コンサルタントとして働くようになってからも言えると思うのですが、常に何かしらの改善点や見落としている論点があると自覚しながら行動することが大事だからです。
──とはいえ、自覚していても、主観にとらわれてしまうことは誰しもにあることではないでしょうか。それを打破するためにPwC介さんが気をつけていたことを教えてください。
PwC介:「守りの思考になるのはよくないぞ」と常に思っていました。どうしても周囲から自身の意見を否定されてしまうと、「自分が正しいんだ」と反発しがちだと思いますが、その状況にはならないよう避けていました。「そういう考えもあるよね」のように、どんどん思考をアップデートしていき、「自分の考えは本当に正しいのか」「相手が言っていることっては本当はどういうことなのか」を意識的に考え続けるようにしました。EY夫さんが仰るように、自分の考えに対しても、他人の考えに対してもある程度疑いの目を持ったほうがいい気がします。
KPMG郎:否定された点を推敲(すいこう)しつつ、クリティカルに前提を疑うという両輪を意識することが大事ですね。
──みなさん、ありがとうございました。
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※こちらは2022年1月に公開された記事の再掲です。