突然ですが、あなたの就活、順調ですか?
「順調かはわからない……。でもやってはいるよ!!」
そう答えたあなた。
甘い!!! 甘いです!!! 非常に甘い!!!!
ルノアールのココアより甘い!!!(は?)
なぜそんな、見ず知らずのあなたに突っかかるのか!!
それは、私こそが「やったふり」で貴重な学生生活の時間を浪費し、やった気になってしまった就活生だったからです。
早めに就活を始め、イキった私。気づけば「やったふり就活生選手権」にエントリー入りを果たし、見えない暗闇の中でじたばたしていました……。
いかに「やったふり」をし(当時は、これでいいと思っ)ていたのか。
当時の私の間違った時間浪費術を挙げていこうと思います。
名付けて「やったふり就活生の勘違い就活ルート」(ジャジャン!)
ところで私は大学4年生なのですが、1回留年をしています。
理由はいろいろあるんですが、今振り返ると、なんとなく大人になりたくなかったんじゃないかなーって思います。将来を決めるのが怖かった。
キャリアの恐怖心だけは、なぜか人並みにあったので大学2年生の夏頃から長期インターンに力を入れていました。ゆるゆると始めていければいいと考えていたはずが、いつの間にかこんな気持ちが芽生えていきました。
「早めにキャリアのことを考え、行動している」
そう、それが最初の「やったふり」であったと思います。
やったふり(1)長期インターンで安心感を得る!!!
「インターンにいっているから大丈夫っしょ」
「バイトをしているよりインターンの方が成長の実感がある。面接で言えることもあるだろう」
「どこも受からなかったら、ここにする? いや、うーん」
とかとか。早めに行動してインターンで時間が埋まった私は、目の前のことに必死になっていました。
だって、長期インターン開始は大学2年生の夏。なんとなく意識が高いというか、周りの人よりも将来のことを考えて動いている気がするもん。
「とりあえず、働いてみて、面接で言えることを作っていけば楽勝っしょ」
そんな思考になっていました。
長期インターンをやっていることが就活で有利になると信じて……。
いったん、目の前のことをやった方が就活でも役に立つよね。
そう思ったのが勘違い。
人よりも進んでいると思い込み、あぐらをかきまくっていたのです。
当時は、ただただ就活や自分の道を考えるより、目の前に没頭していた方が楽だったのです。就活から逃げていました。大恥です。逃げ恥もいいところですが、役には立ちませんでした。一体、何をやっていたの私!!!
ぼろぼろの勘違いスタートから始まった私の就活戦線。
気づけば大学3年生の夏。
サマーインターンもまだいいかな。どうせこの時期に本気を出しても内定をもらえるわけでないし、と(この情報は単なる思い込みであった)。
完全に舐(な)め腐っていました。そんな私に待ち受けていたのが……。
やったふり(2)ワンキャリア記事としゅんダイアリーを見まくる!!!
振り返ると意味がわからない。事件である。
この頃の私は、やりたいこともいきたい会社も明確に決まっていなかった。「納得できるところにいきたい」。それだけだった。
これまでの人生で一番大事ともいえる新卒の就活。とはいえ、今の時代は転職もあたり前だし、みんな最初からうまくいっていたわけではない。
結局どうすればいいか分からず、最初に行ったのが、情報収集だ。
ワンキャリアのアプリを入れて、「選考対策の記事10選」や「過去の先輩の内定図鑑」を読む。(※宣伝ではありません)
先輩の就活の道筋をたどると、冬に挫折をして、最終面接で受からずにそこから一念発起した逆転ストーリーが書いてあった。
「は〜、みんな『自分がこのままじゃやばい!』と思っていたんだな〜」
「いろいろあるけど、本気になればうまくいくんだな〜」
じっくり読んでいるわけでも、メモをするわけでもなく流し読みである。学びがあるように思えたが、一瞬だ。5分後には「あれ? 結局なんの話だっけ?」と忘れていることにも気づかず、いっときの満足感に酔いしれていた。
大学3年生の秋学期。インターンや大学の授業を忙しくこなし、空いた時間は就活の情報収集。
寝る前や電車の時間には就活生YouTuberのしゅんダイアリーのチャンネルで「エントリーシートの書き方」「無双する自己PRの作り方」「軸の作り方」の番組を視聴(※これも宣伝ではありません)。
私の就活は遅れていないよね?
本格的に応募しなくていいよね?
自分を安心させるかのように自問自答した。
だって自己分析もまだし切れていないんだから。仮に最終面接を通ったところで、その会社にいかないだろうし、時間の無駄でしょ。
そう言い聞かせながら、しゅんダイアリーを見まくる。
画面越しで「自己PR」や「志望動機の作り方」に悩む出演者の就活生を見て「自分の方がマシだ」「ズタボロにされてかわいそう」だと思い、気づけばスマホを握り寝落ち。1日が終わったことにびっくりする。
少し焦るけど、まだ大丈夫。だって就活解禁は3月らしいし。
今は「自己分析」と「いきたい業界を絞る」ことに専念すればいい。
ふとカレンダーを見ると10月になりそうだった。
結局、今まで応募した企業は2社ほど。本当はもう少し応募したかったけど気づけば締め切りがすぎていたり、SPIの受験がめんどくさくてサボったりしていた。
だけど、なんとなく就活をしていた気になっている。情報には触れていたから。
本当は何も分かっていないし、身に付いていない。
「就活体験談を読んでも、これからっていうし、まあ大丈夫だろう。そのうち自分も体験談の主人公のようにお尻に火がついて、内定をもらえるでしょう!」
そんな自分を夢見て……。
やったふり(3)もっと就活の予定を増やしてみる!!!
大学3年生の11月。少しは就活をやっているけど、全く進まずにやる気も下がっていました。
でも焦ってはいる。そんな人がする行動……。
それは、とりあえず予定を埋めてみること!!
・新卒エージェントに登録して面談の日時を設定する
・就活アプリをダウンロードして、気になる企業に応募する
・当時少しいきたいなと思っていた博報堂のOB・OG訪問
訪問につなげてもらう
・「SPIの問題集」や『メモの魔力』『会社四季報』を購入
・ワンキャリアライブで業種を問わずに「どんな企業」があるかを情報収集
手当たり次第に行動を起こしてみよう。自分のことが分からなかったら壁打ちをしまくって、答えを導いてみよう。
自分に向き合う時間や、企業を選ぶ時間、どんな生き方をしたいのかを、目の前の大人に話し、うんうんと聞いてもらう。なんとなく発見した気になるけど、なんか違う。
自分探しの迷子状態になっていた私は、就活の企業選びや業界選びにしっくりなんて来なくて、投げやりで「全部なんとなくいいなーと思う」にたどり着く始末。
説明会に参加して「結局、自分って何をしたんだろう」とぼんやりと考え、明日に回す日々。
無限のループに陥ってくる。進んでいるのか、進んでいないのかわからない就活に、自信と勢いを失っていく。
「就活をやってはいたじゃん。でも今も結局、わからない」
焦る気持ちで集めた情報を整理できず、つぶれそうだった。
やったふり就活生の末路
就活解禁の大学3年生の3月。いつの間にか、9月に就活をし始めてから半年がたっていた。
やっていたと思っていたけど、情報収集と浅い自己分析だけが手元にあり、何一つ進んでいない! 積み上がっていたものは何だったんだろう……。虚無感しかなくて唖然(あぜん)とした。
さて、この「やったふり」でごまかした私は、毎日つぎはぎのように間に合わせて「志望動機」「就活の軸」「なりたい像」を考えるようになる。
気づけば応募したい企業の選考もなく、自分のアホさに泣きたくなった。
でも時間は待ってくれない。
広告業界やIT業界のエントリーシート(ES)締め切りも、1週間以内に5社。面接も同時に2社あり、SPIの勉強もしていなくてボロボロで見送られる。説明会やOB・OG訪問なども滑り込みで参加。
あの頃、「やったふり」で何も積み重なっていない空虚感で、心は死んでいました。
とにかく情報をぱくぱくと食べるのではなく、もっと本質的な「受ける」「合格するための行動をする」「自分の頭で考える」をしていくしかない。そのときになって、ようやく分かったのです。
就活の本質は「どう生きるのか」を考え、指針をたてること。
「やったふりになっていないか」
今日1日を振り返り、こう問いかけていけば、ルノアールのココア並だった私の考えの甘さも、コーヒーフロートくらいには、なっていたかもしれない。
貴重な就活の時間を、皆さんが「やったふり」で遠回りして無駄にしないように。心から応援しています。
(Photo:Andrew Krasovitckii , WinWin artlab/Shutterstock.com)