こんにちは、ワンキャリ編集部です。
今回は、全国紙唯一の経済紙として日本社会を支えてきた、日本経済新聞社(記者職)の早期選考のポイントをお伝えします。
選考前の最終確認にぜひご一読ください。
現在新聞業界は斜陽産業と呼ばれ、一世帯当たりの購買部数が20年間で大きく減少しています(※1)。しかし、日本経済新聞社(以下、日経)含め各新聞社は、デジタル版を発行したり、有料のサブスクリプション会員の獲得に力を入れたりするなど、新たな分野においても挑戦を続けています(※2)。
(※1)参考:日本新聞協会「新聞の発行部数と世帯数の推移」
(※2)参考:DIGIDAY「『デジタル化はメディアの危機ではなくチャンス』|朝日新聞デジタル担当役員・大西弘美」
<目次>
●日経の特徴
●日経と他新聞社の違い
●日経の選考ポイント
●日経の選考フロー
・1. エントリーシート(ES)
・2. Webテスト
・3. 筆記テスト(論文試験)
・4. 1次面接
・5. 筆記テスト(日経TEST)
・6. 最終面接
●おわりに
日経の特徴
日経の特徴は以下の3点です。
・「中正公平」な社風
・「情報の信頼度No.1」 個人・企業に頼られる権威ある経済紙
・「この会社はつぶれない」 新聞業界の中でも常に成長し続ける企業
日経は、社是である「中正公平、わが国民生活の基礎たる経済の平和的民主的発展を期す」(※3)を大切に、市場経済と民主主義社会を支えるため、価値ある情報を提供し続けています。
適切な報道、コンプライアンス、社会的責任を理念に掲げ、真実を追求してきた同社の情報の信用度は、新聞業界で1位(※4)を誇っています。「中外物価新報」という明治9年創刊の経済新聞からスタートし(※5)、常に経済を追い続けてきた同企業は、個人・企業から抜群の信頼を得ているといえるでしょう。
また、新聞業界全体が低迷しているといわれる中、日経は確固たる収益基盤を確立している企業です。これは、日経が他の新聞社に先立って「デジタル化」と「グローバル化」を推進し、飛躍してきたこと(※6)に由来すると考えられます。こうした状況に対し、ある経理担当の社員も「この会社は簡単につぶれない」と話すほどです。
(※3)参考:日本経済新聞社「理念・ブランド」
(※4)参考:ロイター「Reuters Institute Digital News Report 2020 p.97」
(※5)参考:日本経済新聞社 「日経のあゆみ」
(※6)参考:日本経済新聞社「混迷の時代、メディアの責任果たす」
日経と他新聞社の違い
日経は、「デジタル化」と「グローバル化」を両輪で推し進めてきました。
この2点は、他の新聞社と比べ大きな特徴であるので、ぜひ志望理由などに盛り込みましょう。
デジタル化
日経は2010年、新たな成長分野を求めて「日経電子版」を創刊し、本格的なデジタル化に乗り出しました(※7)。現在では、有料会員数が76万人、無料登録会員を含む電子版の会員数が515万人を超え(※8)、最も会員数の多いデジタル版新聞となっています。
無料会員を含むデジタル版会員数が約386万人の朝日新聞(※9)や、紙媒体の講読者とデジタル版会員で利用できるサービスに差がある読売新聞(※10)と比べると、日経がデジタルの分野で大きくリードをしていることが分かるでしょう。
(※7)参考:日本経済新聞社「日本経済新聞 電子版を創刊」
(※8)参考:日本経済新聞「日経からのお知らせ」
(※9)参考:朝日新聞「朝日新聞媒体資料 DATAFILE2021」
(※10)参考:読売新聞オンライン「読売新聞オンラインの利用方法」
グローバル化
次にグローバル化ですが、これは海外支局の多さや社員の海外研修制度、海外紙の買収などから伺えます。
日経の海外支局の数は36カ所(※11)。27カ所の読売新聞社(※12)や34カ所の朝日新聞社(※13)と比べても、充実した海外取材網を有しています。
語学留学や海外インターン、短期海外派遣など、社員の国際研修に力を入れているのも特徴です(※14)。英語などの語学力を高めるのはもちろん、自分で行きたい国を決め、現地での生活を通じて見聞を広めることもできます。
近年では、「真のグローバル・メディアを目指す」という方針のもと、グローバル戦略の中核となる英文メディア「Nikkei Asian Review(現:Nikkei Asia)」を創刊したり、イギリスの有力新聞社「フィナンシャル・タイムズ」を買収したりしています(※15)。特にフィナンシャル・タイムズの買収は、世界最大のビジネスメディアグループの誕生を意味するものであったため、世界中で大きな反響を呼びました。
このように日経は、斜陽産業といわれる新聞業界の中でも、「デジタル化」「グローバル化」を軸に成長を続けています。新聞記者の志望者の中でも、既存の考えにとらわれず変革を追求していきたい人や、国際的に活躍したい人に向いているといえます。
(※11)参考:日本経済新聞社 「国内支局・海外拠点」
(※12)参考:読売新聞「取材拠点・印刷工場」
(※13)参考:朝日新聞「会社情報」
(※14)参考:日本経済新聞社「成長を支える取り組み」
(※15)参考:日本経済新聞社「英フィナンシャル・タイムズ(FT)を買収」
日経の選考ポイント
日経の選考のポイントとして、以下の3つが挙げられます。
(1)日経で何を成し遂げたいのかを明確にすること
(2)記者としての素質の高さをアピールすること
(3)日経新聞に目を通し、日々のニュースをキャッチアップをすること
(1)日経で何を成し遂げたいのかを明確に
日経の選考では「日経でどんな取材をして、どのように社会を変えたいのか」という問いに対して、明確な答えを伝える必要があります。「他の新聞社ではなく日経だからこそ、自分のビジョンを実現できる」ということをアピールできると、力強い志望理由になるでしょう。
実際に内定者は「自分の成し遂げたいことと、日経の推し進めている『グローバル化』を結び付けて話したことが、高評価につながったのではないか」と言います。
(2)記者としての素質の高さをアピール
同時に、新聞記者に必要な素質をアピールすることも重要です。
深夜・早朝勤務が求められるため、新聞業界は激務だといわれています。精神的・肉体的にきつい環境で耐え抜いた経験を話し、「激務に耐えるタフネス」をアピールするようにしましょう。
また、海外研修制度や海外支局への記者派遣を見据えて、英語力の高さも新聞記者としての素質を示すカギになるといえます。内定者によると、周囲には留学経験者や帰国子女が多く、英語を話せる力や国際的な経験も重視されているのではないか、とのことです。
(3)日経新聞に目を通し、日々のニュースをキャッチアップ
日経新聞に毎日目を通すことも欠かせません。
面接では、「当日の日経新聞の朝刊で気になった記事」や「最近関心のあるニュース」などを聞かれることがあると、内定者は話します。選考フローに含まれる、経済知力テスト「日経TEST」においても、日経新聞の報道内容から出題されることもあるようです。
また、余力があれば、日経新聞以外のメディアにも目を通しておきましょう。各社の一面を比較することで、それぞれの新聞社が何を重視しているかを知ることができます。ある社員は、OB・OG訪問にて学生に対し、「合格したいのであれば、日経だけでなく他社も含めて新聞は読んでおいた方が良い」と話していたとのことです。
(参考)内定者が目を通していたニュース
・NHK 「時論公論」「ニュースウオッチ9」
・読売新聞、毎日新聞、日経新聞、朝日新聞の1面(大学の図書館で閲覧)
▼選考におけるポイントやクチコミを詳しく見たい方はこちら!
【合格の秘訣】企業概要・選考での評価ポイント
【クチコミ】説明会/インターン/選考の評判
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日経の選考フロー
今回は、夏期・冬期インターンシップ後に行われる、インターン参加者ルートの早期選考について記載します。厳しいインターン選考を通過した人しか参加できない選考で、かつ最終面接に残れるのは4〜5人に1人。非常に狭き門となっています。
通常の本選考についても、同じような選考フローだと考えられるので、日経の選考に参加する方は参考にしてみてください。
日経の選考フローは以下の通りです。
1. エントリーシート(ES)
2. Webテスト
3. 筆記テスト(論文試験)
4. 1次面接
5. 筆記テスト(日経TEST)
6. 最終面接
1. エントリーシート(ES):日経で挑戦したいことと自分の強みを過去の経験から明確に示そう
ESの設問は以下の3つです(すべて400字以内)。
(1)あなたが日経でやってみたい仕事、挑戦したいことを具体的に書いてください
(2)あなたの強みは何ですか。実体験を交えて書いてください
(3)私は◯◯な人間です。◯◯を10字以内で記入し、その理由を書いてください
※出典:日本経済新聞社|記者職2020年本選考のES
(1)日経で挑戦したいこと:確固たる理由を準備しよう
この設問では志望理由が問われます。
内定者が「『自身の留学先での経験から、香港やミャンマーの人権・民主主義崩壊問題を国際世論へ提起したい』という思いを書いた」と語っていることから、自身の経験に基づいた内容を書くのが良いと考えられます。さらに、他の新聞社ではなく「日経でなければならない理由」を伝えることができれば効果的でしょう。
以下の例を参考に、日経に入り取材したいと思うテーマ、取材したい理由、日経である理由を準備しましょう。
(1)取材したいテーマ、やり遂げたいこと
→香港やミャンマーの人権問題・民主主義崩壊問題の提起
(2)取材したい理由
→留学中に香港やミャンマーの学生と話すことで問題の深刻さを認識し、世論を介して国際社会に問題提起したいと考えたから
(3)なぜ日経であるべきなのか
→国際的な取材網、海外支局への積極的な記者派遣、「Nikkei Asia」などの国際紙の発行
(3)自分は◯◯な人間です:伝える力と自分の強みを示そう
「10文字以内で自分を表す言葉を考える」というユニークなこの設問。しかし、新聞記者としての「伝える力」と「自分の強み」を示すチャンスでもあります。
内定者は以下のような工夫をしたようです。
・自身の原体験に基づいたトピックを選ぶ
・一瞬で面接官の目を引くようなワードに仕立てる
・設問(2)で記載した強みとは別の強みをアピールする
自由度の高い設問なので、答えは十人十色だと思いますが、上記の点を参考に自分なりのキャッチコピーを作りましょう。
2. Webテスト:油断は禁物。他社選考での経験を生かそう
自宅受検のWebテスト。SPIとTG-WEBの2つの形式で、内容は言語、非言語、性格、英語です。
内定者によると、「選考の中でWebテストはそこまで重視されている印象はない。SPIとTG-WEBを他社で受検した経験があれば、問題はないのではないか」とのこと。しかし、油断は禁物です。他社のWebテストを受検して問題に慣れたり、何度も参考書を解いたりするなど、十分な対策をとりましょう。
3. 筆記テスト(論文試験):ウエイトの高い重要な試験。日頃から文章を書いて練習しよう
オンラインで行われる論文試験です。1時間で800字の小論文を書き上げる必要があり、昨年のテーマは「新型コロナと私」でした。
この試験では、記者としての基礎的な執筆能力が測られるようです。内定者によると、「一般的に、新聞社は論文試験の評価のウエイトが高いことが多く、日経もこの論文試験を重視しているのではないか」とのこと。
学生の時点で、プロの記者レベルの執筆スキルを身につけている必要はありません。それでも、日ごろから文章を書く習慣をつけておく、練習として文章を書いた際には周りの人に添削してもらう、小論文のテキストで対策するなど、十分に準備しておくとよいでしょう。
4. 1次面接:幅広い内容の質問が飛んでくる。時事ニュースのキャッチアップはマスト
社員3人・学生1人、東京本社で行われる所要時間12分程度の個人面接です。
面接は和やかな雰囲気で行われるようですが、志望理由やニュースに関する質問以外に、深く人柄を問うような質問も飛んでくるため、十分な対策が必要です。
<質問内容>
・志望動機と日経でやりたいことを1分間で話してください
・最近気になったニュース2つとその理由
・今朝の日経の一面は◯◯という記事だったが、これを読んで考えたこと
・ゼミでの専攻分野と研究テーマ
・どんな仕事をしたいと思っているのか
・中高生のときにやりたかったこと
・他社の選考状況
・他の業界を受けている場合はその理由
など
※出典:日本経済新聞社|記者職2020年本選考の1次面接
質問は満遍なく。学生の人柄を掴(つか)むための面接
1次面接では、さまざまな角度からの質問を満遍なくされるようです。
内定者は「いろんな角度からテンポよく質問がされる。学生の人柄を掴むという狙いがありそうだ」と語っています。どんな質問が飛んできても対処できるよう、自分の過去の経験や考え方について整理し、面接に臨みましょう。
情報感度の高さや頭の回転の速さを示そう
最近気になったニュースや、当日の日経の朝刊一面記事についての考えなどを聞かれます。新聞記者としての情報感度の高さや、その場で自分の考えを語れる頭の回転の速さを見ているようです。
選考前には日経新聞はもちろんのこと、他社も含めて新聞を読み、最新の情報をインプットしましょう。また、ニュースについての要点や自分の考えなどを語れるよう、その都度整理しておくことも有効な対策だと考えられます。
5. 筆記テスト(日経TEST):公式テキストで対策を行い、高得点を目指そう
1次面接と同日に本社で行われる筆記試験です。
形式は企業オリジナルのマーク式で、内容は日経が主催している日経TESTに準拠しています。問題は50問で、所要時間は50分程度。
このステップは比較的難度が低い上、公式テキストが発売されているため対策が立てやすいです。日ごろから日経新聞を読む、テキストで勉強するなどの対策をして高得点を狙い、ここでつまずかないようにしましょう。
6. 最終面接:倍率は約2倍! 志望度の高さと熱意をアピールしよう
社員5人・学生1人、所要時間12分程度の個人面接です。
内定前最後の選考ステップではありますが、倍率は2倍程度あると考えられるので、決して気を抜くことはできません。
<質問内容>
・他社インターンとの比較
・日経に対するイメージ、他社と比較して日経をどう思うか
・インターンの感想
・インターンで取材したテーマについての自分の考え
・最近関心を寄せているニュース
・今の自分を形成した、これまでの人生で一番大きな出来事
など
※出典:日本経済新聞社|記者職2020年本選考の最終面接
「日経でどんな取材をして、どのように社会を変えたいのか」に明確に答えよう
日経の最終面接では、「日経に対するイメージ」を聞いたり、他社との比較をさせたりすることで、学生の志望度の高さを見極めているようです。
過去の原体験に基づいた確固たる志望理由を用意し、「なぜ他社ではなく日経なのか」「他社と日経は何が異なるのか」を示しましょう。
テンポの良い会話を心がけよう
情報を聞き出す取材相手と良好な関係を築くことは、新聞記者にとって基礎的なスキルです。そのため、面接を通じて、心地の良いコミュニケーションができるかが試されていると考えられます。スピーチのように一方的に話すことを避け、面接官がインタビュイーであるような意識で臨みましょう。
最終面接を突破するために、以下のような事前準備を実践してみましょう。
・友人と話す中で、相槌(あいづち)や視線などの「意識しづらい会話中の態度」を指摘してもらう
・OB・OG訪問などの機会で、ESに沿った質問をしてもらう
・模擬面接を通じて、練習を行う
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おわりに
いかがでしたか? 皆さまの選考対策のお役に立てれば幸いです。
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※注釈のない記載は、選考対策ページ(下記)の情報をもとにしています
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(Photo: Billion Photos/Shutterstock.com)