毎年、多くの就活生から根強い人気を誇る外資系戦略コンサルティングファーム。人気の理由はさまざまですが、「ビジネスパーソンとしてのスキルが得られ、成長できるスピードが速い」というイメージがあるのも大きな要因でしょう。
そこで今回はA.T. カーニーに入社4年目の宿輪さん、Mao(マオ)さんと入社10年目で2児の母として働く中村さん、そして日本法人の代表を務める関灘さんの4人を招き、「若手の成長とキャリア」というテーマでお話を伺いました。
大学院卒、海外採用、母親と異なるキャリアを持つ3人の経験を踏まえ、代表の関灘さんが考える「若手コンサルタントが成長する条件」、そして、A.T. カーニーが少数精鋭採用を貫く理由とは……? ワンキャリアの独占インタビューをお楽しみください。
<本記事の見どころ>
●キャリアもライフステージも異なる、3人の女性コンサルタントの活躍に迫る
●インターンで入社を決めた2人、対等な議論から生まれる「文化祭のようなワクワク感」とは?
●「仕事の話ではなく、雑談の方が印象に残る」くらい、A.T. カーニーは人が面白い会社だった
●2年目でもA.T. カーニーの看板を背負う立場に──「独り立ち」の機会が人を育てる
●マネジメントに片足を突っ込む3年目。成功のカギは「『上司の上司』の視点で物事を見ること」
●2度の育休を経てマネジャーを目指す。働き方も目指すキャリアも自分で決めていく
●人の成長は誰と仕事をするかで決まる──A.T. カーニーが少数精鋭採用を貫く理由
キャリアもライフステージも異なる、3人の女性コンサルタントの活躍に迫る
──皆さん、今日はよろしくお願いします。まず自己紹介として、現在のミッションとこれまでのキャリアを教えてください。
宿輪:大学院卒業後、2018年に新卒入社し、3年間で13のプロジェクトに関わりました。消費財、エネルギー、ヘルスケア業界などを担当し、ビジネスデューデリジェンス(※1)やコストトランスフォーメーション(※2)などの案件を経験しました。
(※1)……投資対象となる企業の組織能力や競争力、今後の成長戦略やリスクを評価すること
(※2)……企業の事業ポートフォリオやビジネスモデルに合わせ、組織全体のコスト構造を抜本的に見直すこと
Mao:私も宿輪と同じく2018年の新卒入社ですが、海外採用です。出身が中国で、イギリスの大学と大学院で学びました。入社後は海外案件を中心に、消費財、通信、メディア・コンテンツ業界などのプロジェクトを担当しました。
海外での成長戦略やM&Aプラクティス(※3)のビジネスデューデリジェンスに関わることが多かったです。手がけたプロジェクトの数は18で、私の場合は他のコンサルタントに比べても数が多く、期間も平均して約6週間と短かったですね。
(※3)……企業のM&A戦略の立案、ビジネスデューデリジェンス、買収後の統合(PMI)などの専門性を蓄積しているグループ
中村:私は新卒入社から今年で10年目です。入社4年目に結婚して、現在2人の娘がいます。今はフルタイムですが、妊娠中から子どもが小さいときは時短で働いていました。キャリアの半分ぐらいは時短勤務ですね。
私の役職はアソシエイトで、マネジャーの一歩手前の役職ですが、プロジェクトではマネジャーとしての役割を担うことが多いです。現在は製薬会社のプロジェクトを担当しています。世の中で得られたデータを、どのように創薬や市場への提供に役立てるかを考えています。プロジェクトの数はもう分からないですが、担当した領域は、消費財やヘルスケアが多かったです。
インターンで入社を決めた2人、対等な議論から生まれる「文化祭のようなワクワク感」とは?
──3人とも新卒でA.T. カーニーに入社されていますよね。決めた理由は何だったのでしょう。
宿輪:インターンに参加したことがきっかけですね。メンターの面倒見が良く、学生の私とも対等に議論してくれたからです。
当時、コンサルタントは頭でっかちで、ロジカルな考えを一方的にバンバンぶつけてくる怖いイメージがありました。他社のインターンで実際にそんな経験をしたこともあったのですが、A.T. カーニーのインターンでその印象が全てひっくり返されました。私の考えも認めつつ、より良くブラッシュアップしてくれる姿に、一緒に楽しく働くイメージが湧いたのです。
宿輪 理紗(しゅくわ りさ)
早稲田大学大学院 先進理工学研究科 生命医科学専攻を修了後、2018年4月にA.T. カーニーへ入社。消費財、エネルギー事業者、ヘルスケアなど幅広いインダストリーを経験し、新規事業戦略、DD、コスト最適化などのテーマからこれまで13個のプロジェクトに従事。
──怖いイメージがあったのに、コンサル業界を志望していたのはなぜですか?
宿輪:大学院で再生医療の研究に取り組む中で、研究結果が活用されるに至るまでには、研究者だけでなく、製薬会社や医療機器メーカー、国など、自分がまだ知らない多くの関係者の存在があると気付かされました。研究は世の中のためになると思う一方、生きている間に成果が出ないかもしれないという点にもどかしさを感じ、知的好奇心を満たすことができ、さまざまな会社・業界に関わって成果を実感できそうなコンサル業界を志望しました。じかに経営者から相談を受け、サポートができるという面にも非常に魅力を感じましたね。
中村:その感覚はよく分かります。私は、最初は看護師を目指そうと思っていたのですが、目の前の患者さんだけでなく、社会によりインパクトをもたらす医療政策の研究がしたいと考え、大学院に進みました。
研究室にはWHO(世界保健機関)など国際機関を目指す人が多く、博士課程まで進むか迷いました。ただ、ベンチャーでアルバイトをしたり、いろいろな人と話したりする中で、ビジネスが世の中をより良く変えるのではないかと考え、コンサルタントになろうと決めました。
中村 文香(なかむら あやか)
南オーストラリア州立フリンダース大学卒、東京大学大学院 医学系研究科 国際保健学 修士課程修了。学生時代は、ミャンマーでの医療ボランティアや、デンマークでの病院実習など、「グローバル」x「医療」の領城に携わり、大学院ではWHO(世界保健機関)の世界精神保健日本調査の統計データ解析などを実施。A.T. カーニー入社後は、消費財とヘルスケアのクライアントを中心に、新規事業戦略、ブランド/マーケティング戦略、組織文化・行動改革などのプロジェクトの支援に従事。2児の母(パートナーも同社にて時短勤務中)。
──中村さんが、A.T. カーニーに決めた理由を教えてください。
中村:私もインターンでの経験が決め手でした。サマーインターンの担当が当時マネジャーだった関灘で、自分の考えに対し、否定ではなく「こういう考え方もあるよね」「ここはどう思う?」と意見をどんどんぶつけてくれたんです。議論が盛り上がり、積み上がっていく過程に純粋に楽しさを覚えました。「こんなことがあったら面白いよね」と追求するのは、部活動や文化祭に近いワクワク感でしたね。
A.T. カーニーは当時から「日本を、世界を良くする」と発信しており、思想にも非常に共感しました。他社からもオファーはありましたが、A.T. カーニーに惚(ほ)れてしまい、内定が出た段階で就活を終えました。関灘とはそれ以来の付き合いで、一番多く仕事をしていると思います。入社後初めてのプロジェクトも一緒にやりました。
関灘:サマーインターンのときのことは、今でも鮮明に覚えていますよ。当時、インターンの途中で中村さんを合格にしようと決めていましたから。次の選考プロセスであるジョブで、どのコンサルタントに担当してもらうと良いかも考えました。どのマネジャーと組んだら、楽しく仕事をしてくれるかなと。
「仕事の話ではなく、雑談の方が印象に残る」くらい、A.T. カーニーは人が面白い会社だった
──Maoさんもお二人と同じように、インターンに参加されたんですか?
Mao:私は、ボストンキャリアフォーラムという海外採用のイベントを通じて入社しました。4日間のイベント期間に20〜30回の面接を受け、A.T. カーニーだけでも5回はお会いしました。夜の会食も含め、朝から晩までいろいろな会社の社員とお話ししました。
Mao Huijing(マオ ホゥイジン)
ランカスター大学 プロジェクトマネジメント学部卒業、ケンブリッジ大学大学院 土地経済学部 修士修了。2018年に新卒でA.T. カーニーへ入社。入社後各業界のM&A案件、通信行者の新規事業戦略、消費財企業の事業戦略などに従事する。3年目で20近くのプロジェクトに参画し、半数以上が海外オフィスとの協働。
──いろいろなお誘いがあったと思いますが、なぜA.T. カーニーに決めたのですか?
Mao:人間味のあふれるコミュニケーションが取れる、人の面白さですね。仕事に関する議論もですが、私はむしろ雑談の方が印象に残っています。ホームレスの方々との対話の話からロンドンのおいしいレストランの話まで。どんな役職の人でも、親切にかつ正直に質問に答えてくれました。関灘と面接したときなんて、もらった名刺にパートナーと書いてあるのを見て、「パートナーって一番偉いんですよね。そんな若いのに、もうパートナーなんですか?」と思わず言っちゃったんです。
──それはまたストレートな(笑)。関灘さんは何と返されたのでしょう。
Mao:さらりと「運や縁が重なって、早かったですよ」と返されたのは今でも覚えています。給料についてはあまり話題に出さない、という日本の文化も全く知らなかったので「給料はいいですか?」とも聞きました。「給料は貢献に応じて変わりますが、良いと思いますよ」とこれまたストレートに答えてくれて(笑)。とても正直な会社なんだなと思いました。
関灘:確かに普通の候補者が聞かないようなことをたくさん聞いてくれたので、強く印象に残りました。ボストンキャリアフォーラムでは、候補者の方をより知るために、複数の候補者の方々と会食へ行くこともありますが、面接とは違った一面が知れて楽しいですね。
2年目でもA.T. カーニーの看板を背負う立場に──「独り立ち」の機会が人を育てる
──これまで、最も印象に残っていたり、苦労したりしたプロジェクトを教えてください。
宿輪:入社して1年半が過ぎたころに担当した、ヘルスケア関連企業のプロジェクトです。大きなプロジェクトだったので、部署ごとに小さなブロックに分け、そのうちの1つをプリンシパルとSBAになりたての私の2人チームで進めました。
──役職が相当上の方と2人で進めるような案件もあるんですね。
宿輪:そうですね。ただ、そのときはチームの体制が特殊だったこともあり、課題特定、データ収集分析、資料作成、プレゼン準備、プレゼンといった一連の業務を基本的に1人で進める形だったんです。業務で困っても、基本的に相談できるのはプリンシパルだけ。1日30分しか議論ができない状況でした。
──いきなり「独り立ち」のような状況になったというわけですか。
宿輪:これまでも頭を使っているつもりだったのですが、本当に頭が痛くなるぐらい、必死に頭を使わないとプロジェクトが進まないという状況に初めて直面しました。それでも2カ月間やりきり、最後にプリンシパルから「この状況下でよく頑張ったね」と言われたときは本当にうれしかったです。
──お話を伺う限り、そのプロジェクトでは、SBAという職位よりも高いレベルの業務が求められているように感じました。A.T. カーニーだと他の方も同じような経験をされるんですか?
宿輪:あると思います。ビジネスアナリストのときから「このプロジェクトは少し難しいかもしれないけど、やってみる?」というようなお誘いがありました。長期的なキャリア形成を考え、社内メンターから勧められることもあります。
──Maoさんが最も印象に残っているプロジェクトは何でしょう。
Mao:ある小売企業のバリューアップに関するプロジェクトです。地方事務所に2カ月常駐し、対象会社の担当者や他領域の外部アドバイザーなど、他社の人たちと膝を突き合わせながら、海外での成長戦略を立てました。当時、SBAへの昇進が決まっていたこともあり、次の役職を意識した仕事になっていましたが、論点が浅くないか、など不安と隣り合わせの毎日でした。
──どのような点がこれまでと変わったのですか?
Mao:電話で相談できるシニアはいましたが、現場ですぐに助けてくれる人はいない状況でした。常駐先は競合他社の方も含め、皆が近い距離で仕事をしているため、クライアントとのコミュニケーションや議論は、周囲に筒抜けです。「失敗したら、ファームの信頼を壊すかもしれない」という怖さがあって。「カーニーのMaoです」と名乗ることへの重みを感じました。
マネジメントに片足を突っ込む3年目。成功のカギは「『上司の上司』の視点で物事を見ること」
──ファームの看板を背負うプレッシャーを感じる機会だったということですね。宿輪さんとMaoさんに伺いますが、この3年間を振り返って、ご自身がどのような点で成長したと思いますか?
Mao:コンサルタントになって間もないころは、主に言語能力が生かせるプロジェクトに参加しており、「Maoさんに頼んで良かった」という言葉も「あなたが中国語と英語を話せる人で良かった」という意味だと捉えていました。
しかし、今はファシリテーションやマネジメントも含め、クライアントのためにやるべきことができ、さまざまな観点でプロジェクトに貢献できるようになっています。経験を重ねるごとに、「言語の人」からコンサルスキルも併せ持つTrusted Advisorへと成長していると感じていますね。
宿輪:A.T. カーニーには「まずはトライ」という精神があります。私も最初のプロジェクトから、クライアントに調査結果を報告していました。資料作成の基本スキルはもちろん、クライアントの前に出ることでコミュニケーション力が伸びた実感はあります。
去年の夏に手がけたビジネスデューデリジェンスの案件は、ファンドの方がクライアントだったのですが、買収先の今後の収益がどうなるのか、予測モデルを作った私に6週間毎日電話で確認されました。
──毎日質問されるんですか! それは大変ですね……。
宿輪:当時はつらいと思っていたのですが、プロジェクトが終わった後、マネジャーから「信頼されていたからこそ、あんなに電話してきてくれたんだと思うよ」と言っていただけて。それも成長を感じた瞬間です。
──関灘さんは、彼女たちと同じ3〜4年目のころはどのようなことを意識して仕事をしていましたか?
関灘:3〜4年目、というと自分が貢献できる領域やパターンを意識でき、より仕事が楽しくなってくる時期でしたね。プロジェクトによっては、マネジャーに近い役割になる場面もあり、緊張することもありました。あのころは「自信を持ってマネジャーロールを果たせる」ことを目標にしていて、「自分の2つ上のポジションなら、どう判断するか」を考えていましたね。
マネジャーのときには、2つ上のポジションであるパートナーの視点を意識し始めました。自分が関わったクライアントへの新たなプロジェクトの提案を考えるようになりました。社会人大学院で講師を務める機会をいただいたのもそのころです。世の中で働く方々が、どのような問題意識を持っているのか、など講師と受講生という関係で知られたのは、貴重な経験でした。外部での活動も含め、とにかくアウトプットの場を求めていたように思います。
2度の育休を経てマネジャーを目指す。働き方も目指すキャリアも自分で決めていく
──中村さんは時短勤務で働かれていた時期が長いとお話しされていましたが、子育てとコンサルタントの両立って大変ではないですか? どのようなスタイルで働いているのでしょう。
中村:私には4歳と2歳、2人の子どもがいますが、彼らの成長に合わせて働き方を変えています。子どもが生まれて育休を取ったあと、9時〜16時の時短勤務で復職しました。授乳もあり、夜は働けないので、比較的締め切りまでに時間の余裕がある提案作業や、A.T. カーニーにとって中長期的に重要となる領域における知見の体系的な整理などを担当しました。
育児のペースがつかめてからは、プロジェクトに入りたい旨を相談し、時短勤務で参加しました。長期的な案件や過去に取り扱ったことのあるテーマなど、時間に制約がある中でも、クライアントとファームの双方にバリューが出せるプロジェクトを選んでいましたね。
フルタイムでマネジャーロールに挑戦し、専門性の蓄積を加速したいと思うようになってからは、同じく社内で働くパートナーに時短勤務を交代してもらい、私がフルタイムになりました。A.T. カーニーでは男性の時短も認められています。子どもの成長に合わせ、働き方をファームと相談し、都度調整しながらプロジェクトに参加したいと考えています。
──仕事時間が調整しやすいとはいえ、子育てをしながらコンサルタントを続けるのは大変そうだと敬遠する学生も少なくありません。出産、子育てといったライフイベントを経験する中で、母親になってもキャリアを積みやすい環境だと思いますか?
中村:A.T. カーニーでは、個人の要望を尊重し、相談しながら働き方が決められます。人によって、ずっとフルタイムだったり、私のように時短でバランスを取ったり、その人が働きやすいスタイルを大切にしてくれます。
プライベートとの両立が厳しいときは、他チームから応援に来てくれることもあります。アソシエイトやマネジャーの応援が難しい場合は、プリンシパルやパートナーが助けに来るケースもありますよ。
──現在、A.T. カーニーで働く女性の割合はどれくらいなのでしょう。
中村:3〜4割ですね。ジュニアメンバーが比較的多く、シニアは少なめです。昔は女性の人数が相対的に少なく、出産後に退職してしまう女性も多かったのですが、これからはそうではなくなるはず。
一方で、現在はA.T. カーニーで母親であり、コンサルタントでもあるメンバーは、さほど多くはありません。女性のロールモデルを増やしていくことが、今後の重要なテーマですね。一人ひとりのキャリアを支える制度は整っているので、後は宿輪さんやMaoさんなど若手がキャリアを重ねていく中で、本当に働きやすい環境というものがファームに根付いていくのだと思います。
人の成長は誰と仕事をするかで決まる──A.T. カーニーが少数精鋭採用を貫く理由
──ここからは関灘さんにお伺いしますが、若手コンサルタントの成長に必要な経験とは、どのようなことだと考えますか?
関灘:2つあります。1つは、誰と仕事をするかです。多くのロールモデルと思える人物と仕事をする機会を持つことができ、それぞれの良いところを学び取ることで、成長が加速すると思います。私自身は、特に、人生の目的がはっきりしている人物と仕事ができると、得られる刺激が多くなり、キャリア形成に大きな影響をもたらす学びが得られたように思います。
弊社会長の梅澤やシニアパートナーの笹俣など、刺激を与えてくれる先輩コンサルタントとのプロジェクトをしていると、自身の学びよりも先輩の学びの速度が速く、一生追いつけないレースを走っている気分でした。このような機会を20代・30代のうちに得られ、本当に恵まれていたと思います。
もう1つは、常に少し難しい仕事に取り組むストレッチ環境での経験です。宿輪とMaoの話にもあったようなストレッチ環境は私にもありました。もちろん、ストレッチ環境は与えられる面もありますが、それを求めて、周りに働きかけることがより重要であると考えます。
関灘 茂(せきなだ しげる):A.T. カーニー代表取締役 マネージングディレクター ジャパン(日本代表)/シニア パートナー
神戸大学 経営学部卒業。 INSEAD(欧州経営大学院)MAP修了。A.T. カーニー入社後は、消費財・小売・メディア・サービス・金融・不動産分野を中心に30社以上のクライアント企業とともに、新規事業創造、既存事業変革(デジタル・トランスフォーメーション)、マーケティング・イノベーション、組織文化・行動改革、M&A・PMIなどを経営テーマに100以上のプロジェクトを推進。グローバル戦略、イノベーション、マーケティング改革、デジタル・トランスフォーメーション、思考法、人材などに関するテーマで主要ビジネス誌への寄稿や主要セミナー、大学での講演多数。
──他ファームと比べて、A.T. カーニーが若手育成で秀でている点があれば教えてください。
関灘:まずは少数精鋭採用を続けていることです。事業の急拡大に合わせ、採用数を急増したファームと異なり、一定の採用基準を守り続けたことで、A.T. カーニーへ入社する人の能力は高い水準にあると考えています。
例えば、A.T. カーニーのアソシエイトならば、他ファームではポジションが1つ上のマネジャーの役割が務まるといったことが起こります。先ほどお話ししたように、プロジェクトチームの先輩や同僚から学ぶ部分は大きいので、少数精鋭のチームで仕事をすることで学びの質と量が高まり、成長が加速されるためです。
次に、メンバー同士が対話する時間を確保していることです。ファーム内の先輩がメンターとしてファーム内外での中長期的なキャリア形成の支援を行うメンター・メンティー制度、そして年次が近い先輩へ気軽に相談できるバディー制度などを用意しています。全コンサルタントが私と1on1で話す時間、全社員で学びを共有する時間など、さまざまな対話の時間を設けています。
最近では、卒業生や海外で働くメンバーを招き、キャリア相談やロールモデルに触れる機会も作り始めました。長期的なキャリアを考える機会になればと思います。
──卒業生まで巻き込んでいくのは面白い取り組みですね。
関灘:3つ目は、メンバーに合わせたキャリアパスの提供です。中村さんの話にもありましたが、各コンサルタントの可能性やそのときの状態に合わせキャリアを個別化できるように支援しています。
ストレッチ環境の提供はもちろん、昨年からは自分なりの学びの振り返りや探求などのための自己研鑽(けんさん)休暇制度をスタートしました。それ以外にも、事業会社の経営リーダーとの創造と変革を経験できる出向プログラムを充実させ、出向先の経営者や経営陣の方々とも人財育成の想いを共有しています。ファームのためでなく、個々人の育成のためにここまで本気で取り組んでいる組織は、ほぼないはずです。
──少数精鋭を実践する中で、A.T. カーニーが求める若手像を教えてください。
関灘:知的好奇心が必要条件です。知的好奇心が高くないと、この仕事は続けられないと思います。われわれの志である「日本を変える、世界が変わる」に共感いただけ、パッションのある方に入社いただきたいです。また、経営者や創造と変革のリーダーの皆さんと大きな成果を生み出すために、大胆に考え、大胆に行動すると同時に、多様なチームメンバーで協働するための寛大さや連帯意識を持つことを重視しています。
──ありがとうございました。最後にコロナ禍で就活に挑む学生へ、応援のメッセージやアドバイスをお願いします。
関灘:20代前半に、尊敬する大先輩から、職業人としての仕事の合格基準・感動基準・世界基準を意識し、それを高め続けることが重要とのアドバイスをもらいました。気力も体力もあふれ、仕事に全力投球できる20代に、このようなアドバイスをいただけたことに感謝しています。人気企業だから、有名企業だから、社会性が高い企業だから、といったふわっとした理由で就職先を決めるのではなく、「誰と」「何を」「どのように」取り組める環境があるのか、自分に良質な刺激を与えてくれる人物がどの程度の割合でいる環境か、といった観点からも就職先を見極めてください。個々人によって適した環境は異なります。自分に適した環境で、潜在能力が開花すると思います。
宿輪:20代前半は多くのことを吸収しやすい時期で、その時間をどこで過ごすかが重要です。コロナ禍で大変だとは思いますが、現時点では関心が薄い企業でもインターンを申し込んだり、社員さんとお話ししたり、行動を起こしてほしいです。気がついたら募集が終わっていたということがないよう、早め早めに動くことで、納得しながら就活が進められると思います。
中村:学生時代は自分のことに当てられる時間が豊富だと思うので、まずは就職先にとらわれず、「自分は人生で何をしたいか」「何が好きで、何が嫌いか」「これからの社会はどのように変化するか」、「その中で、自分はどのような世界を作っていきたいか」そんな青臭いことを徹底的に考え抜き、そのうえで最初のキャリアをどう過ごしたいか悩んでもらえると良いと思います。宿輪さんも話していましたが、出遅れて後悔するのが一番もったいないので、早めに動き、有意義な時間にしてください。
Mao:ノープランに生き、そのときにやりたいことをやって、これからを生きるのも1つの選択肢だと思います。私も当時、留学しているイギリスに残るか、中国に戻るか、あるいは全く新しい選択肢として日本にチャレンジするかにすごく悩みました。日本で働くという判断は、正しい選択肢だったかは分かりませんが、楽しい選択肢ではあったと思います。後悔しないよう、全てを見極めたうえで自分の勘を信じるべきだと私は思います。
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【ライター:スギモトアイ/撮影:百瀬浩三郎】