こんにちは、ワンキャリ編集部です。
今回は、日本航空(JAL)と並ぶ二大航空会社、全日本空輸(ANA)グローバルスタッフ職(事務)。2020年卒の本選考のポイントをエントリーシート(ES)、Webテスト、面接のそれぞれについて解説します。選考前の確認にぜひご一読ください。
※注釈のない記載は、選考対策ページ(下記)の情報をもとにしています
<目次>
●全日本空輸(ANA)の社風:パワフルで挑戦的、「個」の力を育成する
●全日本空輸(ANA)の選考のポイント:動物園のような個性を重視する採用
●全日本空輸(ANA)の本選考のフロー
全日本空輸(ANA)の社風:パワフルで挑戦的、「個」の力を育成する
「パワフルで挑戦的」な全日本空輸(ANA)
全日本空輸(ANA)(以下:ANA)はJALと比較して「パワフルで挑戦的」という社風の特徴を持ちます。
これはJALの原点が国営企業だったことに対し、ANAは民間のヘリコプター企業だった(※1)過去が関係しており、ANAはJALに「追いつき、追い越せ」を合言葉に成長した歴史がある(※2)ために挑戦的な社風となっているのです。
ある内定者によると、「JALは真面目で少し堅く、バランスの取れた優等生タイプが多いのに対して、ANAは世界中どこでも生き残れるようなパワフルな人が多い」と語っています。
どちらが向いているかは個人によるため、実際の説明会などに参加してみることをオススメします。
育成制度も充実。人材開発では「自律成長できる人間」を目指す
全日本空輸(ANA)は上述の通り多くの従業員を抱えているためからか、非常に人材育成に力を入れています。
グローバルスタッフ職(事務)では「配置」「教育」「制度」の3本の柱の内、特に「配置」による実務経験(OJT)に力を入れており、経営視点を現場目線から学ぶことができます。また、千差万別のキャリアパスに対応するためビジネスファンダメンタルと呼ばれる必須スキルを計画的に養成できるような教育・研修プログラムも組まれています(※3)。
このようなANAの研修は社会でも高く評価されており、『仕事も人間関係もうまくいく ANAの気づかい』『どんな問題も「チーム」で解決するANAの口ぐせ』などの著書が出版されるなど、ビジネス界で注目されるほどです。競合のJALが『JALフィロソフィ』という近年できた行動指針を研修の中心に置いている(※4)のに比較すると、ANAの研修は長年培ってきた実績が大きな魅力といえるでしょう。
従って、ANAは世界各地で活躍するグローバル人材育成企業としての側面を持つといえるでしょう(合格の秘訣より)。
(※1)参考:ANAグループ「年表詳細」
(※2)参考:経済界「追いつき追い越せで30年。挑戦こそがANAのDNA」
(※3)参考:ANAグループ「キャリア」
(※4)参考:JAL「中期経営計画:重要な取り組み課題⑤人材育成」
全日本空輸(ANA)の選考のポイント:動物園のような個性を重視する採用
動物園採用:他の人と違う魅力を示せるか
全日本空輸(ANA)は「動物園のような採用」を目指し(※5)、他の学生にはない魅力がある人物を求めています。
この背景として人事社員は説明会にて「一つのことをやり遂げた人には魅力がある。いろいろな動物が集まっている動物園がお客様にとって魅力的なように、私たちもいろいろな人財が集まって、外から見て魅力的だと思われなければ航空会社としてお客様にはご利用いただけません」と語ります。
実際にインターンシップ(以下:インターン)のESでは個性を見極めるため、「現時点でのあなたを自己評価するとしたら、あなたは何のNo.1だと思いますか」という設問があり、本選考では「あなたらしい写真をエピソードともに教えてください」など自分らしさを問う質問がメインとなっています。
同じような回答でも、自分のエピソードで肉付けし、具体的に書くことによってあなたの個性を十分に伝えられるはずです。取り組みの規模や年数など定量的に示すことで相手にイメージしやすいように伝えることを心掛けましょう。
航空業界の現状を絡めて、志望理由を順に説明しよう
ANAでは、JALと同様「なぜANAなのか」に答えられるかどうかを見極められます。
これは国内の2大エアラインであるANAとJALはどちらかを志望するよりも、併願する学生が多いためです。実際に競合のJAL内定者によれば志望者の7割はANAを含む航空業界を志望している学生であるそうです。
さらに、面接官によっては「なぜ陸海空の中で『空』を選ぶのか、その中でもなぜANAなのか」と細かく聞いてくるパターンもあるようです。また最近では、航空業界はANAやJALといった既存のFSC(フルサービス航空会社)だけでなく、バニラ・エアやエアアジア・ジャパンといったLCC(格安航空会社)も台頭してきています。このため選考では「なぜ航空業界、その中でもANAを志望しているのか」が分かるように、広い枠から狭い枠へ絞っていくプロセスを示せるようにしておきましょう。
(+α)語学力はあるか(ない場合は語学力向上のポテンシャル)
「日本の玄関となる」ANAでは、第2外国語は必須スキルです。
実際に内定者も、「帰国子女・留学生・留学経験者は8割程度いた気がする」と、内定者の海外経験の豊富さを語っている人もいます。このため選考では、実際に語学資格や海外での経験がある場合はその実績を積極的にアピールするのがベターです。
一方で内定者の中には、海外との接点が全くない人もいます。海外経験がない場合には、「物おじせず人に話しかける姿勢」を示すことで今後の言語能力を上達させる素養を見せられるようにしましょう(合格の秘訣より)。
(※5)参考:AKINAI Policy「ANA創業60周年、それはたゆまぬ努力と挑戦の歴史」
全日本空輸(ANA)の本選考のフロー
全日本空輸(ANA)の本選考フローは以下の通りです。
1. エントリーシート(ES)
2. Webテスト
3. Webテスト
4. 1次面接
5. 2次面接
6. 最終面接
それでは選考ごとに見ていきましょう。
1. エントリーシート(ES):大量のESの中でも印象に残るESを目指そう
全日本空輸(ANA)の2020年卒のエントリーシート(ES)の設問は以下の通りです。
(1)写真を選んだ理由と、あなた自身について紹介してください。※複数名で写っている場合には、必ずご本人が特定できるように注記してください。(250文字以下)
(2)ANAを志望する理由と、ANAでどのような業務をしてみたいか記載してください。(400文字以下)
(3)あなたがこれまでの人生の中で最もチャレンジをしたと思うエピソードを、それに取り組んだ理由も含めて記載してください。(400文字以下)
※出典:全日本空輸(ANA)|グローバルスタッフ職(事務)2020年卒のES
設問(1)の写真については、趣味や特技に打ち込む場面など適度にカジュアルな写真を選びましょう。
これは人事が「写真はその人の雰囲気が一番伝わる。学生のカジュアルな部分を見たい」と語っているためです。
あまりフォーマルすぎる写真ではなく、「面接で話のタネにできる」ようなものがベターです。
また、設問(2)では、ANAでやりたいことを述べるものですが、それが現在のANAの思考と大きく異なっていては企業分析ができていないと捉えられてしまいます。
そこで役に立つのが中期経営計画です。中期経営計画には今後のANAの戦略が述べられていますので、その戦略に外れない範囲で自分がやりたいことを過去の経験にひもづけて書くと良いでしょう。書き終わった後に読み直し、矛盾点のないように推敲(すいこう)するようにしておきましょう(選考対策ページより)。
内定者によると、毎年1万通以上が届いているといわれているANAのES。社員が内定者に内定者懇親会で話す内容によると「キーワードで選んで読むのではなく、人事が分担して一通ずつざっと読む。読みやすさと大枠の内容が逸れていないかを見る」そうです。
よって、以上のアドバイスを基に印象に残るESを目指しましょう。
2. Webテスト:性格検査のみ
全日本空輸(ANA)のWebテストは自宅受験型で形式はESPです。内容は性格検査のみで、所要時間は15分程度です。不安でしたら、以下の参考書を読んでおくと良いでしょう(選考対策ページより)。
・必勝・就職試験!【WEBテスティング(SPI3)・CUBIC・TAP・TAL対策用】8割が落とされる「Webテスト」完全突破法[3]【2021年度版】
3. Webテスト:2回目の性格検査、友人に早めに依頼しておこう
全日本空輸(ANA)の2回目のWebテストは自宅受験型で形式はGROWです。所要時間は20分程度で、複数の友人に回答してもらう必要があります。5人以上に20分の仕事を頼むことになります。
従って、締め切り直前に依頼されると必要数集めることができずエントリーすらできなくなる恐れがあります。早めに依頼をして、期限に余裕を持って取り組んでもらいましょう。
友人に真剣に回答してもらうように頼もう
GROWは回答の結果だけではなく、回答プロセスも計測されています。どういうことかと言うと、回答時の指の動きなどをAI(人工知能)が評価して真剣に評価をしているかまで判断されているのです(※6)。
従って、うそをついて一辺倒に良さそうな回答をするのではなく、真剣に評価してもらうように友人に頼んでおくことが重要だといえるでしょう(選考対策ページより)。
(※6)参考:日経ビジネス「友達の指の動きで就活生の「真の姿」を見抜く!」
4. 1次面接:集団から個人へ変更。より個性を重視した面接へ
全日本空輸(ANA)の1次面接では、例年、グループ面接が課されていましたが、2019年卒選考から個人面接が導入されていました。より個人を見ることができるため、個性を重視した採用をし始めたとも考えられます。
質問内容は以下の通りです。
・志望動機(なぜこの業界・企業・職種か)
・学生時代頑張ったこと
・学生時代頑張ったことから得た強み
・強みをどうANAで生かすか
・総合職としてどんな仕事がしたいか
・伝えそびれたことや自己PRがあれば最後に一言
など
※出典:全日本空輸(ANA)|グローバルスタッフ職(事務)2020年卒の1次面接
個性をしっかり伝えるためにも以下のアドバイスを参考にしてください。
ネガティブな状況を打破した経験を語ろう
「学生時代頑張ったこと」ではネガティブな状況を打破した経験を語り、メンタル面での強さを示しましょう。
これはANAの社風からきており、実際内定者は「官公庁を出自とするJALは真面目で少し堅く、バランスの取れた優等生タイプが多いのに対して、民間企業を出自とするANAは世界中どこでも生き残れるようなパワフルな学生が多い」と言います。
このため「ANAらしさ」を示すためにも、メンタル面の強さがあることをアピールしましょう。
やりたい仕事で部署を特定しないように
総合職はジョブローテーションが多いので、特定の業務について語るのではなく、「最初はいろいろ経験し、徐々に専門分野を決めたい」もしくは「やりたい分野は◯◯であるが、さまざまな経験を通して今後も模索したい」という姿勢を見せましょう。
実際に内定者も「コーポレート・ビジネス・オペレーションそれぞれの分野でやってみたいことを考えておいた」と語っています。
どんな部署でも柔軟に活躍していく印象を与えることがポイントです(選考対策ページより)。
5. 2次面接:会話に近いフランクさ/雑談には雑談で返そう
全日本空輸(ANA)の2次面接は、「面接というよりは会話という感じで非常にフランク」な内容でした。
実際に内定者は、「冒頭の自己PRで緊張しすぎて、話に詰まったら『堅い話はいいから』と笑われた」と語っています。また社員も「この人が職場にいて、楽しく話せるかを見ている」と語っていました。面接官によってフランクさの度合いは違うかもしれませんが、雑談で来たら雑談で返し、相手に合わせた接し方を心掛けましょう。
質問内容は以下の通りです。
・志望動機
・学生時代に頑張ったこと
・なぜ航空か
・なぜ航空の中でもANAか
・ANAでどのように活躍できるのか
・他社の選考状況
・最後に言い残したことはあるか
など
※出典:全日本空輸(ANA)|グローバルスタッフ職(事務)2020年卒の2次面接
それぞれのポイントを見ていきましょう。
なぜ「陸・海・空」で「空」なのかを答えられるか
この面接では「なぜ空なのか」という珍しい質問がされました。これに対して回答を用意していない学生は戸惑い言葉に詰まっていたと内定者は語ります。この想定問答に対する答えを用意しておくと良いでしょう。選考対策ページより、内定者の例を参考にしてみてください。
「なぜANAか」 はJALとの比較で述べると伝わりやすい
この個人面接から、「なぜANAなのか」を問われ始めます。
国内の2大エアラインであるANAとJALはどちらかを志望するよりも、併願する学生が多いためです(競合のJAL内定者によれば志望者の7割はANAを含む航空業界を志望しています)。従って、JALとANAの違いを今一度確認しておきましょう。
内定者はインターンで会った社員との相性を話した上で「JALのお客様視点とANAのお客様視点は異なり、JALが自分が良いと思うものを提供しているのに対し、ANAはマーケティングのように顧客のニーズに合ったものを提供していると考えた。私は過去の経験からANAのように顧客が必要とするサービスを提供するような企業で働きたいと考える」と話していたようです(選考対策ページより)。
6. 最終面接:約3割は落ちる。これまでの発言を振り返ろう
全日本空輸(ANA)の最終面接は1次面接とほぼ同じ質問内容ですが、終始無表情の面接官もいるくらい厳しい雰囲気です。
内定者によると「『最終でも1/3程度が落ちているのでは?』と同期とうわさするほど倍率は意外に高い」そうです。
質問内容は以下の通りです。
・志望動機
・大学での専攻分野に関して(なぜそれを選んだのか、どういう所が面白いのか)
・学生時代に頑張ったこと
・どんな人になりたいか
・ANAでどんな仕事がしたいか
・もしANAで新しいサービスを自由に企画できるとしたら何を提案するか
・他社の選考状況
・英語はできるか
・どんなOBと会ってきたか
・逆質問
など
※出典:全日本空輸(ANA)|グローバルスタッフ職(事務)2020年卒の最終面接
最終面接まで進めば、「他の学生にない魅力」の部分では高評価を得ていると考えられます。これまでの発言を振り返り、矛盾がないようにしましょう。
また、以下のポイントにも気をつけましょう。
動物園採用:最後に埋もれない個性を示せるか
先述の通り、ANAは動物園のような採用を目指しているため最終面接ではキラリと光る個性を最後にアピールできると良いでしょう。
他の学生と差別化するために有効なのが「具体的なエピソードを話す」ことです。
例えばリーダーシップがあること一つとっても、「ベトナムでボランティアを行うために多国籍のボランティアチームをまとめた」「体育会でチームの勝利のために一人ひとりのモチベーションを高めるために1on1でミーティングを行った」では異なる印象を受けるでしょう。
自分にしか話せないエピソードがあれば積極的に話すことをオススメします。
また、最終面接でも2次面接同様に「なぜANAなのか」が問われますので、JALとANAの違いを今一度確認しておきましょう(選考対策ページより)。
おわりに
いかがでしたか? 皆さまの選考対策のお役に立てれば幸いです。
さらに詳しい「選考対策ページ」と「クチコミ」はこちらをご覧ください。
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