日系大手企業に内定した2021年卒学生の選考対策や就活スタイルを余すことなくお伝えする「21卒 内定図鑑」。
第2弾は、大手デベロッパー内定者に、行っていた選考対策や就活のスタンスについてお話を伺いました。
今回インタビューさせていただいたのは、志望業界を決めず、たくさんの会社の中から自分の軸に合う企業を探したというBさん。就活開始時にリストアップした企業は約120社にものぼり、業界もさまざま。OB・OG訪問に重きを置いた企業研究を通じて絞り込んでいったようです。
Bさんが内定を獲得した背景には「できることは全部やる」というマインドと、人事の方に自分を印象付けるための地道な努力がありました。
<目次> ●重視したのは「安定性」。志望業界は設けず、自分の軸にマッチする企業を1社ずつ探した ●1つの企業に17回OB・OG訪問。自分を印象付けるために「できることは全部やる」 ●イベントでは必ず1人は就活仲間を作る。地道な努力が内定のカギ ●Webテストは早期対策を。ESは構造化して伝えることが大切 ・Webテスト ・エントリーシート(ES) ・面接 ●おわりに
重視したのは「安定性」。志望業界は設けず、自分の軸にマッチする企業を1社ずつ探した
──Bさんは業界をあまり絞らずに就活を進めていたそうですね。
Bさん:はい。どの業界を志望するかというより、どの会社に入りたいかという視点を持っていました。
就活を始めた段階は120くらいの企業を見ていましたね。受ける企業を絞っていく中では「企業の安定性」を重視していました。
受けた企業 | 内定した企業 | |
3年夏 (M1) |
【インターン】 大手デベロッパー、ヤフー(Yahoo! JAPAN)、三井住友海上火災保険 日本電気(NEC)、デル、セールスフォース・ドットコム ユニ・チャーム、富士フイルム |
ー |
3年秋 (M1) |
【インターン】 大手デベロッパー ヤフー(Yahoo! JAPAN) |
ー |
3年冬 (M1) |
【インターン】 大手デベロッパー パナソニック |
ヤフー(Yahoo! JAPAN) |
4年春 (M2) |
【本選考】 大手デベロッパー 丸紅 |
大手デベロッパー パナソニック NTTドコモ |
※Bさんが受けた企業一覧。
──企業の安定性にはどのような要素があると考えていますか?
Bさん:時代に左右されずに収益をあげられるモノ・サービスを持っていること、そしてIT化・リモート化の波に対応する姿勢を見せていることだと考えます。独立や起業は考えておらず、新卒入社した企業で長く働きたいと思っていたので、将来性が見込めて、業績が大きく悪化する可能性が低い企業を受けようとしていました。
このような就活の軸を踏まえて、結果的にはメーカーやデベロッパー、IT企業を多く見ていましたね。
1つの企業に17回OB・OG訪問。自分を印象付けるために「できることは全部やる」
OB・OG訪問を通じて企業研究を行う。圧倒的な回数は選考時の志望度の裏付けにも。
──就活を進めていく中で、意識していた点を教えてください。
Bさん:「できることは全部やる」を自分の中で徹底していたことです。例えば、今回内定をいただいたデベロッパーはOB・OG訪問を17回しました。
──同じ企業に17回もOB・OG訪問をしていたのですか!?
Bさん:そうです。インターンが終わった後に社員の方に連絡し、フィードバックを直接もらうために会いに行くなど、社員の方の印象に残ることを心がけていました。他には、社風や福利厚生といった企業のことを聞くのはもちろん、人事や他の社員の方とつなげてもらってもいましたね。
デベロッパーやメーカーって事業部がたくさんあるので、働く前に業務のイメージを湧かせるのが大変なんです。さまざまな事業部のさまざまな職種の方に直接お話を伺ったので、イメージを具体的にすることができました。
また、志望動機を伝える際にはOB・OG訪問をした時に伺った社員さんの話を盛り込み、志望度の高さをアピールしていました。
OB・OG訪問依頼の受諾率を高めるためにBさんがしていた工夫とは?
──OB・OG訪問にはいつ頃から行き始めたのでしょうか?
Bさん:OB・OG訪問自体は、2年生の冬頃ですね。
──早期からOB・OG訪問をされていたんですね。就活のスタートと同時にOB・OG訪問も始めた感じでしょうか?
Bさん:就活を始めて最初にしたのは、興味のある会社のリストアップです。120社ほどリストアップしましたね。会社四季報でデータを見ながら自分の軸とのマッチ度を確認し、企業を絞っていきました。
本格的に OB・OG 訪問を開始したのは、ある程度企業を絞ってからです。会社四季報や企業のホームページなどでは分からない、社風や内情を理解しようと思い、始めました。
OB・OG訪問でお話を聞く社員さんは人事の方ではなかったので、企業の良い部分だけでなく悪い部分も話してくれたんです。定性的な「企業の社風と自分のマッチ度」を測ることができたので、志望する企業をさらに絞っていきました。
──OB・OG訪問をする社員さんはどのように見つけていたのですか?
Bさん:使えるものは全部使いましたね(笑)。大学のキャリアセンターで紹介をしてもらったり、サークルの先輩から紹介してもらったり。他にはOB・OG訪問のアプリも使いましたし、Facebookで社名検索をしてメッセージを送るとかもしました。
──OB・OG訪問のご依頼連絡って返信が来ないことが多いイメージがあります。ご依頼の際にBさんが意識していたことはありますか?
Bさん:すでに知っている人から紹介してもらう場合は、会える可能性が高いのでとにかく丁寧に、失礼のないようにご連絡していました。
OB・OG訪問アプリやFacebookでご連絡する場合はメッセージを開封すらしてくれない可能性が高いので、文章の最初に自分が就活生であること、企業への志望度や憧れを書くようにしていました。スマホに通知が来たとき、1行目だけは見られるじゃないですか。少しでも読んでもらえる確率を高めるために、自分でできる工夫はしていました。
イベントでは必ず1人は就活仲間を作る。地道な努力が内定のカギ
──Bさんはインターンや説明会などの機会はどのように活用していましたか?
Bさん:1イベントで必ず就活仲間を最低1人作るという目標を立てて参加していました。私は理系から文系に転部して学年を1つ下げていたこともあり、就活を始めた段階では情報を共有し合える身近な存在がいなかったんです。
だから、インターンでは同じになったグループの友達とLINEグループを作り、企業説明会では席が隣の人とLINEを交換していました。毎回のイベントで意識した結果、最終的には50人くらいの就活仲間をつくることができました。
──就活仲間とは具体的にどのようなやりとりをされていたのでしょうか?
企業の選考に関する情報を共有し合っていました。具体的には、面接で実施された質問内容や、Webテストの種類や設問の傾向、あとは人事から個人的にいただいたフィードバックなどですね。
就活仲間を作っておくと、後々楽になると断言できます。2〜3時間の企業説明会をただ参加して帰るのではなく、友達を1人作るだけで得られる情報量は格段に増えるので。
Webテストは早期対策を。ESは構造化して伝えることが大切
──各選考フローの対策についてもお聞きしたいです。
Webテスト
もともと本選考はテストセンターだったのですが、今年は新型コロナウイルスの影響でオンライン受講に切り替わりました。
2021卒の就活は、例年の就活より時間的な余裕があったと思います。企業説明会もリモートで開催されることが多く、移動時間なども少なかったので。スキマ時間を効率的に利用すれば、直前に対策を始めても間に合ったんですよね。
2022卒が受検するテストがどのような形式で実施されるか分かりませんが、もし自分が2022卒なら選考が本格化する前の1月2月のうちに参考書を解いておくなど、早期から対策を行います。
▼Webテストの対策はこちらから
・【SPI対策】SPIとは?例題31問付き!言語・非言語等の問題形式と出題内容を解説!
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エントリーシート(ES)
ESの内容はワンキャリアのクチコミを参考にして、企業の社風に合わせたエピソードの見せ方を工夫していました。
特にデベロッパーは「協調性」と「主導性」の両方が求められるので、どちらの要素も持っている人物だと示せるESを作成しましたね。
文章を書く際に意識していたことは、構造化することです。「●●を実現するために2つの観点を意識して取り組みを行いました。1つ目は○○。2つ目は○○。その結果このような効果が出ました」といった書き方でESを作成することで、読み手が理解しやすいESになるように意識していました。
▼ESの対策はこちらから
・エントリーシート(ES)・面接で差がつく自己分析!「学生時代に力を入れたこと」の自己PR例文と話し方
・【エントリーシート(ES)の書き方&例文】ラブレターに学ぶ、企業に読まれるES
面接
面接については、正直あまり対策をしていませんでした。
というのも、選考を受ける中での場慣れや、OB・OG訪問の経験から、変な萎縮や緊張というのが徐々になくなっていったんですよね。そういう意味ではOB・OG訪問は面接対策にもなっていました。
他にはちょっとしたテクニックですけど、オンラインの面接の特性を踏まえた対策はしていましたね。具体的には、明るいライトで顔を照らしたり、普段より濃いめにメイクをしたりして、とにかく笑顔で面接を受けることを意識していました。
従来までの面接とオンライン面接とでは、見え方や与える印象の部分で少なからず差異はあります。オンラインだから自分のことが伝わらなかったというのは嫌だったので、見た目の印象を良くするなど、自分の工夫でカバーできることは最低限行っていました。
▼面接の対策はこちらから ・【面接前日に確認!】思わぬ質問からの失敗を防ぐ5つの準備・対策法 ・「オンラインでは空気なんて読むな」 Web面接1,000回超えのガイアックス人事が伝授する攻略法
おわりに
就活生に人気のデベロッパー業界。
人気な業界ほど、Bさんの言う「できることは全部やる」マインドはすごく大事になりそうです。
何度もOB・OG訪問をして志望度の高さをアピールする、説明会をただ聞くだけで終わらせない、自分の見え方を研究してオンライン面接に臨む……。
「やったほうがいいのは分かるけど、そこまではやらないこと」の積み上げが、他の志望者とは一味違う印象を生み出すカギになるのではないでしょうか。
本選考のエントリーが始まるまで、あと数カ月。「できることは全部やる」気持ちで、後悔のない就活を進めていってほしいと願っています。
内定体験記のあとは、過去のデベロッパーの内定者インタビュー記事や業界研究記事もご覧ください。
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(Photo:Plasteed , Vector Stall/Shutterstock.com)