再開発などを背景に、就活生からの人気が高まるデベロッパー。
ワンキャリアでは、三井不動産の新卒採用を担当する成相(なりあい)さんと坪浦さんにインタビューを行い、事業から社風まで、変化を続ける三井不動産の最前線をお届けしています。
前編に引き続き、後編では、不動産にとどまらない事業の広がり、そして若手が歩むキャリアについてお話を伺いました。
・「三井不動産×◯◯」は無限大。領域を超えた連携が生み出す、「粋な」まちづくりとは?
三井不動産という社名に、「不動産」がいらなくなる時代が来る?
──オフィスもそうですが、三井不動産はMaaS(Mobility as a Service)やヘルスケアなど、さまざまな事業領域に取り組んでいますよね。本業の不動産事業とどのように関わっていくのでしょうか?
成相:三井不動産という社名に、もはや「不動産」がいらなくなる時代が近々来るのでは? と個人的に思っています。再生可能エネルギー、ニュージーランドと日本でのブドウの二毛作、スマート農業など、一見不動産と関係ないことにも当社は積極的に取り組んでいます。
成相:これらの事業の共通点は場所を使って、その場所の付加価値を高めていること。不動産開発に留まらず、人々に新たな生活スタイルを届ける、暮らしを豊かにする、そういった分野まで当社の事業領域はここ数年で急激に拡大しています。
さらに自社でベンチャーファンドも持っていて、不動産と直接関係のないように見えるスタートアップを含め、さまざまな企業に投資をしています。私は「不動産×◯◯」の可能性は無限大だと思っています。人に暮らしを提供している以上、最終的には私たちの本業に結びつくから。MaaSもそうで、人々の活動範囲が広がれば、当社の開発範囲も広がり、いろいろな副次効果が期待できます。
成相 海太(なりあい かいた):三井不動産株式会社 人事部 人材開発グループ 主事
2013年新卒入社し、ビル本部にて、営業・開発を7年経験。msb Tamachi(ムスブ田町)などの大型複合開発に携わる。その後人事に着任し、現職に至る。
──なるほど。人の暮らしの全てがビジネスにつながると考えれば、どんな事業も最終的には三井不動産に還ってくるというわけですね。よく分かりました。ただ、それは他社も同じように考え得るものではないですか? 三井不動産の優位性はどこにあるのでしょう。
成相:第一に、社員がやりたいことを後押ししてくれる社風だと思いますね。当社には「MAG!C」という社内事業提案制度があります。
若手のうちから手を挙げて会社に対して事業提案をする、事業化が認められれば、たとえ若手だろうとそのプロジェクトのリーダーになる。もともと挑戦の気質のある社風ですが、このような機会があるからこそ、社員一人ひとりが当たり前のように新しい価値を生み出そうとアンテナを高く張り、新しい事業を切り開く社風が加速しているようにも思います。
また、当社は新しいことを実験するための場所も持っています。オフィスビル、商業施設、ホテルなど、さまざまな場所で実証事件が行われています。私も複数の部署を経験してきましたが、どの部署でも何か新しいことを始めようとすると、周りの人たちに「面白そうだからやってみよう!」と応援をしてもらった経験があり、このような環境・社風はとてもありがたいと思っています。
坪浦:例えば、柏の葉スマートシティでは街全体で実証実験を日々行っています。「課題解決都市」を掲げ、公・民・学が一体となったまちづくりをしているからこそ、新しい取り組みがしやすいという背景もあります。「KOIL MOBILITY FIELD」といって、首都圏最大級の屋外ロボット開発検証拠点を提供し、自動運転やドローンの実証検証拠点を設けたり、防犯カメラとAI(人工知能)で街を観察し、うずくまっている人がいたらSOSが出るサービスを実験していたりしますね。
その他にも、パーソナルデータの安心・安全な流通のためのプラットフォームの構築など、従来の「まちづくり」のイメージとは少し離れたところまで展開しているので、興味があれば、ぜひ柏の葉スマートシティについても調べてみてください。
──新しいことに対して前向きな雰囲気はあっても、これだけ規模が大きく、関係者も多いプロジェクトとなると、企画の実現までに長い時間がかかりそうです。
坪浦:もちろん、バリバリのベンチャーに比べるとスピードは落ちると思いますが、大企業の中であっても事業を形にしやすいのが当社の強みです。若手中堅を問わず、担当者が意思を持って「絶対にこれをやるべきだ」と伝え、それが会社のため・社会のためになることであれば、事業案は通ります。実際に、先ほどお伝えした柏の葉まちづくり推進部では、入社4年目である私の同期も最前線で活躍しています。
「必ず街に人は戻ってくる」 コロナ禍であろうと海外事業は止めない
──それは面白いですね。事業の幅が広がる中で、求められる人材や実際に三井不動産に転職してくる人というのは、これまでとは変わっているのでしょうか?
坪浦:そうですね。年齢層は幅広く、他業界からの中途入社が増えています。メーカー、金融、総合商社、コンサル、官公庁、メディアなど、例を挙げたらキリがありません。「自ら手触り感を持って」大きな事業を作っていきたい人たちから、三井不動産は選ばれています。
坪浦 諒子(つぼうら りょうこ):三井不動産株式会社 人事部 人材開発グループ
2018年に新卒入社し、初期配属にて人事を務める。
──業界を超えて、さまざまな人材が加わることで、社風に変化はありましたか?
成相:「三井不動産はこうあるべきだ」というのではなく、どんどんと新しいものや考え方を取り入れていく。多様性を受け入れられるカルチャーになってきたと感じます。
──長期経営方針で「2025年前後をめどに、海外事業の営業利益の割合を3割」という目標を立てられていましたが、海外案件は現状も進んでいるのでしょうか。
坪浦:はい、現在も海外でもまちづくりを積極的に行っています。2021年の4月には「ららぽーと上海金橋」が開業しました。他にもクアラルンプールや台湾でららぽーと、あるいはアウトレットを含めて、オープン予定が続いています。ジョブローテーションの一つに海外駐在があり、駐在社員は各支店のローカルスタッフと、国内の海外事業本部の社員と協力しながらプロジェクトを進めています。
成相:当社としては、コロナ禍が明けたら街に人が戻ると信じてプロジェクトを進めています。日本国内も含め、コロナ禍の影響で計画が白紙に戻ることはありません。
2021年4月に開業した「ららぽーと上海金橋」
──海外にはどれぐらいの年次の方が行かれますか?
坪浦:人によってバラバラですが、ジョブローテーション2部署目以降の、さまざまな年次の社員が駐在しています。私の同期も2部署目として、この4月に上海へ行きました。
まちづくりは、国内であっても多くの関係者の意見を一つの方向に導き、開発後の街への影響まで責任を持って見守っていく難易度の高い取り組みです。言語や文化の異なる海外なら、その難しさはなおさらです。単に語学力が高いだけでは、良いまちづくりを進めることはできません。早くて2部署目だとイメージいただけたらと思います。
成相:私の同期は現在、5人が海外で働いています。そのうち2人が2部署目、3人は3部署目で行きましたが、同期全体が30人弱なので、2割弱が海外を拠点に活躍していることになります。
2年目から前線で戦う。十人十色のジョブローテが作る「その人らしいキャリア」
──学生に向けて、新卒社員がどのようなキャリアを歩むかを教えてください。
坪浦:大体10年3部署でジョブローテーションを行います。初期配属は本当にバラバラで、総合職の同期は36人いますが、所属の被りはほぼありませんでした。2部署目は、1部署目と全く違う部門への配属が多いです。
成相:アメリカにいる私の同期は、最初に商業施設、次は物流、現在はアメリカの西海岸で土地を買う(事業機会獲得)仕事に就いています。一見関連しない仕事に見えても、前の部署の経験が生き、新しい部署で働く自分の強みになります。もし皆が同じ経験だったら、その人だけの強みは生まれにくいですよね。違いの積み重ねが、その人らしいキャリアにつながります。
──成相さんは「三井不動産は若手がガンガン前に出ていくスタイル」とお話しされていました。実際、何年目から前線に立つ形になるのでしょうか。
成相:所属する部署や個人の性格によりますが、私の場合は2〜3年目からでした。2年目に、霞が関の物件に関わるプロジェクトで上場企業の社長の前で物件プレゼンを行っていました。当然1人ではなく、上長も同席し、何かあればフォローはしてくれますが、プロジェクト自体は「成相案件」と任されていました。そういう意味だとプロジェクトリーダーは自分が務めさせてもらいました。
──三井不動産は最初から前線に若手が放り込まれて、一人前として扱われるという雰囲気なんでしょうか。
成相:私の持論では、「2部署目の2年目ぐらいに当たる4〜5年目」が一人前といわれる年次だと思います。1部署目は新人配属された部署ということもあり、いろんなことを周囲に教えてもらいながらも、1人で実務をこなす練習をする期間です。
2部署目の1年目は、まずその部署のことに慣れる必要があります。初期配属部署の3~4年間で社会人の基盤・基礎的能力を身につけ、2部署目の2年目からは一人前でバリバリ取り組むイメージです。ただし、1部署目からマネジャーの下で実質チームリーダーを任されている人もいるので、人によって差はありますね。
前例踏襲なら誰でもできる。自分で考え、手を動かす人に三井不動産は向いている
──変革が進む今の三井不動産をファーストキャリアに選ぶメリットは何だと思いますか。
成相:成長スピードです。一つの案件に関わる関係者が多いため、自分主体で進める場数と質、難度が高いです。それをこなすのが当たり前の世界で、自分も背伸びしながら仕事をしていかないといけません。若手のうちからこれらを経験できるのは、確実に当社へ入社するメリットになると思います。
坪浦:会社の気質として「前例踏襲なら誰でもできる」という雰囲気があります。いかに自分の色、価値を出すかが求められますし、そこに一番の楽しさがあるのだと思います。それは、まちづくりに直接関係のなさそうなスタッフ部署の仕事でも同じです。
例えば、この動画はコロナ禍でも海外の働きを知ってもらいたいと思い、駐在員にVlog風の動画撮影を提案したことがきっかけで完成しました。採用ページに掲載されているのでぜひご覧ください。
成相:そうですね。自分で考えるのが好き、手を動かすのが好きだという人にとって、三井不動産は向いていると思います。──坪浦さんは今年で入社4年目になりましたが、この3年間で会社に対する印象は変わりましたか。
坪浦:賢い人が多い、というのはイメージと少し違った点かもしれません。入社前までは、思いをつなげるなど、ハートフルな人が多いと思っていました。
しかし、実際に働く中で、地域の人が一緒に暮らせる方法を模索する姿や、それを社内外のさまざまな立場の人に対して分かりやすく説明を行う姿、そして、そういった実現のために努力を惜しまない姿を見て、気持ちだけでは成り立たないことや、思いの面以外でも尊敬できる人が多い会社だと実感しました。
先ほど、当社の「不動産×○○」の○○が無限大だという話もありましたが、何を実現したいのか、どうやったら実現できるのかを自分の頭で考え、実行に移せるからこそなのだなと思っています。
成相:当社はよく熱意のある企業と言われます。それは、自分たちがこの街に必要だと思う未来像の実現に向け、その未来像を一緒にプロジェクトを進める仲間に伝え、事業を遂行していくからです。いろいろな人の合意を得ながら進めるので、熱意がないと途中で心が折れてしまうこともあります。
──ありがとうございました。最後にコロナ禍で就活に挑む学生へ、応援のメッセージやアドバイスをお願いします。
坪浦:就職活動を進める中で、大変な部分もプレッシャーもあると思いますが、悩んだときこそ、周りと比べるのではなく、自分が将来どういう大人になって毎日を過ごしたいかを考えてほしいです。
自分の気持ちに素直になって、何にときめいて喜びを感じるのか。就職活動の主役は皆さん自身ですので、自分主体で考えてほしいなと思います。そういった思いを持って決断した会社では、入社してからも楽しく仕事に取り組めると思います。自分の気持ちに正直に頑張ってください!
成相:今後、多くのすてきな企業との出会いがあると思います。自分と合う・合わない、自分が仕事を楽しめそうか、自分がそこで働いているイメージが持てるかなど、自分の直感を大切にしてください。しかし、就活だけを頑張ると直感はどんどん鈍くなってしまいます。就活以外にも自分の好きなことや熱中していることをやりながら、自身に合う企業を見つけ出すのがいいのではないでしょうか。
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