新型コロナウイルス感染症の影響で、説明会や面接だけでなく、グループディスカッション(GD)をオンラインで実施する企業が増えています。
対面のGDですら慣れていないのに、オンラインGDって一体どうなるんだろう? と漠然と不安な気持ちを抱える人もいるはず。
昨今、GDだけでなくインターンそのものをオンライン上で開催する企業も出てきていることを考えると、オンライン上で他者とコミュニケーションをとる能力は鍛えておくに越したことはありません。
今回の記事では、オンラインでのコミュニケーションを円滑に進めるための基本作法や、実際にGDを経験した人の体験談や失敗談をご紹介します。
<目次>
●オンラインコミュニケーションの基本は「視線」と「話し方」
・視線:大事な場面では「カメラ目線」を忘れずに
・話し方:「結論ファースト」や滑舌の良さはオンラインでも有効
●オンラインGDで評価されやすい人の特徴とは? 経験者に対策を聞いた
・オンラインGDでは、ファシリテーターが圧倒的に有利?
・オンライン化で欠落しやすい「情報共有」と「気遣い」に注意しよう
●「1時間ずっと画面が黄色かった」、経験者が語るオンラインGD失敗談
●おわりに
オンラインコミュニケーションの基本は「視線」と「話し方」
分割された画面や不安定な電波、ワンテンポ遅れて届く参加者の声……。オンラインでのGDには、対面のときとは一味違う難しさがあります。
その最たるものは、発言が被らないようにする必要があること。会話の間が掴(つか)みづらくなるため、対面のとき以上に「1人ずつ」話すよう注意しなければ議論が混乱してしまいます。ファシリテーションが重要になるのは言うまでもないでしょう。
また、参加者とのコミュニケーション全般が対面よりも難しくなる点も忘れてはいけません。
相手とコミュニケーションをとるとき、私たちは言語だけではなく、表情・視線・姿勢や動作などの「非言語コミュニケーション」を使っています。
オンライン上でも話者の表情は何とか読み取れるものの、視線や姿勢、動作での表現は対面に比べて格段に読み取りづらくなります。私自身、初めてオンライン上で複数人と会議をしたとき、動きが少なく、相手の感情が分かりづらい状況に戸惑いました。
では、オンラインコミュニケーションを円滑に進めるために、気をつけるべきことは何でしょうか?
視線:大事な場面では「カメラ目線」を忘れずに
話すときは、相手の目を見て話す……コミュニケーションの基本ともいえる動作ですが、オンラインで行うときは少し工夫が必要です。
画面上に相手の顔は映りますが、それを見つめていると、カメラとの位置の関係上、うつむいているように見えてしまうことも少なくありません。
※視線も見る場所によっては読み取れなくなる
そのため、GDで参加者の意見をまとめたいときや、自分の意見を発言したいときは、カメラを見て話しましょう。
オンラインGDの経験者は「自分がどうしても伝えたいことがあるときは、カメラを見ていました。対面でのGDでは、一人一人の顔を見て話せますが、オンラインではそれが難しいので、少しでも感情に訴えるためにはカメラを見て、画面の向こうにいる参加者と『目を合わせる』ことが重要だと考えていました」と話します。
話し方:「結論ファースト」や滑舌の良さはオンラインでも有効
動作でのアピールは伝わりづらくなりますが、話し方や声による「音」で印象を残す方法は、対面と変わらず有効です。
例えば、滑舌よくはっきりとした声で話す、語尾までしっかり発言する、「結論ファースト」で話す、「〜しましょう」と積極的に声をかけるなど。対面のとき以上に「話し方」を意識しましょう。
オンラインGDで評価されやすい人の特徴とは? 経験者に対策を聞いた
「オンラインGD」とはいっても、その形式は多種多様です。
そのため、今回はオンラインGDを経験した就活生2人に実体験を聞いてみました。
・Aさん(21卒/デベロッパー志望)
・Bさん(22卒/コンサル志望)
オンラインGDでは、ファシリテーターが圧倒的に有利?
──どのようなオンラインGDを受けましたか?
Aさん:「Microsoft Teams」というツールを使ったオンラインGDを受けました。1グループは6人(学生4人+社員2人)でした。テーマやアイスブレイクの内容は事前に全て決められていて、軽くアイスブレイクをした後、与えられたテーマについてみんなで意見を出し合いました。
──対面のGDとは異なることはありましたか?
Aさん:対面のGDだと、発言が被っても、視線や動作から判断して発言の順番を決めやすいですが、オンラインでは空気が読みにくいので、みんな発言が慎重になります。次の発言が出るまでの間も対面GDより長いです。
また、オンラインGDでは書記やタイムキーパーよりもファシリテーター(進行役)の方が実力を発揮しやすいと感じました(※)。
ツールによっては発言者だけが大きく表示されたり、画面が分割されたりするので、書記の人が小さい画面の中でメモを見せても参加者からは読みづらいです。タイムキーパーも発言するタイミングが掴(つか)みづらく、難しそうでした。失敗すると進行している話の骨を追ってしまうので。
一方で、ファシリテーターは対面よりも「発言量」が増えやすく、アピールポイントになりやすいと思います。
──オンラインGDが難しいと感じた点はありましたか?
Aさん:初歩的なことかもしれませんが、参加者の名前を覚えるのが難しかったです。対面のときは、雰囲気や動作と一緒に名前を覚えたり、名札をつけていたりするので「名前が覚えられない!」と感じたことはほとんどありませんでした。
Zoomのように画面上に名前が表示されるツールもあるのですが、私が使用したツールはそうではなかったため、アイスブレイク中に名前をメモする必要がありました。
(※)……GDの役割についてはこちら「グループディスカッション完全対策!全テーマの進め方/コツや役割を網羅的に解説」
オンライン化で欠落しやすい「情報共有」と「気遣い」に注意しよう
──どのようなオンラインGDを受けましたか?
Bさん:選抜コミュニティの選考会を兼ねたオンラインGDです。参加者は約60人で、6人1組のチームに分かれました。「GD+社員からのフィードバック(FB)」を計3回行いました。
──対面のGDと異なることはありましたか?
Bさん:対面のGDよりも参加者の主張が激しいと感じました。「助け合い」の精神が薄くなるのかなと。
例えば、目の前に転んでいる人がいれば助けようと思うけれど、遠い国の人たちを助けてください、と言われると一瞬止まって考えてしまうような感覚です。実際に目の前に人がいないため、他者への想像力が弱くなる気がします。
その分、話していない人に話を振ったり、みんなの同意をまとめたりできる人は面接官の印象に残りやすいと感じました。
──オンラインGDが難しいと感じた点はありましたか?
Bさん:2つあります。
まずは「視覚的な共有がしにくい」ことです。対面のGDでは、参加者と一緒に机でメモを取って、それを見ながら話し合えますが、オンラインでそれはできません。
私が参加したオンラインGDでは、ツールで図を書いて画面共有ができる人や、大きな紙にマッキーで重要なポイントを大きく書いてみんなに見せる人が議論を引っ張っていました。GDが始まる前に、ツールの使い方を調べてみたり、紙と太めの油性ペンを用意したりしたほうがいいかもしれません。
もう1つは、「場を和ませにくい」ことです。アイスブレイクの時間が取られていなかったので、面接官がチームに入ってくるまでの1〜2分で参加者と話しました。
対面のGDであれば、隣の人と話して、盛り上がってきたら全員でなんとなく話して、という流れが自然とできるのですが、オンラインだと必然的に全員参加の会話になるので段階的に相手と打ち解けるのが難しかったです。
こればかりはどうしようもないので、GDが始まったら積極的に「◯◯さんはどう思いますか?」などと聞いて、みんなと話すことで場を砕いていくのがいいと思います。
「1時間ずっと画面が黄色かった」、経験者が語るオンラインGD失敗談
最後に、オンラインGD経験者に聞いた「失敗談」や「ちょっとしたコツ」をお届けします。反面教師にしたり、早速次のオンラインGDで取り入れたりしてみてください。
<失敗談>
・最後に意見を発表するタイミングで「こちらの紙を見てもらっていいですか?」と聞いたら「○○さん、ずっと画面が黄色いので見えません」と言われた
・話を振ってくれる人を待っていたら、ほとんど話せないままGDが終わった
顔にフィルターをかけられるカメラを使用していたら、GDで使用するツールに対応しておらずGDの1時間ずっと画面が黄色くなっていたと話す経験者。画面が黄色くなってしまっていることに気がつかず、スーツを着て笑顔で1時間以上うなずいていたそうです。
自分の性格をアピールしたり、議論に必要な意見を出したりすることはもちろん大事ですが、オンラインGDではツールの設定にも十分注意を払いましょう。
ツールのバージョンは最新になっているか、充電は残っているか、タブを開きすぎてパソコンが重くなっていないか、通知は切っているか、などをGD開始前にチェックするのもお忘れなく。
また、Bさんが話していたようにオンラインでのGDは積極的に参加しないと発言がしにくいという一面も。他の人の話を遮ってまで話すのはおすすめしませんが、意見があればためらわずに発言すべきです。
<5分でできる「オンラインGD成功のおまじない」>
・背景に癖のあるポスターや服などをかけておく
・顔への光のあたり加減に少しこだわる
対面に比べてアイスブレイクはしにくいオンラインGDですが、小さな画面の中で自分なりの工夫もできます。目を引く物を部屋に飾っておくことで、「そのポスター、かわいいですね」のような会話のきっかけを作ることができます。
また、逆光でずっと顔が暗いままよりも、適度に光が当たって明るい表情が見える方が印象が良くなります。うつむきがちに見えないように、Webカメラの位置を自分の目線の高さに持ってくるのも効果的です。
ただ、角度を追求しすぎてカメラを正面ではなく斜め前に設置し、GD中ずっと横顔が映っていた人もいたそうなので注意は必要。あくまでもメインは「議論」です。
おわりに
ここまで視線の方向や声の聞こえ方など、さまざまなポイントを挙げてきましたが、実際にオンライン上で人と話してみないと実感しにくいことも多いです。時間があるときにZoomなどを使って、誰かと話してみてくださいね。それだけでも十分練習になります。
慣れるまでは難しく感じるかもしれませんが、それは周りの参加者も同じこと。経験者の話を参考にしつつ、場数を踏み、少しずつオンラインGDに慣れていきましょう。
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※こちらは2020年6月に公開された記事の再掲です。
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