就活で企業がよく発信する情報の一つが「働き方」です。入社後のイメージを持ってもらうために、制度からモデルケースまで詳細に伝える企業も少なくありません。
その一方で、就活生にとっては「遊び方」も気になるところです。趣味や旅行といったプライベートの楽しみを社会人になっても持てるかは、気になるポイントでしょう。
そんな疑問に答えてくれたのが、ゴールドマン・サックスで働く山下紗里さんと、御園生彩花さん。同社には厳しいイメージもありますが、旅行先での思い出や趣味の話をするお2人のトークからは、仕事とプライベート、両方の充実ぶりと、それを実現するためのチームの条件が出てきました。
「実は最近、趣味で個人的に食育インストラクターの資格を取得しました」
「チーム全員、どのように業務をカバーしあえるかいつも考えていますね」
2人の日頃の業務内容からプライベートタイムの過ごし方まで、気になる入社後の生活を詳しく教えてもらいました。
ランチタイムは社内ジムでマッサージも。充実した仕事に不可欠なのは「戦略性」
──山下さん、御園生さん、本日はよろしくお願いいたします。外資系金融で働く方は忙しいイメージがあるのですが、お仕事の合間にリラックスできる時間はありますか?
山下:実は、会社の中にジムがあるんです。ランチタイムにさっと走りに行って、シャワーを浴びていく社員をたまに見かけますよ。
私は出産を控えているので現在は利用していないですが、妊娠する前は20分〜40分くらいの指圧マッサージに通って、体のリフレッシュをよくしていましたね。
山下 紗里(やました さり):オペレーションズ(業務統括本部)ヴァイス・プレジデント。2013年入社。大学で農業資源経済学を専攻し、新卒でオペレーションズに入社。デリバティブ商品の決済業務を経て、現在はアジア全般の規制当局への取引報告を主に行っている。趣味は旅行、おいしいもの巡り、今夏に出産予定。
──ジムだけではなく、社内で指圧マッサージができるんですか?
御園生:はい。私は会社のジムのヨガ教室によく通っています。お昼に45分間のレッスンがあるので、少し体をほぐしてから午後の仕事に取り掛かることもあります。
あと、仕事中だと良い香りのハンドクリームやアロマを使ったりとか。マンダリンの香りがするのがお気に入りで、愛用しています。
御園生 彩花(みそのう あやか):投資調査部門アソシエイト・アナリスト。2016年入社。新卒で投資調査部門に配属され、現在は素材系(鉄鋼・化学)に関連する企業の株式調査を行っている。週末は旅行や料理、ピラティスを楽しむ。
──想像しているよりも、自由に使える時間もあるのですね。
山下:年次にもよりますが、日々のスケジュールは自分で調整することが多いので、外から持たれるイメージほど、常に緊迫した様子ではないです。ただ、リフレッシュできる時間を確保するためにも、自分がやっている仕事がどれくらいで終わりそうなのか、目処(めど)のつけどころは意識しています。
御園生:私が所属する投資調査部門は、年に4回の決算シーズンのときは忙しいですね。それが終わった後は、自分ならではの視点や気付きをまとめる時間となるので、見通しが立てやすいです。
──仕事を充実させるために、戦略的にスケジュールを組んでいるのですね。休憩時間に社内でコミュニケーションを取ることもありますか?
御園生:はい、同僚や先輩とランチに行って社内のネットワークを作るようにもしています。オフィスがある六本木ヒルズ周辺のランチをよく開拓しています。六本木ヒルズ内にあるイタリアンのチーズたっぷりピザは好きです(笑)。
山下:そうそう。周りに飲食店が多いので、テイクアウトしたりとか、デリバリーを使ったりする人もいます。オフィス周辺には多国籍料理のお店なども多くて楽しいです。ヒルズ近くで買えるファラフェル(ひよこ豆のコロッケ)が最近のお気に入りです。
北欧のレストランに、ニュージーランドの大自然。ご褒美もあるから、メリハリよく働ける
──お休みの日はどう過ごしていらっしゃいますか?「忙しくて休暇が取りにくい」というイメージもあるのですが……。
山下:休暇制度が整えられているので、1〜2週間のまとまったお休みを取る人が多いです。休暇を利用して、旅行に行く社員が多いですね。
──思い出に残った旅行はありますか?
山下:私はおいしいものを食べにいくことが大好きで、「あの国のレストランに行くために、旅行に行こう」と、グルメがメインの旅を企画することも多いです。まずレストランの予約をして、そこから行き方を考えたり(笑)。入社してから2、3年目に北欧旅行に行ったのですが、今でもすごく思い出に残っています。
休暇中にノルウェーの大自然を満喫する山下さん
御園生:私はニュージーランドが好きで、過去2年以内に3回も行きました。日本にない大自然に触れて、気持ちもリフレッシュできます。ずっと仕事をしていても煮詰まってしまうので、休暇がある方がまた次に帰ってきたときに頑張ろうと思えるんです。
何度も訪れているニュージーランドで笑顔を見せる御園生さん
──お仕事が忙しいと、プライベートは休息の時間が多いのかと思っていました。
山下:仕事をする時は仕事をしっかりして、遊ぶときはしっかり遊ぶ! そんな「ワークハード、プレイハード」な社員が多いですね。
「秘伝のタレ」を極める料理人、アナリスト。趣味で食育インストラクターにも挑戦
──ここからは、お2人のお仕事についても、教えてください。御園生さんの1日の働き方はどのようなスケジュールですか?
御園生:出社時間は7時半〜8時で、まずはオーバーナイトのニュースをチェックしたり、海外の部署からのメール対応に当たったりします。朝は営業と打ち合わせもあり、前日発行したレポートを共有します。
アナリストは外に出ることが多く、取材や工場見学などに足を運びます。私は鉄鋼や化学などの素材業界を担当していますが、担当企業に限らず、時には私の出身大学の教授や研究機関に行くなど、積極的に足を運ぶことで情報収集します。
──デスクに向き合うだけでは、レポートは作れないのですね。
御園生:オフィスに居続けるだけではアイデアに限りがありますし、実際に見たり聞いたりすることが重要です。仕事以外に集中しているときにアイデアがポンと浮かんでくることがあります。
海外にもそれぞれの国にアナリストがいるので、例えばロンドンやニューヨーク、香港のアナリストと一緒に電話会議を開き、「今、業界全体はどうなっているのか」と情報交換をしています。
──仕事をする上で、意識していることはありますか?
御園生:アナリストは自分がどれだけ世の中の動きに対して新たな視点を持ち、正しい分析ができるかというロジカルさが重要です。どこかの媒体から仕入れた一つの情報だけを見るのではなくて、さまざまな媒体を見ていくようにしています。
特に「伝えたいものを伝えやすくする」という点に気をつけています。料理をするときに似ていますね。自分の視点を「秘伝のタレ」のように分析の中に入れ込み、それを伝わりやすくするために情報を調理し、美味しくお客様に食べていただけるようにします。
──料理は、分かりやすい例えですね。
御園生:はい。実は最近、趣味で個人的に食育インストラクターの資格を取得しました。確かに、何を作るか決めて食材を選んだり、調理の行程を考えたりするプロセスは、仕事でも似た場面があるなと感じますね。
聞き方にも、伝え方にも気を配る。オペレーションズは世界中のチームのつなぎ役
──山下さんが所属するオペレーションズではどんな業務をされていますか?
山下:私は主にアジアの規制当局への報告を行っており、チームマネージャーの立場としてマネジメントに携わっています。オペレーションズの仕事は、社内の内側の点と点(情報と情報)をつないでいく仕事、と例えると分かりやすいかなと思います。
──つなぐ仕事、ですか?
山下:はい。国内・海外問わず数多くのチームが社内にあるので、例えば他のチームが管理している情報と、私たちのチームが必要とする情報が必ずしも同じ形で見えていないことがあります。その時、どうしたら欲しい情報が得られるか「聞き方」を考えたり、さまざまなチームがどうやったら衝突せずに相乗効果を生み出せるのか「伝え方」に気を配ったりしています。
──コミュニケーションが重要なのですね。
山下:入社してみると思っていた以上に多くの人と連携していることを知り、「仕事は一人だけでは完結できるものは少ない」と学びました。実際に、オペレーションズはさまざまな業務を並行して進めます。
だからこそ、周りを見て、より良くできる方法を考えながら業務を進めています。日々同じ仕事をただ行うのではなく、どうやったらよりよくできるか? を問い続けることがすごく大事ですね。
──オフィスでは、どのように働くイメージでしょうか?
山下:私は内勤なので、まず9時までに出社し、その日に行う仕事を整理し、チームの状況を把握しながらマネジメントしています。オペレーションズは他部門・地域と関わることが多く、中でも特に私の携わっている業務は取引データを網羅的に扱うため、他部門やシンガポールを中心としたさまざまな地域にいる他のチームと日々連携して仕事を進めています。電話もメールも英語で対応することが多いです。
会社専用の託児所で職場復帰もサポート。「入社時は重要性を意識していなかった」
──山下さんは、出産を控えられています。ライフステージの変化という点では、懸念点はありませんでしたか?
山下:実はチームのマネージャーになったタイミングと、妊娠をしたタイミングが同時期だったのですが、特に不安を抱かなかったのはチームの力が大きいですね。
──制度が整っている、ということですか?
山下:それもありますね。「ペアレンティング休暇」という制度があり、社員は男女問わず、本人や配偶者、パートナーが出産や養子縁組をするときに、最大20週間までの有給休暇を取ることができます。
また、職場のサポートも大きいです。私もペアレンティング休暇を取ろうと思っていますが、出産後まだどのような状況になるかの見通しは立てにくいです。それも踏まえてどんなキャリアを理想として描きたいのかは常日頃から上司と話しています。
大きな組織である利点を生かして、直属の上司だけではなくて、他部署の先輩や上長にも話を聞いてもらって、最適な選択をできるようにしています。
──制度だけでなく、チームワークの力も大きいのですね。
山下:休暇制度に関しても、プライベートと仕事を両立させる上で、どのような部分が社員にとってネックになっているのかを会社が理解してくれていて、必要なものを整えてもらっているな、と感じます。
例えば、子育て支援の一つに、会社専用の託児所があります。保育園に入れなかったらどうしよう、というような過度な不安もないことは、ありがたいですね。
──子育ての不安なく働ける環境は重要ですよね。
山下:入社するときはそこまで意識していなかったのですが、実際に会社のさまざまな制度を使うようになってから重要性を感じています。家族を持ったときにケアしてもらえる制度は他にもあるので、出産後はぜひ使ってみたいです。
──御園生さんはチーム力を感じることはありますか。
御園生:何かの制度を使いたいとき、チームの先輩だけではなく、人事担当者やメンターにも気軽に相談しやすいです。また会社には日々の仕事の悩みや疑問を相談できるメンターもいますし、話しやすい環境が整っています。
他にも、ランチタイムに女子会を開いて、プライベートのことを共有したり、仕事の悩みをどう解決するかを話し合ったりします。どこで洋服を買っているか、なども知れるので、楽しいですね。
社内制度だけじゃない。ゴールドマン・サックスの女性社員が「働きやすい」と感じる理由
──制度を活用する以外で、仕事とプライベートの両立のために気をつけていることはありますか?
山下:今、自分がやっている仕事がどれくらいで終わりそうなのか、目処のつけどころは意識しています。自分のキャパシティーを超える業務を抱えてしまうとチームにとっても何かあったときにリスクとなってしまうので、優先順位はいつも考えています。
マネージャーとしてチーム全体の作業量も把握しておかなくてはなりません。チーム全員、どのように業務をカバーしあえるかいつも考えています。
御園生:仕事の時間は仕事の時間と決めて、今日は何をやらないといけないのかをまず朝に確認します。あと、仕事のアウトプットを最後に出すまで一人で抱えこまず、適宜、進捗(しんちょく)状況を上司に報告します。上司が気にかけてくれるので、助かる場面は多いですね。
──外資系企業ならではの「働きやすさ」と感じる部分はありますか?
山下:自分のパフォーマンスをしっかり出して、意見を出して行動していけば、基本的にできないことはないのが外資の魅力だと思います。制度に合わせて働き方を変えるよりは、成果を出すために働き方を自分で決める、その方が自分に合っていると感じています。
──外資系の働き方に不安を感じる方もいるかと思いますが、御社の場合はチームでのサポートを得られるのでしょうか。
山下:「会社にどうにかしてもらおう」というよりも、「どうにかしよう」という気持ちを持っている人が多い気がします。自立した人間であることが大切ですね。
御園生:確かに、最後までやりきるという責任感を持つ社員は多いですね。
──お2人のお話を聞いて、外資系金融企業のイメージが変わりました。お2人のように、仕事もプライベートも大切にしているすてきな先輩がいると、後輩たちも心強いですよ。最後に、就活生にアドバイスをお願いします。
御園生:福利厚生や職場のサポートの大切さは、ライフステージが上がるに連れて感じるようになっています。また、アナリストはチームで成果を出すことが求められていて、「海外の同僚とも、昔から知っていた友人のように働けるチームワーク」はこの会社の魅力だと知りました。就活生の皆さんには、イメージにとらわれすぎず、いろいろな人の話を聞いて、入社後に本当に自分が楽しく働けるのかを確かめてほしいです。
山下:外資系金融といっても、職種は多岐にわたっていて、やることも大きく違います。入社後のギャップを少なくすることは就活で大事なことだと思うので、「外資系金融」でひとくくりにするのではなく、どの職種が自分にフィットするかを考えてほしいです。
──山下さん、御園生さん、ありがとうございました!
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イベント情報【ライター:川口ゆり/編集:吉川翔大/カメラマン:百瀬浩三郎】