P&G、ユニリーバ、ロレアルに代表される外資系消費財メーカー。
「世界最高レベル」と称されるマーケティング力を誇るP&Gや、世界190国で商品展開を行うユニリーバまで、圧倒的なブランド力を誇る消費財メーカーの魅力は計り知れません。
今回お話を伺ったのは、エントリー段階の倍率が1,000倍に達することもあるトップ外資系消費財メーカーに内定したBさん。
「自分一人では絶対に内定できなかったです。人の力を借りまくりました」
時折笑顔を見せながら、言葉に迷うことなく就活を振り返ってくれたBさん。一見完璧そうに見える彼が、「自分の実力だけでは内定できない」と語る真意に迫ります。
2021年卒の早期内定者にインタビューをする「早期内定レポート」。
第2回は、外資系消費財メーカー内定者の就職活動やキャリア観をインタビューしました。
<目次>
●高校3年生の「商社志望」から大学3年生に「マーケ志望」へ
●マーケターは人の声を聞ける人。足を運んで話を聞き続けた
●英語は必須ではない。必要不可欠なのは、「伝え方」と「リーダーシップ力」
●早期内定をするには、「信頼」を勝ち取るための「準備」をせよ
高校3年生の「商社志望」から大学3年生に「マーケ志望」へ
──Bさんはいつ頃から消費財メーカーを志望されていたんでしょうか?
Bさん:海外で働きたい気持ちがあったので、高校生の頃は「商社マンになりたい」と思っていました。
でも、大学2年生で海外に行ったときにたまたま商社マンと話す機会があって、「自分とはフィットしない」と思いました。
商社の業務は、基本的に案件が決まっています。「国内および海外のステークホルダーを取りまとめ、案件管理を行う」という業務がメインの仕事で、「消費者に寄り添う仕事がしたい」と思っていた私には、あまり魅力が感じられませんでした。
そこでキャリアを考え直して、当時着手していた研究との親和性が高かった「マーケティング」に興味を持ち始めました。人が大好きなので消費者に近い仕事であることも魅力的でしたし、ある消費財メーカーの著名なマーケターに会ったときに「君がマーケターになるのを楽しみにしているよ」と言われた経験も大きかったです。
そして、大学3年生には「消費財メーカーのマーケターになる」という意思を固めました。
──明確に将来やりたいことが決まったのは大学3年生だったということですね。そのまま就活を始められたんですか?
Bさん:いえ、研究にハマって大学院に進学しました。でも、学部時代から就活のことを意識していたことで、周りと差別化を図ることができました。
もちろん、社会に出るうえで、大学院での研究が役に立ちます。ただ、就活に関する知識が何もないと学部生に情報で差をつけられて、うまくいかない人もいます。
もし院進が決まっていたとしても、学部時代に就活のことをリサーチしておく方がいいと思います。
Bさんの選考対策
※Bさんの選考対策時期
──大学院に進学するなら就活はまだ先だと思っている人も多い中で、Bさんの行動は周りから頭一つ抜けているように思えます。就活を意識して最初に始めたことはなんだったのでしょうか?
自己分析
Bさん:自己分析ですね。自己分析は絶対に一人ではできないので、面接でついてくれたリクルーターに話していました。何回も面談を組んでもらって、毎回「目的」を達成できるようにします。
私は面談ごとに違う目的を持っていって、「目的設定→面談で話しつつ目的を達成→反省」を繰り返していました。
・小学生の頃の経験を話して、記憶を鮮明にする
・その経験の弱い部分を探す
・話し方に対するFB(フィードバック)をもらう
※ある面談での目的
目的達成の方法として、面談が始まる前に「話し方に対するFBを最後にお聞きしたいです」などと面接官に伝えていました。的確なところを提示すれば、面談してくれる方もその気で話を聞いてくれるので目的を達成しやすいです。
リクルーターではなくても、志望企業の内定者やOB・OGに自分の話を聞いてもらう機会を作った方がいいと思います。
ES(エントリーシート)
ESも自己分析だと思って取り組んでいました。
自己分析に基づいて書いたESを、行きたい企業の内定者に添削してもらっていました。サマーインターン応募者の中でも4月〜5月にES対策を必死にやっている人は少ないからこそ、全力でやろうと思っていました。
いくら面白い経験をしても、ちゃんと磨かないと全く伝わらないんですよね。逆に言うと、自分がどれだけ小さな経験と思っていることも磨き方次第では宝石になる。
──では、Bさんは実際に「経験」をESのわずかな文字数の中に詰め込むためにどのような工夫をされたんですか?
Bさん:私は、目次入りのノートを作って、それを元にESを書いてました。
・アクションのきっかけ
・実際のアクション
・その時の感情
・苦戦したこと
・成果/成果以上に得られたこと※Bさんが実際に作っていた目次の具体例
ノートに今までの人生の起承転結を書き留めていくことで自己分析にも役立ちますし、ESも目次の通りに書くことでスムーズに完成させられます。少ない文字数のESを、頭を整理できていない状態でいきなり書き始めるのは難しいと思います。
Webテスト
Webテストは、今年から形式が変わるものもあったので、対策は難しかったです。
テスト期間で事前に受けた友人に話を聞いたり、他のフローでも同じですが説明会で社員にテストのことを聞いたりして、とにかくたくさん情報収集をしていました。
──Webで情報は得られるし、わざわざ説明会に行かなくていいのでは? と思うこともありますが、説明会で社員から直接「情報収集」をすることは次の選考を有利に進めることにもつながるため、重要なんですね。
マーケターは人の声を聞ける人。足を運んで話を聞き続けた。
Bさん:そうですね。企業の情報を得るために、志望企業の会社説明会には全て参加しました。
また、1day説明会で使われるグループワークの課題がサマーインターンのワークテーマになることもあるので、少しでも企業に興味があるなら足を運ぶことをおすすめします。
マーケティングって経験のない学生じゃ理解できないことも多いので、本を読むのもいいですが、マーケターに直接話を聞いた方がいいです。
私は志望動機に深みを持たせるために、人事や内定者に必ず「あなたにとってのマーケティングの面白さは?」という質問をして、想いがこもった「生の声」を聞いていました。
英語は必須ではない。必要不可欠なのは、「伝え方」と「リーダーシップ力」
面接
面接は、内定者によく出る質問などを聞くのはもちろんですが、同時に「伝え方の訓練」をしました。
就活本を読むと、フォーマットが載っているのでついついそれに縛られて話してしまう人も多いと思います。でも、形式が決まった話し方では、面接官に思いは伝わりません。他の候補者を見ていても、聞き手のことを考えずに話してしまう人が多いと感じます。
私は、伝え方の本を読むことに加えて、声量を大きくするための練習や、表情を豊かにする練習をしました。
※Bさんが実際に読んでいた伝え方の本。梅田悟司「『言葉にできる』は武器になる。」(日本経済新聞出版社、2016年)
面談後には「この話をしたときは、面談者が楽しそうだった」「小学校の経験を話したときはつまらなそうだった」など相手の表情や感情をノートに記録していました。面談は相手の反応を見つつ、何が良かったのか、何が悪かったのかを考える繰り返しでした。
──エピソードを話すことに意識が向いてしまいがちですが、聞いてもらうことに意識を向けることも面接の質を向上させる方法なんですね。ちなみに、外資系の消費財メーカーは英語が必須というイメージがあります。実際はいかがですか?
Bさん:これは、はっきり言えますが入社時点では英語はあまり重要ではないです。TOEICの点数が500〜600点で受かる人もいます。
必要なのは、英語ではなく「リーダーシップ力」です。内定した仲間たちと話していたのは、選考過程でリーダーシップの捉え方を間違えている人が多いということです。GDなどで「話して引っ張ろう」とする人が多いですが、マーケターに求められてるのは「聞いて引っ張ること」。
相手の話に耳を傾けられない人に、マーケターは向かないと思います。GDでは、「傾聴すること」を意識してみてください。
※Bさんの選考スケジュール
早期内定をするには、「信頼」を勝ち取るための「準備」をせよ
──ありがとうございます。Bさんが思う「早期内定できる人とできない人の違い」はなんだと思いますか?
Bさん:「準備力」だと思います。企業は候補者を「信頼」して採用をします。そして、候補者が入念に準備をしていくことは、企業からの信頼に直結します。
ESの添削をお願いするにしても、期限ギリギリに先輩内定者に見せているようでは、「入社した後もギリギリに仕事をするのではないか?」と信頼を失いかねません。
実際、自分を含めて内定者たちはすごく準備しています。みんな先輩内定者に話を聞いてるのはもちろん、会社に関してネットに落ちている情報はほぼ知ってます。
逆に言えば、自分の実力だけでやってる人は本当にいないです。みんな、他の人やネットの力を借りています。ちなみに私は、情報収集の方法ためにグーグルで志望企業のニュースフィードをリアルタイムで追っていました。
ただ、準備をすることは大切ですが、固執するのは「計画」ではなく「成果」であることも忘れないでほしいなと思います。成果につながる準備ではないと、それは準備をしていないことと同じです。
GDや面接をするたびに、準備で足りなかったことを反省して、計画を修正していけば準備の質も上がってきます。
準備することが一番です。ぜひ、自分本位で準備をしてください。準備の過程で思いを固めて、内定が出るまでの数カ月、本気で企業に向き合ってみてください。
みなさんが行きたい企業に入れることを応援しています。
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