外資系のファームが名を連ねる総合系コンサルティングファームの中で、「日本発」のコンサルティングファームとして、独自の存在感を示すアビームコンサルティング。
とはいえ、総合系コンサルティングファームを名乗る企業は多く、「アビーム? 名前は知っているけど、結局どんな会社なのかよく分からない」という方も多いのではないでしょうか。
今回ワンキャリア編集部は、アビームコンサルティング(以下、アビーム)について徹底的に解説してもらうべく、執行役員の金村浩海さんにインタビュー。
同社ならではの強みやIT系プロジェクトの割合、海外で働く社員の人数といった詳しい情報から、OpenWorkの「働きがいのある企業」に選ばれた理由といった、知られざる一面まで、さまざまなお話を伺いました。
<目次>
●総合系コンサルティングファームの中でも「実現力」に強みを持つアビーム、その理由は?
●アジアに注力、社員の4人に1人が海外に。日本発のファームでもグローバル案件を多数扱う
●ESG投資からデジタル人材育成まで。もはや「戦略」と「IT」を分けられる時代ではない
●基幹システム刷新は全社変革の大チャンス。新人は成長のためにまず「IT」の知見を身に付けよう
●辞めることが前提ではない──転職者が驚いたアビームの社風、「働きがいのある企業」に選ばれる秘訣とは
●コンサルタントはスキルより人間性。「お客さまのために努力できること」が大切
●「何をしたいか」より「誰と働きたいか」──会社選びは「人」を重視
総合系コンサルティングファームの中でも「実現力」に強みを持つアビーム、その理由は?
──本日はよろしくお願いします。金村さんはアビームに入社して以降、どのような業務を担当されてきたのでしょうか。
金村:現在私は、会計やサプライチェーン、顧客管理、人事管理のセクターを統括する「デジタルプロセスビジネスユニット」のユニット長を務めています。
アビームには1999年に新卒で入社し、企業の会計業務を支援するFMCセクターに配属されました。その後、マネージャーになってからは、会計に限らず、サプライチェーンや顧客管理領域も含む、さまざまな案件のプロジェクトマネジメントを行ってきました。
4年ほど前からFMCセクターのリードをしていましたが、昨年から複数のセクターを束ねるユニット長のポジションに就きました。
金村 浩海(かねむら ひろみ):執行役員 プリンシパル デジタルプロセスビジネスユニット ユニット長
1999年新卒入社。会計・経営管理を中心に、サプライチェーン、販社改革まで幅広いプロジェクトを担当。マネージャー昇格後は、業務領域によらず、大規模な業務改革、IT導入、およびグローバルロールアウトなどのプロジェクトを多数リード。現在は、Digitalソリューションを活用した企業のDX化推進プロジェクトを多数支援。2013年執行役員プリンシパル、会計セクター長を経て2021年より現職。
──今回のインタビューでは、アビームの特色について、改めて教えていただければと思っています。
金村:弊社は「日本発の総合系コンサルティングファーム」をうたっていますが、数ある総合系コンサルティングファームの中でも、特に「実現力」の点で際立っていると思います。
──実現力とは、どういうことでしょう。
金村:お客さまに優れた提案を行うだけでなく、提案した内容を実行するための新たな業務を設計し、システムを構想・開発し、最終的にお客さまの現場の業務が変わるところまで寄り添って支援する、ということです。
単に構想を描くだけでなく、最終的にお客さまのビジネスをどう変革できたのかという実績を何より重視しています。
──提案や戦略だけでは、クライアントに届ける価値としては足りないということですか。
金村:そうですね。特に最近はデジタルトランスフォーメーション(DX)に関する案件を多くいただいているのですが、プロジェクトの実施や評価といった部分も含め、成果を出す部分まで伴走することが求められています。
正直なところ、総合系コンサルティングファームが扱う案件は、他社と大きな違いはないと思いますが、その中でも弊社は、実現力やデリバリーの強みを高く評価していただいています。
──なぜアビームは他のファームと比べて、実現力が強いのでしょうか?
金村:アビームのコンサルタントは業務知識だけでなく、高いIT技術力を身に付けていることが理由だと考えています。
近年はIT人材の不足が叫ばれていることもあり、お客さまに納品するシステムの品質が低くて問題になることも少なくありません。アビームでは、開発ベンダーに任せきりにはせず、技術力を備えたコンサルタントがしっかりレビューやコントロールを行います。技術と顧客とのコミュニケーション、その両方を高い水準で兼ね備えているアビームだからこそ、変革が実現できると考えています。
アジアに注力、社員の4人に1人が海外に。日本発のファームでもグローバル案件を多数扱う
──「日本発」のファームという点も強調されていましたね。
金村:ここも重要な特色だと思っています。外資系コンサルティングファームの場合、基本的には海外本社が定めた方針に従ってビジネスを遂行する必要があります。
そのため、例えば外資系コンサルティングファームの日本法人が「このお客さまをぜひ支援したい」と考えても、海外本社が定めた契約条件を満たせない場合は、コンサルティング契約を締結できません。これに対して、日本に本社を置くアビームの場合、そうした制約はありません。たとえ短期的な利益が見込めない案件でも、中長期的な視野に立って変革プロジェクトを進めることができるのです。
──なるほど。そうした違いは、傍から見ているとなかなか知ることができませんね。日系のファームだと、やはりクライアントは日本企業が多いのでしょうか。
金村:そうですね。特にグローバル展開している日本企業のクライアントが多いです。アビームは昔から日系企業の海外現地法人に対するコンサルティングを手掛けており、アジアを中心としたアビームの現地法人に、現在約150人の社員が駐在しています。
また、新型コロナウイルス感染症が流行する前、ということで2019年の数字ではありますが、1年間で海外に出張した社員の数は約750人でした。駐在者と合わせると約900人、当時在籍していた社員のうち約4分の1の方が海外へ渡航していました。
──望めば、海外で働ける機会も多いということですね。
ESG投資からデジタル人材育成まで。もはや「戦略」と「IT」を分けられる時代ではない
──総合系コンサルティングファームを志望する学生の中には、「IT系」と戦略などの「非IT系」のプロジェクトの割合を気にする方もいます。その点でアビームはいかがでしょうか。
金村:今日の業務改革には必ずといっていいほどITが絡むため、IT系と非IT系の案件を厳密に区別するのは難しいです。例えば、システムを開発することが主目的ではない、お客さまのIT戦略策定の支援なども非IT系に含めるのであれば、約4割の案件は非IT系に分類できると思います。
この割合は以前からほとんど変わっていないです。アビームでは、不確実な未来に備え、われわれ自身のビジネス変革も進めています。これまでは解決すべき課題がある程度絞り込まれた状況で、実行能力を提供する傾向にありました。これからは、どのような変革を進めるべきか、なぜ今その課題に取り組むのか、そうした原点から徹底的に考え、価値共創まで一気通貫で進めていくことが必要になると考えています。
そういった背景を踏まえ、従来の基幹システムの開発・導入をベースにしつつも、今後はより「上流」の領域、中でも新しい価値を創出するビジネスモデルの構築などのプロジェクトへ、事業ドメインを広げていく必要があると考えています。
──IT系と非IT系、それぞれどのようなプロジェクトがあるのでしょうか。金村さんが最近携わったものの中で、特に印象に残っているものがあれば教えてください。
金村:では、まず非IT系のプロジェクトから紹介します。お客さまの過去10年間のさまざまな非財務情報を分析して、それらが企業価値にどう影響しているかを測定して、投資家向けの統合報告書にまとめるという案件がありました。
例えば「女性従業員の比率」のような指標が、企業価値とどう相関しているかを統計学的に分析し、その結果をレポートとして公表することで、お客さまのESG経営の取り組みを株主などのステークホルダーへアピールします。ただしこのプロジェクトでも、データを収集、分析する段階ではITをフル活用しますから、やはり非ITとITは不可分だといえます。
──面白いですね。銀行や監査法人などが扱いそうな分野だったので、総合系コンサルティングファームが手がけるというのが意外でした。IT系の方はいかがでしょう。
金村:私の専門分野は会計や経理の領域なのですが、多くの企業の経理部門では、いまだに紙の帳票を大量に扱っています。そのため、コロナ禍以降、リモートワークの働き方が広がる中にあっても、紙帳票を処理するだけのためにわざわざ出社を余儀なくされています。
こうした状況を改善するため、ITで業務をペーパーレス化したいという案件が最近は非常に多いですね。課題や困っている人がはっきりしているので、改善後の成果が見えやすく、やりがいも感じやすい分野だといえます。
──最近増えているという「DX」のプロジェクトとしては、どのようなものに携わっておられたのでしょうか。
金村:DXと一言でいっても、その対応内容は多岐にわたります。各企業のITの現状によって対応すべき内容が変わってくるからです。例えば、基幹システムを長年継続利用している企業では、その基盤が新技術に対応しておらず、RPAなどのデジタル技術を活用できない状況になっており、基幹システムの刷新が急務です。
また、各業務部門で個別最適に仕組みを構築している企業では、システム間でデータが分断されているため、データをどのように収集・可視化し、経営判断に役立てるのかという観点でプロジェクトを実施します。それ以外にも、企業内にこのような取り組みを推進できる組織や人材が確立していないため、組織体制の整備や、デジタル人材の育成をプロジェクトとして対応するケースもあります。
基幹システム刷新は全社変革の大チャンス。新人は成長のためにまず「IT」の知見を身に付けよう
──さまざまなプロジェクトがあるのですね。アビームはSAPをはじめとする基幹システムやパッケージ製品の導入が多い、という印象がありました。
金村:もちろん基幹システムの導入を伴う業務改革支援のプロジェクトは多いです。大切なのは、こういったプロジェクトに対してシステムの導入を目的と考えるのではなく、全社にわたる変革のチャンスと捉えることが重要ですね。
──どういうことでしょうか。
金村:大規模な基幹システムの刷新は、既存の業務の在り方を根本から見直して、大胆な改革を断行する絶好の機会です。
組織の垣根を越えて、業務プロセス全体の最適化を検討することになるので、お客さま側の組織体制すら変わる大規模なプロジェクトになることも少なくありません。そうした大変革の一翼を担えるということは、私たちコンサルタントにとっても極めて貴重な機会だといえます。
──企業のビジネスを支える根幹のシステムが変わるということは、必然的に全社を巻き込むプロジェクトになるということですか。なるほど。
金村:逆にそういった心持ちで臨まなければ、コンサルタント側も単なる「作業者」になってしまいます。こうした大規模なプロジェクトをしっかりと仕切れるコンサルティングファームは、アビームの他にはほとんどいないと考えています。
また、基幹システムの仕組みを理解することで、業務に関する知識を学べるという側面もあります。お客さまの業務に関する知識なしに業務改革のプロジェクトを進めることはできませんから、基幹システムが関わるプロジェクトを経験することが、結果的に、コンサルタントとして成長する近道になるわけです。
──若手のコンサルタントが経験しておくべき道とも言えるわけですね。
金村:そうですね。プロジェクトで対峙(たいじ)するお客さまは、その業務を何十年と担当しているプロフェッショナルですから、新人が業務知識で価値を提供しようと思っても実際には難しいでしょう。その点、ITスキルを身に付ければ、ITの専門性を武器にお客さまへ価値を提供できます。それによって、お客さまからの信頼も得ることができ、プロジェクトを通して業務知識も吸収できます。
将来的にオールラウンダーなコンサルタントを目指すにしても、まずは何か一つ専門性を身に付けることで、お客さまへ価値を発揮できるようになります。その観点からいっても「まずITスキルを身に付ける」というのは、コンサルタントにとって良いキャリアにつながると思います。
辞めることが前提ではない──転職者が驚いたアビームの社風、「働きがいのある企業」に選ばれる秘訣とは
──「成長」に関するお話が出たので、詳しく聞かせてください。アビームはOpenWorkが実施している「働きがいのある企業ランキング2022」で6位に入っており、特に「20代成長環境」という項目で高いスコアを出しています。この理由はどこにあると考えますか?
金村:弊社は一般的な事業会社と違い、若い社員であっても責任のある業務を任せ、ビジネス現場に送り出して、お客さまと直接対峙してもらっています。もちろん先輩や上司はしっかりサポートしますが、最終的には自分に課せられた責任の範囲内においては、自分の裁量でやりきってもらうようにしています。
そうした環境で仕事をするので、若い社員はとても早いスピードで成長してくれます。実際にお客さまからも、「アビームの若手社員は、プロジェクトに来たばかりのころと1年後を比べると見違えるように成長していますが、なぜあんなに早く成長できるんですか?」と不思議がられるぐらいです。
──人材育成のための研修などもあるのでしょうか。
金村:コンサルタントとしての基礎的な知識やスキルを身に付けるための新人研修はもちろん、職位が上がるごとに、新たに必要となるスキルを身に付けるための研修を必ず受けてもらうようにしています。
他にも会計やITといった専門領域に関する知識を個別に学べる研修も用意しています。特にIT系の研修はeラーニングで受講できるよう整えているので、時間や場所を選ばず柔軟に学べますよ。
また、社員それぞれがキャリアオーナーシップを持つことを大事にしています。アビームでは全社員に一人ずつ、自身のキャリアを気軽に相談できる上位者を「カウンセラー」としてつけています。面談を通じて、カウンセラーに自分の目指すキャリアや希望のプロジェクトを伝えながら、スキルや専門性を磨き、結果を出すことでキャリアを実現していくことができます。
──若手だけじゃなく、全社員につけているというのは珍しいですね。
金村:社員のメンタルケアに関しては、会社としてかなり気を配っています。新卒社員の場合は、大体30代のマネージャークラスの先輩社員がカウンセラーとしてつくことが多いですね。
──メンタルケアにも注力している、こうした姿勢が「働きがいがある」という評価につながっているのかもしれませんね。
金村:アビームでは、社員が働きやすい環境を実現するために、出産・育児・介護支援制度や時短勤務の制度も充実しているほか、時間外労働の抑制にも力を入れています。フリーロケーション制度やフレックス制度、副業制度など、社員が自律し、より自由に働ける環境も整備しています。社風としても、ギスギスしていない「風通しの良さ」があるので、個人的にとても居心地がいいです。
他のコンサルティングファームから転職してきた人に話を聞くと、他社では常に「いつか辞めること」を前提に働いていたそうですが、アビームでは「辞めることが前提になっていない雰囲気に驚いた」と話していました。そういう雰囲気の良さや居心地の良さがアビームにはあると感じています。
コンサルタントはスキルより人間性。「お客さまのために努力できること」が大切
──働き続けたくなる魅力があるというのは、いいですね。アビームで活躍するコンサルタントは、どのような特徴を持つ人材が多いと思いますか。
金村:優れたコンサルタントに求められる最も大切な資質は「人間性」だと思っています。もちろん知識やスキル、頭の良さも重要なのですが、コンサルタントの本質は「信用ビジネス」「サービス業」ですから、最終的にはお客さまに個人として信頼してもらわないことには仕事になりません。
逆に人間性の部分がぐらついていては、どれだけ頭が良くてもコンサルタントとして活躍できないですね。
もちろん、お客さまの信頼を勝ち得るためには、人間性に加えてスキルや業務知識などの付加価値が必要ですが、これらは努力でいかようにも身に付けられます。ただ、この努力にしても、自分のためではなく「お客さまのために努力できること」が大切です。
──自分本位で考えてはいけない、ということですか。
金村:よく「この仕事では、どんなスキルが身に付けられるんですか?」と聞かれるのですが、この質問をすること自体、自分のことしか考えていないわけで。もちろん自己実現も大切なことだとは思いますが、その前にお客さまから信頼を得ることを重視すべきです。
「何をしたいか」より「誰と働きたいか」──会社選びは「人」を重視
──金村さんから見て、アビームをファーストキャリアに選ぶメリットはどの辺りにあるとお考えですか?
金村:コンサルティングファームは一般的な事業会社とは異なり、さまざまな業種・業務・技術と関わりつつ、広く物事を見渡しながら成長していける点が大きな魅力だと思います。
自分でやりたいことや成し遂げたいことがはっきり見えている方は事業会社に就職したり、自身で起業したりする方がいいのかもしれません。逆に幅広い知識と経験を身に付けながらキャリアを形成していきたい人には、コンサルティングファームも有力な選択肢になるでしょう。
中でもアビームは、自由で風通しが良く、チームワークを大事にしている社風が特徴です。そういう環境の中で、自身の可能性を伸ばしていきたいという方には、とても向いていると思います。
──ありがとうございました。最後に、就活生へのメッセージやアドバイスなどがあればお願いします。
金村:社会に出て最初に働く環境や、そこで築き上げられる人脈は人生に極めて大きな影響を与えますので、就活生の皆さんにもぜひ、就職先は丁寧に選んでほしいですね。
ただし、よくいわれる「自分のやりたいことができる会社を選ぶ」という選定基準には、あまり固執しない方がいいと思います。やりたいことは変わっていきますから、一時の「やりたいこと」にこだわるよりも、広く社会を見た方がいいと考えています。
個人的には、会社選びは「人」を重視すべきだと思います。コロナ禍で人と人との関係が希薄になっている今だからこそ、「何をしたいか」よりも「誰と働きたいか」を大切にした方が、自分に合った会社が選べるのではないでしょうか。
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