こんにちは、ワンキャリ編集部です。「総合商社特集 〜2016冬〜」の特別企画として、「総合商社 人事インタビュー」を連続掲載します。最終回は、「挑戦」のスピリットを持つ熱い社員が多い総合商社、丸紅へ伺い、人事部採用課の野村課長にインタビューしてきました。
困難をしたたかに突破せよ。V字回復を果たした企業の想い
――丸紅ではこれからの更なる成長を目指すため、新卒学生に何を求めますか?
野村さん:個人的には、丸紅スピリットにある「困難を強かに突破せよ」。という想いを実現できるような方と働きたいと思っています。
当社はバブル崩壊やアジア通貨危機といった、2000年前後の混乱によって、本当に潰れるんじゃないかってくらい追い込まれたんですね。振り返ると、相撲で言えば、徳俵に足がかかって、親指の爪の先しか残っていないというようなところまでいった感覚でした。そのような苦しい状況下で、全社一丸となって死に物狂いでビジネスを再構築し、会社における全ての無駄を削ぎ落とし、再び成長軌道に乗せたのです。
丸紅スピリットは、そんな当時の教訓を全社員が忘れず、しっかりと日々のビジネスに取り組むようにと、現社長の國分が2013年の就任時に作成した、丸紅グループ社員の「心構え」のようなものです。
<丸紅スピリット>
- 大きな志で未来を築け
- 挑戦者たれ
- 自由闊達に議論を尽くせ
- 困難を強(したた)かに突破せよ
- 常に迷わず正義を貫け
個人的に「困難を強かに突破せよ」が大事だと思うのは、2つの背景があります。
1つ目は、当社は海外を相手に戦う必要があること。
当社は収益の約9割が海外からです。「強か(したたか)」の文字は強いと書くでしょう。世界のプレーヤーを相手にできる強さが求められています。海千山千の外国企業へ足しげく通って、まずは相手を理解する。そして日本・丸紅・最後に自分を理解してもらって、「お前なら仕方ない」と思ってもらい強かに握手して帰ってくるような、胆力がある人が求められています。
2つ目は非財閥系商社だからこそ、自ら販路や客先を開拓し、ビジネスをつくる必要があること。
例えば、財閥系には巨大なグループ企業があります。我々はどの企業ともしがらみなく取引できる自由度がある一方で、当社ならではの機能を発揮しないと取引できません。クライアントの信頼を得るために当社とビジネスをする価値を明確に示す必要があるのです。だからこそ丸紅の社員には、そうしたクライアントの信頼を得るような提案力、企画力そして人間的な魅力が必要となります。
もちろん選考時点では、そんな強さを完璧に身に付けている学生の方はいないと思います(笑)。ただ、そうした困難にも挑んでいく気概を持っているか、また困難にぶつかったときにも諦めず粘り強く取組める胆力があるか、そういった本質的な部分を求めています。
入社翌月に100人の前でプレゼン。若手“だからこそ”やってみろの“丸紅”
――若手に任せることで有名な丸紅ですが、具体的な例を教えていただけますか?
野村さん: たとえば私の部下は入社した翌月には学生100人の前でプレゼンしていました。入社後配属まで研修が約1ヵ月ありますから、準備期間は実質約2週間。昔から丸紅には若手“でも”やってみろではなく、若手“だからこそ”やってみろという雰囲気があるんです。
その他にも、営業部では大事な海外の取引先のアテンドを1年目が1人で行ったり、まずは現場を見せたいと、新入社員を長期で海外出張に行かせたりもします。若手も貴重な戦力ですので、若手を早く大きく育てたい。他商社と比べても少ない人員で戦っているからこそ、1人1人の社員への期待値が大きいと言えると思います。
中国を巻き込み、穀物の日本への供給を死守。その裏には丸紅の30代前半社員の努力
――その他、実際にビジネスに繋がった若手社員の例はございますか?
野村さん:例えば、穀物トレードにおける、30代前半の社員の活躍がありました。かつて日本は大豆やとうもろこし、小麦など穀物3,000万トンを輸入する、世界最大の穀物輸入国でしたが、2008年に中国が大豆だけで4,000万トン輸入し、世界の穀物需給に大きな影響を与えました。海外の生産者はこのままだと、日本のニーズに応えてくれなくなる。そういった状況の中で彼を含めたチームが一生懸命努力を重ね、中国最大の穀物備蓄企業 SINOGRAINと提携(※1)したのです。
中国の強力なバイイング・パワーを身につけることで、穀物トレード分野での丸紅の存在感が大きくなります。丸紅を通せば中国に売れるということで、産地との信頼関係が増します。丸紅の年間穀物取扱量はそれまでの年1,000万トンから倍以上に拡大されました。
しかし、丸紅は日本を捨てて中国に行ってしまったのではありません。丸紅が取扱量を確保することで、ちゃんと日本にも穀物を供給することができるんです。この提携には業界関係者が皆あっと驚きましたが、一重に彼のチームが、丸紅と提携するメリットを粘り強く交渉したからに他なりません。その中で彼は中心的な役割を果たしました。
世の中がグローバルに変化する中で、それに気付いて、今までにないような発想でビジネスをつくる。それこそが商社ビジネスの醍醐味です。
(※1) 詳細はコチラ
入社7年目までに必ず海外へ
――商社であれば、海外駐在のタイミングもキャリアでは非常に重要だと思います。丸紅では一般的に入社何年目から海外へ行くチャンスがありますか?
野村さん:当社では、総合職の場合入社7年目までに少なくとも半年以上、出来れば1年~2年の海外経験を積むことを必須化しています。端的に言えば20代で海外を経験しなさいと。ビジネスの現場が海外になっていることから、若手を早く大きく育てるため、感受性の高い若い内に海外を経験して成長してほしいということです。
海外経験としては、海外駐在はもちろんのこと、ビジネストレーニーや語学研修生として派遣される場合もあります。しかし、語学研修でも社員を甘やかすことはしません。日本人で固まらせないように現地大学の寮に住まわせたり、日本人がほとんどいない地域で語学研修をさせたりしています。
またやる気があったら、チャンスも与えます。ある社員はタイに留学し「もっと頑張りたい」ということで現地の大学に通いつつ同時並行で語学学校へも通わせました。結果、その語学学校開校以来の優秀な成績を収めたようです。
――早期に海外へ若手がチャレンジして成功するため、重要な要素はありますか?
野村さん:ビジネスの基礎的なスキル、語学力はもちろん、若手に限らず重要なのが「現地のニーズを起点にしたビジネスをつくること」ではないでしょうか。
例えば、丸紅は電力分野において世界23カ国で発電ビジネスを行っています。海外IPP(※2)というビジネスですが、その規模は日本一です。開発途上国は、十分な電力があれば産業の発展などの成長が見込めますが、発電所の建設・運営には多額の費用やノウハウが必要なため、なかなか自前で進めることはできません。
そこで我々が現地政府のオーダーを受けて、資金を負担し、最適な発電所を建設・運営します。現地政府は電気料金さえ払えばいい。丸紅は20年、30年という長期にわたる運営期間全体で電気料金により資金が回収できればいい。国の発展を加速させることができる上、我々も長い目で見れば利益をあげることができるWin-Winのビジネスです。現地のニーズや問題を汲み取ることによってこのようなビジネスを展開することができるのです。
(※2)IPP:Independent Power Producer(独立発電事業者)
「トレーディングから投資」ではなく、「トレーディングと投資」。外銀からの転職者が語る丸紅の魅力
――総合商社は外資系投資銀行や、コンサルティングファームとよく比較されますが、総合商社の魅力は何でしょうか。
野村さん:外資系の投資銀行やコンサルティングファーム出身のキャリア入社社員も多く在籍しています。彼らの転職理由で多いのは、より当事者意識をもって、現場に近いところでビジネスに取り組みたいというもの。
例えば、外銀ではA社を買収し、経営再建して売却することによってキャピタルゲインを得るというビジネスがありますが、商社はその企業とずっと一緒にビジネスを進めるつもりで投資を行います。なので売却するということは最初は考えていません。結婚のようなものですね。常にビジネスを拡大することを一緒になって考えていくのです。
もちろん、外銀やコンサルタントにもそれぞれの仕事の魅力があると思いますが、ただ商社のほうがより「自分ごと」としてそのビジネスと向き合っている感覚があるのかもしれません。
例えば、オーストラリアでの石炭ビジネス。かつてはオーストラリアの鉱山から電力会社さんや鉄鋼メーカーさん向けに石炭を輸入していました。ところが2000年前後から新興国での資源の需要が急速に高まり、資源価格が高騰すると共に中々買い付けが思うようにいかなくなりました。
そこで当社は石炭の鉱山そのものを買収し、丸紅の「玉」を確保したのです。安定供給が受けられ、お客さんには喜んでいただけます。さらに、他のお客さんから、「そんなに保有しているならうちにも売って」とトレードが拡大していき、それなら隣の鉱山も買おうということで、また投資をしたのです。トレードを維持・拡大するために投資を行い、その投資がまた投資を呼ぶ。
最近、商社は「トレードから投資」と言われますが、私は違うと思います。「トレードと投資」です。やはりトレードビジネスを行いながら、日々お客さんのニーズを掴んだり、市場の動向にアンテナを張っていないと世の中の変化に気づけません。伝統的なトレードと投資を組み合わせてビジネスを展開しているところが、外資系投資銀行やコンサルティングファームと決定的に違うところだと思います。
2ヶ月しかない期間を「OB・OG訪問ダイアル」で
――最後に学生さんへのメッセージをお願いします。
野村さん:今年は選考開始が6月になるので、エントリーシートの締切も考えると3月1日から実質2ヶ月くらいしか企業選びに費やせる時間がないんですね。だからこそ、OB・OG訪問の機会を有効活用してほしい。学校の先輩でもいいですが、当社ではOB・OG訪問ダイアル(※3)を3月1日に開設予定です。ぜひ社員に会って熱い丸紅を感じ取ってほしいと思います。
(※3)OB・OG訪問を希望する学生の方に、対応社員を紹介する電話番号のこと。3月からマイページ上で公開され、電話をした学生には出身大学に関係なく社員を紹介する。OB・OGが少ない大学の学生への配慮も兼ねており、訪問する社員の部署や年齢層などの要望も可能な限り調整を行う。
(※4) その他、OB・OGがいる大学は、キャリアセンターにある社員名簿からもアプローチが可能。
ユーモアを交えながら、具体的な丸紅のお仕事を紹介してくださった野村さん。インタビューに同席した新入社員とのやりとりからは若手を名実共に尊重するフラットな社風が感じられました。ありがとうございました!
丸紅2017年度新卒採用ホームページはこちら
http://www.marubeni-recruit.com/