あれは去年の秋の話。
取材終わりにふと立ち寄ったカフェで、こんな声が聞こえてきました。
「私たちの就活って、コロナでどう変わっていくのかな?」
気になって目を向けると、カウンター席に並んだ2人組の女子大生。彼女たちはノートPCで大学のオンライン講義を聴きながら、スマートフォンで企業説明会にも参加しているようでした。
「コロナのせいで、私たちの世代から大学も就活もこれまで通りにいかなくなったよね」「そうだね。とはいえ、負けじと自分なりの正解を見つけていこうよ」
友人を鼓舞するように明るい声で話す女子大生の姿が、どこか不安な自身を励ましているようにも見えました。
きっと、これが就活の「ニューノーマル」なのだろう……しばらくの間、その情景が脳裏に焼き付いて離れませんでした。
アフターコロナの世界で起こる変化、その最前線を現場からお届けします
新型コロナウイルスは就活のみならず、社会全体に大きな影響を与えています。これまで安泰だと思われていた企業が大きな危機に瀕(ひん)している、そんな例は枚挙に暇がありません。企業選びにおける常識もこれまでとは変わっていくでしょう。
それでも、カフェで出会った彼女たちが言うように「自分なりの正解」を見つけなければならないのが就活です。
未来予測に正解はない。でも、変化の最前線は伝えられるはずだ──そう考え、「アフターコロナの業界研究」という連載を始めることにしました。
この連載では、各業界の企業や関係者を取材し、新型コロナがもたらしたビジネスへの影響と対応策、そして各業界の「ニューノーマル」の姿を浮き彫りにしていきます。
取材では厳しい現状も含め、詳しくお話を伺いました。これから業界研究を始める人はもちろん、そうでない人にとっても、きっと就活を見直す良いきっかけになるはずです。ぜひご覧ください。
また、自社の状況や未来の展望を教えていただける企業も随時募集しています。よければ、ワンキャリア公式Twitterまでお寄せください。よろしくお願いいたします。
【1月19日(火)公開】定期券を新時代のサブスクに──新型コロナに苦しむ「私鉄の勝ち組」東急、逆転のシナリオ
新型コロナウイルスによって、人の「移動」に関するビジネスは大きな打撃を受けたのは言うまでもありません。
「家と仕事場を往復する2点間移動の時代は終わりつつあります。これから鉄道は自社単体ではなく、グループを巻き込む総合力の勝負になるのではないでしょうか」
こう話すのは、東急電鉄の後藤修平さん。詳しく話を聞くと、同社が打撃を受けた1番の理由、そして復活のカギを握るのもまた定期券であることが見えてきました。人の移動が減った未来における鉄道の価値とは何なのか? アフターコロナの鉄道業界の姿に迫ります。
【1月21日(木)公開】コロナ禍の今、イケてるスタートアップはどこ? ベンチャーキャピタルに聞いてみた
景気が悪くなれば、投資は鈍りやすくなるはず。苦境に立たされているスタートアップが多いのでは……。
そう考え、資金面や知識面でスタートアップを支援するベンチャーキャピタル(VC)に話を聞いたところ、「いえいえ、コロナの変化を追い風に業績を伸ばした企業も多いですよ」と意外な答えが。
新型コロナで世界が大きく変わる今、VCが注目しているスタートアップはどこなのか。新卒として就活先としてスタートアップを選ぶ際に、何を軸に考えればいいのか。ベンチャーキャピタルの視点から迫ります。
【1月25日(月)公開】デジタル人材は救世主となるか。新型コロナで経営窮地のマスコミが狙う起死回生の新ビジネス
「確かにステイホームの影響でメディアの消費時間は増えています。しかし、それをうまく収益に結び付けられていないというのが現状でしょう。先日、朝日新聞も400億円もの赤字を出したと発表しています」
こう話すのは、国内の新聞社、テレビ局、出版社などのコンサルティングをしている株式会社キメラの中山明子さん。
苦境に喘(あえ)ぐメディアを救うのは、デジタルシフトと収益化──今、業界は生き残りをかけた大転換期にあると彼女は話します。ビジネスモデルから求められる人材まで。メディア業界の「新常識」をとことん解説してもらいました。
【アフターコロナの業界研究】
・【新連載スタート】新型コロナで一変した業界地図、識者たちが各業界の「ニューノーマル」を読み解く
・ぶっちゃけ、コロナ後もオフィスビルの需要ありますか? 三菱地所とアフターコロナの街づくりを考える
・コロナ禍で旅行が封じられたJTB、過去最大のピンチをどう乗り越えるのか?
・定期券を新時代のサブスクに──新型コロナに苦しむ「私鉄の勝ち組」東急、逆転のシナリオ
・コロナ禍の今、イケてるスタートアップはどこ? ベンチャーキャピタルに聞いてみた
・デジタル人材は救世主となるか。新型コロナで経営窮地のマスコミが狙う起死回生の新ビジネス
・本当の危機はコロナ禍の「先」にある──星野リゾートは世界と戦えるホテル運営会社になれるのか?
・時短要請や接触回避も「制約」の一つに過ぎない──外食の雄、サイゼリヤに学ぶコロナ禍との付き合い方
・家だけじゃない、どこでも荷物を受け取れる時代へ──コロナ禍で変わる業界の常識、ヤマト運輸に宅配の未来を聞く
・休業2カ月で40億円の損失? 外出自粛で苦境の書店業界、「有隣堂」が生き残る道を聞く
・コロナ禍で激減した飲み会、酒類業界復活のカギは?キリンビールが見出した「2つの突破口」
・「コロナ休校」の裏で進んだベネッセの変革。少子化の先にあるビジネスチャンスとは?
・コロナ禍で「ラジオ人気」に火がついた 「オールナイトニッポン」プロデューサーが考える、音声コンテンツの未来
(Photo:Mr.Emre.B , loreanto/Shutterstock.com)