<目次>
●来る最終決戦。で、これから何するつもり?
●面接まで残り1週間:自分を見極めよ
●面接まで残り3日:面接官へ最高に伝わりやすい自分を準備せよ
●面接当日:受かる必要はない。落とす理由のないアナタを披露せよ
●変えられることを変える時間
来る最終決戦。で、これから何するつもり?
選考もいよいよ大詰めを迎えた。
この記事に目を通しているアナタは、目前に迫った日系大手の面接に向け、備えていることだろう。
あと数回の面接をパスすれば内定だ。
いよいよ最終決戦……と行きたいところだが、その前に、アナタは残された時間で何をするか決めているだろうか。
この第8講では、面接直前の時期の過ごし方を考えていく。
面接まで残り1週間:自分を見極めよ
面接まで残り1週間。
もうやることはないのか。あとは神に祈るのみなのか。
もちろん、そんなことはない。この時期に気をつけるべきは「企業と自己の分析」「メンタル」「スケジュール」の3つだ。
(1)面接直前まで、選考を意識した「企業・自己分析」を続けよ
まずは「企業と自己の分析」から。
これらは当然、面接の直前まで続けるべきだ。連載の第3講でも紹介した「等身大の分析」をしながら、想定問答を考え、答える練習をしてほしい。OB・OG訪問や説明会などのイベントを経た今ならきっと、これまでよりもクリアに回答できるだろう。
とはいえ、情報量が増えているぶん、回答の内容はよく整理するほうがいい。就職活動において、言語化されていない経験や思いは価値を持たないためだ。第5講のように、自分のイイタイコトを明確に簡潔に答えられるように(操れるように)しよう。それこそ、巧みに操れるようになるぐらいが望ましい。
また、自分を思考の中心に置かないことも大切なポイントだ。選考はあくまで、「企業人事がわれわれを判断する」という構図が大前提。相手が主体であることを忘れてはならない。そのため、
・この企業は◯◯で利益を出している
・だから、△△な人が欲しいはず
・それならば、私は□□を中心に話そう
といった具合で、コミュニケーションを進めるべきだ。
この時期になると、自分を知ってもらうことに必死になり、相手の存在や都合を忘れてしまう就活生も少なくない。そんな人は、真っ先に選考の舞台から降りることになる。
(2)不安になりがちな心を抑える
「何だ、そんなことか……」と思うかもしれない。
しかし、面接が始まる1週間後には、自分の置かれる状況が刻一刻と変わるような環境に身を置くことになる。1日中、就活のことだけを考えていては、恐らく精神がもたないだろう。そこで、1週間ほど前から、あえて「就活を考えない時間」を設けることを提案したい。
特に受験勉強を懸命に頑張ったような人ほど、この「落とし穴」にハマりがちだ。彼らは、時間をかけて手と頭を動かすことが正しいと考える傾向がある。しかし、就活でも同様の行動をすると、どんどん追い込まれて、際限のない不安に襲われてしまう。なぜなら、就活には答えがなく、自分がコントロールできない要素も数多くあるためだ。
受験というものは、基本的には正解とそこにたどり着くための方法がある程度明確になっている。だからこそ、時間をかけて粘り強く取り組むことが大切だった。ところが、就活はどうだろう? そもそも、内定の基準を決めるのは、どこまで突き詰めても企業側であり、これをコントロールすることはできない。気持ちは分かるが、どうにもできないことに対して、自分の心を砕いても意味がないのだ。
われわれにできるのは、先ほど挙げたような「企業・自己分析」の対策をすることくらい。それをしっかりと行った上で、自身の心をコントロールし、自分の時間を生み出すことができる方が、社会人としても評価される。就活なんて、そんなものだ。
さらに言えば、社会人になると、そもそも「仕事が終わる瞬間」なんてものは存在しない。
同時並行でさまざまな業務やイベントが動いており、大事な契約を結んだ日だって、次の業務は生まれる。自分なりの終わりや区切りを作れないと、いずれつぶれてしまうだろう。家にいるときだけでもよい。お風呂に入っている時間だけでもよいから、就活を忘れる時間を作ってほしい。それだけでも、次第に心に余裕が出てくるはずだ。
(3)優先順位をつけること
面接で話す内容、そして心の準備ができたら、最後はスケジュールの準備だ。これは、選考が進んでいく際にとても重要な話になる。
例えば、現時点で5社の面接が来週に控えているとしよう。これが全て順調に進み、5社とも2次面接に進んだ場合、かなり過密なスケジュールになることが予想される。一般的に、日系大手の1次面接はWebページ上で予約をするため、5社を自分の都合で並べられるが、2次面接以降は、人事からの電話で日程を提示される。
そのため、面接の時間が被ってしまうことも珍しくない。その際に、どの企業を優先するのか、あらかじめ決めておいたほうがいいだろう。当然、優先順位の決め方は人それぞれだ。しかし、その基準が極めて感覚的なものだと、後に心が揺らぎやすくなってしまう。
では、どうすればいいか。
1つの例を紹介しよう。それは、「自分が会社を選ぶときの基準」と「企業」をクロスさせた、以下のような表を作ることだ。
会社選びの基準というと、年収、社風、人などさまざまな要素があると思うが、1つに絞るのは難しいし不自然だ。とはいえ、要素が多すぎると判断が難しくなるので、3〜5個程度を目安に選ぶといいだろう。評価については、自分の感覚でよい。
例えば、上記の表の場合、D社は他の会社に優先して面接を入れるべきだと一目で分かる。逆に、E社の優先順位が低いことも分かるだろう。上記のような表があるだけで、スケジュール調整や選考を進める判断をする際の心のよりどころとなる。
ここから1週間で状況は大きく変わる。複雑な状況でも、最善の判断ができるように準備を進めてほしい。
面接まで残り3日:面接官へ最高に伝わりやすい自分を準備せよ
面接まで残り2〜3日。
ここまで来たら、体調管理を最優先し、残された時間で心と体のバランスを整えたい。作業があるとすれば、以下に挙げる2点くらいだ。
(1)ES(エントリーシート)の見直し
これは意外と見落としがちなポイントだ。
1カ月以上前に書いた内容を見直さずに面接に行くのは、あまりにもリスキーではないか。
アナタにとっては1カ月前の出来事でも、人事にとっては最新の、そして唯一の情報だ。そのESを基に面接は進んでいく。自分が書いたESの内容を忘れている就活生を相手にするほど、大手企業の社員は暇ではないだろう。
もちろん、1カ月前に書いたことから考えが変わった可能性もある。その場合は面接でその旨を伝えれば問題ない。ESを読み返すのはもちろん、可能ならば印刷して会場に持参したいところだ。
(2)夢を膨らませる
先ほど述べたように、就活は受験とは異なる。
合格点は存在せず、資質が認められた者が次の選考に招待される。さらには、論理的な正しさだけが評価項目ではなく、「その人と働きたいかどうか」といった、「ソフトな」部分もまた重要な評価項目になる。
当然ながら、その会社に対する情熱がないよりはある方がいい(もっとも、愛しすぎて周りが見えていないのは問題だが)。そのため、その企業の製品やサービスなどを直接、またはWeb上でもよいので見ることをおすすめする。
もし入社したら、自身がその製品やサービスを提供することになるかもしれない。それを使う人の笑顔も一緒に想像してみるといい。夢を膨らませた分だけ、情熱も伝わると信じよう。
面接当日:受かる必要はない。落とす理由のないアナタを披露せよ
さて、いよいよ面接当日。
この連載では何度も言ってきたことだが、面接は通るものではなく、落とされないようにすればよい。面接の前と後に、以下のポイントだけチェックしよう。
(1)面接開始まで
当日は面接に受かろうとするのではなく、今まで調べた「企業が必要としている人物像」やそこにつながる資質をアピールすること。そのために、面接直前まで自分の書いたESや今までしてきた分析を振り返ってほしい。
ここまで来たら、もう新しい情報を入れる必要はない。時間よりも少し早めに会場に入り、トイレで身だしなみを整え、控室で今までやってきたことをゆっくりと振り返ろう。
(2)面接の振り返り
面接が終わったらすぐ、アピールしたかった項目のうち、何ができて何が不十分だったかを思い出せる限りメモに残そう。紙に書くのでも、スマホのメモアプリでもOK。「できた」「できなかった」といった感想に振り回されている暇はない。面接終了後の1時間が勝負だ。
その後、落ち着いたらワンキャリアの選考対策のページを参照しつつ、次の選考に向け、気持ちを切り替えたい。メモを参考に、自分が次にアピールする項目を決めていこう。
何度も言うが、面接は相手がまず存在する。
どんなときも相手の立場を想像し、次なる一手を考えるべきだ。
変えられることを変える時間
以上が、私、町田イチローが実際に行った、選考直前から選考時期の過ごし方だ。
繰り返しになるが、自分自身でコントロールできないことを思い煩っていても仕方がない。今の自分にできることを最後まで緻密に、そして情熱を持って取り組んでほしい。
何度も言うが就活は受験とは違う。
その時の会社の都合でアナタが選ばれない可能性だって大いにある。今は「この会社(志望企業)に入らないとダメだ」と必死になっているかもしれないが、1年後にはきっと、それは大した問題ではなくなっている。だからこそ、外面ではなく、自分が働きやすい場所を選んでほしい。
最終講義から約1年、町田も社会人2年目となりました。少しだけ先で皆さんをお待ちしています。
──町田イチロー、Twitterやってます。相談や質問はこちら(@MARCHdaICHIRO)へ
<町田イチロー 「MARCH生の就活全勝メソッド」講座一覧>
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・第2講:就活は最終面接から逆算せよ
・第3講:そんな自己分析やめてしまえ!すべては等身大の企業・業界分析から始まる
・第4講:ESは自慢大会ではない!「平凡でも受かる」回答を生み出す最強ツール
・第5講:面接は「完璧」がスタートライン。無敵の回答のカギは4Kにあり
・第6講:OB訪問・説明会を攻略せよ。「それっぽい」就活生を脱するコツ
・第7講:MARCH生こそ胸を張れ
・課外授業:合説に参加するか否かを自分で考えるための仮説検証
・第8講:面接まであと1週間、後悔しないための「最終チェックリスト」
※こちらは2019年5月に公開された記事を一部変更し、再掲しています。
(Photo:Creativa Images/Shutterstock.com)