※こちらは2016年6月に公開された記事の再掲です。
こんにちは、ワンキャリ編集部です。
採用の現場では大学名だけでなく出身高校も見られることがあります。その背景には、中高一貫校出身者は地頭が良いから重宝されるので大学名より重視するという意見(※1)と、挫折体験が少なく使い物にならないから排除したいという意見(※2)があるようです。
今回は採用現場へのインタビューや、実際に働いている出身者からのヒアリングをもとに「中高一貫校出身者はどう見られているのか」と、それぞれの就活対策をひも解いてゆきます。
(※1)参考:livedoorNEWS「人事マンは新卒採用で高校名重視する 内部進学や推薦・AO入学に厳しい目」
(※2)参考:J-CASTニュース「受験なしの有名一貫校卒業者「使い物にならない」 マツコ発言に「これは本当」「8割はダメ」同意する声多いが…」
地頭力が高いと評価される「中高一貫校出身」、落とし穴は「自負心の強さ」
採用担当者の実際の声を聞いていると「中高一貫校出身」は多くの場合でメリットに働くようです。トップレベルの進学校出身者は採用サイドから「ぜひとも採りたい」と専用枠すら用意されているほど。そこまでいかずとも、地頭力の高さを評価される場合が多いようです。ですので、情報登録の際に中学高校の学校名を入れる機会があれば積極的に入力するようにしましょう。ただし、落とし穴もあります。
それは、男女問わずその傾向が見られる「自負心の強さ」です。早くから学歴社会の強者の位置を勝ち取り、挫折体験を得にくいことが起因しているのでしょう。これが採用担当者に「プライドが高く扱いにくそう」という印象を残す場合もあるのです。
グループディスカッションでは協調性も見られるため特に注意が必要です。心当たりがある方は一度、模擬練習を通じてフィードバックを受け取ってください。
採用側は中高一貫校出身者を3タイプに分けている
採用担当者は「中高一貫校出身者」を以下3タイプに分けています。それぞれの傾向を順にお伝えします。
1. トップ進学校出身者
2. 大学付属の中高一貫校出身者
3. 地方の中高一貫校出身者
1. トップ進学校出身者は就活強者。ただし「自負心の強さ」の落とし穴が一番顕著にあらわれる
東京の男子校なら開成、麻布、武蔵、関西なら灘に代表される進学校出身者は採用サイドから「ぜひとも採りたい」と専用枠すら用意されている層です。
トップ進学校出身者は、12歳で大学受験を見据えた「お受験」をしています。頭の良さもさることながら、12歳から学歴社会の特性を肌で感じて育ったこと、進学校という環境から向上心が強く育っていることが特徴です。地頭力、社会の特性への理解、向上心の3つがそろった学生に引かれない企業はほぼありません。トップ企業であれば同校のOB・OGも多く、後輩として面倒をみやすい環境も整っています。
桜蔭を始めとするトップ女子校でもその実績は変わらず、多くの女性がトップ企業で活躍しています。ただし女子校出身者によると「女性だからと引き下がることはないので、伝統的な日系企業との相性は悪いかもしれない。外資系企業への適性が高いと感じる」そうです。
就活では全般的に有利です。開成出身者には「高校名を名乗った瞬間に通った」という体験談も。ただし、前述の「自負心の強さ」の落とし穴が一番顕著にあらわれるのもこのタイプ。特に女子の場合は「我が強すぎて、他人を蹴落としてでも上へ登りたがる女性も多い」との苦言があがることもあります。
2. 大学付属の中高一貫校出身者は「安定性重視の進路」を取る
慶應・早稲田がトップに君臨する大学付属の中高一貫校出身者は、お金持ちというイメージもあいまって「いいとこのボンボンだから使えない」と批判されることがあります。しかし、採用サイドから話を聞く限りでは「特に開成や桜蔭の子より劣るという印象はない」とのコメントも多く、採用時のマイナス評価につながることは少ないようです。
しかし、内部出身者から実際に話を聞くと「就活実績はあまり良くない」とのこと。この理由は彼ら自身の性質にあるようです。というのも、人生の早い段階で大学進学が楽になるからと付属校を選ぶタイプはハングリー精神に欠けており、激務の中で切磋琢磨(せっさたくま)するトップ企業を受けないから。外資系企業や広告業界など激務で知られる場所よりも半官半民の企業へ適性が高くなります。実際に内定実績をヒアリングしていくとみずほフィナンシャルグループやNTTコミュニケーションズ、JR東海など安定性重視の進路が目立ちます。
留年している先輩も周囲に多いとは思いますが、その自由な空気に引っ張られすぎず「必ず就職しよう」と心に留めてください。コネで就職する人も多いので、コネなしの在学生はトップ企業の御曹司や後継者である同級生と比べれば自分は不利であることを自覚して行動しましょう。
3. 地方の中高一貫校出身者は「その学校の強みが学業か、それ以外か」による
地方の中高一貫校は学業に力を入れている学校と、学業以外に力を入れている学校とがあります。
国公立・県立の中高一貫校、またラ・サールや浦和明の星といったトップ校の私立は前者。旧帝国大学への進学実績もあり、地方に本社があるトップ企業への就職も狙えます。
一方多くの私立は、学業以外へ力を入れていることが多いようです。結果として進学実績が振るわないこともあり、就活でトップ企業に内定する確率は低くなります。ただし、野球で有名なPL学園のようにスポーツでトップクラスの成績を残している私立学校はプロスポーツ選手や体育会経由での進路が開けます。
学業に力を入れているトップ校だとしても、自分の出身地域では神とあがめられる一方で、他の地域では「なにその学校?」と無名校扱いを受ける覚悟もしてください。例えば長崎で有名な青雲高校、仙台二華高校や愛媛でトップクラスの愛光高校などがここに該当します。
おわりに
ここまで、中高一貫校出身者がそれぞれ選ぶべき進路についてお伝えしてまいりました。地頭の良さを評価されることが多い一方「プライドが高い」「挫折体験に乏しい」「ハングリー精神がない」とバッシングされることも多い一貫校出身者。しかしトップ企業は幅広い人材を求めますから、内定者全員へ苦労した体験を求めているわけではありません。もし自分が恵まれた環境で育ったなら「挫折体験はありませんが、向上心が人一倍あります」と自分を無理に飾ることなく強みを打ち出していきましょう。
落とし穴の「自負心の高さ」は、グループディスカッションや面接で「謙虚さ」や「素直さ」をアピールすることで切り抜けましょう。きっとギャップが好評価につながることでしょう。
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