こんにちは、ワンキャリ編集部員のめいこです。
──学生時代、この人をSNSでフォローしていたなら……。
ダメ就活生だった私が、就活生に知ってほしいインフルエンサーを厳選して紹介する特集企画「めいこRT(リツイート)」。
RTの条件は(1)35歳以下(2)トガった活動(3)めいこがフォロー済 の3つ。キャリアの第一線で活躍する、若きインフルエンサーたちの魅力に迫ります。
今回は、高校・大学在学中に18歳選挙権の実現に尽力し、現在は次代の経営者として注目を集める青木 大和さんをリツイートします。
▼ダレをRT?
青木 大和(あおき やまと)さん
25歳/経営者/社会活動/スタートアップ
▼決め手のRT!
▼ナゼRT?
日本を巻き込む「炎上」と苦悩を経て、気鋭のスタートアップ経営者として再起。多数のエンジェル投資家からシード期の資金調達を果たしたばかりだから!
コミュニティを軸とした事業を展開する気鋭のスタートアップ経営者、青木大和さん(以下、大和くん)。彼の活動はフリークアウト・ホールディングス創業者の佐藤裕介氏やCAMPFIRE経営陣(谷家衛氏・家入一真氏)といった今を代表する経営者だけでなく、大企業や地方自治体からも熱い視線を注がれています。
そんな大和くんには、政界と世論を巻き込んだ「炎上事件」の中心人物として批判にさらされた過去があります。今、起業家となった彼は何を考え、発信することにどう向き合い、そして生きていくのか。
就職ではなく起業というキャリアを選んだ同世代に、めいこが話を聞きました。
政治の道からスタートアップ経営者に。25歳が語る復活劇
──超多忙なスケジュールのところ、取材のお時間をありがとうございます。先ほど国内出張から戻って、明日からはアメリカに飛び立つそうで……。お誕生日も近いので、編集部からの差し入れ(※栄養ドリンク)を片手にインタビューです。早速ですが、簡単に大和くんのプロフィールを教えてください。
青木:ありがとうございます、乾杯(笑)。僕は株式会社DADA(ダダ、旧:アオイエ)の創業者兼代表として、アオイエやバスハウスの運営を行っています。学生時代には10代の政治に対する関心を高めるため「僕らの一歩が日本を変える。」というNPO法人を創設し、18歳選挙権の実現に向けて活動していました。
青木 大和(あおき やまと):(株)DADA 代表取締役CEO。15歳の時に渡米先でオバマ政権の誕生を目の当たりに。日米の若者の社会参加・政治参加の差を痛感し、慶應義塾大学在学中の2012年にNPO法人「僕らの一歩が日本を変える。」を設立、2014年に同NPOの代表理事を辞任。その後世界各地を巡る中で着想したコミュニティハウス「アオイエ」を2016年にオープン。2017年9月に法人化し、代表取締役就任。2018年より「バスハウス事業」を開始し、法人名も「DADA」に変更した。
──大和くんを知る人の中には、学生時代の活動が印象に残っている人もいるかもしれませんね。DADAで取り組んでいる事業について、もう少し詳しく聞かせていただけますか。
青木:現在取り組んでいる事業は(1)コミュニティハウス(2)バスハウス(可動式住宅)の2つです。まずコミュニティハウスについて、若者向けのシェアハウス「アオイエ」を東京・京都の12拠点で展開しています。「みんな表現者」というコンセプトで運営していて、入居者同士が物件を横断して交流しているのが特徴です。最初は好きでやっていたことですが、気付いたら拠点が増えて事業化することになりました。
就活の息苦しさが事業になった
──アオイエの1軒目がオープンしたのは2016年、大和くんが慶應義塾大学の法学部に在学している頃です。どんな経緯で始まったのですか?
青木:アオイエを構想したのは大学3年生の頃、まさに就活の時期でした。大学の授業に行っても周囲は就活の話題ばかり。大学院進学か起業を考えていた僕には、なんだか息苦しくて。仲の良い友人と一緒に、自分たちの先行きが不安だよね……と話していました。そこから「同じように悩んでいる人が他にもいるはずだ」「そんな人を集めて暮らしたら面白いかも」と思うようになり、シェアハウスを始めました。
アオイエ入居者の集合写真
──アオイエは、周囲の就活を機に生まれたんですね。意外なきっかけです。
青木:加えて、若者に「民間が実現できるベーシックインカム」を提供したい思いもありました。大学で社会保障を学び、都心部の地価が上昇する一方で若者の生活が厳しい状況に立たされていることを知りました。若者がチャンスを求めて都心に集まるのは当たり前のこと。それなのに、生活費が高いせいで日々の稼ぎを得ることに精一杯で、やりたいことに打ち込めない。そんな現状を変えたいと思っていました。
この課題を解決する一手として、生活費の多くを占める家賃を圧縮すること──つまり、家賃を抑えて学ぶことのできる空間を都心に展開することが有効だと考えたんです。
──興味深いです。アオイエは、やりたいことがあるのに現状に息苦しさを感じる若者たちへ、精神面・経済面でのよりどころを提供してきたのですね。
不動産×モビリティ=「可動産」。マイクロバスが家になる
──2018年にスタートした新事業、バスハウス(可動式住宅)についてはいかがでしょうか?
青木:マイクロバスを改造し、可動式の住居を作るプロジェクトです。事業の背景としては2つあります。1つは、モビリティ技術やMaaS(※)、LCCへの期待が高まる中で、これから到来する「超移動社会」を新たなマーケットとして見据えていること。
※MaaS(マース)……Mobility as a Serviceの略。車を所有せず、使いたいときにだけ使用するサービス全般を指す。
もう1つは、暮らしの概念を「不動産」から「可動産」へと変化させたいからです。大昔、人間は農耕民族と狩猟民族に分かれていました。けれど現代は、狩猟民族のように移動しながら生活する人はほとんどいませんよね。いくらリモートワークが活性化しても、肝心の住居が動かなければ、暮らし方は変わらないと思ったんです。
バスハウスを背にして
──大和くんの事業には、一貫して「暮らすこと」に対する思いが感じられますね。日本で成功しているスタートアップはメディアビジネスが多い中で、少々異色です。何か理由があるのですか?
青木:さかのぼると2014年の「炎上」がきっかけですね。仲間に会わせる顔がなくて今までのコミュニティに居づらくなり、家に引きこもったり海外を旅した時期がありました。その時、社会の閉塞感に気付きました。今の社会は、起きた問題をその場所で、自分だけの力で解決しなきゃいけない。でも、暮らす場所を変えれば、追い詰められずに済むことももっとあるんじゃないかと。
──「炎上」については、このあと詳しくお聞きします。思いだけでは、成果はついてきません。大和くんは、投資家たちが注目する事業をどう生み出しているのですか?
青木:ポイントは大きなマーケットに参入することと、潮流をつかむことです。僕が思う次の潮流は「不動産」、「モビリティ」、「インバウンド(訪日観光)」の3つです。引きこもり時代に、ひたすら読書をして社会の変化を感じる中で着想しました。
政治の世界を離れて起業したのは、ビジネスは自助努力で成果が出るフィールドだと思ったからです。政治の世界では、どんなに優秀でビジョンを持った人も純粋な実力以外の要素に阻まれていました。でも、自分の周りのスタートアップ経営者は日々の努力で着実に成功していた。僕の性に合っているように思えました。
「一生インターネットに残る傷」と向き合う。発信を続けるのは、覚悟を決めたから
──さて、ここからは大和くんの歩みと切り離せない出来事について聞かせてください。大和くんは大学在学中に、日本社会を巻き込む大騒動の中心人物になりました。分かりやすさのためにあえて「炎上」と表現しますが……今、あの事件をどのように振り返っていますか?
<「どうして解散するんですか?」炎上事件>
2014年、青木さんが代表理事(当時)を務めていたNPO法人「僕らの一歩が日本を変える。」が、衆議院解散へ疑問を投げかけるウェブサイト「どうして解散するんですか?」を公開。
小学4年生を自称する発信者に対し、「メッセージやサイトの内容が、小学生の作ったものとは思えない」と批判が殺到、政界・世論を巻き込む騒動となった。問題発覚直後に、ウェブサイトの発起人となった青木さんは代表理事を辞任することとなった。(図は「どうして解散するんですか?」サイトトップ)
青木:「どうして解散するんですか?」は、本意ではないメッセージの伝わり方をしてしまいました。僕はあのサイトで政治批判をしたかったのではなく、「このタイミングで選挙が必要なのか?」を議論したかったんです。国の財源が苦しいと叫ばれているのに、数百億円もかかる解散選挙は本当に必要なのかと疑問を投げかけたかった。ただの言い訳に聞こえてしまうかもしれませんが、もっとベストな方法があったんじゃないかと思っています。
──当時、発信者の身分を偽ったことへの批判も多く寄せられました。大和くんは何を思って、小学4年生を名乗ったのですか。
青木:仮名で発信したのは、自分を知る人だけではなく、さまざまな人を巻き込んで議論をしたかったからです。当時の僕の周りには「大和が言うのなら、政治にも興味を持つよ」と言ってくれた人たちが多くいました。ありがたかったけれど、それでは足りないと思っていて……。
小学4年生を自称したのは、自分の年齢を半分にしたら10歳だったから。深い考えはありませんでした。本当に小学生だと思われたかったわけではなくて、メッセージ性を持った現代アートとして広まればいいと思っていました。コンテンツ自体が話題として消費されるのではなく、コンテンツを起点に議論が生まれるような発信をするべきでした。
──これほどの炎上を経たら、表舞台から姿を消してしまう人も少なくないと思います。大和くんも相当な苦悩があったのではないでしょうか。今こうして経営者として再起し、メディア露出できるようになった理由を教えてください。
青木:正直、いまだに怖いですよ。ツイートする前は何度も内容を確認しますし、DADAの事業がニュースサイトに載ると「もし、何かあったら……」とビクッとします。僕が恐れているのは、自分への批判というよりも、自分の家族や親しい仲間を傷つけてしまうことです。自分のしたことは自業自得だけれど、周囲を苦しめたくはありません。炎上した当時も、一番つらかったのはそのことです。
DADAの仲間たちと
──それでも、大和くんが発信を続けるのはなぜですか?
青木:それでも一緒に走ってくれる仲間がいて、経営者として覚悟が決まったからだと思います。僕のやったことは、一生インターネット上に残る傷かもしれません。だからこそ人生をかけて向き合わないといけないと思っています。会社や事業を成長させるためには露出が必要ですし、どんなコメントにさらされても、自分が発信した内容や結果から逃げるわけにはいきません。
昨年から事業投資を受けるようになり、見える景色が変わりました。僕を信じてくれるDADAのメンバー、投資家の方々、アオイエに住むみんなのためにも、恩返しをしたいです。支えが増えたことで、強くなれたんだと思います。
──起業家として守るものを得たことで、過去に向き合う覚悟ができたのですね。大和くんは、もし今の自分が2014年に戻ったら何をしますか?
青木:時をさかのぼっても、同じように問題提起をしたと思います。もちろん伝え方は工夫した上で。一方で、インターネット上の議論にはそこまで期待しません。僕が今リアルのコミュニティにこだわっているのは、炎上を経てインターネットの限界を感じたこともきっかけです。建設的な議論は、信頼関係のあるリアルの場でしか生まれないと思っています。
就職も、学生起業も、ポジショントークでしかない
──大和くんは、周囲が就活をする中で起業に踏み切りました。新卒でのキャリア選択について、どのように考えていますか。
青木:大前提として、就活は決してダサくないと思っています。時代的に学生起業家がフィーチャーされますが、そうではない進路があってしかるべきです。
僕がアオイエに入居している就活生に伝えているのは「周囲の大人が言うことを鵜呑み(うのみ)にしないでほしい」ということです。僕も含めて、人は経験したことしか語れません。自分の人生を正当化したいから、無意識に自分の経験や判断を「良いもの」として伝えたがる。真に受けすぎないように、と。
──どんなアドバイスも、結局はポジショントークに過ぎないと。本質的なアドバイスです。では、経営者となった今、就活生に伝えたいことはありますか?
青木:自分が採用する側になってから、オールラウンダーの優等生よりも何かが突き抜けている「変な子」が好きだと分かりました(笑)。自分の強みを自覚してもっともっと突き抜けてほしいです。
日系大手企業にも、若い発想や個性を取り入れようとする動きが生まれています。事業を通してさまざまな方にお会いするのですが、僕のような若造に、名だたる大企業のトップが時間を作って話を聞いてくれるんです。少しずつ変革が起きていますよ。むしろ変化についていけない古い慣習や考え方は、今後どんどん淘汰(とうた)されていくと思います。
未来のイノベーターを救いたい。今がつらい君は、僕に連絡ください。
──ズバリ、大和くんの今後の展望や目標はどのようなことでしょうか?
青木:中期的には、バスハウスを住宅インフラの1つにしていきます。長期的な野望としては、どんなスタートラインでも活躍できる機会を作りたいです。
僕は、21世紀最大の社会問題は住居問題だと考えています。住宅が満足に供給されないがために、未来の孫正義やイーロン・マスクたちが声も上げられずにドロップアウトしている現状があります。生まれや置かれた状況に関係なく、いろんな人がチャレンジできるような環境を整えたい。少しでも選択肢を広げるレールを作っていきたいと思います。
──最後に、読者に向けて一言メッセージをお願いします。
青木:人生にはいろんな波があります。僕自身が大変な思いをしてきたからこそ、今この瞬間につらい人を支えたいです。もし今にも押し潰されそうになっている人がいたら、僕のFacebookに連絡をください。必ず返信します。お茶でも飲みでもいいから、一緒に話しましょう。うまくいっていない・キツいときだからこそ、僕が力になれることがあると思います。かつて僕が起業家の先輩たちに助けてもらった恩返しをしたいです。
──起業家としてはもちろん、再起のきっかけや思いがヒリヒリと伝わってきました。大和くん、ありがとう。これからも同世代として応援しています。
【ライター:スギモトアイ】
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