こんにちは、ワンキャリ編集部員のめいこです。
──学生時代、この人をSNSでフォローしていたなら……。
ダメ就活生だった私が、就活生に知ってほしいインフルエンサーを厳選して紹介する特集企画「めいこRT(リツイート)」。
RTの条件は(1)35歳以下(2)トガった活動(3)めいこがフォロー済 の3つ。キャリアの第一線で活躍する、若きインフルエンサーたちの魅力に迫ります。
今回は起業家として「株式会社メンヘラテクノロジー」のCEOを務めながら、大学院生として就活に悩む高桑蘭佳さん(以下、らんらん)をリツイートします。
※文末には、らんらんの「逆求人票」を掲載しています。興味のある人事・採用担当の方はここをクリックしてください。
▼ダレをRT?
高桑 蘭佳さん(らんらん)
24歳/起業家/就活生/理系大学院/サービス開発
▼決め手のRT!▼ナゼRT?
株式会社メンヘラテクノロジーのCEOとして、独自のWebサービスを発表。学生起業家として活動しながらも、「自分の本音を出すのが怖い」と等身大の思いを抱える現役就活生でもあるから!
事業立案型ワークショップをきっかけに「株式会社メンヘラテクノロジー」を設立し、代表を務めるらんらん。事業づくりに取り組みながらも、東京工業大学で人工知能(AI)や自然言語処理の研究に取り組む、現役大学院生としての顔も持っています。
そんなトガりまくった経験を持つ彼女が、「就活って、どうしたらいいんでしょうか……」と、編集部に不安の声を寄せてくれました。今回は、らんらんの起業家としての魅力や経験を掘り下げながら、キャリア選択や新卒就活のあり方について一緒に考えていきます。あなたも、らんらんと一緒に「個性を生かすための就活」を考えてみませんか。
CEOと就活生、2つの顔を持つ大学院生
──らんらん、今日はワンキャリアのオフィスに相談へ来てくれてありがとう。まずは、簡単に自己紹介をしてもらえますか。
らんらん:今日はありがとうございます。私は東工大の修士課程に所属しながら、株式会社メンヘラテクノロジー(以下、メンヘラテクノロジー)の代表を務めています。フリーライターとしても活動していますね。今は就職活動について考え中です……。現在は休学中で、復学したら21卒になる予定です。
高桑蘭佳(らんらん):東京工業大学の修士1年生(取材当時は休学中)。参加した事業立案型ワークショップをきっかけに株式会社メンヘラテクノロジーを起業、CEOとしてサービス開発に励む。自他ともに認める「メンヘラ」気質で、彼氏をこよなく愛する。21卒の就活生として、就職活動やそのあり方についても悩む。
──就活についてお話しする前に、らんらんの活動についてもう少しお聞きしますね。代表を務めているメンヘラテクノロジーは、一体何をしている会社なのでしょうか?
らんらん:「AIを使って彼氏を束縛するためのサービス」を開発・運営しています。いままで、以下のサービスを発表してきました。
▼愛してるの言葉じゃ足りないくらいに君が好きなので歩く:歩いた距離数に応じて愛を伝える万歩計アプリ。2019年3月末リリース予定
▼カノジョ・シッター:彼氏の不在時に、彼女をオンライン通話でかまってくれる「シッター」を手配するサービス。2019年3月上旬に期間限定の「スーパーアルファ版」をリリース
▼MM(ミリ):就活に悩む女子大生が社会人とカジュアルに接点を持てるマッチングサービス。2018年11月上旬サービス発表、現在は運営終了
起業のきっかけは株式会社ガイアックスの学生向けワークショップです。「アイディア創出&事業化プログラム」で発案したアイデアが事業化したのをきっかけに、会社を設立しました。
──MM(ミリ)は、ソーシャルでも大きな話題と議論を呼びました。らんらんは起業家として我が道を突き進んでいるように見えるけど、なぜ就活を考えているのですか……?
らんらん:自分の技術を鍛えたいですし、より良いサービスづくりのためにも、企業で働きたいと思っているからです。
そう実感したきっかけの一つは、先ほど紹介したMM(ミリ)です。実は、MM(ミリ)はプロトタイプ段階でリリースを断念しています。サービスを世に出せなかった背景としては、ユーザーテストで学生の評判は上々だったものの、社会人からの反応がイマイチだったことも一因です。
──学生のニーズには寄り添えたけれど、社会人が使い続けたいと思えるサービスにはなっていなかったと。
らんらん:はい。そのとき、「社会人の気持ちや考えをもっと知りたい」と思うようになりました。私のサービスを使ってくれる方のほとんどは、社会人経験があるか、将来的に企業で働く予定の学生だと思います。私も、ユーザーさんと同じ気持ちでものごとを見たいんです。サービスづくりや人工知能の研究は楽しいけれど、就活を経て企業で働く経験が必要だと思っています。
熱くない起業、成功の理由は自分をさらけ出す「寄生プレイ」
──起業家といえば「やりたいことや解決したい社会的課題を持ったエネルギッシュな人たち」を想像するのではないでしょうか。らんらんは、その中でも異色の存在ですよね。
らんらん:そうだと思います。私が起業したのは、経営者として働く彼氏を束縛したいからです。事業経験を積んで彼の会社の役員になれば、ずっと行動を監視できると思って……。今も、自分が欲しいものや解決したいことを中心にサービスを作っています。確かに私の周りにいる起業家さんは、強そうで熱い人が多いです。怖い雰囲気の人とはあまり仲良くなれないです(汗)。
──起業に至るまでの思いを語ったインタビュー記事は、彼氏さんへの愛に圧倒されます。そんならんらんが活躍できている理由はなぜだと思いますか? 強い課題感やビジョンがあっても、皆がらんらんと同じように事業を生み出せるわけではありません。
らんらん:ゲームに例えるなら、「寄生プレイ」ができるからではないでしょうか。私は同じパーティのメンバーに「寄生」してクエストを進めること──言い換えると、周囲に頼りながらものごとを前に進めることが得意なんだと思います。
起業家の方々はチームを引っ張りながら何でもこなす「ギルドマスター」的な人が多い印象ですが、私はその対極です。一人でできないことや苦手なことも多いです。メンヘラテクノロジーの皆や、ガイアックスの方々にお世話になりっぱなしです。もちろん彼氏やTwitterでつながりのある皆さんにも。でも、ものすごく構ってちゃんなので、皆に構ってもらうためなら努力できます。自分の弱みや好きなことを日頃から発信するように心がけていますね。
──メンヘラテクノロジーの求人ページでは「お世話係」や「構ってくれる人」を募集しています。面白いなーと思っていたんですが、らんらんのプレイスタイルが影響していたのですね。
らんらん:自分が苦手なことを打ち明けるからこそ手を差し伸べてくれる人がいるし、好きなことを発信するからこそ同じ「好き」を持つ人たちと支え合えるんじゃないかなと思います。
──そのスタンスは、SNSでの発信ぶりからも伝わってきます。
私は社会不適合者? ありのままを出せない就活が不安
──では、本題に入りましょうか。らんらんは、就活のどんなところが不安なのでしょうか。ここまでの話を聞いていると、キャリアに心配を抱える理由はなさそうに感じるけれど……。
らんらん:「企業にありのままの自分を受け入れてもらえないのでは?」という葛藤があります。メンヘラテクノロジーの活動や大学院での研究、彼氏のことなど、自分の好きなことや将来したいことを素直に伝えたら選考に落ちてしまうかもしれない……って。実際に何社かで面接を受けてみたら、「うちは合わないと思う」「カルチャーが違う」と言われてしまって。それ以来、ずっと不安なんです。
──同じ悩みを抱えている学生は多いと思います。就活では「自分の弱みを聞かれたら、最終的に自己PRになるように答えましょう」という定石もしばしば聞かれます。どれくらい本音を出していいのか不安になる気持ちは、皆に共通するのではないでしょうか。
らんらん:そうですよね。本音を伝えて「この子は自社でやっていけるのか?」と企業側が心配する気持ちもよく分かるのですが、そんな反応があるたび「自分は社会不適合者なのかな?」「企業に属してはいけない人間なのかな?」って自分を否定しちゃうんです。自分の素を隠しても、どうせ後からうまくいかないのは明らかなんですけど……。
この前キャリア系のイベントに参加したのですが、参加している学生が皆、似たような志望動機や自己PRを話していて、私も同じように話さなきゃいけないのかなって。でも私は「どこに配属されても全力で頑張ります」って言えないし、ってぐるぐる悩んでます。
──ポテンシャル重視で一括採用が中心の日本の就活は「どの部署でも、どんな人とでもやっていけそうな学生」が重宝される傾向にあります。既に得意な分野が決まっていたり、成果を出しやすい環境がはっきりしている人にとっては不利な仕組みですよね。
らんらん:もし純粋に自分が有利になる就活制度を望むなら、新卒・中途の枠組みを取っ払った仕組みになってほしいです。カナダなど、海外ではそうしたキャリア選択が一般的な国もあります。でも、それが全ての就活生にとって良い制度だとも思いません。どうしたらいいんだろう……。
らんらんの「逆求人」公開中。個性を殺さない、転職のような就活
──らんらんのように自分を持った学生が、萎縮せずにキャリア選択に臨める環境を整えていく必要がありますね。私たち就活メディアも、企業に一方的に選ばれる就活ではなく、学生と企業がお互いにマッチする就活の形を広げていきたいと思います。今日はその一歩として、らんらんの「逆求人票」を作ってみませんか?
らんらん:逆求人、ですか? 面白そうですね。
──新卒採用では珍しいけれど、中途採用では自分から求人に応募するだけでなく、経歴・実績や望む条件を開示して企業からスカウトを得ることも多いです。らんらんも中途採用のように、「逆求人票」を見て興味を持った企業とマッチングしたほうが個性を大切にできるんじゃないかと思います。
らんらん:そんな方法があるんですね。確かに、そのほうが精神的にも楽な気がします。今までの経歴をまとめてみますね。
──自分の実績や働く上で望むことを言語化することは、逆求人に限らず役立ちますよ。自分が選ばれるためではなく、個性を大切にしながら企業と選び合うために、譲れない条件を明らかにしてみましょうか。
このインタビュー中に、らんらんと一緒に作った「逆求人票」をこの先に掲載します。興味のある人事・採用担当の方は、らんらん(@pascarrr)まで問い合わせてみてください。
▼面接を希望する企業の方はこちらをクリック▼
高桑 蘭佳さん(らんらん)の逆求人票
【経歴】
1994年生。東京工業大学大学院 修士課程に所属。大学では自然言語処理を用いた感情分析を研究。2018年秋からはWebサービス企画・開発を行う「株式会社メンヘラテクノロジー」を設立、同社代表を務める。フリーライターとして執筆活動も行う。
【働きたい業界・条件】
・業界:IT系を希望。テクノロジーに触れられる業界
・職種:特にこだわりはないが、強いて言うならデータに関わる仕事。プロダクトの企画や事業立案に興味あり
・働く環境:構ってもらえることが大切。人間関係がストレスになりやすく、自分と合わない人がいたら心配。会社規模100人〜?
・働き方:メンヘラテクノロジーを続けながら働けること。勤務時間はフレキシブルなほうがうれしい
【PRポイント】
<得意なこと>
・常識に囚われないアイディアを出すこと
・人を巻き込むこと(出資元・ガイアックスの流さんによると)
・プログラミング(深層学習、機械学習、自然言語処理を用いた研究経験)
・ライティング(歴4年)
・新しい知識のインプット
・リサーチ(※)
(※)彼氏のSNSフォロワーや友達らしき人の名前をたどり、彼氏の10年前のブログを見つけた実績あり
<苦手・サポートが必要なこと>
・多くの人が一般常識だと思っていることを当たり前に実行すること
・経理、データ入力などの事務作業やルーチンワーク
・電話対応などの瞬発性の高いコミュニケーション
・口頭でのレクチャーや手短な説明
【職務経歴】
・株式会社メンヘラテクノロジー(2018年9月〜)
同社代表としてバックオフィス業務以外の全てを経験。事業計画、マネタイズ戦略、ユーザーヒアリング、会員集客(SNSを活用し、広告費ほぼ0円で約1,000名の事前登録に成功)、提携先への営業(10軒の飲食店との提携に成功)PR・広報・取材対応、広報用Webサイトの制作などを担当。
・東京工業大学大学院(2018年4月〜)
自然言語処理を用いた感情分析を研究。学部時代(神奈川大学工学部)は、情報セキュリティの視点からSNS上でのやりとりからユーザー同士の交友関係に関する情報が推定できる危険性を指摘。特定のユーザー宛のリプライを機械学習を用いて分析し、面識の有無を推定した。
・ライター活動(2014年〜)
大学2年次より、4年間ライターとして活動。若者目線での取材記事が中心。大学4年次以降はテクノロジー関連が中心。人工知能(AI)、データ分析を得意テーマとする。
執筆実績はこちらに掲載
【ライター:スギモトアイ/撮影:藤 祐太郎】
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