全11回にわたりお伝えした「外資BIG5」とKENの対談特集。5人との対談を受けて就活生に伝えたいことを、KENが3回に分けてお伝えします。第三弾は「天職の見つけ方」ついてお伝えします。
KEN:
ワンキャリアの若手編集長。28歳。博報堂、ボストンコンサルティンググループ出身。ビジネス経験とは別に、学生時代にボランティア団体を設立・プロボノ支援等のソーシャルセクターでの活動経験を持つ。
ソーシャルセクターとの出会い—KENの高校時代の活動—
「先生、本音で話そうよ」
これは、私が学生時代に立ち上げた団体が、朝日新聞の全国面に載ったときのメインコピーです。当時、高校3年生だった私は、あるキッカケでボランティア団体を立ち上げました。活動内容は、端的にいえば、「大人」と「子ども」を繋げ、建設的に意見を交換するための機会をつくること。
具体的には、「大人」として校長や教師、教育系NPOを運営している大人などを集め、1つのグループを作ります。もう一方で、「子ども」側として、中高の生徒会関係者等を集めて、1つのグループを作ります。この両者が、感情論ではなく、建設的に話し合える場を作るのを目的としていました。
高校3年といえば、受験期。それでもなお、私がボランティア団体を立ち上げた理由は、後輩のDV(ドメスティックバイオレンス)がキッカケでした。高校3年の夏、普段から仲良くしていた4つ下の後輩がDVを受けていたことを知った私は、とてもショックを受けました。それまで中学から約5年間、様々なボランティア活動に携わってきて、なんとなく「世の中のためにはなっているのかな」という感覚を覚えていたからです。
「自分が普通の高校生なのはよく知っている。自分が仮に動いたとしても、それは大海の一滴でしかない。でも、それでも何かをしなければならない」
今思えば理解不能な、使命感のようなものを感じた私は、解決するための具体策として、ボランティア団体を立ち上げました。それが上述の組織です。
「自分には世界を変えられない」と、高校時代に痛感した自分自身の無力さ
立ち上げから数ヶ月は、地獄のような日々を過ごしたのを覚えています。朝日新聞を皮切りに、国内大手新聞に10回以上掲載されるほど、大きくなったムーブメントを目の前にして、私はプレッシャーに押し潰されそうになっていました。周りは受験勉強を進めるなか、自分だけ全時間を、活動に費やすのです。周りからの「頑張れ」という声が、プレッシャーに変わっていきました。
夜も全く眠られない日々が続きました。高校3年生の自分にとっては、あまりに大きな役割だったのだと感じます。
結果としては、100人以上のフォーラムを実施し、メディアにも露出したものの、私はこのプロセスを経て、痛感しました。
「自分には世界を変えられない」
私の活動は予想通りに、世界を変えることは出来ませんでした。しかし「高くそびえる、巨大な壁の片鱗」を感じさせるには十分でした。高校生の私は、社会問題を解決する難しさをそのときにひしひしと感じました。
高校3年の12月頭に活動を終えた私は、そこからの猛烈な追い上げで勉強し、なんとか現役で大学に合格。大学に入ってからは、大学生活特有の「ゆるさ」にドップリつかっていきます。自分の中にあったはずの、「情熱」はどこかに消え、「世の中のために」なんてことを考える機会はなくなっていきました。
賢者達との対談を通して改めて気づかされた、「想い」と「スキル」の両輪が見せてくれる世界
あれから10年後。私は、今回の取材を行う機会を得ました。
5人の賢者と対面を通じて話すと、「仕事を楽しんでいる」ということがひしひしと伝わってきました。その理由は、簡単です。自分の仕事にやりがいを持って働いているからです。
特に印象的であったのは、吉岡さんの「息を吸うように働いている」という言葉。自分が信じるものに対して真摯に向き合い、働く姿を見て、私は自分の中に眠っていた情熱がわきあがっていくような感覚を覚えました。
外資BIG5特集を実施するうえでは、様々な困難が待っていました。しかし、今の私にとって、その壁を乗り越えるのはそれほど難しいことではありませんでした。10年前の高校生の時とは圧倒的に違うものがあったからです。それは私が博報堂やBCG時代に培ってきた「技術と経験」です。
福吉さんは、仕事のパフォーマンスについて「想い × スキル」だと述べられました。この両者が両輪のように働いた結果、関係者の方々を巻き込み、この特集を実施することができました。
気づき1:情熱は自分の中に眠っている
改めて、私がこの特集を進める過程で発見した、2つの気づきをまとめてお伝えしたいと思います。1つ目の気づきは「情熱は自分の奥底に眠っているということ」です。
今回、情熱的に仕事に打ち込む賢者と話す機会を得て、私は「自分の中に眠っていた情熱」を少しだけ思い出すことができました。「自分が打ち込めることがわからない」というのは単に、自分の心の中に情熱が眠っていることを忘れているだけです。それを思い出させてくれるのは、「情熱を持った誰か」であることが多い。だから会いに行きましょう、情熱を持って働く人に。これが1つ目です。
気づき2:自分のやりたいことを実現するための「技術」が、仕事における「最大の報酬」
もう1つの気づきは、「仕事における最大の報酬は、自分のやりたいことを実現するための「技術」を獲得すること」だということです。
一般的に、仕事には2つの側面があると言われます。1つは、お金を稼ぎ、生きていくための側面。もう一つは、「仕事を通じて何かを成し遂げたり、自分を成長させてくれるもの」という側面。今回の特集において私が明らかにしたかったのでは、2つ目の側面です。外資系企業というややもすると「利益主導で、なにごとも合理的に働いている」と思われがちな企業を経て、ソーシャルセクターで働かれている方の話を通じて、「そこで学んだ技術が、いかにして世のためになっているか」を伝えたく思いました。
おわりに:「天職が見えてくるとき」とは、技術を手にしたうえで、想いがある人と出会い、情熱を呼び覚ましたとき
天職、すなわち、自分自身の才能を発揮し、一番輝く仕事を見つけるために、若い頃にやるべきことは2つです。1つは、「若い頃は経験に投資し、技術を身につけ、自分が明確にできることを明らかにすること」。キャリアを自由にするための投資です。2つは「情熱をもって働いているビジネスパーソン・人に会うこと」。自分の中に本来眠っている情熱を呼び起こすためです。意図する、意図しないに関わらず、この2つがクロスしたときが「天職が見えてくるとき」ではないでしょうか。
今回は「外資BIG5特集」で話題にのぼった「天職の見つけ方」について、コラムを寄せました。私が対談した5人の賢者は何を語ったか、未見の方はぜひ「外資BIG5特集」をチェックしてください。
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【6】5人の対談を終えてKENの対談後記
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・現代の就活が抱える3つの課題 ー「学生よ、ジョブローテがある会社には行くな」ー
・KENの回想記 ーソーシャル領域との出会いと、天職の見つけ方ー
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