こんにちは、総合商社の金融部隊で勤務していますタロタカシです。
学生のみなさんは、「総合商社といえばグローバルに働く」というイメージを持たれているのではないでしょうか?
現に私は昨年度約50人の就活生よりOB・OG訪問を受けましたが、お会いする学生の70%程度は「海外で働きたいから」という動機で総合商社を志望しておりました。また、私は学生時代、外資メーカーに2年間契約社員として働いた経験もあります。これらの経験から思うのは、一概に「グローバル」といっても、その種類はさまざまだということ。今回はこの違いをご説明できればと思います。
「グローバルに働く」には、3つのパターンが存在する
「グローバル」といっても、総合商社と外資系の「グローバルな働き方」は変わってきます。勤務環境から読み解くと、大きく分けて3つのパターンが考えられます。順に見ていきましょう。
A:国内にいながら、海外の顧客・パートナー・関係会社の職員とメール・電話でコミュニケーションを取り仕事を進める
B:拠点は国内に置きつつ、出張ベースで海外に行き、パートナーや顧客と面談を行い仕事を進める
C:海外の現地法人・海外子会社に出向という形で海外赴任し、現地人と仕事を進める
そして、おそらく学生の皆さんが想像する「グローバルでバリバリ働く」というと、Cの「海外に赴任しながら現地人と仕事ができること」を想像する方が多いのではないでしょうか。
総合商社における「グローバルに働く」とは?
しかし現実では、外資系の金融やコンサル・メーカーなど「外資系企業のグローバルな働き方」は大半がパターンA。たまにパターンBのようにグローバル案件のために一時的に出張も行うことがあるぐらいではないでしょうか。
外資系企業にとって、日本は支店のうちの1つなので、本社機能はありません。顧客は日本国内のクライアントやプロジェクトが中心となるので、拠点・顧客は国内中心が実態です。対して、総合商社はA・BだけではなくCも多く存在します。本社は国内で、顧客や子会社などは海外が中心になるため、総合商社にとってのグローバルな働き方は、幅広くなります。具体的な数字で見ていきましょう。
海外に駐在する人数が常時、約20〜30%存在する。その内訳は?
以下の表は、某総合商社の勤務地別従業員の割合をグラフ化したものです。注目すべきはこの例では、Cのキャリアを積む商社パーソンが全社的に20〜30%もいるという事実です。
<某総合商社の勤務地別従業員の割合:筆者調べ>
上記の表に記載されている働き方に関して、簡単にご説明します。
1. 本店(東京)勤務:64%
約3分の2の職員は東京の本店にて勤務しており、一般的な働き方は以下の通り。
・国内での物流商売のオペレーションの執行
・事業投資先の経営管理として、モニタリングの実施
実感値として本店の中では、パターンAが約50%、パターンBが30%。日本語で日本人と仕事をする人は20%もいないのが実態です。また、法務・経理・財務・人事などのコーポレート機能(会社の基幹的機能)の大半は、司令機能を持つ本店に集中しています。新卒の約90%がこの本店勤務からスタートします。
2. 国内支店勤務:4%
国内支店は国内主要企業対応・国内物流商売を行うことが多いです。国内の取引先や子会社・関係会社との接点を持つことが主な業務なので、英語や外国人とのコミュニケーションは少ないといえるでしょう。物流商売を経験させるために、毎年新人が数名程派遣されます。また50代以上の業界で知見を蓄えたシニアの方達の比率が高い印象があります。
3. 国内子会社/関係会社へ出向:1%
新人〜若手の場合は子会社の営業リーダーとして出向され、中堅以上で出向するときはCEO・CFO・COO(※1)という要職にて会社経営を行います。
総合商社とは全く異なる別会社に出向となるため、本店の人間が圧倒的に少ない環境です。出向時の役職の関係上、自分より年上の方に指示・指導する環境や、給与体系の差による子会社の方とのコミュニケーションの難しさがあるのが現状です。国内にいながらも多くの点でカルチャーショックを受けることがあるそうです。
(※1)CEO・ CFO・COO それぞれの意味は以下。
CEO:「最高経営責任者」の意味(Chief Executive Officer の略語)。全ての業務執行を統括する役員。
CFO:「最高財務責任者」の意味(Chief Financial Officer の略語)。財務に関する業務執行を統括する役員。
COO:「最高執行責任者」の意味(Chief Operations Officer の略語)。事業運営に業務執行を統括する役員。
4. 海外支店へ赴任:21%
欧米などの主要先進国からアジア・アフリカの発展途上国まで幅広い拠点があります。海外での商流の拡大のために海外関係会社のサポートや現地情勢のリサーチ、現地企業の訪問などが主要な働き方です。総理大臣や政府要人の海外視察に同行するというミッションを担うこともあります。
現地人を採用しているため、パターンCになります。ただし、アメリカやイギリスなどの各大陸の拠点となる主要拠点は日本人社員が100人以上在籍していますので、本店との連絡業務が多く、居住地は海外ですが業務は日本語で行う場合もあるとのことです。
5. 海外連結子会社/関係会社へ出向:10%
海外の会社に対し、CEO・CFO・COOなどの要職として経営参画することが多いです。現地の職員をマネジメントし、事業投資後の商流拡大、オペレーション効率化・最適化をミッションとして5年程度を目安に赴任します。業態にもよりますが早ければ30代前半でこのようなキャリアを経験できます。 関係会社の経営メンバーは海外での赴任手当も重なり、この時期の年収は本店にいた時の2〜3倍という破格の待遇を得ることができます。
大切なのは、あなたが実現したい「グローバルな働き方はどれか?」を把握すること
ここまで、外資系企業と比較した「総合商社のグローバルな働き方」を説明しました。明確にイメージできましたでしょうか?
「グローバル」という言葉は就活におけるはやりのワードとなっていますが、業種によって働き方が異なります。実現したいグローバルな働き方を把握し、自分の言葉で語れるようになることはキャリア選択や面接本番でも大切ですので、頑張ってくださいね! 以上、タロタカシでした。
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※こちらは2016年2月に公開された記事の再掲です