こんにちは、トイアンナです。
「企業へエントリーして落ちた」経験は、よほどのラッキーパーソンでもない限り、誰しも就活で経験します。そしてひととおり落ち込んだあと、「何がいけなかったんだろう」と振り返ることでしょう。
しかし、2次面接以降で落ちる理由は「面接が下手」だからとは限りません。
面接で落ちる真の理由は「ES」にあった
この記事をご覧いただいている方には、極端に面接が苦手な方もいらっしゃることでしょう。声が小さすぎる、下を向いてしか話せない……という課題を抱えている方はこのページをそっと閉じて、発声練習へ移りましょう。
けれど「普通に話せるのに落ちた」なら、落ちる原因の多くは面接のテクニックよりもエントリーシート(ES)にあることが多いのです。
ESはいわば「面接時の参考資料」です。エントリー後、比較的早期に提出し、そこから最終面接まで閲覧され続けます。従ってレベルの低いESを出すと、常にレベルの低い資料が面接官の手元に置かれたまま、面接で自分を採用してもらうためプレゼンすることとなるのです。いくら面接対策をしようとも、材料となるESがどうしようもなければ調理のしようもありません。
面接で苦戦しつづけた学生のガクチカ
実際の例を見てみましょう。
ある男子学生が、就職先が決まらないと相談してくれました。彼はハキハキと心地よいテンポ・声量で話をしてくれる学生で、印象は決して悪いものではありませんでした。「何が理由で面接に落ちているんだろう……?」と当初の私も分析に困りました。
しかし、その学生のESを見て「学生時代に力を入れたこと(ガクチカ)」を読んで全てを理解しました。
「私が学生時代に頑張ったことは、単位取得です。私は大学1、2年生で遊びほうけてしまい、GPAが1.2しかありませんでした。そこで単位を取得するため英語の授業を頑張りました。苦手な英語の授業へ毎週出席した結果、無事に単位を取ることができました」
全てのESは、他の学生と比較されつつ閲覧されます。つまりその企業を受ける他の学生より秀でたESが求められるのです。しかし彼の学生時代に力を入れたことは大学の単位、それも卒業の必修単位だと一発で分かってしまう語学の単位について書いてありました。これでは他の学生と差別化することは至難のわざです。
「人は話し方が9割」といわれます。話している内容よりも、身ぶり手ぶりや声のトーン、表情が説得力を決めるというのは事実です。一方、身ぶり手ぶりはどうしてもカバーしきれない1割―事実として何を考え行動してきたか―を書いたESが低レベルであれば、どうあがいても落とされてしまうのです。
ESが低レベルでも序盤の面接を通過してしまう理由
では、なぜ最初から低レベルなESでも落ちないのでしょうか?
1つ目の理由は、学歴です。企業によっては学歴フィルターを設定しており、大学ごとに通過する枠が決まっています。「この子はESがちょっと難ありだけど、東大生だからとりあえずESを通しておくか」と通ってしまうことはままあるのです。
2つ目の理由は、大量採用です。メガバンクや外資系コンサルティングファームなど、大量採用を前提とした企業では1次、2次面接ではよほどの難がなければ落としません。したがってESのクオリティに難があっても見過ごされやすいのです。
「ESが低レベルでも通る」ことは良いこととも言えるのですが、一方で自分がボーダーラインぎりぎりで通過したことを自覚しないまま選考を進んでしまう遠因ともなります。
「この子はESがかなり微妙だけれど、東大生だし、物腰もすごく丁寧でとても悪い子には見えないから……落とすほどでもないんだよな。まあ、通しておくか」
といった具合に、1~2次の序盤にあたる面接は通過できてしまうのです。しかし当人は「面接がうまくいった」としか思いませんから、よもやESに難があるとは考えません。ところが、そのまま最終面接へ近づくと「この子はESを見る限り志望動機も弱そうだし、学生時代の頑張りも他の子に劣るからやはりお断りしよう」と落とされてしまいます。
つまりESがダメな人は、序盤の面接がうまくいく一方で最終面接では必ず落とされるという、時間のムダが多い就活を経験してしまうのです。
もしダメなESですでにエントリーしてしまったら
ここまで読んで「ぎくり」とされた方がいらっしゃるなら、あなたはまだ大丈夫です。ESがダメでも、面接で挽回する方法はあります。
その方法は「ESを自ら否定する」ことです。
想像してください。あなたは面接室へ入りました。そこには社員が数名いて、あなたのESをチラっと目にしています。そこで「志望動機を教えてください」「学生時代に頑張ったことは?」などオーソドックスな質問をされました。
あなたは、開口一番こう言います。
「私が貴社を志望する理由は◯◯です。この理由は、ESに書いたものから更新させていただきました。率直に申し上げて、ESを提出した時点で私の貴社理解は至らぬ点が多くあり、申し訳ございませんでした。したがって、本日までに徹底的に準備をいたしました。エントリーシートと異なることを口頭で申し上げますがご容赦ください」
もちろん、完璧なESを最初から準備した学生に比べてあなたはマイナス評価をされます。しかしながらダメなESへ沿ってあいまいすぎる志望動機を語ったり、他の学生と差別化できないガクチカを述べたりする地獄からは抜け出せるのです。
ボーダーラインのESでは、最終面接までたどり着けません。しかし徹底的に準備をして口頭でやりなおせば、上位3割までは食い込めます。今からでも遅くありません。内定を獲得するためにも、企業研究を始めましょう。
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