「BIG4」ファームの一つであり、世界154カ国に約20万人のプロフェッショナルを擁するKPMG。今回はそのメンバーファーム、KPMGコンサルティングの魅力に迫ります。お話をお聞きするのは、現場で活躍する2名の女性社員です。事業会社からKPMGコンサルティングに転職した千田さん(写真右)と、新卒3年目の平賀さん(写真左)に、コンサルタントの仕事の魅力からファームの強みまで語っていただきました。
シニアマネジャー×新卒3年目の対談。KPMGコンサルティングの魅力を明らかに
──本日はコンサルタントとして現場で活躍するお二人にお話を伺います。まずは現在どのような業務を担当しているか教えてください。
千田:私は業種特化の部門で、製造業のクライアントをメインに担当しています。これまでのキャリアで培ってきたデジタル分野のバックグラウンドを活かし、工場のデジタル化やデジタル技術を使った新規事業創出に向けた支援をテーマとしています。
平賀:私はソリューション特化の部門に所属しています。ビジネストランスフォーメーションの側面から、クライアント企業の業界内でのマーケットシェア拡大などの課題に取り組んでいます。現在は同業他社との協力、あるいは異業種との協業などを視野に入れた調査分析を行っています。千田さんのチームと一緒に案件を進めることもありますよ。
──総合系ファームは、縦軸に業種別のチームを、横軸にソリューション別のチームを配置する「マトリックス型」のサービス提供が一般的です。お二人は縦軸・横軸それぞれを担当しているわけですね。
平賀 仁菜(ひらが にな):コンサルタント
イギリスのUniversity of Sussexを卒業後、2016年9月にKPMGコンサルティングに入社。2018年4月にビジネスアナリストから現職に昇進。
事業会社からコンサルティングファームに転職。本質的な提案に「しっくりきた」
──今回のインタビューでは(1)コンサルタントとして働く魅力 (2)KPMGコンサルティングでキャリアを歩む魅力に迫っていきたいと思います。1点目について、千田さんからお聞きします。
外資系の製造業や外資系ベンダーを経てKPMGコンサルティングに入社した千田さん。なぜ事業会社からコンサルティングファームへの転職を志望したのでしょうか?
千田 尚子(ちだ なおこ):シニアマネジャー
外資系製造業、外資系ベンダー2社を経てKPMGコンサルティングに入社。製造業へのアドバイザリー業務を主に行っている。I&D(インクルージョン&ダイバーシティ)の業務も担当。
千田:私にとっては自然な流れでした。事業会社で製品やソリューションを軸とした課題解決をする中で得た学びに、コンサルティングファームの立場からアプローチしたくなったのです。ツール導入の事例一つにしても、事業会社は自社のツールを販売する目的で提案をしますが、コンサルティングファームでは「業務の改善を行いたい」というお客様の課題があり、その解決方法の一つとしてツール導入を提案します。お客様にとって一番良い課題解決の方法が、自社ツールではないこともあるかもしれません。そう考えた時、ツールありきの提案よりも、対話をしながらお客様の目的を一緒に目指し、課題解決の方向を示していきたいという理由でコンサルティング業界を志望しました。
コンサルタントの価値は「事業会社が越えられない壁」を壊すこと
──コンサルタントとして事業に携わる魅力についても伺えますか。「コンサルタントと事業会社の経営企画職って、何が違うの?」と疑問に思う就活生の声も多く聞かれます。
千田:実際のところ、コンサルタントと事業会社側の境界線は曖昧だと感じます。例えば新規事業のプロジェクトでは、コンサルタントと事業会社が共同で事業計画を描き、ビジネスモデルを検討することもよくあります。しかし、プロジェクトの節目で、クライアントの担当者だけでは壊せない「壁」が生じることがあります。その時に、私たちのアドバイザリーとしての価値が問われると思っています。
──事業会社がぶつかる「壁」ですか。具体的に、どういうことか教えてください。
千田:例えば新規事業の場合、実行にあたって最も大変なポイントの一つが「社内の説得」です。新規事業の担当者が、既存事業の担当に「そんなにお金を投じてもうかるの?」「そんなに人員を割いて大丈夫か?」と厳しく問われ、プロジェクトが前進しないのはよくあることです。また、プロジェクトの最終局面で経営層の意思決定を仰ぐ時には、隙のない収益モデルを固めねばなりません。そんな時、お客様が言いづらいことや、折衝しづらいことを穴埋めしたり、必要な材料をそろえるのは、コンサルタントだからできることです。私たちがお客様の立場に立って代弁するからこそ、プロジェクトを成功に導ける局面もあると思います。
「緊張感」と「信頼関係」常駐で見つけたコンサルタントの醍醐味
──続いては新卒3年目の平賀さんにお聞きします。コンサルタントとしてやりがいを感じた瞬間はありますか?
平賀:お客様先に常駐したプロジェクトの時です。毎日のようにお客様と議論を重ね、資料にも数え切れないほど修正を加えました。当時は業界の知見も会計知識もまだまだでしたし、「お客様に常に見られている」という緊張感もあって大変でした。けれど、お客様から「これが欲しかったものです。ありがとうございます」と言われた時に、「あぁ、これがコンサルタントの醍醐味だな」と感じることができました。
──常駐案件というと「きつい」イメージもありますが、どのような利点やメリットがありますか?
平賀:先に申し上げたような「見られている」緊張感がある一方、お客様と深く議論し合えることや、信頼感を得やすいのは、常駐案件ならではの良さだと思います。
千田:確かに、常駐の方がお客様との距離感が近いですね。何かあったらすぐに相談をいただけますし、信頼関係を築きやすくなります。お客様と一緒に動くことで、業界に対しての知識が深まるというメリットもありますね。
「土日は完全オフ」思ったより激務じゃなかった
──働き方に関連して、就活生の間には「コンサルタントは激務だ」というイメージがありますが、実際のところいかがでしょうか。平賀さんは入社する前に、不安はありませんでしたか?
平賀:本音を言うと、不安でしたね(笑)。進路を周囲に伝えると「大丈夫? 体力勝負だよ?」と心配されることもありました。確かに忙しさを感じることもありますが、土日はきちんと休みを取っています。メリハリのある働き方なので、総合的には「思ったより激務ではないかな」と思います。
千田:もちろんプロジェクトによりますが、最近はクライアント側も働き方を意識しています。かつてのコンサルタントの働き方と比較しても、自分のライフバランスを取りながら仕事ができると思います。
──千田さんは、I&D(インクルージョン&ダイバーシティ)の窓口も務めていらっしゃいます。女性の働き方についてはいかがでしょうか。
千田:ライフイベントに関わる制度は徐々に整えています。また、制度の充実に加え、評価制度も検討しています。コンサルタントを志望する女性は「産休・育休を取得しても、会社に復帰して働きたい」という志向の高い人だと思います。だからこそ、時短勤務を減点要素にしない人事評価を設定するなど、仕組みを検討しているところです。
「やりたいことはKPMGコンサルティングで見つけた」少数精鋭だから、一人ひとりに向き合うアサイン
──チームに若手の部下もいらっしゃる千田さんから見て、入社後に活躍できるコンサルタントの人材像を教えてください。
千田:「自分のアジェンダを持って仕事をしている人」です。ここでいうアジェンダとは、自身が取り組みたいテーマであったり、身につけたい専門性のことです。アジェンダを自身の中に持つと、着眼点が洗練されます。入社したてのアナリストでも、パートナーやディレクタークラスでも、活躍する人は自分のテーマやアジェンダを持っていると感じます。
──この言葉を受けて、平賀さんはどうお考えですか? 就活生の頃から、ご自身の中にアジェンダはあったのでしょうか。
平賀:正直に言うと、しっかり定まってはいませんでした。むしろ本当に興味のあるテーマを見つけたのは、社会人になってからのことです。就活を始めた頃は大学でメディア学を専攻していたこともあり、「人に何かを伝える仕事がしたい」と思っていました。しかし、選考過程でどんどん考えがブレてしまい、自分の中ではまだ軸が決まっていないと痛感しました。最終的に総合コンサルティングファームに入社を決めたのは、「就職して社会の一員となってから、さまざまな業界が見られる」点が魅力的だったからです。
──平賀さんは、KPMGコンサルティングに入社して「やりたいこと」を見つけたのですね。そのきっかけは何ですか?
平賀:上司から声を掛けていただいてお手伝いした案件がきっかけでした。幅広い案件に取り組む総合ファームだからこそ、ふとしたきっかけで自分にマッチしたテーマに出会えると思います。また、KPMGコンサルティングは少人数の組織なので、プロジェクトのアサインにあたっても「個人の適性を見てくれている」と感じます。過去のプロジェクトで、自分がアサインされた理由をパートナーに質問したことがあります。その時の答えが印象的でした。スキルや業界への適性だけでなく「プロジェクトメンバーの○○さんと合いそうだ」など、細かいところまで見てくれていたんです。
千田: 弊社は、社員一人ひとりにスペシャリティがあり、度量の広い風土を持つ印象を受けます。新卒社員だけでなく、選考中の学生の方々にもきちんと向き合っているイメージがありますね。
──KPMGコンサルティングは2014年に誕生した新生ファームで、そのため社員数は1,000名程度と他のBIG4ファームと比べて少数精鋭です。その環境が社風にも表れているのですね。
ヒットが打てなくても打席に立ち経験を積むこと。困難や成長へのプロセスとして機会を設ける
──風土についてお話が出たので、(2)KPMGコンサルティングでキャリアを歩む魅力に話題を移したいと思います。先ほど話に挙がった通り、KPMGコンサルティングは設立4年目の立ち上げフェーズです。その勢いを示す具体例があれば教えてください。
千田:2018年7月に「KPMGイグニション東京」を開設しました。これは日本企業のデジタルイノベーションを促進する新拠点で、私のような事業会社出身者だけでなく、データ分析・解析の専門家や、広告代理店のクリエイティブ出身者など、多様なキャリアを持った人材が集まっています。
かつてのコンサルタントは構想を練り、青写真を描くことが中心でした。デジタルソリューションは競合他社を含め日々進化していますから、私たちは青写真だけでなく実行力も含めてお客様に価値を提供していこうとしています。まだ発展途上ではありますが、KPMGイグニション東京でのいくつかのセッションを通じて顧客が抱える課題が鮮明になり、課題が顕在化するまでの議論を膝を突き合わせてできることも新しい発見でした。このような環境の中で顧客支援に携われることは魅力だと思います。
──興味深いです。そのような環境に、新卒からジョインする意義はどこにあると思いますか。
千田:KPMGコンサルティングはこれから組織規模を拡大変革していく必要があります。新卒社員には基礎となる研修を手厚くしながら、さまざまなテーマに向かって現場で「打席に立ってもらう」ことも促していかなくてはいけません。まさに若手がチャレンジする環境を用意できるタイミングです。
──「打席に立つチャンス」の多さは魅力的ですね。一方で、せっかく打席に立っても、SIerと変わらない案件ばかり……ということにはなりませんか。
千田:そういうケースも確かにあるかもしれません。新入社員にとっては色々なプロジェクトが経験になるとポジティブに捉えていただき、自分の引き出しの数を増やしてもらいたいとも思います。
私としては、若手に戦略立案のような仕事に携わる機会を増やした方が、エッジが効いて面白いと思いますし、新規事業の創出においてミレニアル世代である彼らの発想やアイデアは活かせるとも思います。KPMGコンサルティングはお客様にとって価値のあることであれば、どんどん提案をしていける環境です。より若い人の感性やアイディアを会社経営に活かしていけると思います。
平賀:私自身も、上司や先輩たちが若手の意見も柔軟に聞き入れてくださる姿勢は感じていますし、新しい風を求められていると感じます。研修時のケーススタディでも、私たち新卒が大学で学んだ技術・得たネットワークを活かした情報収集や仮説設定をしてほしいと強く言われました。
千田:ミレニアル世代は、デジタルネイティブで価値観の多様性をそもそも受け入れている世代です。そういう人が集まってくることで、ダイバーシティに富んだ環境が自然と生まれます。若い人たちだから気づく非効率さがあるかもしれません。それを受け入れてしまうのではなく、常識を疑いながら問題解決にチャレンジしてほしいと思います。だからこそ、若いうちに打席に立っていただきたいですね。困難や修羅場も糧になります。
平賀さん「選考が楽しい会社が一番」千田さん「マッチする会社は必ずある。正直に自己表現を」
──ここまでたっぷりとお話を伺いました。最後に、就活生へ一言ずつメッセージをお願いします。
平賀:これから何社も選考を受ける中で、就活の軸がブレるようなこともあるかもしれません。私の経験を通して感じるのは、「選考が楽しかった会社を選ぶのが一番」ということです。私にとっては、選考のどの段階でも飾ることなく自然に話せたのがKPMGコンサルティングでした。
コンサルティング業界は先入観を持たれがちな業界ですが、実際はそんなことはありません。自分なりのペースが作れる仕事なので、あまり先入観にとらわれず幅広く見てほしいなと思います。
千田:私も「面談で自分がこの会社でやりたいことができるか?」という直感がキャリア選択のポイントだと思います。だからこそ選考の過程では、自分に正直に自己表現をしてほしいです。自分にマッチする会社は必ずありますよ。
──ありがとうございました。
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【ライター:yalesna 写真:塩川雄也 インタビュー・編集:めいこ】