1番でなければならないのか
私の人生は浪人を経て明確に何かが変わった。
浪人中にふと考えたことがある。
「私が1時間かけて必死に暗記した知識を東大生ならば5分で暗記する。」
「私が必死に考えたアイデアは大抵もうどこかで実践されている。」
就活に置き換える。
「あなたが唯一無二だと自負する経験も全国規模で見れば類似やそれ以上が存在する。」
「あなたが自信のある分野でも日本規模、世界規模で見ればまだまだ上はいる。」
もう少し広く考える。
「私やあなた1人がいなくても地球はいつもと同じように回る」
このくらいにしておこう。
決して卑屈で消極的なものではない。この考え方が自分を『既存の何か』から解放してくれたのを今でも覚えている。
「おそらく『憧れの大企業』に受かるには世界や日本で1番である必要はない。では何が必要か。」
そんなことを考えていた。懐かしい。19歳の冬頃の出来事である。
しかし、この時点で大企業に入るための『何か』は自分では導くことができなかった。
まさかその後、MARCHに進学することでそれに気付き、確信することになるとは……知る由もなく志望校である地方国立大学に向け私は机に向かった。
アナタに問いたい
MARCH生であるアナタに問いたい。
「特定の分野で1番になれない私たちMARCH生が社会に存在する意義は?」
少なくとも我々MARCH生たちは受験という分野で東大生の足元に及ばず、早慶生には完敗したのだ。
さらに言えば東大、早慶生は我々のことを気にすらしていない。
では、MARCH生はダメなのか? いやそんなことはないはずだ。
今、私は本気で思う。一浪してまでMARCHに来て本当に良かった。
私がMARCHで得たこと
MARCH生であることでひとつ大切なことに気付いた。
例えば、私の場合親戚で集まると決まって「MARCHに行ってるのね! かしこいねー!」となる。
一方で、バイト先では「町田さんてMARCHなんですね。僕国立しか受けてないんですよね。」日系大手のインターンでは「町田くんMARCHなのにすごいね。」といった反応を受ける。
何が言いたいか。
私たちMARCH生は一方で期待され希望を持ち、一方で見下され絶望する存在なのだ。
小さいコミュニティでMARCH生であることを誇りに思うときもあれば、就活などではその肩書に恥ずかしささえ覚え消極的になるのだ。
しかし、待ってほしい。
これほどバランスの良い肩書はないのだ。
私たちMARCH生は期待を背負いそれ故にプレッシャーを感じる経験をすることがある。
また、自分の肩書に自信を持てず挑戦をためらってしまうようなあのなんとも言えない悔しい感情も味わっているのだ。
もしかしたら私たちは人より多くの感情を味わっているのかもしれない。理解できるのかもしれない。
優秀故に過度のプレッシャーに晒され苦しんでいる学生がいる。
学歴がないだけで自分に自信が持てない学生もいる。
皆、何かに苦しめられている。
きっとMARCH生ならば人より少し多くこの感情を知っているはずだ。
そしてこの環境で生きてきたことは胸を張っていい。
MARCH生こそ胸を張れ
そして、その「人より多くの感情を理解できる気持ち」こそ日系大手総合職が求めるものなのだ。
日系大手とはつまりジョブローテがあり、どの部署に配属されるか分からないことを意味する。当然働く相手は法人から一般消費者まで多様なのだ。
総合職とはつまり幹部候補を意味する。将来は人の上に立ち様々な人や組織を束ねなければならない。
よって日系大手総合職の人間は人の上に立ち多様な価値観や苦しみを受容できる人間でなければならないのだ。
業界とか業種の前に私はこれを前提としていた。
人よりも多くの多くの感情と向き合ってきたつもりだ。いやそうならざる負えない肩書を背負っていた。
小中は地元の公立学校
高校は自称進学校
大学はMARCH
悪く言えば全部『そこそこ』で生きてきた。
私の肩書を無条件で評価するものもいれば
私の肩書を無条件で見下すものもいた。
私はその両者の価値観の間で生きてきた。
だから自信がないMARCH生に伝えたい。
「MARCH生こそ胸を張れ!」
きみたちはもしかしたら東大生のA君より、早大生のBさんより少しだけ多くの感情を理解し受容できるかもしれない。
難関企業ならばMARCH生は最下層である。これは間違いない。
でも、それは諦めろということではない。
あなたらしさを見せれば必ず道は開ける。
そんなことを考えた時以来私自身肩書などどーでもよくなった。
キミしかいないんだ……
「ウチの会社を受けてくれて本当にありがとう! 町田くんさえよければ一緒に働きたい!」
そう言って人事の方々が握手を求めてくれた。
2017年6月6日の出来事である。
今でも鮮明に覚えている。
きっと一生忘れないだろう。
「この人たちは肩書でなく『私』を見てくれているんだ」
「私やあなたがいなくてもいつもと同じように地球は回る」と冒頭述べた。
たしかに肩書だけならば代替はいくらでもいる。
しかし、それでもあなたがいいと言っていただけるかもしれないのが就活。
それまで自信が持てなかったこの中途半端な自分が救われた気がした。
勝利の女神は誰に微笑むのか
連載を見てくださった就活生の方々に最後の宿題を送りたい。
最後に一度だけ偉そうに言わせて欲しい。
私、町田は就活全勝である。
しかも内定を頂いた企業の多くは『超有名難関企業』である。
お祈りメール? 経験したことがない。
毎回来るのは、選考通過のメールと次回の面接の日程決めの電話だけだった。
そんな私でも『運』の存在は認める。
勝負は時の運である。
そして、勝利の女神は存在すると強く信じる。
しかし、その勝利の女神は『努力』などには振り向いてくれない。
では、その勝利の女神はどんな人間に振り向くか?
明るい人間? 優しい人間? 冷静な人間?
自分なりにその答えを見つけてみてほしい。
「勝利の女神は誰に微笑むか」
これを最後の宿題として私、町田イチローの最終講義としたい。
──町田イチロー、Twitterやってます。相談や質問はこちら(@MARCHdaICHIRO)へ
<町田イチロー 「MARCH生の就活全勝メソッド」講座一覧>
・第1講:企業研究はするな!東大生に勝てる、たった1つの法則
・第2講:就活は最終面接から逆算せよ
・第3講:そんな自己分析やめてしまえ!すべては等身大の企業・業界分析から始まる
・第4講:ESは自慢大会ではない!「平凡でも受かる」回答を生み出す最強ツール
・第5講:面接は「完璧」がスタートライン。無敵の回答のカギは4Kにあり
・第6講:OB訪問・説明会を攻略せよ。「それっぽい」就活生を脱するコツ
・第7講:MARCH生こそ胸を張れ
・課外授業:合説に参加するか否かを自分で考えるための仮説検証
・第8講:面接まであと1週間、後悔しないための「最終チェックリスト」