さて、今回はいよいよ面接編に入る。面接は、『落とす』選考であることを意識して、しっかりと読み込んでほしい。
本記事では面接の過程を2つに分け、「面接準備編」と「面接実践練習編」とする。
<目次>
・面接準備編
・面接実践練習編
面接は落とすための手段
第1~4講では、相手となる人事社員を就活の全体像から捉え、求められる資質をES作成を通して証明した。またそのESは「時制軸」を意識すると書きやすいとお伝えした。
<今までの講義まとめ>
・第1講:企業研究はするな!東大生に勝てる、たった1つの法則
・第2講:就活は最終面接から逆算せよ
・第3講:そんな自己分析やめてしまえ!すべては等身大の企業・業界分析から始まる
・第4講:ESは自慢大会ではない!「平凡でも受かる」回答を生み出す最強ツール
ではESや筆記試験と、本日解説する面接の違いは何か。
「ESだって筆記試験だって、学生を落とすための手段でしょ。」
確かに「選考」である以上そうなのだが、面接は特に『落とす』要素が強い。
まず、筆記試験は対策して足切り点さえ超えていれば大丈夫。もし落ちたならば、その人に資質がないのではなく、対策が足りなかっただけである。だから、本気で大手に行きたいならばテスト勉強は完璧にすべきなのである。
「ES」は文面からその企業にとって必要な資質のある学生探しをするための選考だ。ESに資質がある程度書かれていれば、学歴を問わず面接に上げる可能性が高い。まだ見ぬ可能性にあふれた学生をそう簡単に落とすわけにはいかない。だから、ESでは「就活の全体」を意識した上で(第2講)、「分析」(第3講)をし、「時制軸を意識して」(第4講)書いてほしい。またその際に相手となる人事の存在を忘れないこと。当たり前だが締切には余裕を持たせてエントリーしたいし、ESの誤字脱字は合否に関係なくNGだ。
一方で、面接はESで資質はある程度証明された人たちが集まるのだ。当然それを棒読みするだけでは通らない。
さらに面接でアナタが話すであろう内容のほとんどは既に多くの学生によって語りつくされたエピソードである。そのことも自覚せねばならないのだ。その意味において、面接は他の選考と比べて個性や質の高さが求められる。
そのため、学生からすると「ある程度できたのに落とされた……」と感じてしまうことも多いのだ。
面接準備編:内定へのシナリオメイキング
まず、準備だ。本番を成功させる一番の要件は「本番を想定した緻密な準備(練習)」である(サッカーでも野球でも、スポーツなどをやっているならばお分かりいただけるだろう)。
それは「なんとなくの練習」ではない。「本番を想定した練習」なのだ。
では、「練習」を就活に当てはめよう。例えば面接でよく聞かれる質問集に対する答えを考えるのは「なんとなくの練習」にすぎない。1つの質問はその選考の流れの中で使われて初めて意味を持つ。「その企業なら何を問うか」を想定した準備こそ意味のある練習になるのである。
つまり、本番を想定した「内定へのシナリオメイキング」が必要なのだ。
そのためにはまずできるだけ「鮮度の高い情報」が欲しい。 そこで、活用できるのがワンキャリアの選考対策ページである。
私自身も就活において唯一お世話になったのが、この選考フローや質問などについての「鮮度の高い情報」である。 私は自分で戦略を考えたかった人間なので、人のウワサなどから憶測をしたくなかった。だからこそ一番シンプルな過去情報から推論し、戦略を練ったのである。
【「選考対策ページ」とは?】
・「就活の赤本」内定のウラ情報が満載、ワンキャリの選考対策ページを使い倒せ!
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準備1:選考対策ページ「選考ステップ」でスケジュールを立てる
ワンキャリアの選考情報とは以下のようなものである。本講では2018年卒の三菱電機を例に解説していく。町田自身は電機メーカーを受けていないので、今回は就活生と同じ目線でシナリオメイキングをしていく。
まずは「選考ステップ」を見て、マクロ的視点から選考の流れを大局的につかむ。
例えば上記からすぐ分かることが3つ。
(1)ESと筆記試験/適性検査が4月中旬からスタートすること
(2)書類+2回の面接で合否が決定するということ
(3)面接は6月解禁であること
これらのポイントから逆算して少しずつスケジュールを立てていく。
6月:面接開始
ESが完成したら対策を始めたい。対策方法は【面接実践練習編】で紹介する。
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4月中旬:ES締切
3月末までに完成を目指したい。
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3月中:ES執筆
企業の下調べをし、OB訪問などで下調べの仮説検証をしながら3月中旬までに下書きを完成させ、誰かに見てもらう。
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3月頭:筆記試験・適性検査対策
筆記試験・適性検査は一般的なテストセンターSPIなので、できれば3月の時点で「もう対策終わってます」状態にしたい。
準備2:選考対策ページ「選考ステップ」詳細ページから、作戦を練る
対策のスケジュールが立ったら、面接の詳細を確認していく。今度は三菱電機の1次面接の詳細ページを見ていく。
以上の内容から3つのことが分かり、対策の方針が持てる。 2次面接以降も、調べ方は同様である。
(1)面接時間が20分程度
一般的な1次面接ではよくある時間だが、就活生にとってこれはとても短い。伝えたい内容を明確に、簡潔に話すことが必須である。
(2)面接官が1人であること
面接相手になる社員が一人ということは、途中で話が逸れたり、意表を突くような質問をされたりすることはあまりないと考えられる。あくまで就活生が会話をリードできる環境だと推測できる。
(3)質問内容
過去、実際にされた質問が書いてあるのだ。最低限そのリストの中から何を聞かれても答えられるようにしたい。
面接実践練習編:「完璧」がスタートライン
さて、大まかなスケジュールや細かい面接内容を分析した上で、ここからは具体的な面接の対策方法を紹介する。
今回は「町田の方法論」として、(1)一人でも練習可能な (2)町田が実践していたものに近い方法を紹介していく。
前提として、面接は対人で行うことなので模擬面接などは、機会があればぜひ行ってほしい。相手との距離感や空気感の作り方はやはり実践あるのみである。この記事で面接の全てを解説できるわけではないので、ご理解いただきたい。
実践練習1:「話が盛り上がったのに落ちた……」そもそも面接の手応えとは何か?
まず、考えてほしい。そもそも面接がどのような状態で終われば「手応えアリ」となるのだろうか? 私は2つの条件があると考える。
(1)相手の聞いていることに対して適切な回答をしていること
(2)自分の考えをできる限り伝えること
(1)と(2)の順序は逆にしてはならない。まず、どれだけ素晴らしい考え方をもつ就活生でも聞かれてないことを答えているようでは評価されない。その上で、面接というカンペなど使わない現場で、あなた自身のコトバで思いや考え方を表現しなければならない。
面接で相手の求めているものを、自分の持ち得る最大限のコトバで表現できたら、どれだけうれしいだろうか。 ではこの両方を満たす具体的な方法は何か。
実践練習2:「1分間スピーチ」をものにせよ
まず、以下の質問に1分で答えてほしい。できればストップウォッチで計ってみてほしい。
答え方にはいくつかのパターンがあるだろう。あなたはどれに当てはまっただろうか?
(1)頭が真っ白になる/とりあえず浮かんだことを話した人
このタイプの人はそもそもまだ自分の考え方が固まっていない可能性が高い。
【改善のポイント】
1分という時間の使い方まで考慮した上で、論理を構成したか?
相手にしっかり納得される内容か?
(2)話が1分を超えてしまった人
このタイプの人は話したり表現したりするのは苦手ではないし、むしろ「コミュ力がある」と言われる可能性がある。
しかし、就活では、「話に余計な内容が多い」とか「で? 結論は?」と低い評価を受けてしまうリスクも高い。
【改善のポイント】
余分な内容がなかったか?
(3)内容、時間ともにOKだった人
内容が明確で、時間も1分間にプラスマイナス10秒程度だった場合はこれに当てはまる。
あとはテーマや時間に応用が加えられれば問題ない。
【改善のポイント】
他のテーマでも1分で答えられるか?
制限時間を変えても(30秒/45秒)できるか?
特に(1)(2)だった人は対策が必要だ。面接は相手の要求したことを実現し、「完璧」になってやっとスタートラインで、その上で適性を見られるのだ。
裏を返せば、エピソードが華やかでなくても、これさえできれば勝負になるのだ。
実践練習3:イイタイコトをしっかり伝える4K「結論・経緯・経験・経過」
では、話す内容に移ろう。具体的に、どのようなことを意識すれば、時間内に相手に伝わる内容を話すことができるようになるか。
ポイントは4K=「結論・経緯・経験・経過」である。
結論:話す内容の要約
経緯:どうしてそれに取り組んだか
経験:それは具体的にどのようなものだったのか
経過:それはどのような結果に終わり、あなたにどんな変化や成長を与えたのか
先ほどの設問ならば、以下のように回答するとよい。
結論:
私はアルバイト先のカフェで「クレーム0件」を目指して集団で取り組みました。
経緯:
私は大学3年間、同じカフェでアルバイトをしております。その際に、「せっかくならばこの店舗をもっと魅力的な場所にしたい」と考えるようになりました。
しかし、魅力的なカフェとは人それぞれに異なるので、まず全体認識としてそれまで『5件/月』程度あったクレームを『0件』にすることを目指すようになりました。
経験:
クレームの多くは「接客面」に偏っていたので、私は「研修」を行うことで貢献しようと考えました。通常、1カ月だった接客研修を、研修期間の終了後もペースを減らし行うことを提案し、中心となって実行しました。
経過:
クレームが減ったのはもちろんのこと、研修を通じ、接客マナーの大切さを私自身再認識できました。
これで300字程度。面接の際、1分間で話せる文字数はこのくらいだ。まずは自分のイイタイコトを決めた時間で言えるようになることが大切だ。
なぜ時間を決めなければならないのか? それは何度も言うように「相手(人事)への配慮」である。長すぎる話は論外で、短すぎても伝わらない。
実践練習3.5:発展編・時を操り、アドリブで自己アピール
これができるようになったら、制限時間を45秒や1分30秒に変えて練習してみよう。
制限時間を変えるときは、基本的に内容はそのままで、4Kの密度を変えればいい。短くするときは4Kのそれぞれの中身を軽く、長くするときは4Kそれぞれの具体的内容やその背景を加えてみよう。このように「時間を操る感覚」を身につければ、さらに強い就活生へと変わっていく。例えば選考に集団面接がある場合は短い回答が求められる。そうしたら、普段1分で話す内容を45秒にすればいいのだ。
【準備編】でお伝えした通り、ワンキャリアの選考対策ページを見て「明日のグループ面接は人事1対学生4で、時間は30分かー。なら、1回45秒くらいで返答しよう。」といったように、自分の持ち時間が割り出せる。
実際に、町田は面接でのアドリブ的な設問に対してこの応用をしていた。以下は、ある大手メーカーでの一幕だ。
面接官:趣味とか好きなこととかある?
町田:海外ドラマが好きなんですよねー
面接官:おっいいね! 私はあまり見ないなー
町田:1分くらいいただければ、興味を持ってもらえると思います。
面接官:え、じゃあ話してみてよ!
このやり取りを経て私の「営業力」が評価されたのは言うまでもない。「この子のエピソードがすごい!」とならなくても、具体的な営業力が面接を通して認められれば、次の選考に進める他ないのだ。
何度も言うが、自分のイイタイコトを自由自在に操って初めて、相手のいる面接は成立する。
実践練習4:「深掘り」は4Kの構造を意識すれば怖くない!
上記のように時間を自由に操れるようになればあとはもう少し。次に対策すべきは特に2次面接以降でなされる「深掘り」である。
回答に対する深掘りはどのようになされるか? これも「4K」に準拠している。先ほどの演習への回答を例に、予想できる深掘りのパターンを見てみよう。
結論:
私はアルバイト先のカフェで「クレーム0件」を目指して集団で取り組みました。
【予想できる深掘り】
・「クレーム0件」以外に最近取り組んでることはあるの?
経緯:
私は大学3年間、同じカフェでアルバイトをしております。その際に、「せっかくならばこの店舗をもっと魅力的な場所にしたい」と考えるようになりました。
しかし、魅力的なカフェとは人それぞれに異なるので、まず全体認識としてそれまで『5件/月』程度あったクレームを『0件』にすることを目指すようになりました。
【予想できる深掘り】
・今まであったクレームは、具体的にどんな内容?
・あなたにとって「魅力的なカフェ」は何だと思う?
・何で同じお店のアルバイトを3年続けられたと思う?
経験:
クレームの多くは「接客面」に偏っていたので、私は「研修」を行うことで貢献しようと考えました。通常、1カ月だった接客研修を、研修期間の終了後もペースを減らし行うことを提案し、中心となって実行しました。
・研修の具体的な内容を教えて
・立場や価値観の違う人に研修するのは大変じゃなかった? 何を工夫した?
・中には言うことを聞いてくれない人もいたんじゃないの? どう解決した?
経過:
クレームが減ったのはもちろんのこと、研修を通じ、接客マナーの大切さを私自身再認識できました。
【予想できる深掘り】
・具体的にどんなことを再認識した?
・その後カフェはどんなふうに営業している?
・新たに課題に感じることはあるか?
といったように……あらかじめ「4K」を意識して回答を準備しておけば、基本的に質問はそこからされる。あとは考えうる深掘りに対して、答えとその根拠を準備すればよいのである。
では、最後に宿題を出す。
──【第6講:OB訪問・説明会を攻略せよ。「それっぽい」就活生を脱するコツ】につづく
──町田イチロー、Twitterやってます。相談や質問はこちら(@MARCHdaICHIRO)へ
<町田イチロー 「MARCH生の就活全勝メソッド」講座一覧>※こちらは2018年2月に公開された記事の再掲です。
・第1講:企業研究はするな!東大生に勝てる、たった1つの法則
・第2講:就活は最終面接から逆算せよ
・第3講:そんな自己分析やめてしまえ!すべては等身大の企業・業界分析から始まる
・第4講:ESは自慢大会ではない!「平凡でも受かる」回答を生み出す最強ツール
・第5講:面接は「完璧」がスタートライン。無敵の回答のカギは4Kにあり
・第6講:OB訪問・説明会を攻略せよ。「それっぽい」就活生を脱するコツ
・第7講:MARCH生こそ胸を張れ
・課外授業:合説に参加するか否かを自分で考えるための仮説検証
・第8講:面接まであと1週間、後悔しないための「最終チェックリスト」