こんにちは、ワンキャリ編集部です。
今回は、九州電力で採用担当を務める安部さんにお話を伺いました。新規事業開発をはじめとした事業の魅力から九州で働く魅力まで、余すことなく語っていただきました。
九州電力や九州の企業に興味のある方はもちろん、Iターン就職(地方に移住して就職する)やUターン就職(地元に帰って就職する)を考えている方も必読です。
「ガス販売の開始」「エネルギーに捉われない新規事業の創出」「インドネシアでの世界最大規模の地熱発電所運転」電力・ガス自由化は進化のためのチャンス
——安部さん、本日はよろしくお願いします。エネルギー業界のホットトピックといえば、電力・ガス小売全面自由化です。供給事業者をエリアにかかわらず選択できるようになったことで、首都圏の大企業や、異業種の企業からも新規参入が進んでいます。地方のエネルギー企業は今まさに変革を求められるタイミングですが、九州電力ではこの大きな変化にどう立ち向かっているのでしょうか?
安部 義史(あべ よしふみ):九州電力株式会社 ビジネスソリューション統括本部 人材活性化本部 人事グループ。都内の大学を卒業後、九州電力に入社。福岡の事業所に4年間勤務後、人材活性化本部に異動。社内昇進制度の運用、社員の出向・派遣対応を担当後、現在の新卒・中途の採用に携わる。
安部:私たちは電力・ガス自由化をピンチではなく、進化のためのチャンスと捉えています。「電気をお届けするだけの会社」から「日本一のエネルギーサービスを提供する企業グループ」へと飛躍するため、様々な取り組みを新たに進めています。
——「進化」のための取り組みを詳しく教えてください。
安部:当社の基盤である九州における、「総合エネルギーサービスの提供」、「従来のエネルギー事業にとらわれない、新規事業の創出」に取り組んでいます。前者については、2017年4月からのガス小売全面自由化に伴い、家庭用のガス販売を開始しました。電気事業で培った顧客基盤、LNG調達量のスケールメリットを活かした価格競争力といった当社の強みを活かし、2017年度の目標契約数4万件を、昨年9月末の時点で達成しました。
また、後者については、九州地域の発展、ひいては社会全体の課題解決に繋がる新たな価値の創造を目指し、スタートアップ企業とのオープンイノベーションにより新規ビジネスを共創するプログラム、「九州電力アクセラレーター2017」を進めています。
——上記のプログラムの中で、既に実現に向かっているアイデアはありますか?
安部: 2017年12月時点で、10件が事業化に向けた検討に動いています。九州電力アクセラレーターが8月に始動したので、およそ4カ月で一定の結果が出たことになりますね。
——「安定している一方、意思決定が遅そう」というインフラ業界のイメージを裏切るスピード感ですね。既存の電気事業における取り組みについても伺えますか。
安部:はい。成長分野である、海外エネルギー事業、首都圏でのエネルギー事業、再生可能エネルギー事業への積極的な展開を進めています。海外エネルギー事業では、海外現地での発電所への投資・運営事業やコンサルティング事業を展開しており、特に市場の成長性が高いアジア地域に注力しています。昨年の3月には、国内の地熱開発を通して培った技術を生かし、世界最大規模の地熱発電所であるインドネシア・サルーラ地熱発電所初号機の営業運転を開始しました。このサルーラ地熱IPPプロジェクトは、九電グループにとって、初の海外地熱発電事業となります。
——上記プロジェクトは、九州電力にとってどのような意義があるのでしょうか。
安部: 地熱発電は再生可能エネルギーの中でも安定供給という面で優れているため、今後も開発されるべき電源の一つとして、世界的にニーズが高まっています。九電グループでは、国内における地熱の開発と発電所の運営実績はありますが、国際的な知名度はこれからだと思います。サルーラ地熱IPPプロジェクトを完遂し、長期安定運転の道筋をつけることが、世界のIPP市場で本格的に名乗りを上げるチャンスになると考えています。
「九州に街が生まれた」電力インフラが支えたキャンパス移転
——今後の展望について興味深くお聞きしました。とはいえ、多くの新卒社員が最初に携わるのは、やはり九州地域の電気事業になるはずです。
安部:そうですね。お客さま対応を最前線で学ぶため、事務系の社員の多くが九州各地にある事業所に配属されています。私自身も人材活性化本部に異動するまでの4年間は、福岡の営業所に勤務していました。
——電力・ガス自由化が進む中で、九州電力が担う使命とはどのようなものでしょうか?
安部:エネルギーの安定供給を通して、九州全土の社会生活を支えていくことは、当社の変わらぬ使命であり続けると思います。私がその醍醐味を実感したのは、営業所時代に九州大学のキャンパス移転に携わったときのことです。まるで「新しい街が一つ生まれる」ようなものだと感じました。
私は工事会社と当社配電部門の設計者の橋渡しとして、プロジェクトの工程管理や工事費用の積算などに携わっていました。「街」の基盤となる電力インフラを作り上げていくことは大変な一方、地域への貢献を肌で感じることができ、非常にやりがいがありました。
——具体的に、どのようなことに苦労されましたか?
安部:当社に期待される「電気を当たり前にお届けする」役割に応えていかねばらならない点です。お客さまにとって電気は欲しい分だけ使えるのが当然ですし、そのように思っていただけていることは当社にとっては光栄なことです。とはいえ、キャンパスのすみずみまで確実かつ安定的に電気を届けるインフラを設計するのは容易ではありません。
ですから、プロジェクトの間は現場に何度も足を運びましたね。予定地を歩き、大学の方から「こういう校舎を建てたい」「景観のためになるべく電柱が目立たないようにしてほしい」という想いを聞きながら、設計者と綿密に打ち合わせを進めていきました。
——九州電力は、大学や地域の「こんな街にしたい」というビジョンを、インフラの面で支える役割を果たしていると。安部さんはその後に人材活性化本部に異動されますが、どのような経緯だったのでしょうか?
安部:私は社内の「ジョブ・チャレンジ制度」を利用しました。これは、希望する部門がある場合に、社員自らが手を挙げ、書類選考や面接による当該部門とのマッチングを通じて異動につなげる制度です。
——まるで就職活動のようで、面白い制度ですね。希望次第で柔軟なキャリアを設計できると。
面接で見たいのは、「何をしたいか」だけでなく、「何をしてきたか」
——ここまで様々なプロジェクトについて伺いましたが、安部さんは九州電力の魅力を一言で表すなら、何だと思われますか。
安部:「九州を支えるという大きな社会貢献」と「新たなフィールドへのチャレンジ」を両立していることです。地元九州に電力の安定供給を通じて貢献するという、社会貢献性の強い事業を持つ一方で、海外進出や新規事業の開拓など次々と新たなことに取り組んでいます。私も入社後、「チャレンジの機会が多い会社なんだな」と感じることが予想以上にありました。
私たちの次なるミッションは、この魅力を支えていく優秀な人材を採用し育成していくことです。優秀な人材を多く採用し、育成していくことは当社のみならず、九州全体の活性化のためにも重要なことであると思います。私自身もUターン就職を経験した一人として、九州の方はもちろん、関東、関西、そして海外など、ルーツは問わず、今後の活躍が期待できる学生を呼び込みたいと思っています。
——九州電力では、人事・採用においても「九州全体に貢献する」という意識が根付いているのですね。では、具体的にどのような資質を持つ学生を求めていますか?
安部:まず大前提として、エネルギーをお客さまにお届けするという、「当たり前」を支えることにモチベーションを持てる学生です。電力の安定供給という当社の使命は、表立って感謝される機会は少ないかもしれません。「当たり前のものを当たり前に届ける」という社会貢献にやりがいを感じられる人と一緒に働きたいですね。その上で、新規市場や事業の多角化に積極的に挑戦したい、九州から日本全体を盛り上げていきたいという、というチャレンジ精神を持っていて欲しいですね。
——それらの資質を、選考の過程ではどのように見極めていますか?
安部:面接やエントリーシートでは、これから何をしたいかというビジョンに加え、実際にこれまで行動してきたプロセスや結果を通して学生の人柄を知り、当社とのマッチングを確認したいと思っています。「これから社会貢献をしたい、こんな事業にチャレンジしたい」と語ることも確かに重要ですが、これまでどんなことに挑戦してきたのか、その中でどう行動したかということも大切にしたいです。
Iターン就職・Uターン就職は魅力的な選択肢
——インタビューも終盤です。最後に、Iターン・Uターン就職についてお聞きします。先ほど、安部さんはUターン就職で九州電力に入社したと伺いました。そもそも就活当時から、I・Uターン就職やインフラ業界を視野に入れていたのでしょうか?
<用語解説>
Iターン就職:生まれ育った故郷以外の地域に就職すること
Uターン就職:地方で生まれ育った人が都心で一度通学・勤務した後に、再び自分の生まれ育った故郷に戻って就職すること
※参考:東京労働局HP
安部:いいえ。都内の大学に通っていたので、初めは東京で就職するつもりでした。当時はネームバリューのある大手企業や、スキルが身に付きそうな外資系企業を志望していました。周りの地方出身者にもI・Uターン就職を考えている人はほとんどおらず、私も「東京で働くのが当然」と思って就職活動をしていましたね。
——そこから九州電力を入社先に選んだのは、思い切った決断ですね。安部さんがUターン就職に舵を切ったきっかけは何だったのでしょうか。
安部:年末年始を地元で過ごす間、本選考を前にして就活の軸を考え直したのがきっかけです。周囲の同級生に流されるのではなく、「そもそも自分にとっての『幸せ』って何だっけ?」という軸で改めてキャリアを考えたとき、「やっぱり地元が好きだ」という気持ちに気付いたのです。九州電力を志望したのも、九州に貢献したいなら、生活に欠かせない電力インフラを支えるのが一番だと思ったからです。
——確かに地元に貢献できる点は魅力的ですが、それはセカンドキャリアでも実現できますよね。トップ校の就活生の声を聞くと、ファーストキャリアを選ぶ軸に「身につくスキル」を挙げる傾向が強いようです。実際に一部の就活生は「地元企業でのキャリアを選ぶと、ビジネスパーソンとしての成長や挑戦は望めないのではないか」と懸念しているようです。安部さんも就活で外資系や日系大手を志望していましたが、同じような不安はありませんでしたか?
安部:確かに、就活生の皆さんの中にはI・Uターンにネガティブな印象——つまり、成長は二の次で、地元に帰ってのんびり暮らす、というイメージを持つ方もいるかもしれません。私自身も、東京の企業で働けば短期間でスキルが身につき、自分の理想に早く近づけると思うこともありました。
最終的に九州での就職を決心したのは、「自分の成長は、東京の企業でしか叶えられないのか?」と疑問に感じたからです。地域の垣根を超えて競争が進展している点、IT技術の発展に伴い、最新の情報に誰でも気軽にアクセスできる点などを踏まえると、成長の機会は地方にも十分あるものと思います。
そして何より、ビジネスパーソンとしての成長を決めるのは、自分が求めるキャリアや能力を明確にし、それに向けた努力ができるかどうかだと思います。私は九州電力に入社して7年が経ちますが、採用に携わりたいという希望を叶えられましたし、東京の企業と比べて身につくスキルや成長機会が少ないとも思いません。
——ビジネスパーソンとしての成長は、「どこで働くか」ではなく「どう働くか」で決まると。では最後に安部さんから、就活生にアドバイスはありますか?
安部:まずは広い視野を持って、多くの企業の話を聞いてみて欲しいと思います。私自身、初めは都内での就職ありきで就活を行っていましたが、九州電力の会社説明を聞いたことで、結婚してから、子供が生まれてから、退職をしてからどんな生活を送っていられたら幸せか、という長期的な視点で企業選びができるようになったと思います。
Iターン・Uターン就職を考えている学生の皆さんにとっては、「やっぱり東京にいたい」という想いもあるかと思います。しかし、地元や地方でしかできないこともあるんです。当社をはじめ、地方企業は想像以上にチャレンジングな取り組みに乗り出していますし、地元や地方から日本を盛り上げられる若く優秀な人材を求めています。
東京の数ある企業の一社員として働くよりも、地域のリーディングカンパニーで地元の期待を背負って働く方が、満足感や存在価値を感じられるかもしれません。自分の価値観としっかり向き合い、その中で、九州の地元企業を調べてみたり、I・Uターン就職をした先輩の話を聞いてもらえたら嬉しいです。
——安部さん、本日はありがとうございました。
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