※こちらは2017年9月に公開された記事の再掲です。
「【東大京大・就職ランキング】P&Gが17位へ急落?マッキンゼー・BCGを辞退した学生は、どの企業へ進んだか。」にもあったように、今、高学歴の学生に外資系企業が人気です(2017年5月時点)。
しかし、もしあなたが「外資系企業のような競争が激しそうな企業には入れないけど、外国で仕事がしたい」と思うのなら、意外かもしれませんが、地方に目を向けてみましょう。
世界的なシェアを持つ企業は地方にもあります。その上、そのような企業は「本社が地方にある」というだけで学生が集まりにくい傾向があるのです。
例えば、私の知人はある分野で世界的なシェアを持っている企業に勤めています。その企業では若手に外国の子会社でどんどん経験を積ませているため、希望すればほぼ間違いなく海外で仕事ができるチャンスが与えられるそうです。「外国で仕事がしたい」という思いのある学生にさぞ魅力的に映りそうですね。
ですが実際には、本社が地方にあるために学生が集まらず、めぼしい大学のキャリアセンターやゼミに直接出向くなど、必死の採用活動を行っています。
世界的なシェアを持つ地方の企業が「外資系企業のような競争が激しそうな企業には入れないけど、外国で仕事がしたい」という人にぴったりな理由がお分かりいただけたかと思います。
愛知に本社がある世界的な企業はトヨタだけじゃない!
では、具体的にどんな企業があるのか見ていきましょう。
まず、地方に本社がある企業の代表格といえば、日本を代表する企業であるトヨタ自動車です。その本社は愛知県にあります。また、そのためトヨタに部品を納入している自動車部品メーカーの本社も、愛知県や東海地方にあることが多いです。
自動車専門誌「Automotive News」が選定する「Top 100 global OEM parts suppliers(2016年)」の売上高ランキングによると、自動車部品メーカーで、世界2位のデンソー、7位のアイシン精機、15位のジェイテクト、21位のトヨタ紡織、24位の豊田合成の本社は同じく愛知県にあり、13位の矢崎総業の実質的な本社は静岡県にあります(※1)。
愛知県には他にも、電力用碍子(がいし)や排ガス浄化装置などで世界シェア1位の日本ガイシがあるため(※2)、東海地方出身で上京してきた学生は、地元での就活を真剣に考えてみてもいいかもしれません。
また、京都府が本社の大企業も、任天堂、京セラ、オムロン、村田製作所、ローム、島津製作所、日本電産、ワコール、宝ホールディングスなど多数あります。
大阪府にも、シャープ、武田薬品工業、ロート製薬、サントリーホールディングス、日本ハム、大和ハウス工業、帝人、カプコンなどが本社を置いています。
(※1)……14位の住友電工、23位のオートモーティブ & インダストリアルシステムズ社の本社は大阪府です。
(※2)参考:日本ガイシHP「グローバルNo.1 オンリー1になるために 日本ガイシの3つのポイント」
グローバルニッチトップ企業100選より「@地方」な企業17選!
続いて、経済産業省が2014年に、ニッチ分野において世界的に高いシェアを確保し、良好な経営を実践している企業を選定した「グローバルニッチトップ企業100選」の中から、
・ある程度の規模を持つ企業
・東京以外に本社がある企業
・マイナビまたはリクナビネクストで新卒/既卒を募集している企業
をリストアップしてみました(情報は初掲載時のものです)。
※GNT(グローバルニッチトップ)=世界的に高いシェアを持っていること
※会社四季報より(数値は四捨五入、情報は初掲載時のものです)
※会社四季報にシェアの記載がない会社は「グローバルニッチトップ企業100選」より(情報は初掲載時のものです)
※日本電産テクノモータのみ会社HPより(情報は初掲載時のものです)
北陸地方の意外な健闘
所在地を見ると、北陸地方の意外な健闘ぶりが目につきます。表外の企業ですが、コマツ(建設機械で世界2位の大企業)も近年、本社の一部機能を石川県に移転するなどの動きもありました。
実は、内閣府「地域の経済2016」の「都道府県別の女性の労働参加率」によると、女性の就業率において、北陸3県は全て上位に入っているのです(1位:福井県、2位:富山県、4位:石川県)。
地方企業で働く上で気をつけた方がいいこと
ここまで、「外国で仕事がしたいけど、競争率が高い外資系企業は厳しいと思う場合の意外な穴場」という観点で、地方で世界的シェアを持つ企業を紹介してきました。
しかし、転職口コミサイトで「グローバルニッチトップ企業100選」の中からリストアップした企業の評判を読んでいたところ、一つ、気を付けるべき点があるように思いました。
本社が地方にある企業で、この数十年で海外進出を始めた企業の場合、50代くらいの上の人は、グローバル基準よりも地方基準で物事を考えている場合があるようです。つまり、地方企業によくいる普通の上司という可能性です。そうした場合、成果のためには柔軟な考え方ができる外資系企業とは、やはり全く異なります。
地方企業を選択肢に入れる場合、会社訪問やインターンシップなど実際に足を運んで、社風を検討するようにしてください。
あなたが外資系の風土に惹かれるようなタイプなら、地方企業の中でも、ワンマン経営や一族経営を行っている会社は避けた方がよいでしょう。
他の就活生が気づかない、穴場のグローバル企業を探してみよう
就活生が「グローバル企業に入りたい」と思ったときに、就活ランキングで上位、つまり「目立つ」商社や外資系企業に殺到しがちです。その場合、まず内定をもらうための競争、そして入社後に希望部署に配属されるための競争、さらに出世競争と、激しい競争を勝ち抜き続ける必要があります。
ところが、「地味」でもいいなら、海外で働くチャンスがある企業は、意外にゴロゴロ転がっています。
探し方の一例をご紹介します。例えば、海外での日本食ブームを受けて、回転寿司は今後、世界展開していく可能性があるとします。その場合、回転寿司チェーンに加え、その周辺企業にも着目してみましょう。
すると、回転寿司コンベア機で世界シェアの6割を獲得した石野製作所(本社:石川県)や、寿司ロボットで国内シェアトップ・海外売上高比率を伸ばしつつある鈴茂器工(本社:東京都)など、普通に就活をしていたら気づかない会社を見つけることができます。
「目立つ」会社ばかり受けて内定が取れずに消耗する前に、日本から海外に展開できる産業にはどんなものがあるのか、他の就活生は気付かないような観点から、企業研究をしてみてはいかがでしょうか。
▼本記事に掲載されている企業の選考対策ページはこちら
【愛知県】
トヨタ自動車/デンソー/アイシン精機/ジェイテクト/トヨタ紡織/住友電気工業/日本ガイシ【京都府】
任天堂/京セラ/オムロン/村田製作所/ローム/島津製作所/ワコール【大阪府】
シャープ/武田薬品工業/ロート製薬/サントリーホールディングス/日本ハム/大和ハウス工業/帝人/カプコン
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