こんにちは、ワンキャリ編集部です。
今回は、ゴールドマン・サックスや野村證券など、例年優秀な学生が熾烈(しれつ)な競争を繰り広げる、証券会社の投資銀行部門(以下、IBD)の面接での質問例を取り上げます。
<目次>
●投資銀行部門の面接質問リスト
●最近気になったM&Aは?:「投資銀行部門の業務への理解」と「面白さの理由」を示す
・(1)そもそも投資銀行業務を理解しているか
・(2)そのM&Aを面白いと思う理由
●今まで感じた最も理不尽なこと?:激務へのストレス耐性を示す
・肉体的なタフさを語るには:体力的にハードだった経験を話す
・精神的なタフさを語るには:人生で「最もプレッシャーがかかった経験」を話す
●チームで物事を成し遂げた経験は?:団体の中でどう価値を発揮したかを示す
●数字センスを問う問題:過去問題で対策をしておく
●英語面接は事前の対策が命!
●おわりに
投資銀行部門の面接質問リスト
IBDの面接で実際に聞かれた質問例は、以下の通りです。
外資系投資銀行からは、ゴールドマン・サックス(以下、GS)、バンクオブアメリカ・メリルリンチ(以下、メリル)、モルガン・スタンレー(以下、MS)、日系証券会社からは野村證券、SMBC日興証券を例に取り上げます。
【GS】
・気になる経済ニュース
・来年の日本経済はどうなると予想するか
・自分を動物に例えると【メリル】
・チームワークで大切なことは何か
・リーダーシップを発揮した経験
・苦手な人と仕事をする場合、どうするか【MS】
・自己紹介と志望動機、学生時代に頑張ったことを1分以内で
・最近気になっているM&Aのニュースは何か
・実際の業務に生かせる自分の強みとは何か【野村證券】
・投資銀行部門の志望動機
・自分の強み
・学生時代の経験【SMBC日興証券】
・リーダーシップの理想は何か
・ブラジル国債と村田製鉄所の株ならどちらを買うか
・大切にしたい価値観※出典:各企業(GS/メリル/MS/野村證券/SMBC日興証券)の投資銀行部門の面接
それでは、回答例と準備の方法をお伝えしていきたいと思います。
最近気になったM&Aは?:「投資銀行部門の業務への理解」と「面白さの理由」を示す
「最近、気になったM&A(※)は何か」は、ほとんどの投資銀行での面接選考で質問されます。この質問では、回答の論理性などから、「学生が本当に投資銀行部門を志望しているのか」を見ています。
対策のポイントは2つで、「(1)そもそも投資銀行業務を理解しているか」と「(2)そのM&Aを面白いと思う理由」をしっかりと示す必要があります。
(※)……「Merger and Acquisition(企業の買収と合併)」の略。
(1)そもそも投資銀行業務を理解しているか
投資銀行部門には大きく分けて2つの部署があり、「カバレッジ」と「プロダクト」と呼ばれています。
・カバレッジ
法人営業によりM&A・資金調達案件を取ってくるチームです。業界ごとに部署が分かれており、顧客の業界に合わせてFIG(金融法人)・TMT(テレコム・メディア・テクノロジー)・GIG(ジェネラル・インダストリー・グループ)などの部署があります。・プロダクト
カバレッジが獲得した案件を執行する部署です。例えばM&Aの実行部隊である「M&Aアドバイザリー」や資金調達を行う「デット・キャピタル・マーケット」「エクイティ・キャピタル・マーケット」などがあります。
まずはこれらについて把握しておく事が重要といえるでしょう。
投資銀行部門の業務について気になる方は、以下の記事を参考にしてみてください。
▼外銀について詳しく知りたい方はこちら ・【外資系投資銀行:業界研究】大手4社「J.P.モルガン、バンク・オブ・アメリカ、ゴールドマン・サックス、モルガン・スタンレー」を比較!業績比較・ランキング・平均年収・社風/強みの違い ・IBDだけじゃない!外銀の各部門「今さら聞けない」業務内容や合格の秘訣をおさらい:マーケット、リサーチ、アセットマネジメント、オペレーション、テクノロジー ・英語のいらない外資?外銀IBD部門の実態
・【外銀入門】15分で分かる外資系投資銀行!受ける前に知っておきたい「部門の違い」
(2)そのM&Aを面白いと思う理由
上記の投資銀行部門の業務を理解した上で、「なぜ挙げたM&Aが面白いと思ったのか?」という理由を述べる必要があります。
例えば、ある投資銀行内定者は、上記M&Aの質問に対して「三菱商事によるローソンの子会社化」を例に挙げ、以下のように理由を説明したそうです。
例:三菱商事によるローソン子会社化【気になった理由】
・3大コンビニエンスストア(セブン‐イレブン・ジャパン/ファミリーマート/ローソン)と3大総合商社(三井物産/伊藤忠商事/三菱商事)がそれぞれ資本提携・子会社化を行い、「コンビニ三国志」といえるほど競争が激化した
・商社の強みであるバリューチェーンを生かしたシナジーが見込まれると思った
・とある投資銀行のインターン課題で、ローソンの買収提案をプレゼンする矢先のニュースだった
このように、質問への回答にはM&Aへの深い知識は必要なく、自分の考えで「なぜ面白いと考えたのか」を言えるように対策しておくことが重要です。
参考までに以下のような点が「気になった理由」として選考で用いられやすいようです。
・買収によるシナジー効果が高い
・買収へのフローが面白い
・業界の構造変化を起こすほどのビッグディール
上記の観点を持って日頃から経済紙をチェックしておく必要があります。
▼M&Aに関する質問について詳しく知りたい方はこちら ・【面接対策:IBD】「最近気になったM&Aは?」スーパーデイも怖くない!面接でよく出る質問例と解説
今まで感じた最も理不尽なこと?:激務へのストレス耐性を示す
「今まで聞かれた最も理不尽なことは何か?」という質問は、学生が投資銀行部門のジュニアバンカー業務に求められる心身のタフさを持っているかを見る質問です。
IBDジュニアバンカーの仕事は提案資料作成がメインで、大量の定量分析や地道な資料集めなど根気がいる業務です。一般的に仕事量に応じて勤務時間も長くなり、プロジェクトの期間によっては昼夜問わず仕事をしなければならないことが多々あります。
そのため、選考での「今まで理不尽に感じたことは何か?」という質問に対しては、「肉体的なタフさ」「精神的なタフさ」のそれぞれを、自身の経験に基づいてアピールする必要があります。
肉体的なタフさを語るには:体力的にハードだった経験を話す
先述のように、投資銀行部門では長時間にわたって高負荷の仕事をこなしていく必要があります。
したがって、「睡眠時間や休みが十分ではない状態でも、粘り強く結果を出してきた経験」を語り、肉体的な強さをアピールしましょう。
具体的には、部活動の経験や、インターンで長時間勤務を続けた経験を話すとウケがいいようです。
精神的なタフさを語るには:人生で「最もプレッシャーがかかった経験」を話す
精神なタフさは「最もストレスのかかった経験」を語って示しましょう。
投資銀行部門の仕事は少人数で何千億円もの大金を動かすため、精神的にも負荷が掛かる仕事です。
そのため、ミスのない仕事が求められ、常に緊張感のある職場といえます。そのため入社前の面接では、学生の体力だけでなくメンタルの強さも評価しています。具体的には、部活動で重要なポジションを任された経験や起業して会社経営を行った経験など、「プレッシャーの大きい局面で意思決定を担い成果を出した話」を語るとよいでしょう。
チームで物事を成し遂げた経験は?:団体の中でどう価値を発揮したかを示す
チームで成果を挙げた経験を質問するのは、ジュニアバンカーに最も必要な資質である「チームワーク」を見るためです。
M&Aや資金調達などの投資銀行部門の業務は、基本的に少人数のチームで遂行します。そのため長期間チームで行動し成果に貢献した経験から、バンカーとしての資質を評価しています。
過去の経験・エピソードを以下の3点に整理し、効果的に伝えられるよう対策を行いましょう。
1. チームで活動した内容・期間・成果
2. 自分がチームに貢献した内容と背景
3. チームでの経験を通して学んだこと
数字センスを問う問題:過去問題で対策をしておく
投資銀行(特に外資系)では、選考面接中に簡単な計算問題が出題されることがあります。
質問例は以下の通りです。
・6つの弾倉リボルバーに2発弾丸が込められている。一発弾丸を撃った場合、シリンダーを回して撃つ場合とシリンダーを回さないで撃つ場合、どちらが弾丸を発射する確率が高いか確率と主に答えよ。
・1番から100番まで商品がある。3つの商品グループが不良品となっており、以下のようなことがわかっている。……(以降、条件文が複数存在)不良品のグループは何番か答えよ※出典:ゴールドマン・サックス|投資銀行部門2020年卒の筆記試験
これらの質問には、日頃から筆記試験の対策を行うことで備えることができます。
面接でも数的センスをみられることがあります。
数的センスをはかる質問
└2の11乗は何か?
└2桁×2桁の暗算(例:29×13は何か?)
※出典:シティグループ|投資銀行本部/資本市場本部2020年卒の面接
他に、ドイツ銀行グループの1次面接でも、「16と17、それぞれの倍数で最も100に近くのはどっち?」、「7の6乗はいくつくらい?」といった内容などが聞かれたようです(選考対策ページより)。
突発的な数字の質問にも柔軟に対応できるようにしておきましょう。特に以下の解答は頭に入れて、質問されてもスラスラと回答できるよう対策するとよいでしょう。
・2桁の掛け算
・1桁の乗数
・簡単な確率の問題
参考図書は下記の『外資系が欲しがる脳ミソ』などです。面接や筆記試験のレベル感がつかめるのでオススメです。
・『外資系が欲しがる脳ミソ』(ダイヤモンド社、2007年)
英語面接は事前の対策が命!
投資銀行部門では日系・外資系問わず、各社の選考で1度は英語面接が課されるようです。
社員によると、学生の英語力を測る目的に加えて、そもそも英語に対して苦手意識がないかも見ているようです。そのため英語面接での質問はオーソドックスな内容が多く、事前対策を入念にしておけば恐れることはありません。
以下のような内容がよく問われるようです。
【メリル】
<2019年卒の選考>
・ジョブの感想
<過年度の選考>
・マーケットの変化についてどう思うか
・もし今株を買うとしたら、どの銘柄を買うか【SMBC日興証券】
<基本的内容の具体例>
・志望動機
・やりたい業務
・学生時代に頑張ったこと
・自分の強み
など※出典:各企業(メリル/SMBC日興証券)の投資銀行部門の面接
英語が得意ではない学生も、これらの質問と回答を一度文章に書き起こし、事前に練習しておくことで心理的なハードルが下がるでしょう。
英語面接本番では文法や発音の多少の間違いは気にせず、自信を持って話すように心掛けてください。
▼英語面接について詳しく知りたい方はこちら ・【就活】英語面接を突破!聞かれる質問と面接官を納得させる回答例文 ・Google翻訳で突破!英文レジュメ(エントリーシート)の書き方&例文【英語ニガテ就活生に贈る、一からの勉強は不要の攻略法】 ・【最強の付け焼き刃】例文付き!外資系企業の英語面接対策
おわりに
いかがでしたか。投資銀行部門の選考では多くの知識が問われるため、入念な対策が必要です。
裏を返せば、対策さえ行えば平等に選考突破のチャンスがあると言えます。インターンに向け、上記の内容を心掛けてしっかりと対策を行うようにしましょう。
詳しい選考内容・クチコミは下記の選考対策ページを参考にしてください。
【外資系銀行】
選考対策ページはこちらです。
ゴールドマン・サックス
J.P.モルガン
モルガン・スタンレー
バンク・オブ・アメリカ
UBSグループ
ドイツ銀行グループ
シティグループ
クレディ・スイス証券
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【日系証券銀行】
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