はじめまして、清原隆志と申します。
私は2019年に東京大学を卒業して現在は外資系のIT企業で働いています。
私は、学生のときに、マクドナルド、ジーユー、ヤマト運輸という大手3社でのアルバイトを経験しました。そこで非常に多くのことを学ぶことができ、もちろん就職活動のガクチカにも使いました。
そして、働きながら考えたことや、経験したことをテーマにブログを書いたところ、大きな反響をいただきました。
「これだけの反響があるということは、アルバイトはとても価値があるものなのではないか」
そう考えるようになり、アルバイトをテーマにしたビジネス書を出版することにもなりました。
しかし、世間や就活生の間で、アルバイトを軽く見ている人も少なくないと思います。そこで、今回は自分の経験を基に、「ガクチカとしてアルバイトは有効なのか」というテーマでお話しできればと思います。
<目次>
●「ガクチカがバイト」は、メジャーすぎて選考に落ちる?
●アルバイトでも目立つ方法
●「お金稼ぎのためのアルバイト」「学びのためのインターン」はもう古い
「ガクチカがバイト」は、メジャーすぎて選考に落ちる?
ほとんどの就活生は、面接の際にガクチカとしてアルバイトの経験をアピールします。
大学生であれば、アルバイトをしたことがある人がほとんどですし、バイトリーダーになるのもそこまで難しくありません。Web上にも、「アルバイトのES攻略法」のようなコンテンツがたくさんあるので、アルバイトのエピソードはガクチカとして使われやすいのだと思います。
実際、リクルートの就職みらい研究所が出している「就職白書2019(※)」によると、面接でアピールする項目として、44%の学生がアルバイトの経験を使っており、サークルや人柄といった項目を抑えて1位になっています。
逆に採用担当者の視点で考えてみましょう。44%の人がアルバイトをアピールするということは、大体2人に1人がアルバイトの話をするということです。面接官の心の中は「またバイトの話かよ」となっているのは想像に難くありません。事実、同アンケートで、採用担当者が採用基準で重視する項目として、アルバイトは7番目になっています。
このように考えると、アルバイトのガクチカはありふれすぎていて、面接官の第一印象は良いとは言えず、さらには印象にも残りにくいでしょう。
実際、私も、大学2年生のときに、スタートアップから大企業にいたるまでさまざまな企業のインターン選考に参加したのですが、全て落ちました。どれも面接まで進んだにもかかわらず、アルバイトのことを話した一次面接で落とされてしまったのです。
正直、「東大生なんだから、1つぐらい受かるだろう」と思っていたのですが、見事に全落ち。今思えば、非常に甘い考えだったと思います。
(※)……リクルートキャリア 就職みらい研究所「就職白書2019 P.25」
アルバイトでも目立つ方法
全てのインターンに落ちた後、なぜ落ちたのか、どうすれば良かったのかについて考えてみました。
まず、倍率が厳しい企業の選考では、面接官の印象に残る必要があります。
面接官に良い印象を与えるためのテクニックを紹介しているWebサイトもありますが、印象に残るかどうかのポイントは、エピソードの中にその人自身を特定できる「キーワード」があるかどうかが全てです。
例えば、米国の自動車会社であるテスラでインターンをしていたことをアピールした就活生がいるとしましょう。
普通はその就活生以外にテスラでインターンをしていた人なんていないはず。結果として、面接官の頭に「テスラの人」というキーワードで記憶され、面接官同士の会話でも、テスラの人で通じるようになります。こうなると選考は通りやすくなることは明らかです。
一方、バイトリーダーの経験をアピールした就活生がいても、バイトリーダー経験者などごまんといます。その人を特定するためのキーワードにならず、印象にも残らないのです。こう考えると、私がインターンに全落ちしたのはそんなに不思議なことではないのです。
しかし、考え方によってはこの状況を逆手に取ることもできます。
「アルバイトスタッフなのに、めちゃくちゃ考えながら働いていた就活生」や、「現場を大切にしている就活生」、「消費者感覚に優れている就活生」など、面接官の記憶に残りやすいような、ガクチカを考えればいいのです。
Web上に載っているES突破法や面接突破法をうのみにするのではなく、「自分はどう認識されたいか?」「どうラベリングされれば、面接官の中で検索可能になるか」を、自分で考えることができれば、アルバイトのガクチカだって全く不利にならないのです。むしろ、他の就活生とのギャップによって、有利になることさえあるかもしれません。
「お金稼ぎのためのバイト」「学びのためのインターン」はもう古い
多くの学生が、バイトは「お金を稼ぐため」にするものであり、インターンは「勉強のため」にするものと区別しているように思います。
また、アルバイトをしていても「ここで学ぶことはない」と思いながら働いている人は少なくないでしょう。
しかし、その区別は間違っています。
アルバイトでも勉強になることはたくさんあるし、単純作業ばっかりで何も身に付かないインターンもあります。
また、インターンでしか学べないこともあるでしょうし、アルバイトでしか学べないこともあります。
特に接客業でのアルバイトは、多くの消費者をじっくりと観察できます。目の前のお客さまが、なぜその商品を手に取ったのか、なぜその商品を買ったのか、どうしたらキャンペーンの商品を買ってくれたのか、などを考えながら働くことで、消費者感覚を養うことができるでしょう。
これはアルバイトならではのことです。インターンでは、お客さんを観察する機会なんてほぼないでしょうし、ましてや、社会人として働き始めたら、二度とそんな機会は訪れず、PCのディスプレイと向き合う毎日が続くだけです。
最近はインターンを実施する企業が増えたこともあり、「インターンをしている人は優秀で、インターンをすると就活に有利になる」というような空気が、就活生の間に流れています。しかし、アルバイトとインターンのどっちをしているかは、さして重要なことではありません。
現場で消費者感覚を養うためにアルバイトをしている就活生と、何となく「学びが多そうだから」とインターンをしている就活生だったら、どちらを企業が採用したいかは明白です。前者のような就活生は、就職後もきっと活躍するでしょう。
このように、アルバイトとインターンの間に差なんてありません。
つまらない結論に聞こえてしまうかもしれませんが、そこで何をしていたか、その経験や成果を面接官にどう伝えるかのかが重要なポイントなのであり、アルバイトのガクチカだから無条件で落ちるとか、インターンのガクチカだから絶対に通るとかということはないのです。
次回は、「家庭教師のバイトよりもマクドナルドのバイトがためになる理由」というテーマで、マクドナルドでのアルバイトの奥深さをお話しできればと思います。お楽しみに!
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(Photo:jazz3311/Shutterstock.com)
※こちらは2020年2月に公開された記事の再掲です。