最新の東大京大ランキングはこちら
予言しよう。
最も驚くのは「ベイン・アンド・カンパニー」の名に違いない。
まずは、以下のランキングを見ていただきたい。
調査主体:株式会社ワンキャリア
調査対象:東京大学・京都大学、または同大学院に所属し、2018年度卒予定のワンキャリア会員1,926名(=同大学の就職者数約32%相当)
集計時期:2016年9月1日時点
作成方法:企業別のお気に入り登録数(複数選択可能)を元に作成
上記の表は、東京大学・京都大学の現役就活生(18卒)のお気に入り企業ランキングだ。
「就職人気ランキング」だと思っていただいて相違はない。
2018年卒、ベイン・アンド・カンパニーが驚異的な伸びを見せ、2位に躍進
全体で2位に躍り出たのは、なんと(←失礼)ベイン・アンド・カンパニー(以下、ベイン)だ。
ベインは、世界では、マッキンゼー・アンド・カンパニー(以下、マッキンゼー)、ボストン コンサルティング グループ(以下、BCG)と並ぶ「戦略コンサルのBIG3」と呼ばれる。しかし、日本においてはそもそも事業規模が小さかったことから、永らく人気企業ランキングとは縁遠い存在にあった。
現に、1学年上の同ランキング(17卒)では、BCG→マッキンゼー→ベインという順番であり、最終でも全体43位に終わっている。
だが、今年のベインは違う。マッキンゼー、BCGを抜き2位に躍り出ている。
なぜなのか?
マッキンゼー・BCGなど7社を抜き、2位に上がった「ベイン」
これはシンプルに、18卒向けの採用が「うまくいっている」に尽きる。以下の表を見てもらいたい。これは同ランキングの5月時点と9月時点の比較だ。
ベインはもともと就活開始の5月時点では9位にあったが、6月〜8月でマッキンゼーとBCGを抜き、2位まで上り詰めた。「事前の人気が高い」のではなく「伸び率が高い」ということは、明らかに採用活動の中で認知と興味の獲得に成功していることを指す。
そして、この結果は、個人的に「実感値にかなり近い」。
私はベインの社員・内定者と10人近く話したことがあるが、彼ら・彼女らは総じてとても魅力的だ。頭がよく、人当たりがいい。コンサルの中ではホワイトな印象も加わり、優秀学生からの人気が高いのも当然だろう。現に別記事で紹介した「超早期内定の学生」も、ベインが第一志望のようだった。優秀層から人気が高いのは実感値と一致する。
ベイン・アンド・カンパニー
マッキンゼー・アンド・カンパニー
ボストン コンサルティング グループ
ONE CAREERへの新規会員登録/ログインが必要です。
4冠王「三菱商事」は、8月に電通を抜き、1位へ。
冒頭のランキングから見て取れるもう1つは、三菱商事の「圧倒的な強さ」だ。2位ベインと100ポイント近い差(1.5倍近い)をつけている。
さらに以下の表を見てほしい。これはワンキャリアの18卒全会員について、お気に入り登録者数の「推移」だ。
※縦軸:お気に入り登録数
三菱商事は7月までは、早慶から圧倒的な人気を誇る「電通」に負けていた。だが、8月の採用プロモーションが成功し、大きく差をあけてダントツの1位に上り詰めた。三菱商事は1年上の17卒の東大・京大生ランキング、さらに全大学合計でも1位であり『4冠王状態』にある。
だが、そんな三菱商事にも「弱点」がある。
三菱商事
電通
ONE CAREERへの新規会員登録/ログインが必要です。
外銀・外コン層の約40%強が、総合商社に興味がなさそう
「外銀・外コン層」と呼ばれる学生がいる。
彼らは就活初期から動き始め、外資系企業を中心に受ける。一般的に、キャリア志向が強く、「Up or Out」と呼ばれる世界へ飛び込む気概がある。優秀だといわれることが多い。
以下を見てほしい。
これは、戦略コンサル(マッキンゼー、BCG、ベイン)と総合商社の「お気に入り登録の併願率」をまとめた表だ。
これを見ると「外コン志望者」のうち、40%強の学生が総合商社への興味がないことが推測される。同じ傾向は、外資系投資銀行を志望する「外銀層」でも見られる。
優秀な「外銀・外コン層」ほど年内に就職活動を終えてしまうため、総合商社にとって彼らをいかに取り込むかがキーとなるだろう。
NRIやアクセンチュア、デロイトは、幅広い学生が受け、毎年人気
もう1点、冒頭のランキングで補足しておきたい。
この時期、野村総合研究所(NRI)(3位)やアクセンチュア(5位)、デロイト トーマツ コンサルティング(9位)と、シンクタンク系コンサル・総合コンサル勢が強い。
この理由はシンプルで「多くの東大生・京大生が受けるから」だ。
一般的に外資系企業は、外資系志望者のみ受けることが多い。あるいはコンサルはコンサル志望者のみ受けることが多い。しかし、上述の企業は、日系志望者・他業界志望者も受けることが多い*。これは、商社に入社する者の中に、アクセンチュアやデロイト、PwCの内定者が一定数いることからも推測される。
結果、この時期、「人気企業上位」に入り込んでくるのが通例となっている。
*デロイトトーマツコンサルティングは日系企業
総合コンサルの対策ページは以下。
野村総合研究所
アクセンチュア
デロイト トーマツ コンサルティング
ONE CAREERへの新規会員登録/ログインが必要です。
今後の動き:来年1〜3月に、総合商社人気が加速していく
最後に、今後のランキング推移を予測しておきたい。
結論からいうと、今年も「2017年1月〜3月にかけて、商社の人気が高まってくる」と思われる。下の表を見てほしい。
上記の表は、17年卒の学生(12月末までの登録済みユーザー)の「お気に入り追加数」をランキングで表した数だ。これを見ると、毎年1〜3月に商社志望が増えているのが分かるだろう。
理由は2つある。1つ目は、この時期OB訪問のピークシーズンとなり、学生が商社の魅力を知っていくことだ、2つ目は、外資コンサル・外資金融に落ちた層の興味が商社に流れていくからだ。
そして、この傾向は18卒でも同じだと推測され、最終的には5大商社を中心とした企業がランキング上位に推移していくだろう。
従って、企業の人事、特に「総合商社を採用上のライバルに置く企業」はこの1〜3月前までの「仕込み」が極めて大事になってくると思われる。
まとめ :2018年の就活トレンド
まとめると今年の特徴は以下の4つだ。
1. ベイン・アンド・カンパニーが18卒の採用活動が順調で、躍進している
2. 三菱商事は変わらず「圧倒的な強さ」を誇るが、外銀・外コン層には取りこぼしがありそう
3. NRI、アクセンチュアを始めとした日系コンサル・総合コンサルは、競合がひしめく状態
4. 来年1〜3月にかけて商社熱は高まっていくことが予測される
今後もワンキャリアでは、採用の最新情報を提供していきたいと思う。
最新情報は、Twitterでぜひチェックしていただきたい。
KENの執筆後記:一般的な就職ランキングは、3つの理由から意味がない
世の中には、「就職人気ランキングなるもの」があふれている。
しかし、一般的なこれらは、3つの視点からほとんど意味がない。
1つは「採用人数によるバイアス」だ。
例えば、ランキング上位に常に位置する「メガバンク」や「JTB/ANA/JAL」を例としてみよう。確かに素晴らしい企業であるが、私の実感値として、「めちゃくちゃ優秀な学生が、これらの企業を第一志望している」のを見たことがない。一般的に、選択バイアスがかかるため学生は「自分が現実的にいける企業」を好む傾向にある。従って、就活中盤〜後期になるほど「内定を採れる可能性が高い企業=採用数が多い会社」がランキング上位になる傾向にある。これらのランキングは実質的に「大学別・就職者数ランキング」とほぼ変わりがない。これが1つ目の問題だ。
2つは「構成比」だ。
一般的に、私立は国立大学よりも学生数が多い。例えば、18年度卒予定の東大生は3,157名に対して、同年卒の早稲田生は8,670名と、約3倍近くいる。従って、就活生に一斉でアンケートをとると、最も影響力を持つのは私立大学であり、東大・京大をはじめとした上位国立大学の声はほぼ反映されなくなる。特に関西や地方は、東京と異なり国公立が強い。これを意識しないと、アンケートの結果は実質的に「早慶MARCHのランキング」となってしまう。
3つは「集計期間」だ。
一般的なアンケートは、紙またはウェブサイト上で「期間を決めて」任意回答するケースが多い。裏を返すと、アンケート実施時点で『就活を終えている学生』は、回答することがまずない。就活サイトをそれほど見ていないからだ。
例えば、とあるナビサイトのアンケートは2016年3月から4月にかけて実施されているが、これは時期としてはっきり言って「遅すぎる」。本当に優秀な学生は年内に就活を終えるため、「一番優秀な学生」の声を反映した結果を表していない。
では、どうすればいいのか?
方法は2つある。1つは「調整した数値」で表す方法。各大学の学生人数を、加重平均など、係数をかけて「実力」を表す方法だ。もう一つは「国立大学だけ」または「私立大学だけ/地域別」のランキングで表すことだ。
2つ目の方が直感的にわかりやすいのは自明であるが、複数のランキングに分かれて、見づらくなる。東大の意見は、一橋大や東工大・早慶の意見も包含すると思われ、京大の意見は、大阪大・神戸大、関関同立の意見を包含する。
従って、採用ブランド力を見るときは、シンプルに「東大生・京大生の人気企業ランキング」を見るのが一番分かりやすい。
最後に、情報サイトの価値は「隠れた優良企業の価値を、適切に伝えること」にある。今回のように、これまで認知が弱かったベインが市場から正しく評価されている傾向は、良いことだ。第二のベインを探し、本来の魅力を適切に伝えることが我々の役割だと感じる。そしてそれが透明性の高い職業選択の第一歩になればいい。
執行役員 北野唯我(KEN))
──Twitterはこちら:@KEN_ChiefE
──ブログはこちら:『週報』ー思考実験の場。
──記事一覧はこちら:ワンキャリア北野唯我(KEN)特集