2012年7月に設立されたリブ・コンサルティングは320名の従業員を抱え、東京本社に加えてタイに支社を構えて海外展開を進めています。
「『100年後の世界を良くする会社』を増やす」というミッションを掲げ、“戦略コンサルティング”ではなく、“経営コンサルティング”として、これまでは中堅・中小企業、ベンチャー企業へのサポートを提供。社会を良くしていきたいという思いを持っているものの、経営的なノウハウやリソースが足りない企業経営者の支援を展開しています。
近年は大企業向けにも、新規事業開発を主としたコンサルティングも提供開始。同社について、執行役員CHROの武山慎吾さんとアソシエイトマネージャーの金沙利さんにお話を聞きました。
数あるコンサルティングファームで独自の立ち位置を築けるワケ
──初めにリブ・コンサルティングの独自性や優位性について聞かせてください。
武山:最大の特徴は「『100年後の世界を良くする会社』を増やす」というミッションですね。
コンサルティングファームは基本的に、クライアントのニーズに応えることやクライアントの経営課題の解決にフォーカスしているプロフェッショナル集団といえます。それらは重要なことに違いありません。ただ、ともすればクライアントのニーズに応えたり、課題を解決したりさえすれば問題ないと考えてしまう傾向もあります。
私たちとしては、優秀な人材が集っている組織である以上、クライアントのニーズを満たし、課題解決をするだけではなく、社会や世界をより良くするところまでこだわるべきではないかという思いを、常に抱いて業務にあたっています。
業務の中心が中堅・中小企業・ベンチャー企業へのコンサルティングであるのも、そのためです。例えば地方を支える企業、ニッチな産業を支える企業、あるいは、新しいサービスやプロダクトで世界を「あっ」と言わせようとしているスタートアップ企業は、壮大な夢やビジョンを抱いているものです。とはいえ、大手企業に比べればノウハウやリソース、アセットは少なく、夢が実現できずにいることも少なくありません。
私たちはそういった企業の手助けこそがコンサルティングファームとしてのあるべき姿だと考え、現在は中堅・中小企業やベンチャー企業のサポートを中心に行っています。
──一方で、近年は大手企業の新規事業開発も行っていると聞きました。
武山:私もかつて外資系コンサルティングファームに所属したことがあり、当時の業務は既存業界のトップ企業への支援が中心でした。コンサルティングファームは非常に高額な料金をいただくビジネスモデルのため、クライアントもおのずと業界のトップ企業です。つまりは、トップ企業を守るための仕事といえます。
一方で、私たちのミッションに通じる志を抱く大企業も当然ありますから、新規事業開発というテーマにおいて、大企業の支援も展開しています。
戦略の立案だけでない。現場主義だから業務の質も上がる
──「戦略コンサルティング」と「経営コンサルティング」の違いについて、より詳しく聞かせてください。
武山:私たちは経営を「戦略と実行の往復運動」と捉えています。そのため、経営コンサルティングでは戦略を描くだけでなく、実際にその戦略を実行して目に見える成果を出すことが重要になってくると考えています。
多くのコンサルティングファームでは戦略やプロジェクトを立案し、そのプロジェクトの進捗(しんちょく)状況やコストやリソースの管理を行うPMO(プロジェクトマネジメントオフィス)などが主な業務です。
一方、私たちはクライアントとともに現場で実行することにこだわる現場主義です。そして、実際に戦略を実行することで、売り上げの拡大やコストの削減、あるいは社員のエンゲージメントの上昇といった目に見える成果を出すところまでコミットするため、「現場主義」×「成果主義」という考えを重視しています。
また、現場主義だからこそ、戦略の立案時には分からなかった現場における具体的な課題もより解像度が高く見えてくるものです。その新たに分かった課題をフィードバックし、より良い戦略にブラッシュアップしていける点も私たち独自の強みだと考えています。
これらの「戦略と実行の往復運動」を繰り返して企業の成長スピードが上がることで、数カ月単位のプロジェクトだけの関わりではなく、100年後の世界をともに築いていくパートナーとして10年単位の関わりも生まれていきます。
──「経営コンサルティング」の面白さと難しさについて教えてください。どのような経営課題に向き合っているのでしょうか。
金:私たちの事業は新しい価値を作ること、世の中を良くしていくことを起点としているため、新規事業開発で新たな収益源の創出や既存の商品・サービスを市場に受け入れてもらうためのグロース支援などを行っています。また、企業変革が求められている企業に対する組織変革支援に携わることもあります。
もちろん、どれも難しいプロジェクトの連続だということを否定できません。なかにはクライアントの社内では手の打ちようのない課題もありますが、だからこそ外部である私たちがご依頼いただいていると考えています。また、膨大なステークホルダーが関与する場合や、経営層や事業責任者クラスと対峙(たいじ)する他に現場のリーダーと膝を突き合わせて議論することもあります。
──さまざまな視座で物事を考える必要がありそうです。
金:立場が違えばクライアントの中でも当然視点も異なります。多層的なプロジェクトではそれぞれの立場を理解しなければならないため、入社当初は苦労もしました。
一方で、やりがいも数多くあります。個人的には、「リブ・コンサルティングのおかげでなんとかなりました」という言葉をかけていただいた瞬間は、「この仕事をやっていて良かった」と実感しましたね。
一度仲間になったら、必ず一人前のコンサルタントに育てる
──自社でこそ得られる経験やスキルはありますか。
武山:クライアントである中堅・中小企業やベンチャー企業の経営者は、多くの場合は創業経営者です。そのため、創業の思いや志を持っている方々と膝を突き合わせながらディスカッションをすることで、非常に高い視座を身に付けられます。
それだけでなく、現場で戦略を実行して成果を出すところまでこだわっているため、クライアントの現場社員と同じ空間でともに時間を過ごすことで信頼関係も築かれていきます。初めは部外者で煙たい存在だと思われることもありますが、「あなたがそう言うなら、やってみましょう」という関係になり、相手の気持ちを変えて行動を促すこともあります。
ビジネスでは広い視野で俯瞰(ふかん)する鳥の目や目の前のことを深く知る虫の目が重要といわれ、さまざまな視座で経営や会社を多角的に捉えられるところは当社ならではだと考えています。
もしも、将来的に経営者をはじめとする、大きなビジョンを描いて人々の気持ちを動かしていくことを望んでいるのであれば、そのためのスキルや経験を得ることができるでしょう。
──人材育成で重視していることや実際の取り組みはありますか。
武山:最近は言われなくなってきましたが、かつてはコンサルティング業界をあらわす、「Up or Out」という言葉がありました。「昇進するか、そうでなければ退社するか」という意味で、今でも当時ほどではないにしても、優秀だと思われる人材を採用してうまく育つかどうかは運否天賦という考えは業界に根強くあります。
しかし、私たちの場合は一度仲間になったからには、向き不向きや成長スピードの違いこそあっても、全員が必ず一人前のコンサルタントになれるように支えていくと強い思いを持っています。
金:一人前のコンサルタントにするという気概は、育成を受ける立場でもひしひしと感じられますね。
プロジェクトで悩んでいたり、行き詰まったことがあれば、社内の誰もが快くアドバイスをくれたり、親身に相談に乗ってもらえます。それだけに私自身も新たなメンバーが入ってきたときは、そういう思いで接したいと考えています。
──コンサルティング業界のドライ・個人主義というイメージが変わりました。
武山:リブ・コンサルティングは、ドライ・個人主義とは正反対ですね。さまざまあるコンサルティングファームのなかにはドライだったり、個人主義的だったりする企業もありますが、私たちはそのイメージとは真逆で、「青臭くてお節介」といえます。
金:確かに、社内の誰もが人が大好きですね。まず人に関心があり、その人が関わっていることにも興味を持つと。それは社員に通ずるベースだとも感じます。
武山:ミッションに共感する人々が集まっているといえますね。
社会や世界に何かいいことをしたいという思いを抱いている人たちばかりで、漠然とした思いか具体的な考えを持っているかは人によって異なりますが、社員もクライアントも誰もが、仕事を通じて青臭い夢や熱い思いを抱いているのに間違いありません。
それぞれの思いを口にするときも、場がしらけるような雰囲気には決してなりません。熱い思いを口にして、「意識高い系か(笑)」と揶揄(やゆ)された経験がある人もいるかもしれませんが、私たちは誰かが情熱を持って語るときは、「それいいね。面白そう」「私も興味があるから、一緒に何かできるかもしれないね」といった言葉が必ずあがります。
金:どんどんお節介を焼いて、夢をサポートしてもらえる雰囲気は日々感じています。
武山:やはり、私たちの業務は人の心に働きかけることが非常に重要ですからね。
人の心に働きかけるとなれば、熱い思いや壮大なビジョン、応援する気持ちは欠かせません。それらを仕事に生かせる人材が集っているといえそうです。
正解のない世界へ飛び込めるか
──最後の質問として、自社に合う人材や求める人物像について教えてください。
武山:一言でいえば、成果にコミットできるかどうかです。
具体的には、言われたことをやるだけではなく、クライアントの経営を向上させ、それを通じて社会を良くするといった、目に見える成果や変化を生み出せるかどうかです。
なぜなら経営やコンサルティングは「こうやればうまくいく」という正解がない世界で、試行錯誤の連続だからです。どうしたらいいか分からない事態に直面することもあり、時にはハードワークもいとわず、どんな手段を使ってでも最終的に成果を出すことが求められます。
──どのような人材であれば御社にマッチすると思いますか。
武山:青臭い気持ちを抱ける人材ですね。成果を出す、変化を起こすという強い気持ちも、自分が実現したい夢や社会に貢献したいという思いがあるからこそ生まれるのではないかと考えています。
もう一つ加えるのであれば、正解を求めず、曖昧な状況に耐えられるかどうかも重要です。
学生であれば、これまで正解のある世界で、いかに早く正解にたどり着けるかが求められてきたと思います。それは、大企業の若手社員でも同じで、どんな巨大プロジェクトでも細分化され、チームや個人単位で割り振られた小さな役割をこなす業務がほとんどです。
ところが、コンサルティングは正解がない世界。特に私たちのように戦略も実行も担う企業の場合はなおさらで、もしかしたら失敗するかもしれないという恐怖もある中でも、自分なりの根拠を持って業務を進める勇気が求められます。「うまくいくかどうか分からないけれどやってみよう」という、曖昧な状況に耐えられる力は欠かせないでしょうね。
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リブ・コンサルティング
【ライター:小谷紘友/編集:山田雄一朗】