こんにちは、ワンキャリ編集部の外銀担当チームです。
前回特集したIBD部門と並んで「外銀の花形」と称されるマーケット部門についてお伝えします。IBDとは大きく違う、業務内容、カルチャー、給与体系、転職事情、新卒採用像など、外銀マーケット部門の実態に迫ります。
マーケット部門は、金融商品の売買を幅広く担当する部門
マーケット部門は、株式、債券、為替などの金融商品の売買に関する業務を担当します。
地方銀行や年金機構などの機関投資家へおすすめの金融商品を営業して、その取引の執行を代行する業務や、会社の保有する金融商品の売買を通して利益を上げる業務を担っています。
グローバルかつ華やかで「The・外銀」なカルチャー
日系大企業っぽいのがIBDなら、「The・外銀」という称号にふさわしいのがマーケット部門です。
海外本社から派遣された幹部社員も含め非日本人社員が多く、職場には英語が飛び交います。日本人だけで仕事をすることがほとんどないため全体的に風通しがよく、IBDと比べ華やかで尖った人が多いといわれています。
一方で、日本支社独自の文化は弱く、海外本社の意向を受けやすいという側面もあります。
マーケット部門の3つの機能:「セールス」「トレーディング」「金融商品の開発」
マーケット部門は、セールス、トレーディング、金融商品の開発(ストラクチャリング/マーケティング)という全く異なる機能を合わせ持ちます。この3つの機能に合わせる形で職種もセールス、トレーダー、ストラッツ/マーケターと3つに分かれています。
新卒採用でも、「株式のセールス」といったように、「担当する商品」と「機能」が決まった上で採用されることがほとんどです。
それぞれの担当する業務内容と求められる能力は以下の通りです。
セールス:リサーチセールスは「The 営業」、トレーディングセールスは「正確性」
セールスには、主にリサーチセールスとトレーディングセールスの2つがあります。
リサーチセールスは、お客様におすすめの株式や債券などを紹介し、その売買の注文を受けることが主な業務です。
金融商品自体での差別化が難しい中で自分(自社)から注文してもらわなければならないため、「The 営業」としてお客様と中長期的な信頼関係を構築することが最重要です。そのため高い対人能力、人当たりの良さが求められます。
トレーディングセールスは、顧客から有価証券の取引依頼を受け、エグゼキュート(実行・執行)することが主な業務です。いわゆる「営業」とは異なり、マーケットが動いている時間に、ミスせず即座に仕事をこなす力が求められます。必ずしも社交的である必要はありません。
トレーダー:「稼ぐ嗅覚」と「高い数的センス」を駆使し金融商品の売買で稼ぐことがミッション
トレーダーは、会社の資金を元手に、株式など金融商品の売買を行うことが主な業務です。トレーダーに必要な力は、ずばり稼ぐ嗅覚と高い数的センス。勝負の世界を生き抜いているからか、謙虚で凄味のある社員が多いといわれます。数学オリンピックで入賞するようなずば抜けた数的センスの持ち主が多いのも特徴です。
ストラッツ/マーケター:「数的センス」と「対人能力」を駆使し、お客様のニーズにあった金融商品を作り込み販促する
ストラッツとマーケターは、金融商品の開発、営業を担当します。金融商品を開発するにあたっては複雑な数字を扱うことが多く、トレーダー同様高い数的センスが不可欠です。加えて、お客様との対話からニーズをくみ取ること、営業部隊とともに作った商品をセールスすることも仕事なので、高い対人能力も必要とされます。
青天井に給与を稼ぐもクビになるも「実力次第」で全てが決まる
言われたことをしっかりやれば足並みそろえて昇給できるIBDとは異なり、マーケット部門では「実力主義」が基本です。
基本給の他、出来高に比例してボーナスが支給されます。「3年もすれば年収に5倍の差がつく」というあるファームの現役社員の声もあるくらい、大きな差です。
数値目標(ノルマ)を達成出来なければ、若手のうちは大目に見てもらえるものの、若手を過ぎればクビになる可能性もあります。成果を出す人にとっては青天井ですが、出せない人にとっては厳しい職場環境といえるでしょう。
内定で必要なのは、「部署内で力のある社員のGOサイン」
マーケット部門の選考は長丁場であることがほとんどです。1日に3時間(30分×6人)以上面接することも珍しくありません。
会社によっては「部署のメンバー全員が『一緒に働きたい/働いても問題ない』という承認を下さなければ採用しない」という暗黙のルールが存在し、内定までに30人以上の社員と面接する場合もあります。しかし、実際には部署内で力のある社員がGOサインを出したら、多くの社員はそれを覆えさないといわれています。要点となる面接で評価されることがマーケット部門内定のカギといえるでしょう。
おわりに
ここまでの内容をまとめると、外銀のマーケット部門は、
・金融商品の営業・売買を幅広く担当する部門である。
・グローバルかつ華やかで「The・外銀」なカルチャーが存在する。
・「営業」「トレーディング」「金融商品の開発」の3つの機能があり、「担当商品」×「機能」で職種や業務が決まる。
・「実力主義」で、破格の給与もクビも全て「実力」で決まる。
・内定に必要なのは「部署内で力のある社員のGOサイン」。
といったことがいえます。
本記事では、実態がわかりづらい外銀のマーケット部門についてお伝えしました。外銀、特にマーケット部門を志望される皆さんの一助となれば幸いです。
▼外銀:関連記事一覧▼
【外銀の入門記事】
・15分でわかる外資系投資銀行!受ける前に知っておきたい「部門の違い」
【夏インターン攻略法】
・外銀の夏インターンに行きたいならこう動け!
【職種解説】
・IBD:英語のいらない外資?外銀IBD部門の実態
・マーケット:実力主義、高収入、グローバル!三拍子そろった外銀マーケット部門の内実とは?
・リサーチ:外銀の頭脳?謎多き外銀リサーチ部門の業務を解説
・アセマネ:隠れ優良業界である資産運用業界の実態とは?