こんにちは! ONE CAREER for Engineerです。
IT関連に就職しようと思っているけど、ネットで調べてもいろいろな職種が出てくるため、分かりづらいと思っていませんか。こちらの記事では、IT関連の職種であるデータサイエンティストについて解説します。
こちらの記事を読むと、仕事の内容やデータサイエンティストになるために必要な資格やスキルが分かるでしょう。
<目次>
●データサイエンティストってどんな職種?
●データサイエンティストの将来性は?
・市場の変化
・企業が求める人材の変化
●これからデータサイエンティストに求められるスキルは?
・求められるスキルの変化
・現状求められているスキル
・今後求められるスキル
●具体的な学習方法は?
・学習の大まかな流れ
・学習におすすめの書籍、サイト
●データサイエンティストのキャリアパスは?
・専門性を高める
・マネジメントに取り組む
・他のエンジニア職種に転向する
・ビジネス職に転向する
●企業によってキャリアパスは変わる?
・キャリアパスの違い
・縦のキャリアと横のキャリア
●この記事のまとめ
●先輩エンジニアの選考体験談が見られる! ONE CAREER for Engineerのご紹介
・ONE CAREER for Engineerではどんなことができる?
データサイエンティストってどんな職種?
データサイエンティストは、大まかには「高度なデータサイエンスのスキルをもとに、ビジネス課題の解決に従事する専門職」といえます。
データサイエンスについては、例えば情報処理学会の公開教材「IPSJ MOOC」において、以下のように定義されています。
特に、企業においては「役立たせること」が重要になります。そのため、身もふたもない表現をすれば、「データを使ってもうけること」がデータサイエンスの目的であり、もうける方法を考えて実現する人がデータサイエンティストである、といえるでしょう。データサイエンティストの仕事について、詳しくは「データサイエンティストとは?働き方や仕事内容、企業の採用状況を解説!」を参照してください。
データサイエンティストの将来性は?
そのような、データサイエンティストという職業に将来性はあるのでしょうか。
データサイエンティストという専門人材だけでなく、「データサイエンスを身に着けたビジネスパーソン」のニーズは、今後も極めて高い傾向が続くでしょう。その理由を紹介していきます。
市場の変化
1つ目が、市場の変化です。これは、企業を取り巻くビジネス環境の変化ともいえます。コロナ禍や国際情勢が大きく変化する中で、少し先のことすらも見通しが利かない状況が続いています。このような社会の変化は、「VUCAワールド」という言葉であらわされます。VUCAワールドでは、「これまで通り」のやり方では、変化に対応できず、事業や企業そのものの存続が脅かされるようになります(※1)。
そのような時代を生き延びるために、企業や組織の意思決定に、スピードとデータに基づくエビデンス (根拠) が求められるようになっています。これはビジネスだけでなく、政府官公庁や地方自治体においても同様で、EBPM (Evidence based policy making; エビデンスに基づく政策立案)という考えが浸透してきています。データに基づく意思決定を支援するために、高度なスキルを有するデータサイエンティストが求められています。
また、AIをはじめとした、データ分析の結果自体をビジネスとする製品・サービスを開発するためにも、データサイエンティストが必要です。
(※1)参考:経済産業省「変革の時代における人材競争力強化のための9つの提言 P.3」
企業が求める人材の変化
このように、企業においてデータとエビデンスに基づく経営が必要になった結果、企業が求める人材も変わっています。
近年、多くの企業が デジタル・トランスフォーメーション(DX)という言葉を経営戦略や人材育成計画において取り入れています。DXは、デジタル技術を活用したビジネス変革の取り組みですが、その中には当然データサイエンスやAIを活用した業務の見直し、効率化などが含まれます。そのため、既存の従業員に対して、データサイエンス、AI関連の研修を実施する企業が多くあります(※2)。
また、すでにAIブームとなってから数年たっているので、多くのITベンダーから、(半) 自動データ分析ソフトウェア・サービスが提供されています。例えば、キーエンス社の「KI」というソフトウェアは、「データを入れて解決したいビジネス課題を入力するだけで施策が生まれる」と称しています。他にもNEC社は「過去事例データから新規施策立案支援を可能とするAI技術を開発」というプレスリリースを出しています。つまり、投資さえすれば、データサイエンティストが自社にいなくても、データに基づく意思決定ができるようになりつつあります。
このような状況下で、今後企業がデータサイエンティストに求めるのは、「他社にいない」専門人材です。
(※2)参考:経済産業省「デジタルスキル標準」
これからデータサイエンティストに求められるスキルは?
他社にいない専門人材とは、どのようなスキルを持った人材でしょうか。
求められるスキルの変化
上記のように、多くの企業でデータサイエンス、AIに関する従業員教育が行われるようになっています。多くの場合、そのような教育には、PythonやRなどのプログラミング研修も含まれます。企業によっては、実際に社内のデータを持ち寄り、それを分析して発表する、というような研修も行われています。つまり、従来データサイエンティスト特有のスキルであったものの一部が、コモディティ化しているといえます。
現状求められているスキル
とはいえ、あらゆる企業でDX関連の人材育成が十分に行われているわけではないので、従来からのデータサイエンティストとしてのスキルセットを求めている企業も多くあります。従来からのスキルセットとは、例えば以下のようなものを指します。
・統計学に基づく効果測定のスキル ・機械学習を用いた予測モデルの作成スキル ・経験や知識に基づくデータ収集、加工スキル ・クラウドなどを活用した大規模計算の実行スキル ・IoT、センサー技術などを活用したデータ収集のスキル ・RDBMS (データベース) を活用したデータ収集のスキル ・分析結果を可視化し、一覧できるダッシュボード構築のスキル ・上記を実装するためのPython、Rその他のプログラミングスキル
ただし、前述のようにこれらはすでに製品・サービス化されていたり、ITベンダーのソリューションとして提供されています。そのため、これからデータサイエンティストとして就職することを目指す場合、これらのスキルがあるだけでは、あまり強いセールスポイントにはならない可能性もあります。
今後求められるスキル
それでは、今後企業におけるリテラシーが高まってきた時に、データサイエンティストという職種に求められるスキルは何でしょうか。これには、大きく2つの方向性があります。1つは、統計学、機械学習の知識を徹底的に高め、専門性を突き詰めるというものです。もう1つは、データサイエンスとビジネスの橋渡しをするため、徹底的に自社のビジネスを理解し、データ分析の結果を実践につなげられるスキルを高めるというものです。
データサイエンティスト協会が定義する3つのスキル領域のうち、データサイエンス力を伸ばすのが前者、ビジネス力を伸ばすのが後者といえるでしょう。もうひとつの領域であるデータエンジニアリング力については、最近ではデータエンジニアという別の職種として定義、認識されるようになっています。(※3)
(※3)参考:IPA「データサイエンティストのためのスキルチェックリスト/タスクリスト概説P.10」
具体的な学習方法は?
それでもデータサイエンティストになりたい、これから勉強を始めたいという場合に、どのように学習すればよいのでしょうか。
学習の大まかな流れ
基本的には、大学の授業などを通じて、データサイエンス力、データエンジニアリング力を高めることから始めましょう。さらに、授業以外でも書籍やウェブサイトを参考に、最新動向を把握しましょう。そして、Kaggleなどの分析コンペや企業のインターンなどに参加し、実践力を身に着けましょう。また、その成果をウェブサイトやSNSで発信することも、データサイエンス系の就職活動では有利です。就職した後も、現場での学びが続きます。
学習におすすめな書籍、サイト
上述した授業外や就職してからの学びには、以下のような書籍やWebサイトが参考になるでしょう。
・紙と鉛筆で身につける データサイエンティストの仮説思考(翔泳社、2022年)
・RとPythonで学ぶ[実践的]データサイエンス&機械学習【増補改訂版】(技術評論社、2021年)
・大城 信晃 (監修) AI・データ分析プロジェクトのすべて[ビジネス力×技術力=価値創出] (技術評論社、2020年)
・鶴見教育工学研究所 タダでITを学ぼう!政府・官公庁のオンライン教材
データサイエンティストのキャリアパスは?
ここからは、データサイエンティストとして就職してからのキャリアパスについて紹介します。
専門性を高める
データサイエンティストとして就職できた後も、そのポジションを守り続けるためには、絶え間ない研さんが必要です。特に、データサイエンス力の領域は、日々新しい手法やツールが発表される、変化の激しい分野です。そのため、常に書籍やWeb、コンペサイトにおける議論、原著論文などをチェックし、最新の知識を仕入れ続けなければなりません。また、単に知識を得るだけでなく、それが自分が携わっている仕事にどのように役立つか、自ら新しい手法についてプログラムを作成して適用してみるなど、実践することも重要です。企業によっては、ビジネスで得られた知見を論文として発表することを奨励している場合もあります。
また、データ分析者のコミュニティに参加することも効果的です。それぞれのプログラミング言語や、業界ごとにコミュニティが存在し、定期的に勉強会などを開催しています。そのような場で情報交換することで、知識を増やすことができます。また、自身もそのような場で情報を発信することで存在感が増し、より良いポジションのオファーを得られることもあります。
マネジメントに取り組む
一方で、多くの企業では年次が上がってくると、プレイヤーからマネージャーへのキャリアチェンジが求められます。これは日本の伝統的な大企業だけでなく、データサイエンスやAIをセールスポイントにする外資・ベンチャー系企業でも同様です。多くのビジネス経験を積むことで、経験の少ない若いデータサイエンティストをリードし、プロジェクトを成功に導くことが期待されます。
実際、10年近く前からのデータサイエンスブームの中で、データサイエンティストとして活躍し、SNSで積極的に情報を発信していた方々も、多くはマネジメントや経営にシフトしており、ずっと第一線でプレイヤーとして活躍し続けることは難しいといえるでしょう。
プロジェクトやチームのマネジメントをする上では、コミュニケーションスキルが何よりも求められます。この領域のスキルを測る、「人工知能プロジェクトマネージャー試験」という資格もあります。
他のエンジニア職種に転向する
データサイエンティストから、データエンジニアや、AI関連サービスの開発者に転じる人もいます。データサイエンスプロジェクトに関わる中で、分析結果を活用したシステム、サービスを作ることに興味を持ち、軸足を移していくケースが多いでしょう。データサイエンスの知識、スキルは持ちつつ、さらにITインフラやクラウド、UX (ユーザーエクスペリエンス) などシステムやサービスに関わるうえで求められるスキルを身に着けることで、自分が作ったものを直接多くのユーザーに使ってもらう経験ができます。
また、データサイエンティストの仕事では、プログラミングや分析のためのインフラ構築、データ収集・管理のためのデータベース構築、結果を表示するシステムを開発するためのアプリ開発など、幅広いスキルが求められます。そのため、そこで得た経験を、他のエンジニア職に転向する際に生かすことができます。以下に、具体的な例を挙げます。
インフラエンジニア、バックエンドエンジニア
ITシステムを安定して稼働させるために、サーバーやネットワーク機器、ストレージ (記憶装置) を組み合わせてインフラ (基盤) を構築します。データ分析をする際には、UNIX/Linuxのコマンド操作を行うことも多いですが、ITインフラの構築でもコマンド操作が求められるため、知識や経験が生かせます。
データベースエンジニア
企業が扱う大量のデータを格納するためのデータベースを設計、構築します。データベースに効率的にデータを格納し、性能を最大限発揮させるには、データについての深い理解が必要です。データを活用する側の、データサイエンティストとしての経験が、データベース設計や運用に生かせます。
アプリケーションエンジニア、UXエンジニア
企業内で利用される業務システムや、外部に提供するサービスを開発します。データ分析の結果を現場で活用してもらうためには、ユーザーが見やすい、操作しやすいアプリケーションやダッシュボードを構築する必要がありますが、そこで得られたUI/UXについての知見が、アプリケーション開発でも生かせるでしょう。また、特にWebアプリ (ブラウザでアクセスするアプリケーション) では、Pythonが使われることもあるため、Pythonのプログラミングスキルも活用できます。
プロジェクトマネージャー (PM)
ITシステムの開発プロジェクトなどを指揮します。データサイエンティストも、1人で作業するのではなく、チームで顧客や自社の課題解決に取り組みます。その中で、予算やスケジュール、人的資源の制約を考慮しながら成果を挙げるという経験を積むことで、プロジェクト全体を俯瞰(ふかん)し、コントロールするPMとしてのスキルも身に着いていくでしょう。
ビジネス職に転向する
また、データサイエンスプロジェクトを通じて、データを活用して課題を解決する対象そのものに興味を持ち、製品やサービスの企画、販売、マーケティングに転じるケースもあります。例えば、ある製品の売上アップのために顧客データを分析していて、そのうちに製品そのものに愛着や改善アイディアを持ち、この製品をもっと良くしたい、もっと使ってもらいたいと思うようなことがあります。そのような場合、企画部門や営業部門、マーケティング部門に移ることになるでしょう。
どの部門でも、データがわかると、は重宝されますので、大きな仕事を任され、貴重な経験ができるでしょう。データサイエンティストとして、理論や手法を研究し続けたいと思う方もいるかもしれません。しかし、企業に就職した以上、データサイエンスはビジネスのために活用する必要があります。その意味で、1度ビジネスサイドに転じてみるのも、自分のスキルを高めるために有効です。
企業によってキャリアパスは変わる?
データサイエンティストのキャリアは、所属する企業によっても変わるのでしょうか?
キャリアパスの違い
上述のように、一般に多くの企業ではメンバーシップ型の雇用形態を取っており、ある程度経験を積んだ先には、マネジメント側への転向というキャリアパスがあります。一方で、ジョブ型の雇用形態を取る企業では、データサイエンティストとしてのポジションは変わらず、定期的な成果評価によって給与が変わっていきます。
縦のキャリアと横のキャリア
キャリアの選択肢として、データサイエンティストという仕事をひとつの経験として、企業人としてキャリアアップしていく道と、データサイエンティストという仕事にこだわり、より魅力的な環境を提供する他の企業に転職して専門性を高めていく道があります。自分がどのようにありたいかを、ぜひ考えてみましょう。
この記事のまとめ
この記事では、データサイエンティストという仕事について、キャリアパスや将来性を解説しました。記事のポイントを以下にまとめます。
・データサイエンティストは、「高度なデータサイエンスのスキルをもとに、ビジネス課題の解決に従事する専門職」です。 ・データサイエンティストという専門人材のニーズは、今後も極めて高い傾向が続くでしょう。 ・企業が人材育成や外部の製品・サービスを導入する中で、今後データサイエンティストに求められるのは、「他社にいない」専門人材です。 ・現在、データサイエンティストには特にデータサイエンス力とデータエンジニアリング力が求められています。 ・今後は、加えてビジネス力が求められるようになっていくでしょう。 ・また、新卒でもデータサイエンティストとして即戦力であることが求められます。 ・そのため、学生のうちから、理数系の授業や自主的な学習を通じてスキルを高めておく必要があります。 ・データサイエンティストとして就職できた後も、そのポジションを守り続けるためには、絶え間ない研鑽が必要です。 ・一方で、多くの企業では年次が上がってくると、プレイヤーからマネージャーへのキャリアチェンジが求められます。 ・自分がどのようにありたいかを、ぜひ考えてみましょう。
先輩エンジニアの選考体験談が見られる! ONE CAREER for Engineerのご紹介
エンジニア就活をこれから始める、今まさに選考を受けている皆様へ、このような悩みはないでしょうか?
「総合職やビジネス職ばかりで、エンジニア職の体験談が見つからない」「内定を獲得した先輩が、どんな開発経験を積んでいたのか/どんな対策をしていたのか知りたい」
こういった悩みをお持ちの方に向けて、エンジニア職特化の就活サイト、「ONE CAREER for Engineer」をリリースいたしました!
▼ONE CAREER for Engineerエンジニアや技術職の就活・選考体験談を探す ※選考体験談の閲覧には、別途会員登録が必要です。
ONE CAREER for Engineerではどんなことができる?
1. エンジニア特化の選考体験談が見られる!
エンジニア人気企業を中心に、先輩のエントリーシート(ES)や選考体験談を公開中です。
エンジニア就活ならではといえる、「コーディングテスト」の体験談も多数公開しています!
2. 登録いただいたプロフィール情報をもとにポートフォリオを自動生成!
「ご自身の技術経験を企業へどう伝えよう……」とお悩みの方は、こちらの機能をご活用ください!
3. エンジニア職の選考体験談投稿で謝礼(Amazon ギフト券)をもらえる!
ご自身の選考の体験談をご登録いただくことで、謝礼(Amazonギフト券)をプレゼントしております!
エンジニア就活をこれから始める方、選考対策にお困りの方は、ぜひこの機会にご登録をお待ちしております!
(Photo:LanKogal/Shutterstock.com)