外資戦略系コンサルの選考などで出題されるフェルミ推定やケース面接。
実は、「正確な回答」以上に重要なポイントがあるんです。
元外資コンサル社員と内定者の目線から、例題を通して、問題集には載っていない「合否を分ける3つの決め手」を明らかにします。
<目次>就活でよく聞く「フェルミ推定」「ケース面接」とは?
●就活でよく聞く「フェルミ推定」「ケース面接」とは?
●合否の決め手は3つ【論理性】【コミュ力】【楽しむ姿勢】
・1.【論理性】とは?
- (1)論理に飛躍がなく一貫性がある
- (2)数字を使って意見をサポートできる
- その他:問題の視点が鋭い
・2.【コミュニケーション力】とは?
・3.【考えることを楽しむ姿勢】とは?
●よくある誤解:正確な数値を出さないといけないの?
●対策1:まずは問題を解いてみよう!
●対策2:いつでも使える「考え方」を増やそう!
●対策3:キーワードは「量」「質」「瞬発力」
●外資メーカーの選考経験がコンサルでの選考に役立つケースも
「フェルミ推定」とは、実際に調査し求めることが難しい数を、最低限の知識から論理的に概算することです。
<フェルミ推定の出題例>
「日本にある車の数はどれくらいでしょうか?」
「世界中で今、スマホを見ている人は何人いるでしょうか?」
「ケース面接」はその応用編です。フェルミ推定との違いは、数値を概算したうえで、具体的な問題に対する施策・解決策を考える点です。
<ケース面接の出題例>
「日本の自動車市場を5年で2倍にするにはどうすればいいでしょうか?」
「スマホを使い、1日で100万人が利用するサービスを立案してください」
合否の決め手は3つ【論理性】【コミュ力】【楽しむ姿勢】
フェルミ推定で、面接官は何を評価しているのでしょうか?
ケース面接の面接官も務めたことがある社員の話では、以下の3つのポイントがあるようです。
1.【論理性】→「問題を論理的に検討する思考力がある」かどうか
2.【コミュ力】→「面接官とスムーズにコミュニケーションできる」かどうか
3.【楽しむ姿勢】→「考えることを楽しめる」かどうか
それぞれ詳しく見ていきましょう。
1.【論理性】とは?
「論理的に考える」とはそもそもどういうことでしょうか?
以下の2点に細分化できます。
(1)論理に飛躍がなく一貫性がある
(2)数字を使って意見をサポートできる
論理性のある考え方とは具体的にどういうことか、順番に解説します。
ケース面接で「ある製品の売上増加の方法」を問われたとしましょう。
(1)論理に飛躍がなく一貫性がある
施策を考えたプロセスを明示するとともに、その理由をはっきり示せるようにしましょう。製品の売上を考えるなら、「売上増加へのインパクトの大きさ」が施策を選ぶ根拠となるでしょう。売上に影響する要素として、以下が挙げられます。
・商品の性能(消費者の購入につながりやすい性能は? 性能を気に入っている客数は?)
・広告(テレビなどのマス広告とネット広告に分ける)
・販売場所(押さえている売り場は?)
・価格(単価は競合他社と比較して優位なのか?)
まず前提として現状分析を通じ上記の情報を確認・整理して、変化を加えると最も大きな成果が得られるキーポイントを探し、効果的な改善策を述べましょう。
単なる思い付きではなく、考えのプロセスを示すことが「論理の一貫性」として評価されます。
(2)数字を使って意見をサポートできる
「判断の理由を数字で裏付ける」という意識を常に持ちましょう。
上記の例では「売上へのインパクトの大きさ」を概算し、具体的な金額で示す必要があります。つまり、「販売価格を1割引にすると◯%購買率が上がると仮定し、◯億円の売上増が見込まれる」と説明する必要があります。
「当たり前」と感じるかもしれませんが、緊張する面接の場で丁寧かつ適切に流れを説明するのは難しいものです。
提案の根拠を明らかにし、数字やデータで裏付けできるように練習を積み、慣れておきましょう。
その他:問題の視点が鋭い
また、人と異なる視点をアピールするのも、高評価につながります。
例えば、フェルミ推定で「日本に何台の自動車があるか」というお題が出されたとしましょう。
多くの学生が思い付くのは「面積あたりの自動車の台数を考える」方法です。この場合、以下のような条件をもとに解を求めます。
・田舎と都会では、人口や自動車の平均所有台数が異なる
・車種の区別や、バスなどの交通機関をカウントするかどうか
・自動車所有には所得が関連する
対して、以下のような別の視点でアプローチしてみましょう。
「日本で消費されるガソリンの量」から算出する方法です。
このアプローチだと「自動車の数」は「(年間に消費されるガソリンの総量)÷(車1台が1年あたりに消費するガソリンの量)」から導き出すことができます。
したがって、トラックや自動車の区別・所得などの条件付けを飛ばし、より直接的に回答を求めることができます。
以上のようにより個性的なアイデアを思い付けば、効果的なアピールになるでしょう。面接の前に自分なりの解法を準備しておくことを強くオススメします。具体的な方法は「2-1. いつでも使える『使える考え方』を増やそう!」で後述します。
2.【コミュニケーション力】とは?
複数のプロジェクトを効率的にこなすことが求められるコンサルの業務では「人の頭を借りる」ことも重要です。
そのため、選考でも面接官とどのようにコミュニケーションを取るかも、採用にあたり企業が見ているポイントです。
例えば、以下のような姿勢は好印象でしょう。
・一方的に話すのではなく、面接官をディスカッション相手のように捉えて議論を進める
特に「顧客企業の成長」を第一に掲げるマッキンゼーでは、クライアントの関係構築を良好に行える対人能力も、高い水準で求めています(選考対策ページより)。
また、ディスカッションをするにあたっては、論理的な思考をすることで筋の良い質問を考えられます。
具体的には、以下の2つの観点で質問すると良いでしょう。
1. 要素を意味付けするための質問
2. 数字で根拠付けするための質問
今回の例題なら「商品の性能を他社と比較できるデータはありますか?」といった要素の重要度を裏付ける質問や、「◯◯という性能への評価は、他社と比べて何%高いですか?」など、具体的な影響を測れる質問が出てくるでしょう。
3.【考えることを楽しむ姿勢】とは?
コンサルの仕事では、答えが分からない難問を考え続ける「知的体力」が求められます。
フェルミ推定やケース面接の難しい問題にも楽しんで取り組む姿から、仕事への適性を判断している面もあるようです。
「楽しむ姿勢」は「面接に取り組む態度」だけでなく、「面接官とのコミュニケーション」でも積極的にアピールしましょう。
実際にStrategy&の内定者は内定後のフィードバックで、「自らの考えを持ちながらも、相手の意見を聞く態度が見ていて非常に気持ちよかった。そのような姿勢を持っているからこそ一緒に働きたいと思った」と伝えられたそうです。よって選考では、自己主張と協調性のバランスを意識することが重要です(合格の秘訣より)。
ケース面接では、与えられた課題に取り組むきっかけが見つからないこともあります。「ある程度の時間をかけても思い付かない」というときには、面接官とコミュニケーションを取りましょう。面接官に「この問題への取り組み方が分からないのですが、考えるスタート地点にはどのようなものがありますか」というようにストレートに相談するのも手です。また、面接官のヒントで「問題が解けそうだ」と思ったら、その感情を表現することも肝心です。「難題にも楽しんで取り組んでいる」と評価されるでしょう。
分からないテーマや知らない問題に立ち止まってしまうのではなく、楽しみながら臨機応変に取り組める姿勢は、コンサルタントとして求められる最も重要な素質の1つといえます。選考の中でも、楽しむ姿勢を忘れずに取り組んでください。
よくある誤解:正確な数値を出さないといけないの?
コンサルの面接では「実際に近い数値を算出すること」「ケチのつかない回答を出すこと」が必要だと思う学生が多いようですが、これは大きな誤解です。
あるコンサル内定者は「サービスの利益を求める」というテーマのケース面接で回答時間が足りず、満足な答えが出せませんでした。
しかし、合否の決め手である「1. 論理的な考えができるか」「2. コミュニケーション力があるか」「3. 考えることを楽しめる人か」の3点をクリアしていると評価を受け、面接を突破できたそうです。
正確な答えに固執するのではなく、相手が測りたがっている能力をアピールすることを意識しましょう。
対策1:まずは問題を解いてみよう!
以下の2冊をひととおり解き、初見で難しかった問題のみを2、3回解けば十分に対策ができます。
・現役東大生が書いた 地頭を鍛えるフェルミ推定ノート―「6パターン、5ステップ」でどんな難問もスラスラ解ける!
・東大生が書いた 問題を解く力を鍛えるケース問題ノート 50の厳選フレームワークで、どんな難問もスッキリ「地図化」
余裕があれば以下の参考図書もオススメです。ただし、あくまで余裕がある人向けです。まずは前出の2冊を完璧にしましょう。
・戦略コンサルティング・ファームの面接試験 新版 難関突破のための傾向と対策
対策2:いつでも使える「考え方」を増やそう!
フェルミ推定やケース面接の対策では、「フレームワークを身に付けるべきだ」という意見も多く聞かれます。
ですが、単に多くのフレームワークを暗記するのではなく、「考え方のパターン」を増やしていくことが大切です。
例えば、先述の「国内の自動車の数を考える」問題では、以下の2つの方法を例として挙げました。
・面積あたりの台数から考える方法
・ガソリンの消費量から考える方法
しかし、実際にはより多くの考え方があります。
例えば「需要=供給」の関係が成り立つと仮定して、「自動車の台数=年間生産数×自動車の耐久消費年数」と概算する方法もあります。1つの問題に対して、考え方は無数にあるのです。ある程度の問題をこなすと、異なる問題に対しても考え方のパターンを当てはめ、自分で応用して答えを探せるようになってきます。
対策3:キーワードは「量」「質」「瞬発力」
フェルミ推定とケース面接の対策は、
「量 → 質 → 瞬発力」
の3つのポイントを順に押さえる必要があります。
初期は「量:考え方をたくさん身に付ける」ことに主眼を置きましょう。
1問に1時間ほどかけ、解法を何個も出せるようにしておくことが目的です。例えばマーケティングの問題ならば安易に「4C(※)」と考えるのではなく「4C以外の要素はないか」「4Cの枠組みをさらに細分化するとどんなことが考えられるのか」のように、一歩踏み込んで考える経験を積みましょう。
問題の解き方がある程度ストックされたら、「質:覚えた考え方を使えるものにする」ことを意識しましょう。
1問を30分くらいで解き、自分の解法のどれが活用できるか考えましょう。この段階では、場数を踏むことも大切です。友人と一緒に問題演習を行い、異なる考え方を補完するのもオススメです。
面接の直前は、問題に対する「瞬発力」を鍛えましょう。
本番のケース面接は20分程度の短い時間で行われるので、問題を最後まで解くのではなく、1〜2分で考え方の筋道を立てる練習をしましょう。
(※)……Customer Value(顧客にとっての価値)、Cost to the Customer(顧客の負担)、Convenience(入手の容易性)、Communication(コミュニケーション)のこと。マーケティングで、4Pと対比して使われる。
外資メーカーの選考経験がコンサルでの選考に役立つケースも
他の業界について詳しく知ると、その考え方をケース面接にも応用できます。例えば外資系メーカーを並行して受けていた学生は、コンサルの選考でマーケティングや販売戦略を考えるお題に対応できました。外資メーカーの選考ステップはこちらです。
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一見すると難解で、完璧な答えが求められそうなフェルミ推定やケース面接も、ポイントを押さえて対策すれば自信をもって臨めます。ぜひ、頑張ってください。
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※こちらは2016年4月に公開された記事の再掲です。