こんにちは、トイアンナです。
学部3年生、修士1年生の皆さんは、インターン選考で忙しくなる時期かと思います。
中でもコンサルティングファームでは、学生の能力を測るために特殊な選考を採用しています。今回は、ほとんどのファームで問われるケース面接について、身近な例題をもとに解説します。
<目次>
●ケース面接とは
●フェルミ推定との違いは?
●企業がケース面接を行う理由【評価ポイント】
●ケース面接の流れ
●ケース面接の例題とパターン
・企業や組織の売上向上策
・企業や組織の利益拡大策
・2つの選択肢から意思決定
・公共・社会問題の解決策
・新規事業の立案
●ケース問題を解く思考の4ステップ:問題の整理→戦略→実行案→成果の概算
・1. 達成すべき目標や前提条件を整理する
・2. フレームワークや理論をもとに戦略を立てる
・3. 戦略に沿った実行プランを考える
・4. プランごとの成果を概算し、対策を絞り込む
●ケース面接を出題する企業/業界【体験談と実際の質問】
・コンサル業界
・商社業界
・投資銀行業界
●ケース面接で大切なこと:思考のプロセスを見せること
●ケース面接の対策方法
・ケース面接対策用の本を使う
・ケース面接の問題集を解く
・模擬面接をする
・フレームワークを習得する
●ケース面接でボロボロになる失敗例
・代表的なケース問題を解いていない
・ディスカッションの練習をしていない
・正確性を意識しすぎる
・無理にフレームワークを使う
・想定外の形式に対応できない
●考え方さえわかれば、ケース面接は怖くない
●ケース面接対策・面接対策に関連する記事
ケース面接とは
ケース面接とは、与えられた課題に対して制限時間内に適切な対策を提案する面接形式です。出題内容は実際にコンサルティングファームで取り組むような経営課題が多く、課題に対する問題解決力や分析力、論理的思考力が求められます。自分で仮説を立てて、問題点を見つけ、解決策を導くという手順の難易度の高い面接です。
面接の時間は一般的に20〜40分で、以下のようなお題が課されます。
【設問】
あなたは飲料業界2番手の企業からコンサルティングの依頼を受けました。
以下の状況を踏まえ、どのような戦略提案を行いますか。5分間考える時間を与えるので、発表してください。
「自社」
・ソフトドリンクが強み
・値下げ競争に苦しみ、利益率が低い
「競合(業界トップ企業)」
・プレミアム価格のビール販売でトップを握っている
・チェーン系居酒屋との提携販売でシェアを大きく伸ばしている
※コンサル各社の出題例をもとにワンキャリアが作問
ケース面接で重要なのは知識量ではなく、数字に裏付けされた実現可能な対策を筋道を立てて示すことです。その能力は多くの練習問題に取り組むことで鍛えられます。
フェルミ推定との違いは?
フェルミ推定は、実際に調査して求めることが難しい数を限られた情報を基に論理的に概算する技法であり、ロジックだけでなく知識や常識を組み合わせる必要があります。そのため具体的なデータや数値を迅速に導き出す力が問われます。
例としては次のような問題があります。
- 日本にある電柱の数は?
- 日本でテレビを見ている人の総数
- 電車の中づり広告の広告効果は?
一方、ケース面接では、フェルミ推定で数値を算出した後に、具体的な問題の対策を考えます。定量的な分析に加え、定性的な洞察や創造的な解決策の提案も求められる点で違いがあります。
企業がケース面接を行う理由【評価ポイント】
ケース面接を行う理由は、学生が顧客が抱える問題に対して、どのように能力を発揮して解決へ導けるかを見極めるためです。 上記を見極める評価ポイントとしては、「分析力」「課題解決力」「思考プロセス」「コミュニケーション能力」です。単に、問題における課題を見いだし(分析力)、質問に対する結論の優秀さ(課題解決力)を示すだけでなく、なぜこの答えに至ったのか(思考プロセス)を明確に伝える(コミュニケーション能力)ことも重要です。
このような評価ポイントをもとに、企業は学生が現場で活躍する可能性があるかどうかを評価していると考えられます。ケース面接の流れ
ケース面接の基本的な流れは以下の通りです。 また、面接時間は全体で30分前後であることがほとんどのようです。
1. テーマ説明(1分程度) 2. 回答準備(課題特定・対策検討など)(15分程度) 3. 回答を面接官にプレゼン(5分程度) 4. 質疑応答、面接官と議論しながら考えを修正する(10分程度)
ケース面接の例題とパターン
ケース面接では、さまざまなビジネスシナリオや社会問題に対する解決策を求められます。ここでは、代表的なケース面接の例題とパターンを5つ紹介します。
企業や組織の売上向上策
企業や組織が売上を増加させるための戦略を考えるケースです。このような売上を推定する問題はフェルミ推定を用いて解きます。既存のデータを用いて具体的な数値を推定します。
例題としては以下のようなものがあります。
・自動車用ガソリンの年間市場規模を算出した上で、ガソリンスタンド(前提は任意に設定)の売上向上施策を検討する(※1) ・富士通の社員食堂の売上を2カ月で上げるためにはどうするか(課題・原因・解決策をそれぞれ述べる)(※2) ・コロナ禍での百貨店の売り上げと規模の維持のためには、どういう打ち手が考えられるか(※3) ・日本の国内のベビーカー市場の市場規模推定→ベビーカーを扱う国内シェア2番手の企業の売上向上施策の提案(※4) ・コンビニエンスストアの売上を1年間で20%増やすためには? ・東京のバス1台当たりの売上を50%増やすためには? (※1)参考:Strategy&|経営戦略コンサルタント2025年卒インターンシップ選考のケース面接 (※2)参考:富士通|ビジネスプロデューサー2024年卒本選考の一次面接(ケース面接) (※3)参考:アクセンチュア|戦略コンサルタント職2022年卒インターンシップ選考のケース面接 (※4)参考:Strategy&|経営戦略コンサルタント2022年卒本選考のケース面接
売上を増やす方法については顧客数を増やすこと、顧客単価を上げること、来店頻度を上げることの3点を意識しましょう。
▼フェルミ推定について詳しく知りたい方はこちらから
・【フェルミ推定】例題・出題例13選!考え方と解答例も紹介
企業や組織の利益拡大策
企業の利益を拡大するための提案を求められるケースもあります。このケースでは、売上だけでなく費用やコストを推定して利益を算出する必要があります。そのため、人件費や光熱費、原価などのコストに関する知識が求められ、売上向上策に比べて難易度が高いです。
例題としては以下のようなものがあります。
・とある乳製品加工会社が事業の行き詰まりを訴え、生き残り戦略をマッキンゼーに相談してきた。この会社の強みは多品種の乳製品を加工することができるという点にある。いくつかのデータをもとに、この会社が取るべき指針を提示せよ(※5) ・DTCを就職人気ランキング1位にするためには?(※6) ・ある企業の女性の働いている数を100人単位で増やせ(この企業は数千人単位の会社である。20代では男女比は1:1だが、年次が上がるごとに男性の方が多くなっている。また、オフィスは都心。)(※7) ・カフェの利益率を20%増加させるには? ・マーケットシェアが低下している自動車メーカーが利益率を上げるためには? (※5)参考:マッキンゼー・アンド・カンパニー|ビジネスアナリスト2022年卒本選考のケース面接 (※6)参考:デロイト トーマツ コンサルティング|コンサルタント職2023年卒インターンシップ選考のケース面接 (※7)参考:日本IBM|デジタルビジネスコンサルタント(IBMコンサルティング事業本部)2020年卒の本選考のケース面接
コストには固定費と変動費があることを意識して、コスト削減方法を考えるようにしましょう。
2つの選択肢から意思決定
社会的に議論されている問題について2つの選択肢が提示され、それに対する意見と理由を主張するケースです。ほとんどは賛成か反対かを問われるもので、各選択肢のメリットとデメリットを評価し、最適な意思決定を行います。このプロセスを通じて、論理的な思考と戦略的な判断力が試されます。
例題としては以下のようなものがあります。
・日本の製造業における工場を今後このまま海外に拠点を置くべきか、それとも国内に回帰すべきか(※8) ・子供を都会で育てるか、それとも田舎で育てるか(※9) ・副業の是非について検討せよ(副業についての資料とともに提示)(※10) ・義務教育においてプログラミングを必修科目にすべきか ・キャッシュレス化に賛成か、反対か (※8)参考:PwCコンサルティング合同会社|デジタルコンサルタント2024年卒本選考のケース面接 (※9)参考:B&DX|コンサルタント職2024年卒本選考のケース面接 (※10)参考:A.T. カーニー|経営戦略コンサルタント2023年卒インターンシップ選考のケース面接
解答の自由度が高く、細かい条件が設定されていないので自分で判断基準を作って主張する練習をしておきましょう。
公共・社会問題の解決策
公共交通機関の改善、都市の交通渋滞解消、環境保護など、公共・社会問題の解決策を推定結果を元に提案するケースです。実現可能性と社会的影響を考慮し、解決策を提示することが重要になります。
例題としては以下のようなものがあります。
・自分で特定の会社を題材としてSDGsの観点からその会社に対して施策を提案する(※11) ・地方の小売業の生き残り戦略を考えよ(※12) ・合計特殊出生率を上げるにはどうしたらいいか ・騒音問題を解消するにはどうしたらいいか (※11)参考:KPMGコンサルティング|コンサルタント2025年卒本選考のオンラインケース面接 (※12)参考:アクセンチュア|戦略コンサルタント職2022年卒インターンシップ選考のケース面接
抽象度の高い議題に対してどれだけ定量化して議論できるかを意識しましょう。
新規事業の立案
新規事業を立ち上げるためのプランを策定するケースです。市場分析、ターゲット顧客の設定、競合に対する優位性、財務計画など、総合的なビジネス戦略が求められます。 例題としては以下のようなものがあります。
・宅配サービスの利用者増加のための施策を考える(※13) ・サブスクの新規事業提案(サブスクとは何か、サブスクに向く商材・向かない商材を考えた後で、納得のいく新規事業提案を行う)(※14) ・フードロスを削減するための新規施策(※15) ・代々木駅で飲食店を出店する計画を立案せよ ・スマホで大ヒットが予想されるアプリを考えよ (※13)参考:アクセンチュア|マーケティング職2024年卒本選考のケース面接 (※14)参考:ドリームインキュベータ|ビジネスプロデューサー2024年卒インターンシップ選考のケース面接 (※15)参考:三菱商事|総合職2025年卒本選考の二次面接(ケース面接)
普段考えたことがないような設問が多いため対策が必須です。なぜその新規事業をするのか、どの期間を設けて事業を遂行するのか再現性を持って立案するのを意識しましょう。
ケース問題を解く思考の4ステップ:問題の整理→戦略→実行案→成果の概算
今回は入門編として「学園祭の模擬店の利益を増やすには?」という身近な課題で、ケース面接の解き方を細かく見ていきましょう。以下の問題に、あなたはどう答えますか?
【設問】
あなたのサークルは学園祭でホットドッグを売り、その利益を運営費に充てています。
以下の情報を踏まえ、今年の模擬店の利益を今まで以上に増やす方法を考えてください。
・例年の販売価格は1本400円
・例年の売上は60万円で、うち利益となる30%を運営費に充てていた
・学園祭は1年に1回で、開催期間は3日間
・今年はホットドッグ販売を実行委員会に承認された後に、別のサークルもホットドッグを売り出すことが判明した
※コンサル各社の出題例をもとにワンキャリア作問
回答は思いつきましたか? ケース面接は、以下の4つのステップで解いていきます。
【ケース面接のステップ】
1. 達成すべき目標や前提条件を整理する
2. フレームワークや理論をもとに戦略を立てる
3. 戦略に沿った実行プランを考える
4. プランごとの成果を概算し、対策を絞り込む
解説として、以下に回答例を紹介します。
1. 達成すべき目標や前提条件を整理する
具体的な提案を考える前に、目標として達成すべき数字や前提条件を明らかにします。今回の例題では、このように現状分析し、整理できます。
- 目標となる例年の運営費は、売上60万円のうち30%の利益=18万円
- 別のサークルもホットドッグを売るので、従来の方法では売上が減るだろう
- 商品をホットドッグ以外に変更することはできない
2. フレームワークや理論をもとに戦略を立てる
設問を整理したら、どうすればいいか戦略を考えます。
販売戦略に関しては、「マーケティングの天才」と称されるジェイ・エイブラハムの理論(※1)を当てはめて完成する場合がほとんどです。
【ジェイ・エイブラハムの売上アップ理論】
・客の数を増やす
・客が1回あたりに使う金額を増やす
・客の来店頻度を増やす
これらの視点を今回の例題に当てはめると、以下のように戦略を立てられます。
(a)競合ホットドッグ店より集客できるようなアイディアを出す
(b)ホットドッグの単価と利益率を上げる
(c)購入頻度を上げる
3. 戦略に沿った実行プランを考える
次に、前提条件を踏まえて戦略を具体的なプランに落とし込みます。一例として、以下の3案が考えられます。
(a)競合ホットドッグ店より集客できるアイデアを出す
「プラン例:芸能人を呼んで売り子をしてもらう」
(b)ホットドッグの単価と利益率を上げる
「プラン例:トッピングを乗せて単価を上げる」
(c)購入頻度を上げる
「プラン例:『2本目から◯割引』キャンペーンを実施」
4. プランごとの成果を概算し、対策を絞り込む
最後に、3つのプランの中で最も合理的かつ適切な手段を考えます。まずはゴールの数字に立ち返りましょう。
・目標となる運営費は、売上60万円のうち利益30%=18万円
・別のサークルもホットドッグを売るので、今までの方法では売上が減るだろう
・商品をホットドッグ以外に変更することはできない
上記の戦略から、今回達成すべきゴールを再確認します。
今回はホットドッグの店舗が2つできるので、単純計算で売上がこれまでの半分になると仮定します。
何の戦略も取らなかった場合は、運営費も
「売上60万円 × 利益率30% ÷ 2 = 9万円」
と半減します。すると、運営費を18万円以上稼ぐために
「新たに9万円以上の利益を上げること」
が今回のゴールとなるでしょう。
では、いよいよプランを検証してみましょう。売上へのインパクトの大きさと実現可能性を検討するために、各プランでどのように売上を達成できるか概算していきます。
(a)競合ホットドッグ店より集客できるアイデアを出す:予算3万円以内なら実行可能
『プラン例:芸能人を呼んで売り子をしてもらう』
芸能人の接客で新規の客を1,000人呼び込めると仮定すると、1本400円のホットドッグなら
「400円 × 1,000本 = 売上40万円 × 30% = 利益12万円」
という方程式ができます。しかし、ここから芸能人のギャラを差し引く必要があります。最低限必要な9万円の利益を出すなら、
「12万円 − 9万円 = 3万円」
3万円以内の予算で、1,000本のホットドッグを売る芸能人を呼べる芸能人がいればOKです。
(b)ホットドッグの単価と利益率を上げる:販売数の見込みから達成は困難
「プラン例:トッピングを乗せて単価を上げる」
トッピングの価格を150円で原価50円とすると、1トッピング100円の利益です。
よって目標の利益9万円を達成するには
「9万円 ÷ 100円 = 900本」
にトッピングを付けて販売すれば目標達成です。しかし、今年は
「30万円 ÷ 400円 = 750本」
しか、ホットドッグは売れない見込みです。
9万円の利益目標を達成するために必要な900本の販売には届かず、ゴールを達成できません。
(c)購入頻度を上げる:合理性が低いため検討しない
「プラン例:『2本目から◯割引』キャンペーンを実施」
学園祭のような単発イベントで購入頻度を上げるのは難しく、利益率を下げてまで(c)案を選ぶ合理性は低いです。
そのため、この選択肢は検討しないこととします。
総括:(a)(b)(c)を検討して導き出した答え
すべてのプランを概算した結果、最有力なのは(a)案の「芸能人を呼んで売り子をしてもらう」となりました。
予算3万円がネックですが、「昨年のミスコン優勝者」や「学内で知名度の高いOB」などに候補を広げれば、実現可能性が高まります。
一見、客単価を上げる(b)案の「トッピングを乗せる」のが手堅いように見えて、実際に概算するとダイナミックなアイデアが成功の可能性が高いと分かります。
ケース面接を出題する企業/業界【体験談と実際の質問】
ケース面接を出題する業界として、主に「コンサル」「商社」「投資銀行」の3つが挙げられます。こちらではそれぞれの業界の体験談・実際に出題された質問をご紹介します。
コンサル業界
・EYストラテジー・アンド・コンサルティング
【面接時間】60分
【質問内容】
「現在稼働している宅配業者のトラック台数を推定せよ」
思考時間:約15分
発表時間:約5分
その後は、ディスカッションを行った。
【感想】
思考の柔軟性を全面的に押した。具体的には、ファーストアウトプットの質もそうだがその後のディスカッションで指摘されたことに対しての返答にこだわった。返答では、指摘された箇所に対して、自身の仮説と新たな考えを柔軟に取り入れ返答した。
※出典:EYストラテジー・アンド・コンサルティング|ビジネスコンサルタント2024年卒インターンシップのケース面接
・アクセンチュア
【面接時間】45分
【質問内容】
・ケースパート
1. ◯◯業界の市場規模推定
2. ◯◯業界の拡大阻害要因(課題)
3. ◯◯業界を拡大する対策と定量的なインパクト推定
【選考の流れ】
└思考時間 15分
└発表 5分
└フィードバック 5分
└人物パート(20分)
<質問内容>
1. エントリーシート(ES)に関する深掘り(キャリアビジョン、挑戦したエピソードなど)
2. 逆質問(10分)
【感想】
・例年この1次面接の倍率は2倍程度であるが、2021年の選考ではインターン参加者が非常に多かったことから例年よりも倍率は低いと考えられる。インターン参加者数から推測するに、倍率はおそらく1.5倍程度ではないか。
・ケース面接では初めに10分間の個人思考時間がとられて、その後発表・ディスカッションという流れであった。
・アクセンチュアのケース面接では、抽象的なお題が課されることが多いが、今回は単純なケース面接であった。面接官によると思うが、周りは抽象的なお題を課されている人が多かったため、抽象的なお題に対しては前提や定義を明確化させ、面接官と共通認識を取ると良いだろう。※出典:アクセンチュア|戦略コンサルタント職2024年卒インターンシップの1次面接
・ローランド・ベルガー
【面接時間】60分
【質問内容】
近年、簡易的なジム(chocoZAPやエニタイムフィットネスなど)が流行している中で、郊外のロードサイドにある旧来型のジム(プールなどもついている大型のもの)がどのように売り上げを伸ばしていけば良いか
【感想】
簡易的なジムと旧来型のジムの異なる点を意識しながら考え、特に後者が特異点として生かせる部分が何なのかを考えた。対策立案にあたってはその部分が最大限生かせる対策を発表し、その他競合案も考えたことを付け加えた。※出典:ローランド・ベルガー|経営コンサルタント2024年卒本選考のケース面接
商社業界
・三菱商事
【面接時間】60分
【質問内容】
「◯◯を活用して、既存事業をより発展させてください」
思考時間3分、発表3分、その後は面接官との議論の時間が多く設けられた。
【感想】
ケース面接ということは事前にわかっていたため、練習問題を自分で解いた上で面接に臨むようにした。また、面接官との議論においては、質問に対して即座に反応することで、思考の柔軟性をアピールすることを意識した。※出典:三菱商事|総合職2024年卒本選考の2次面接
・三井物産
【面接時間】30分
【質問内容】
◯◯の消費量が減少傾向にある。OO年までに消費量をOO%増加させるための対策を考えてください。
思考時間3分、発表1分
【感想】
ケース面接では、面接官の方々との議論を楽しみ、共にアイデアをブラッシュアップさせるという心意気で臨んだ。※出典:三井物産|総合職(担当職)2024年卒本選考の1次面接
投資銀行業界
・シティグループ
【面接時間】30分
【質問内容】
日本のお菓子製品の市場規模を推定する。
ある会社の財務状態のグラフを見て、その変動要因について予想をする。
携帯電話代金の値下げに関して国が介入することは良いのかどうかについてのディスカッション。
【感想】
スーパーデーに向けてネガティブチェック的な色合いが大きいと思ったのでMD(マネージングディレクター)などの前に出しても問題ない学生であるというアピールが必要だと思った。
そのためには結論ファーストで構造的に話すことが非常に重要だと思った。※出典:シティグループ|投資銀行2022年卒本選考のケース面接
ケース面接で大切なこと:思考のプロセスを見せること
ここまで解いても、面接官に「芸能人を呼べばいいと思います!」とだけ伝えたら一蹴されてしまいます。ケース面接で最も大切なのは、結論に至るまでの思考プロセスです。今回の場合、以下のように伝えることで自分の考え方の道筋を示せます。
【伝え方の例】
私は「ギャラ3万円以内で芸能人に販売してもらう」のが最も有効と考えています。
ここに至るまでに3つの戦略を想定しました。
その3つは「ホットドッグの販売数を増やす」「単価を上げる」「頻度を増やす」です。
まず、販売数を増やす戦略については……(以下、先述の計算式を説明)
ここまで論理的に説明できるよう、計算用紙には単語だけでもメモを残しておきましょう。計算式だけを残していると、いざ説明する場面でしどろもどろになるので注意してください。
ケース面接の対策方法
ケース面接に臨むためには、事前の準備と対策が不可欠です。ここでは、効果的なケース面接の対策方法を紹介します。これらの対策を通じて、問題解決のスキルを磨き、自信を持って面接に臨みましょう。
ケース面接対策用の本を使う
ケース面接の対策本を活用することが重要です。これらの本には、ケース問題の概要や主題傾向、解き方などが1冊にまとまっています。面接の基本から応用までを網羅しており、初学者にも分かりやすく解説されています。 ここではおすすめの対策本を2冊紹介するので参考にしてみてください。
・『現役東大生が書いた 地頭を鍛えるフェルミ推定ノート――「6パターン・5ステップ」でどんな難問もスラスラ解ける!』(東洋経済新報社、2009年)
・『東大生が書いた 問題を解く力を鍛えるケース問題ノート 50の厳選フレームワークで、どんな難問もスッキリ「地図化」』(東洋経済新報社、2010年)
ケース面接の問題集を解く
ケース面接対策本と同じく、ケース面接の問題集も活用すると良いです。多くの問題を解いてアウトプットの経験を積んでいきましょう。
問題集を解く際は、ケース面接で問題への適応力を高めるために以下のステップで進めてみましょう。
- まずは問題を解く
- 「考え方のパターン」を増やす
-
「量」「質」「瞬発力」の順で問題への適応力を高める
まずは対策本や問題集の問題を解き、形式や傾向を把握しましょう。
次に考え方の切り口を増やします。例えば「国内の自動車の数を考えろ」という問題に対して、ガソリンの消費量、面積あたりの台数、年間生産数×自動車の耐久消費年数など複数の観点から思考できるようにするのが目標です。
1問に1時間ほどかけて、問題の考え方を何個も出す練習をして量をこなし、また、1問を30分ぐらいで解いて、自分の解法のどれが活用できるかを考えて質を向上させることも適応力を高めるために重要です。そして、問題を最後まで解かずに、1〜2分で考え方の筋道を立てる練習をすることで瞬発力を鍛えましょう。
ここではおすすめの問題集を2冊紹介します。
・『過去問で鍛える地頭力 外資系コンサルの面接試験問題』(東洋経済新報社、2009年)
・『戦略コンサルティング・ファームの面接試験 新版 難関突破のための傾向と対策』(ダイヤモンド社、2021年)
模擬面接をする
実際の面接形式に慣れるためには、模擬面接を行うことが効果的です。模擬面接を通じて、ケース問題に対する解答の流れや面接官とのやり取りに慣れることができます。フィードバックを受けることで、自分の強みや改善点を明確にし、次回の面接に向けて準備を進められます。
フレームワークを習得する
ケース面接において、適切なフレームワークを使用して問題を分析し、解決策を導き出すことは非常に重要です。フレームワークの使い方としては、2つのポイントがあります。
- 状況分析をして戦略を打ち出しやすくする
- 構造的にかつ網羅的に整理する
まず現状を分析し、問題点を明確にするのに使われます。現状を構造的に整理することで、早い段階で戦略を立てることができます。また、自分のプランを構造的にかつ網羅的に面接官に説明するのにも使います。
以下に、代表的な6つのフレームワークとその概要を紹介します。これらのフレームワークを習得することで、効果的な問題解決のアプローチを身につけることができるのでぜひ参考にしてみてください。
4P分析
4P分析は、マーケティング戦略を立案する際に用いられるフレームワークで、「Product(製品)」「Price(価格)」「Promotion (販売促進)」「Place(場所)」 の4つの要素を分析します。各要素を検討することで、マーケティング戦略の全体像を把握し、効果的な対策を打ち出せます。
3C分析
3C分析は、企業戦略を立案する際に用いられるフレームワークで、「Customer(顧客)」「Company(企業)」「Competitor(競合他社)」 の3つの視点から自社や市場を分析します。このフレームワークを使用することで、競争優位性を確立するための戦略を立てることができます。
5F分析
5F分析(ファイブフォース分析)は、自社の脅威である要素を分析するためのフレームワークで、「業界内の競合」「新規参入の脅威」「代替品の脅威」 「買い手の交渉力」 「売り手の交渉力」の5つの要素から構成されます。この分析を通じて、自社の利益の上げやすさから戦略を判断します。
5W1H
5W1Hは、情報の整理・伝達に活用するためのフレームワークで、「Who (誰が)」「What (何を)」「When (いつ)」「Where (どこで)」「Why (なぜ)」「How (どうやって)」6つの観点から情報を整理します。
これによって問題の全体像を把握し、効果的な解決策を導き出せます。
SWOT
SWOT分析は、自社の内部環境と外部環境を分析するためのフレームワークで、「Strength(強み)」「Weakness(弱み)」「Opportunity(機会)」「Threat(脅威)」の4つの要素を分析します。これにより効果的な経営戦略やマーケティングができます。
AIDMA
AIDMAは、消費者の購買行動プロセスを表したフレームワークで、「Attention(注意)」「Interest (関心)」「Desire (欲求)」「Memory (記憶)」「Action (行動)」の5つのステップを分析します。顧客の購買行動が何に支えられているかを理解し、効果的なマーケティング対策を設計できます。
ケース面接でボロボロになる失敗例
ケース面接は準備不足や思考の誤りから失敗しやすい場面が多くあります。ここでは、ケース面接で陥りがちな失敗例を紹介します。これらのポイントに注意することで、面接の結果がボロボロになることを防ぎ、より良いパフォーマンスを発揮できます。
代表的なケース問題を解いていない
ケース面接でよく出題される代表的な問題に取り組んでいないと、面接本番でどのようにアプローチすれば良いか分からず、戸惑うので対策は必須です。事前に多くのケース問題を解き、さまざまな業界やシナリオに対する解決策を考える練習をすることが重要です。
ディスカッションの練習をしていない
ケース面接では、自分の考えや立案を説明するだけでなく、面接官とディスカッションするスキルが求められます。ディスカッションの練習をしていないと、面接官とのコミュニケーションがうまくいかず、思考プロセスを十分に伝えられません。模擬面接などを通じてディスカッションの練習を行い、自分の意見を明確に伝えるスキルを磨くことが大切です。
正確性を意識しすぎる
ケース面接では、すべてのデータや情報を正確に把握しようとしたり、正しい答えを求めようとしたりするあまり、時間を浪費してしまうことがあります。正確性よりも、限られた情報からどのような思考のプロセスをたどったのか、解決策が妥当かどうかを重視する必要があります。
無理にフレームワークを使う
フレームワークは問題解決に役立ちますが、無理に適用しようとすると逆効果になることがあります。フレームワークに固執せず、問題に応じて柔軟に最適な方法を見つけることが求められます。
想定外の形式に対応できない
ケース面接では、予期しない形式の問題が出題されることがあります。機械的にパターンに当てはめていると、準備していない形式に直面した時に柔軟に対応できなくなります。面接の前に企業の面接形式を調査し、さまざまな形式の問題に触れ、多角的な視点で問題を解く練習をすることが重要です。
考え方さえわかれば、ケース面接は怖くない
最後に、ケース面接のステップをおさらいしましょう。
【ケース面接のステップ】
1. 達成すべき目標や前提条件を整理する
2. フレームワークや理論をもとに戦略を立てる
3. 戦略に沿った実行プランを考える
4. プランごとの成果を概算し、対策を絞り込む
以下に、初心者でも取り組みやすい例題をいくつか紹介します。皆さんもぜひ解いてみてください。
【例題1】
あなたは出会い系アプリを作っています。すでに競合アプリが10人に1人の20代を参加させている状況で、業界に参入しつつ利益を最大化するにはどうすればいいでしょうか。
【例題2】
日本に来た観光客は、滞在中に23.5万円お金を使います(※)。あなたは消費額を拡大させる戦略を立てるよう、観光庁から依頼を受けました。どうすればいいでしょうか。
※コンサル各社の出題例をもとにワンキャリア作問
※出典:観光庁「訪日外国人の消費動向 P.4」
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※こちらは2016年8月に公開された記事を一部変更・加筆して再掲しています。