「人材紹介って働き手をクライアントに紹介するだけの仕事なのでは?」
この記事のタイトルを見て、こうした疑問を持つ人も多いのではないだろうか。
そんな人にこそ注目してほしい「番狂わせ」が、人材業界で起こっている。
クイック。大手企業がひしめく人材業界で、同社は他社とは一線を画す理想を掲げる。その理想を現実にするかのように急成長を遂げ、2022年3月期には史上最高の売上約236億円(連結)を達成した。
「人材紹介ビジネスは、技術革新や業界変化の流れを作る仕事でもあると思うのです」
執行役員の柴崎さんに、クイックが追い求めるあくなき理想を聞いた。
本当にマッチする会社を見つけたいという思いから人材業界を志望
柴崎 雄貴(しばざき ゆうき):執行役員・人材紹介事業本部本部長
2008年入社、入社2年目にMR紹介サービスのブランディングをリード。4年目に医薬品業界チームのマネージャーを務め、その後、建設業界、製造業界チームの立ち上げに関わる。現在は人材紹介事業全体の責任者として、組織をけん引する。
──柴崎さんが入社された2008年ごろ、人材紹介業界の中で、クイックはどのようなポジションだったのでしょうか?
柴崎:クイックは人材紹介事業を立ち上げてからまだ5、6年ほどで、ベンチャーの1社という位置づけでした。そもそも人材紹介というビジネス自体、まだ世間での認知が低かったと思います。転職といえば、求人広告媒体から応募するのが一般的でしたから。
──そのような状況で、なぜ人材紹介業界を志望されたのでしょうか?
柴崎:就職活動をする中で、「自分が本当にマッチする会社ってどこなんだろう」と悩むことが多かったんですね。説明会に行っても、その企業の特色が見えづらく、人材像がどこも似たようなものになりがちでした。
でもこれは、「採用する企業側も同じ悩みを抱えているはず」とも思いました。採用活動は見るからに大変そうでしたし、本当にその会社の中で活躍する人を選ぶのには、相当なパワーが必要なのだろうなと。
キャリア選択の幅が広がる中、一方的な情報提供では、本当にその会社で活躍できる人材を採用するのは難しいのではないか。その人それぞれの価値観や考え方、志向性に合わせて情報を提供し、伴走してくれる存在は、今後ますます求められるのではないか──そう感じ、人材業界に興味を持ちました。
人材紹介事業は企業の経営課題の解決につながっている
──クイックに入社後は、どのようなプロジェクトに携わられたのでしょうか。
柴崎:入社後に配属されたのは、製薬業界のチームでした。私が入社2年目のときにMR職(※)に特化した事業展開を始めることになり、そこでプロジェクトリーダーを任されました。
(※)……Medical Representativeの略で、医薬情報担当者を意味する。製薬会社の社員として、自社の薬を医師や薬剤師へ宣伝し、導入を促す役割が多い。
──入社2年目で新規事業をけん引する存在になるとは。プレッシャーなどは感じませんでしたか?
柴崎:もともとクイックに入社したのも、戦略の独自性や、若手に挑戦の機会を設ける風土があると聞き、この会社なら力が付けられるのではと感じたからでした。ですから、あまり大変だとは思っていませんでしたね。
むしろ、答えがないところに、自分たちで答えを作るところに面白さを感じていた記憶があります。大変だった記憶が抜けているだけかもしれませんが(笑)。
──MR紹介サービスの滑り出しはいかがでしたか。
柴崎:結論からお話しすると、サービス開始から3年で業界ナンバーワンになりました。
──3年で! なぜそんなことができたのでしょうか。
柴崎:クイックでは人材紹介事業の立ち上げ時から、即戦力となりそうな短期的な求人だけではなく、中長期的な視点から製薬会社にメリットをもたらすような人材戦略を大切にしていました。「本当にその会社で活躍する人」を紹介するためです。
MR紹介サービスでも、MR職の中長期のキャリアや組織をどう構築していくべきか企業側に提案しました。当初は「言いたいことは分かるけど……」という反応もありましたが、共感してくれる人が徐々に増えてきたんです。
サービス開始から翌年には、クライアントの経営会議に呼ばれるまでになりました。短期的な「採用」の視点だけでなく、長期的な「組織づくり」の視点で意見を求められるようになったのです。自分たちがやろうとしていることは、経営課題の解決に関わることなのだと実感しましたね。
キャリアに光を当てる、AI時代の「人にしかできない仕事」
──「経営課題の解決」という話がありましたが、社会という単位だと、クイックはどのような課題の解決に取り組まれていますか?
柴崎:大きく2つあると考えています。1つは、世の中の変化の流れを作ること。人材紹介ビジネスは、技術革新や業界変化の流れを作る仕事でもあると思うのです。
例えば、自動車メーカーでは、自動運転システムや車載部品の制御のニーズにより、通信・ソフトウェア業界のエンジニア需要が高まっています。
これまで自動車とは縁のなかった業界の人材にチャンスがあるわけですが、実際にソフトウェア業界の現場で働く方は、このチャンスに気付いていないことがあります。ここに私たちが関わることにより、最初の「流れ」を生み出せるのではないかと考えています。
──なるほど。人材を流動化させることが、技術革新の流れの起点になるのですね。
柴崎:会社の経営資源は「ヒト」「モノ」「カネ」「情報」の4つといわれていますが、モノ・カネ・情報はヒトを起点にして動いていくものです。人材の流動化させることで、世の中の変化の流れを生み出す。そのことが、ひいては社会課題の解決につながるのではないかと思っています。
もう1つは、AI(人工知能)との共存です。最近のAIの発達は、本当に目覚ましいですよね。
──そうですね。AIが人間の仕事を奪うのも、時間の問題ではないかと思ってしまいます。
柴崎:10年後20年後はAIと人が共存して、AIが人の代わりに作業をすることも当たり前になるでしょう。そうなると、より「人にしかできないこと」が問われる世の中になります。AIが発達した世の中で、自分の武器と呼べるものを探るのは、とても不安なことだと思うのです。
ここに私たちの出番があると考えています。その人にしかない武器はなにか、そしてそれをどうやって高めるのか、キャリア形成に光を当てることが、私たちの仕事ではないかと。
──それこそまさに、「人にしかできない仕事」かもしれませんね。
柴崎:本当にそうですね。私自身、コンサルタントの仕事でも、マネジメントの仕事でも、新しい可能性を見つけられたときに一番やりがいを感じるんです。
企業や求職者はもちろん、社内のメンバーの新しい可能性を見いだせたときや、事業の今後の広がりについて想像できたときは、「明日からさらに新しいものが生み出せるのでは」と気持ちが高まります。可能性を最大化できることが、この仕事の面白いところですね。
企業と求職者の幸せを最大化する「一気通貫制」という仕組み
──ここまで人材紹介ビジネスの魅力をお聞きしました。では、クイックでは具体的にどのような取り組みをされているのでしょうか。
柴崎:人材紹介事業の立ち上げ当初から、クイックでは「一気通貫制」というスタイルを採用しています。
一気通貫制のイメージ図(クイック提供)
人材紹介ビジネスでは、企業側の担当者と、求職者側の担当者が分かれている「分業制」が一般的です。採用を考える側の理解と、転職を考える側の理解は、まったく別の仕事ですから、それぞれに専任の担当者をつけようと考える企業が多い。
しかし、分業制で効率よく仕事が進めることができるのは、あくまで人材会社側の内向きなメリットなんですね。
──なるほど。本来は、自社ではなく、顧客である企業と求職者のメリットになることをすべきだと。
柴崎:その通りです。クイックの「一気通貫制」では、企業側、求職者側の双方を1人のコンサルタントが担当します。それぞれの思いを深く理解したうえでマッチングをすることで、採用の確度も高くなり、離職率も抑えられるのです。
──一気通貫制がベストなスタイルならば、競合他社も取り入れるのではないかと思います。なぜクイックだけが成功しているのでしょうか?
柴崎: 大きく3つあります。1つ目は採用・教育です。
一気通貫制は、企業側と求職者側の双方を理解し、潜在的なニーズを察知した上で本質を捉えた提案を行わなければなりません。分業制に比べて、コンサルタントに高いレベルが求められます。
だからこそ採用と教育が重要です。クイックでは、選考プロセスにおいて最低でも5回、多い方ですと10回以上、社員にお会いしてもらいます。その中には現場社員も含まれ、理念や価値観に共感する仲間を全員で探しています。
また独り立ちまで時間がかかることを想定し、サポート体制を設計しています。コンサル専任の教育組織も設けています。
──若手の育成の部分にかなり力を入れているのですね。
柴崎:2つ目は独自の基幹システムです。人材紹介における一般的な業務システムは分業制を前提に作られているので、一気通貫制の業務フローに合わないんです。複雑な業務フローをできる限り効率化できるよう、社内にシステム部門を編成し、基幹システムを独自に開発しています。
3つ目は組織的なサポートです。クイックでは、過去の成功事例が蓄積されており、誰もがアクセスできる仕組みが整っています。また、コンサルタントだけでなく、マーケティング部隊やアシスタント部隊も組織的に配置し、システムで効率化できない部分をカバーし、コンサルタントがコンサルタントにしかできない仕事に集中する体制を整えています。
──こうした仕組みは、人材紹介事業を始められたときから作られてきたのでしょうか。
柴崎:そうですね。一気通貫制というビジネスモデル自体は、まねできるものかもしれません。ただ、このモデルを持続させ、求職者と企業をつなぐコンサルタントが本来の価値を発揮するには、仕組みが必要不可欠です。
加えて、カルチャーも重要です。クイックでは、担当する企業や求人を別のメンバーに紹介し合う横展開が自然発生しています。社内ではこれを「コラボレーション」と呼んでいます。顧客へよりよい選択肢を提案できるだけでなく、社員同士で「顧客にとってのベストな何か」を問い合うカルチャーが生まれています。
コラボで経験豊富なメンバーと若手が一緒にプロジェクトを手掛けることも多く、言語化しづらいナレッジなど、先輩の仕事を吸収するいい教育の機会にもなっています。
採用決定までの確度を高める「1分の1」という理想
──MR職など医療福祉業界から始まった業界特化型の支援は、その後、建設、不動産、自動車、半導体とさまざまな業界へと横展開され、いずれもトップクラスにまで成長しています。この成長のベースには、どのような考えがあるのでしょうか。
柴崎:私たちの理想は「1分の1」を実現させることにあります。「紹介した100人のうち1人が採用されればいい」と考えるのではなく、「この人なら」と紹介した1人が採用されるのがベストだと考えているのです。求職者からしても、最初に紹介されて受けた会社が「運命の1社」だったら、こんなに幸せなことはないですよね。
採用の手段は、時代とともに多様化し続けています。就活生の皆さんも、就活サイトだけでなくスカウトサービスも使って企業を見つける時代ですから。
ただ、手段が増えたからといって企業が採用しやすくなったかというと、そうでもありません。競争が過熱することで、入社後に活躍できる人材をどう採用するかが、むしろ難しくなっています。
──手段が増えたからこそ、人材の見極めが難しくなってきたんですね。
柴崎:採用の難易度が高まったことを受けて、競合他社では「母集団をどう形成するか」にフォーカスした提案が主流になっています。書類選考のハードルを下げ、採用候補者の母集団を大きくとる。採用の数を担保するために、確率論で考えるわけです。
──でもクイックは「100分の1」ではなく「1分の1」を目指すと。
柴崎:はい。クイックのコンサルタントは、企業にとって、求職者にとって、一番いいものは何かを常に追求しています。一気通貫制によって、企業や求職者の潜在的な魅力を見いだし、その会社にとってどういう人がいいのかをずっと考えてきました。
実際、他社に比べれば母集団の数は少ないのですが、採用決定に至るまでの確度が高いと評価いただいています。「1分の1」にはまだまだ届きませんが、それを理想としていることが、他社との差別化につながっていると感じています。
人と企業を結ぶ「点」から、人生設計をサポートする「線」へ
──クイックの今後の展望についてお聞かせください。
柴崎:直近では、新たな業界や職種に事業領域を広げていきたいと考えています。特定の領域でトップを取ってきた実績を踏まえ、その成功体験を他の領域にも転用していく「成功の横軸展開」を加速していきます。
中長期では、求職者の人生のパートナーとなれるような事業展開を考えています。1回限りの転職だけでなく、その人のキャリアを地続きでサポートできるサービスを作っていきたいです。
──もっと長い時間軸で求職者のサポートを続けるということでしょうか。
柴崎:はい。今やキャリア形成のために転職をすることは当たり前になり、人生で複数回転職することも珍しくありません。その全てにおいて、私たちがパートナーになれたらと考えているのです。
例えば看護師ならば、国家試験対策のアプリを作ったり、コミュニティーを形成したり、実務能力の向上を目的としたセミナーを開催したり……。キャリア選択の場面に関わりながら、人生設計に踏み込んだ事業展開をしていきます。
──こうした取り組みを広げつつも、求職者に寄り添った「1分の1」という軸は変わらないのですね。
柴崎:その通りです。「1分の1」が軸にあるからこそ、企業や求職者との強固な信頼関係が築けるのだと思っています。その強固な信頼関係を保ったまま、いかに中長期でLTV(ライフ・タイム・バリュー)を最大化させるか、という事業フェーズに入ってきました。
──マッチングという「点」が、中長期の支援という「線」に変わってきたというイメージでしょうか。
柴崎:そうですね。企業の経営課題や採用課題の解決など、「線」で考えるソリューションもどんどん増えています。そういう意味では、コンサルタントの成長にもつながりやすい状況といえるかもしれません。
チャンスに恵まれた環境で、次の時代を作る「仲間」を見つけたい
──学生にとって、「今クイックに入社すべき理由」はどこにあると思われますか?
柴崎:「点」から「線」に広げていくフェーズということもあり、非常にチャンスに恵まれている状況にあると思います。
事業領域を広げるため新たな業界チームを立ち上げる、求職者を中長期で支援するために戦略を立案する、マス向けのブランディングに取り組む──これまで磨いてきた武器を生かしていく段階に入るので、新たな機会やポジションが今後増えていくはずです。
単純にメンバーとして関わるというより、いちリーダーとして戦略やビジョンにも積極的に関わってもらいたいですし、そういう動きを望んでいる人に入ってもらえたらと思います。
──どのような学生なら、クイックで活躍できるでしょうか。
柴崎:顧客志向を貫ける人でしょうか。企業視点、求職者視点で物事を考えて、顧客課題に正面から向き合える人であれば。
ただ私たちは、採用は「部下集め」だと思っていないんです。どちらかというと「仲間集め」に近い。事業をどう成長させていくのかがこれからのフェーズになるので、そこに一緒に取り組んでくれる仲間になってもらいたいですね。
──柴崎さんご自身が入社されたときに比べると、今の若手メンバーはどう映りますか?
柴崎:ノウハウが蓄積されていることもありますが、今の若手のほうが高レベルの仕事をこなしていると感じますね。この立場になって現場に出ることはなくなりましたけど、常に嫉妬しています(笑)。
1年目から大きな採用プロジェクトを任されているメンバーも数多くいますし、当時の自分よりすごいことをしているなと。悔しさを感じますが、これが組織の成長なのでしょう。
──2年目でプロジェクトリーダーを任された柴崎さんと同じか、それ以上のチャンスが若手にもたらされる環境になっていると。
柴崎:そうですね。こうしたチャンスを若手にどう提供していくかが、私たちマネジメント側の使命でもあり、組織作りで一番面白いところだと思っています。
──それでは最後に、この記事を読む就活生の皆さんにメッセージをお願いします。
柴崎:自分の過去を振り返ると、学生時代は「分かりやすい正解」を追いかけていたと思います。テストで高い点数を取る、偏差値の高い大学に進学する、部活で大会に出て優勝する、というようなものですね。
ところが社会人になってみると、ビジネスには正解がないんです。何が正しいのかわからないし、上司は正解を教えてくれない。入社当時はそのギャップに苦しみましたが、2年目になってようやく「自分たちで正解を作っていくのがビジネスなんだ」と気づいた。そこから、仕事が面白くなったように思います。
自分たちで正解を作るところに、早い段階から取り組めるのがクイックのフィールドです。ビジネスパーソンとして事業・組織作りに携わりたい、そして自分自身の個の力も高めたいという人に、クイックは機会を用意しています。
次の時代の「正解」を作っていきたい方に、ぜひ来てもらいたいですね。
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【ライター:井上マサキ/編集:黒木貴啓(ノオト)、萩原遥/撮影:保田敬介】