※こちらは2022年9月に公開された記事の再掲です。
これからは「新卒コンサルタント」の価値が上がる時代になる──。
さまざまな経験がモノをいいそうな、戦略コンサルタントの世界。しかし、ボストン コンサルティング グループ(以下、BCG)で新卒採用責任者を務めるマネージングディレクター&パートナーの荻原英吾さんは、若手への期待感を口にします。
他のコンサルティングファームや事業会社の経営も経験し、再び戦略コンサルタントの世界に戻ってきた彼が、コロナ禍を経て思うのは、「型にとらわれないこと」の重要性。自身は難度の高いプロジェクトに取り組むとき、必ず新卒のメンバーをチームに入れるというこだわりがあるといいます。
今回の記事では、荻原さんに「アフターコロナで求められるコンサルタント」をテーマにインタビュー。コロナ禍を経て、コンサルティングファームが手がけるプロジェクトや、コンサルタントたちに求められる能力はどう変わってきたのか、新卒採用選考で重視するポイントも含めて伺いました。
<目次>
●事業会社に転職して痛感「どんなにいい戦略も、3カ月もたてば使い物にならない」
●30代で事業会社の経営を経験、それでも戦略コンサルティングファームに戻った理由
●危機に瀕した企業は、生き残りを懸けて「パーパス」と向き合う
●コロナ禍で変わるコンサルタントの価値。フレームワークありきの提案は通用しない
●これからは「新卒コンサルタント」の価値が上がる時代 ロジックではなく、発想力が求められる
●戦略コンサルティングファームは「時代の流れを見極める視点」を学べる場所
荻原 英吾(おぎわら えいご):ボストン コンサルティング グループ パートナー&マネージング・ディレクター
一橋大学 経済学部卒業、英マンチェスター大学 経営大学院修士。A.T. カーニー、日清食品ホールディングス株式会社を経て2018年、BCGに入社。日清食品ホールディングスでは経営企画部長、日清シンガポール社長/アジア総代表などを務めた。BCG消費財・流通・運輸グループ、マーケティング・営業グループのコア・メンバー。消費財、ファッションなどの業界に対し、マーケティング・営業戦略、新興国を含む海外進出戦略、新規事業、デジタル・トランスフォーメーション、M&Aによる事業拡大などのプロジェクトを手掛けている。(所属部署はインタビュー当時のものです)
事業会社に転職して痛感「どんなにいい戦略も、3カ月もたてば使い物にならない」
──最初に荻原さんのキャリアについて教えてください。ご経歴を見ると、A.T. カーニーと日清食品ホールディングスを経て、BCGに入ったとのことでしたが、どういう経緯で転職をされたのでしょうか。
荻原:実は新卒ではメガバンクに入行し、4年間勤めていました。出向などを通じて、さまざまな人に出会って自分の世界が広がり、改めて「世の中を本当に変えられるのは何か?」と振り返ったときに、戦略コンサルタントを知りました。A.T. カーニーには8年在籍し、プリンシパルまで昇進し、化粧品や食品といった消費財を中心に手がけていました。
──戦略コンサルタントの方が、プロジェクトなどをきっかけに事業会社に行くケースはよく耳にしますが、荻原さんが日清食品HDに入ったのはなぜですか?
荻原:僕の場合はプロジェクトと関係ないんですよね。当時、全社の戦略を検討していた安藤徳隆さん(現日清食品社長)と縁あって議論をしていたときに、日清食品がグローバルシェアを高める戦略について持論を展開していたら「じゃあうちに来てやってよ」とお誘いをいただきました。
経営企画部長として海外を含めた中期の全社戦略を立てたら、それも「じゃあ実行までやってくれ」と言っていただき、結果として、日清シンガポールの社長やアジア地域の総代表も務めました。
──そんなふうに転職や重要なポジションへの登用が決まったのですか!? 日清食品は歴史ある大企業ですし、スピード感も含めて意外でした。
荻原:入った直後はなかなか大変でした(笑)。外からやってきた30歳そこそこの人間が「戦略とはこうである」「方向性が間違っている」と正面切って言い放つので、経営会議では「若いやつが何を言っているんだ」っていう調子で、役員陣と衝突することも日常茶飯事でした。
──事業会社に転職したからこそ、得られた経験や知見などはありますか?
荻原:日清食品では、コンサルタントがロジックや知識として知っていることと、現場で起きていることとのギャップを痛感しました。
コンサルタントは、口ではよく「リソースの集中が大事である」といいます。こうした机上での議論に対し、海外の数カ所で工場を建てようとしたら、管理する人が足りなくて生産ラインにヒビが入って熱された油が漏れる、営業の規律が効かずお金を持って現地の従業員が逃げる、夜は枕を持ち込んで現地のワーカーが工場内で寝ていた──こうしたことが、リソース分散の本当の問題なのだと痛感しました。計画通りに進められないことや失敗を数えきれないぐらい経験しました。
──これがグローバル展開のリアルということですか、凄まじい……。
荻原:ビジネスの現場を本当の意味で知ったことで、クライアントの経営者の思考や悩み、優先順位なども分かるようになりました。どんなに良い戦略だったとしても「実現しなければ、意味がない」ということも実感できました。
特に若いコンサルタントは、戦略の「美しさ」にこだわる人もいるのですが、実現が伴ってこそ意味のある戦略といえますし、環境の変化が早く、3カ月後には使えなくなっている、ということもよくあります。競合なども含め、リアルタイムで変わり続ける外部環境にどう対応していくか。この感覚は、事業会社でこそ得られるものでしょう。
30代で事業会社の経営を経験、それでも戦略コンサルティングファームに戻った理由
──荻原さんほどの経験をしていれば、さまざまな選択肢があったのではないかと思いますが、コンサルティング業界に戻ろうと考えたのは、なぜだったのでしょう。
荻原:日清食品に6年いて、海外で成長する基盤を作ることができたタイミングで「キリがいいな」と感じたのです。この先、自分の成長曲線の傾きが寝てくることも想像できたので、同じことを続けるよりも新たな刺激を受けられる、より広いフィールドで戦おうと思い決断しました。
──戦略コンサルタントの方がフィールドが広いというのは、どういうことでしょう?
荻原:事業会社にいる限り、その会社の戦略しか考えられません。たとえ5,000億円が動く戦略を任されたとしても、その企業のスコープを超える取り組みはできません。その点、コンサルタントであれば複数の企業の戦略に携われるので、さらに影響力の大きな仕事ができますし、視野も広がります。
実際、戦略コンサルタントの世界に戻ってきたら、「世の中のデジタル戦略はこんなに進んでいたんだ」と驚きました。同じ食品会社でもペプシコやネスレなどは、日本企業の何年も先を行っています。世界の最先端を知ってクライアント企業に提供するのも、世の中に対する立派な貢献です。
──そう聞くと、業界を超えたところにも、さまざまな知見がありそうですね。
荻原:ファッション事業の視点で食品業界を見てもいいし、ビールの事業をより嗜(し)好品的な観点で分析してもいい。他の業界からのアナロジーに答えがある、という幅の広さは戦略コンサルタントならではの醍醐味(だいごみ)です。1つの事業会社に所属し続けると、どうしても視野の限界が出てきてしまうのです。
──戦略コンサルティングファームの中でも、BCGを選んだのはなぜですか?
荻原:求める分野での経験や知見を積める環境があったからです。他のファームからもお声がけいただいていましたが、日本の戦略コンサルティングファームの中では、専門性においてBCGが圧倒的に強いと思っています。その背景にはファームの規模の大きさがあり、現在は日本だけで1,000人くらいの規模になっています。
──規模が大きい方が有利なのですか?
荻原:ファームの規模が小さいと、できることが限られてしまいます。少ない人数で価値を出そうとすると、一人でなんでもやるジェネラリスト的な価値の出し方を目指すか、ファームとしてデューデリジェンスなどの特定領域に専門性を絞らざるを得なくなり、結果、どちらもできることが限定的になります。その点、ファームの規模が大きければ、プロジェクトの質や量や深さも格段に違い、各領域で選択的に専門性を蓄積できます。
今やBCGジャパンの中で、業界に特化した一部門は、小規模ファーム1社分に匹敵するほどの規模になっています。私自身は、消費財の専門性を強化したい、日本発海外のプロジェクトを中心にやっていきたいと考えていたので、戦略コンサルティングファームに戻るならBCG一択でした。
危機に瀕した企業は、生き残りを懸けて「パーパス」と向き合う
──昨今、新型コロナウイルス感染症感染拡大の影響で、苦境に陥る企業は少なくありません。コンサルティングファームはどんな影響を受けているのでしょうか。
荻原:新型コロナウイルス感染症は、それ以前から構造的な限界が見えていたビジネスモデルや企業の寿命を縮めたという印象です。もともと減少傾向にあったオフィスでのパーティー需要などの特定のシーンに依存していたとか、差別化が難しい商品を廉価で販売していたとか。
そのため、現在は企業が今そこにある危機にどう立ち向かうべきなのか、これまでは当たり前だった存在意義/パーパスや、事業領域/ドメインの設定そのものから見直すことで取り組もう、というプロジェクトが増えています。とても本質的な課題に向き合っていると思います。
──こうしたピンチのときに、事業の改善のみならず、会社の存在意義から考え直す企業が多いのはなぜなのでしょう。
荻原:どんな企業でも、社内の「膿(うみ)」のようなものや非効率な部分はあるものですが、景気の良いときは成長で覆い隠されています。それが今回のような危機で一気に表面化し、直視せざるを得なくなる。危機への対応に合わせて、一気に変革を進めようという機運が高まる企業は少なくありません。
今回の新型コロナウイルス感染症による危機は、2008年のリーマンショックとは異なり、単なる景気の後退やクレジットリスクの問題ではなく、消費者の行動やマーケットのあり方を始め、従来当たり前とされていた出社や対面の習慣といった「常識」までもが変化したという点です。だからこそ、生き残るために自分たちのビジネスそのものから見直す、という動きにつながっているのです。
──ビジネスそのものを見直す、というのは、具体的にはどのようなイメージですか?
荻原:例えば化粧品会社で考えてみましょう。コロナ禍でリモートワークが普及して外出する機会が減り、マスクをつけることが増えたことで、リップやファンデーションの売れ行きが悪くなってしまった──こういう状況下で「それならば、マスクに影響されないアイメイクのマーケティングを強化しよう」と考えるケースは少なくないと思います。
──分かりやすい方向転換かなとは思いますが……。これではまずいのでしょうか。
荻原:これは、単に減ったパイの奪い合いになってしまう安易な発想です。何より、化粧品が売れにくくなる、という根源的な問題は解決していません。少し遠回りかもしれませんが、例えば「そもそも、化粧品って『覆う』や『隠す』というアプローチでよかったのか?」という問いを立てないといけない。実際、コロナと関係なく、化粧品を肌に過剰に塗ることへの抵抗感や、ナチュラルメイクといったトレンドもあったわけです。
──なるほど。化粧品の存在意義から考え直すということですね。
荻原:彼らは今、「肌そのものを良くするには?」「内面から出る美を高めるには?」と、世の中に対して、化粧品会社ができることを考え直すタイミングに来ています。そこにどうアプローチしていくか。本質的な戦略のシフトが求められているのです。
コロナ禍で変わるコンサルタントの価値。フレームワークありきの提案は通用しない
──逆にコロナ禍で減ったプロジェクトはあるのでしょうか?
荻原:BCGではほぼなくなりましたが、手法が定まっていて、クライアントに提示する答えがある程度決まっているような「プロダクトアウト型」の案件は、業界全体的に減ったのではと思います。知識頼りの提案は通用しなくなってきていますね。
今、コンサルティング業界では、スキルといわれるものを筆頭に、コモディティ化が進んでいます。実際、日清食品にいたときにも、何社かの戦略コンサルティングファームが営業に来たんですよ。
──面白いですね。逆の立場になったと。
荻原:当時、僕のチームにも元コンサルタントのメンバーが10人くらいいて、営業に来たコンサルタントに「グローバルブランドを強くした経験はある?」「その成功要因や落とし穴は?」という質問をしたのですが、深い経験や知見が足りず、これらの問いに答えることはできませんでした。
──なるほど……。クライアント企業のレベルが高ければ、戦略コンサルタントも価値を出すのが難しくなるというわけですね。
荻原:ロジカルシンキングや戦略のフレームワークは、書籍やセミナーでも広く紹介されていて、多くの人にアプローチ方法が知られてきています。また、企業の中にも元コンサルタントという方が増えてきています。要は、コンサルティングスキルのコモディティ化が進んでいるということです。
企業側のレベルが高くなってきているわけですから、コンサルタントとしても、業界なり特定のジャンルに対する強み、つまり専門性や深い経験に基づくインサイトや視点、気付きを提供できなければ価値がない。単にロジカルシンキングの強みで戦ったり、知識のみを売っていたりしているようではダメなのです。
──プロダクトアウトの提案は通用しないと。
荻原:今コンサルタントに求められているのは、課題や問いから、ともに考えることです。変化の激しい時代において、課題がはっきりしている方がむしろ珍しい。各業界をリードしているクライアントからは、型にはまったソリューションではなく、プロジェクトごとに一から答えを模索する、テーラーメイド型の支援が求められています。
──お話はよく分かったのですが、ビジネスとして考えると、テーラーメイド型はコストがかかるし、スケールするのが難しそうです。
荻原:いえ、スケールの方法が変わったのです。プロダクトアウト型だと知識を横展開して、クライアントの数を増やそうとしますが、テーラーメイド型では、1つのクライアントと長くお付き合いをすることがスケーラビリティにつながります。
先ほど、「事業会社では、1回考えた戦略も3カ月たてば使い物にならなくなる」というお話をしました。だからこそ、戦略を1つ作って終わりではなく、何度も考え、サイクルを回すことが大切になります。さらに戦略の変更に合わせた改革も必要です。組織や社内風土の改革まで手掛ければ、3年がかりのプロジェクトになります。
──短期間で終わるプロジェクトが減るわけですね。
荻原:お付き合いが長くなれば課題もより難しくなりますが、クライアント1社からいただくフィーの合計額はとても大きくなりました。事実、コロナ禍のこの3年間においてもBCGは毎年2ケタ成長を続けており、過去最高の売り上げと利益を記録しました。
──それはすごいですね。BCGが企業から支持される理由はどこにあるのでしょう。
荻原:CEO(最高経営責任者)のトラステッド・パートナー(信頼される相談相手)のポジションを取ってきたことですね。今回、事業を根本的に見直そうという企業が増える中で、クライアントのCEOと議論する時間が非常に増えました。「そもそも、このビジネスは必要か」「営業パーソンをゼロにして新しい仕組み作った方がいい?」というようなレベルの発想はCEOならでは。現場からは出てきにくいですから。
これからは「新卒コンサルタント」の価値が上がる時代 ロジックではなく、発想力が求められる
──これまで多くのコンサルティングファームでは、新卒出身者にさまざまな案件を短期間で経験させることで育成してきたところがあると思います。テーラーメイド型で案件の期間が長くなれば、育成に必要な時間も長くなるということなのでしょうか。
荻原:確かにその側面はありますが、一方でBCGでは、取り組む課題が難しくなることで、新卒出身者もよりチャレンジングでレベルの高いプロジェクトに携われるようになりました。結果として、過去にないスピードで成長する若手も出てきています。成長したいコンサルタントからすればこの上ない環境だと思います。僕は最近、プロジェクトチームを作るときには必ず新卒入社のコンサルタントを入れます。先入観なく物事をフラットに見られる、ゼロベースで考えられるというのはとても重要です。
──面白いですね。新卒ならではの視点がプロジェクトに不可欠になっていると。
荻原:業界の習慣や常識は新卒には関係なくて、「この仕組みって意味なくないですか?」「なんでこんな非効率なことをやっているんでしたっけ?」のような無邪気な視点が大きな意味を持つ時代です。料理でいえば、日本料理とか中華とかのジャンル関係なく、組み合わせや発想力、技術で勝負していく世界です。さらにいえば、フランスの「ヌーヴェル・キュイジーヌ」みたいな、従来のジャンルをさらに超えて、本当に良い新しい料理を作っていく時代だと思います。
──若手への期待が大きいですね。
荻原:新卒の方であっても、前線の一番優秀さが求められるところで戦うことになるので、中途半端な人は採用しません。今後もしっかりと新卒採用の活動を続けていきます。
──それは、採用人数を増やすということでしょうか?
荻原:いえ、BCGは毎年だいたい十数名から数十名程度を新卒で採用していますが、これはファーム全体の規模から考えれば、他のファームよりかなり少ない人数です。これは育成に時間をかけて、一人一人を手厚く育てる方針をとっているから。今後も採用人数は極端に増やさない予定です。
入社してからしばらくは、プロジェクトリーダークラスの社員が1人につき新卒5人くらいを担当して、進捗(しんちょく)や課題感などを多いときは週1回ペースでヒアリングしています。成長は自己責任が原則ですが、育成はファームの責任との共通認識があるぐらい、フォローの体制は充実しています。こうした体制が作れるのも、規模が大きいBCGだからこそだと思います。小規模ファームだと、人材へ投資する余力は生まれにくいですから。
──コロナ禍を経てプロジェクトの形が変わったのであれば、「採用したい」と考える学生像も変化があったのではないでしょうか。
荻原:BCGではダイバーシティをとても大事にしています。これは単なるお題目ではなく、多様なバックグラウンドの人が集まって議論することから、新たな価値が生まれると信じているからです。そのため、新卒採用では「価値観を揺さぶられるような経験があったか」「物事をどこまで徹底的に突き詰められたか」といった点などを重視するようになりました。これが柔軟で新しい発想につながると考えています。
──ロジックのような要素だけではないのですね。少し意外でした。
荻原:ロジカルシンキングももちろん重要ですが、ロジックだけで突き詰めていくと、独自性のある提案になりにくいです。クライアントがパーパスや事業ドメインで悩んでいるとして、ロジックだけで突き詰めても他社と似たような答えにたどり着き、差別化ができません。
そこで、例えば音楽を追求してきた新卒コンサルタントなら、自分の経験や価値観に照らして「僕はこの点が面白いと思います。なぜなら音楽の世界でもこんなことがあるから……」という発想が出てくる。右脳的な発想や価値観、好き嫌いすら武器にして、従来の枠組みにとらわれない見立てができることが強みになります。
戦略コンサルティングファームは「時代の流れを見極める視点」を学べる場所
──事業会社とコンサルティングファーム、どちらをファーストキャリアにするかで悩む学生は少なくありません。両者を経験した荻原さんから見て、ファーストキャリアに選ぶならどちらが良いと思いますか?
荻原:どちらに進んでもメリットはあるし、面白いと思います。戦略コンサルタントのメリットは、変化に対応しやすいキャリアを歩めることですね。どの企業が伸びるか、どんな仕事が面白いか、業界や産業構造がどう変化するのか……。経験を重ねることで、時代の流れを見極める「視点」が身につきます。これはクライアントワークに役立つのはもちろん、不確実性が高く、1社にとどまることが当然ではなくなってきたこの時代、自身のキャリア形成にとっても重要です。
──スキルよりも「視点」や「見抜く力」が重要ということですね。
荻原:昔のトヨタ自動車の「カイゼン」のような、過去の延長線上で仕組みを良くするという発想から転換する必要があります。枠組みそのものが消えかねない時代ですからね。どの会社にしても、50年後も同じように存続しているかは、誰にも分からなくなってきました。
私自身が30代で経営者を経験できたように、戦略コンサルタントは、事業会社で数十年かけて積み上げるキャリアをショートカットできるという強みがあります。戦略を通じてシニアの経営者と触れる機会が多く、経営の「視点」を早くから身につけられるからです。経営者志望や世の中を変えたい人には、戦略コンサルタントのキャリアは大きなアドバンテージになるはずです。
──戦略コンサルタントを目指そうとする学生に向けて、ファーム選びのコツを教えていただけませんか?
荻原:コンサルティングスキルがコモディティ化しつつあるという前提を持った上で、どのファームなら自分のやりたいことにフィットしていて、価値や潜在能力を伸ばし得る環境がありそうかを見てほしいです。私の場合は、「日本の経済・社会をグローバルで強くしたい」というのが仕事に対する大きな軸です。日清食品にいた当時から、「日本の良さを海外に輸出したい」「成功事例を作って業界を元気に」という思いがありました。
──その軸がBCGにフィットしたということですか。
荻原:はい。BCGは各インダストリーのトップ企業の多くでブレーンを務めています。トップ企業がゆえに、日本発海外のプロジェクトも圧倒的に多くあります。また、BCGは「Unlock the potential of those who advance the world」というパーパスを掲げていますから、日本企業の潜在能力を海外に展開したいと思っている僕としては、その点にも非常に共感できます。
──ありがとうございました。最後に読者にメッセージをお願いします。
荻原:戦略コンサルタントは、昔よりもう一段エキサイティングになっています。フレームワークを使い、型どおりのソリューションを提供するのではなく、自分の経験や価値観に基づいた視点で、「この業界を良くするには」「日本が競争力を持つには」というレベルから考えられる時代です。ファクトを見て、新しい光を当てるという新卒ならではの価値を出せる人に、ぜひともBCGの門をたたいてもらいたいと考えています。
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