※こちらは2016年3月に公開された記事の再掲載です。
「社員の人に惹かれた」など、人を軸にした志望動機はどの企業でも作りやすいのがメリットだと思うのですが、反対に欠点はありますか?
早稲田大学3年 ♂ ニューミーさん
執行役員の北野唯我(KEN)です。
この連載では、私がこれまで日系大手・外資大手・ニート(!)、そして現在ベンチャーの管理職として働いている経験を通じて、微力ながら、皆さんのキャリア相談に乗っていきたいと思います。
そもそも、面接とは「自分がその会社で活躍できること」を面接官にイメージさせるプロセス
そもそも面接とは、一体、なんなのでしょうか?
就職活動はよく「マッチング」だと表現されます。その意味は、学生が求めるニーズと、企業が求めるニーズが一致する組み合わせを探す、ということでしょう。では、一体、「企業が求めるニーズ」とはなんなのでしょうか。
結論からいうと、企業が求めるニーズとは「その会社で活躍できる人材」です。企業には果たすべき社会的役割があります。それを達成するためには、社長一人では達成できない。一緒に目標に向かってくれる仲間が必要。これが法人と従業員が結ぶ雇用契約です。しかし、「その人が活躍するかどうか?」は実際に働いてみないとわかりません。では、どうやって見極めるのか?
それが面接の場です。企業は「入社後、活躍できそうな人」を面接の場を通じて、見極めようと頑張っているわけです。これを学生視点で言い換えると、面接とは「自分がその会社で活躍できること」を面接官にイメージさせるプロセスだということです。
弱点1:「入社後、活躍できる人材」のイメージにつながらない企業がある
質問は、「人を軸にした志望動機の欠点はあるか?」ということでした。
結論から言うと、欠点の1つ目は、「入社後、活躍できる人材」のイメージにつながらない企業があることです。そもそも「どういう人材が活躍すべきか」は何で決まるかというと、大きく2つあります。
(1)その業種・企業で発生する業務はどんなものが多いか?
(2)その業務を遂行するために必要な能力・気質はどんなものか?
この2つを踏まえると、業務を遂行するための能力・気質に、「人柄」や「社内の人間とうまく協力する力」が極めて重要な場合、志望動機の「人推し」は強い理由になります。反対に、人柄よりも、専門知識、製品への愛情、論理的思考などが重視される場合、人を推した志望動機はこれらより弱い志望動機になります。「コンサルでは、志望動機があまり聞かれない」というのはこれにも関連しています。よって、人推しをする場合は、「その理由が、その企業で活躍する上で大事な要素であること」を明確にする必要があります。
弱点2:定性的・部分的根拠であるため、ロジックが弱くなりがち
2つ目は「ロジックが弱くなりがち」ということです。
人推しする場合、どこまでいっても定性的な情報でかつ、N数(聞いた人数の数)にも限りがあります。したがって「説得力」に弱さが残りがちです。
例えば、あなたが面接でこう言ったとしましょう。
「OB訪問させていただいた、Aさん、Bさん、Cさんの◯◯という点がとても魅力的で、御社でぜひ働きたいと思いました」と。しかし、面接官がロジカルなタイプであれば、必ずこう感じます。
「話を聞いたのって、たった3人だよね? それで全体の社風がなぜ分かるの?」これは3人ではなく、10人でも一緒です。どこまでいっても、定性的かつ限定的な情報です。
ではどうすればいいのしょうか? 結論からいうと、「アドホックにいくこと」です。
アドホックとは、「ある特定の状況下において」や「暫定的な」という意味です。言い換えれば、条件を明確にしたうえで、説明するということです。例えば上記の例でいうと、「もちろん、全社員を見たわけではないのですが、OB/OG訪問させていただいた3人、皆様が◯◯という点で魅力的でした」と前提を付け加えることです。あるいは「現時点において出会った3人は全員〜」と暫定的な答えであることを示すことです。これによって、論破を防ぎやすくなります。
弱点3:他人本位な人間として、マイナス評価されることがある
最後の弱点は、「そもそもマイナス評価につながる可能性があること」です。
人推しの理由を出す、ということは「一緒に働く人のタイプによって、影響を受ける」ということです。これは言い換えれば、「一緒に働く人が苦手なタイプであれば、モチベーションが下がる可能性があること」を自ら示していることになります。もちろん、一緒に働く人との相性は、誰でも多少は影響を受ける要素です。しかし、あまりに人推しをしすぎると、「他人本位すぎて環境に影響を受けすぎる=入社後活躍できない可能性がある」となりえます。
では、どうすればいいのか? 方法は3つあります。
1. 他人本位であることが強みにつながる業種を、そもそも受ける
2. 人推しの志望理由は、あくまでメインの理由のサポートとして使う
3. 自分主導で環境を変革していったエピソードを話し、懸念を取り払う
です。オススメは2です。あくまで他の志望動機をメインに置き、人推しの志望動機はサブでおくのがセーフティでしょう。
メインの志望動機の作り方はこちらの記事がオススメです。
・30分の準備でOK!【IR情報で】明日までに作る面接官を感動させる志望動機
・30分の準備でOK!【転職サイトで】明日までに作る面接官を感動させる志望動機
まとめ
まとめると、人推しの志望理由のデメリットは以下の3つです。対応策は、上記を見てください。
・「入社後、活躍できる人材」のイメージにつながらない企業がある
・定性的・部分的根拠であるため、ロジックが弱くなりがち
・他人本位な人間として、マイナス評価されることがある
本回答が皆さんの疑問を少しでも解消できたとしたらこれ以上幸せなことはありません。では、また次の機会に。
▼北野唯我(KEN)のキャリア相談:記事一覧▼
Vol.1【OB訪問】OB訪問に行く理由がいまいちわかりません。by慶應大学3年生
Vol.2【志望動機】面接とは「自分がその会社で活躍できること」を面接官にイメージさせるプロセス。人を軸にした志望動機の欠点とは?
Vol.3【就活法】「就活って、何社エントリーすべき?」by東京外国語大学井上さん
Vol.4【企業選択】「ベンチャーか、大企業か?」と悩むのは「赤いりんご」が好きか、「青いりんご」が好きか?で迷っているのと同じ
Vol.5【人事視点】人事は「超優秀だが、逃げる学生」と、「彼より劣るが、自社に確実に来る学生」どちらを採るべきか?の二律背反で悩んでいる
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Vol.7【マインドセット】就活がつらいです。自分の将来が見えませんby早稲田大学4年生
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Vol.10 成長しない産業でずっと働くのは、ラスボスがいないRPGを進めるようなものだよ。—なぜ、優秀な人ほど3年で辞めるのか?
執行役員 北野唯我(KEN)
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──記事一覧はこちら:ワンキャリア北野唯我(KEN)特集
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