大泉洋「あのー? TOPPANのこと、印刷の会社だと思ってません?」
成田凌「別に思ってませんけど、でも名前が凸版印刷……」
大泉「名前で判断するんですか? 安易だな〜」
成田「じゃあ、何の会社なんですか?」
大泉「突破する会社ですよ。TOPPANだけに」
突然、繰り広げられたこの会話劇。凸版印刷が4月に公開したテレビCMの一幕です。俳優の大泉洋さんと成田凌さんが軽妙なやりとりを披露し、最後は「TOPPA!!! TOPPAN」のナレーションで締めくくられます。
・実際の動画はこちら社名にある「印刷」の仕事にとどまらない会社の事業領域を伝え、社内外に向けて「すべてをTOPPA(突破)する会社」というブランディングを進めることを狙ったテレビCMですが、「学生にも凸版印刷の真の姿を知ってほしいというメッセージが込められている」と制作チームは語ります。
凸版印刷が目指す「突破」とは何か、そしてどこに向かおうとしているのか。企画・制作に携わった宣伝部の佐藤さん、渡邊さん、行德さんのお三方に、お話を伺いました。
(左から)佐藤さん・行德さん・渡邊さん
印刷だけじゃない、「地球規模の課題を突破する会社」です
──CM、拝見しました。最後に出てくる「すべてを突破する。TOPPA!!! TOPPAN」というメッセージが気になったのですが、これはどういう意図なのでしょうか?
佐藤:凸版印刷というと、社名に印刷と付いているので、世間では紙にインクを使って印刷している会社のイメージが強いかもしれません。しかし、実際はさまざまな領域で事業を展開しており、書籍やカタログ、ポスターなど紙に印刷するペーパーメディアの仕事は、全体の40%ぐらいなんです。つまり、6割は違う分野の仕事になっています。
事業の方向性としても、今後はさらにお客さまのDX(デジタルトランスフォーメーション)を支援したり、SDGsへの取り組みを強化したりと、新しい事業分野におけるビジネスを拡大していきたいと考えています。その際に「紙に印刷しているだけの会社」という印象が強いと、今後、新事業の拡大や、優秀な人財の獲得に負の影響をもたらしかねない状況にあります。
そこで、印刷だけではなく、世界中のあらゆる課題解決に取り組んでいる凸版印刷の真の姿を多くの方に知っていただきたいと考えました。そのために、まずは「印刷だけじゃない」ことをメッセージとして打ち出しました。
佐藤 圭一(さとう けいいち):広報本部 宣伝部長
広告会社の営業職を経て、ビジネススクールでMBA取得後の2006年に凸版印刷株式会社入社。以来、ブランドコンサルティング部門にて、企業経営とコミュニケーションの両サイドからコンサルティングサービスを提供。これまで多種多様な企業のブランディングプロジェクトに携わる。2017年から広報本部に異動し、TOPPANのリ・ブランディング活動に取り組み、2021年4月から新設された宣伝部の部長に。著書に『選ばれ続ける必然 誰でもできる「ブランディング」のはじめ方』(講談社)など。
──「印刷だけの会社」というイメージをまず突破して変えたいということですか。
佐藤:当社の幅広い事業領域を一言で表すことはなかなか困難ですが、社会的価値創造企業として、多岐にわたるフィールドで、課題解決をする企業であることを、「すべてを突破する」というメッセージに込めました。つまり、地球規模のさまざまな社会課題に対して解決策(ソリューション)を提供し、イノベーションを起こしていく当社の姿や意志表明を、「突破」という言葉で表しているのです。
4つの成長領域とDX、SXに注力
──印刷だけではない、突破する会社だというメッセージは伝わりましたが、どういった事業を行い、どのように突破していくのでしょうか?
佐藤:トッパングループとして重点的に取り組むべきだと考えている領域は、大きく分けて4つあります。これらの領域にトッパン独自の技術やノウハウを掛け合わせ、持続的な社会の実現を目指しています。
※引用:凸版印刷「トッパンのサステナビリティ」
1つ目は「健康・ライフサイエンス」です。今後、高齢化はどんどん広がっていくと予想されています。そこではさまざまな課題に直面するでしょう。凸版印刷は、健康長寿社会の実現に向け、食や運動、医療に関連した新たな事業やソリューションを提供していこうと考えています。
2つ目は「教育・文化交流」です。世界中の多様な文化や価値観を持つ人たちが活躍できる社会にしていくために、教育や文化の充実したコンテンツやコミュニケーション手法を開発していこうというものです。
3つ目は「都市空間・モビリティ」です。誰もが快適で安心して生活できるユニバーサル社会の実現に向け、空間と時間の両面からストレスを感じない街づくりに貢献していこうとしています。
4つ目が「エネルギー・食料資源」です。世界人口が急増し、資源問題が深刻化する中で、環境と開発を両立させるサステナブル社会の実現に向け、エネルギーや食料など資源の最適化、環境保全の問題にグローバルに取り組んでいます。
例えば、フードロスは大きな問題で、世界の食料の3分の1ぐらいは賞味期限切れや食べ残しなどで捨てられているといわれています。凸版印刷が提供する「GL BARRIER」(透明バリアフィルム)は、製品の酸化や乾燥を守り、内容物の変質、劣化を防ぐ素材です。
食品や飲料、医薬品などのパッケージに「GL BARRIER」を使用することで、品質を長期間保持する(つまり賞味期限を延ばす)ことが可能になります。そうすることで廃棄される食材や製品を少なくできます。またビンや缶と比較して圧倒的に軽量でコンパクトなパッケージとなることから、輸送エネルギーの節約となり、環境負荷低減につながります。
まさに、社会課題を突破している好例といえるのではないでしょうか。ちなみにこのフードロスをテーマにしたテレビCM第3弾を、7月10日(土)から放映しています。
──CMの第2弾は、DX事業に強いことに注目した内容でした。DXも注力する事業の1つでしょうか?
佐藤:そうですね。2021年5月に発表した中期経営計画では、DXとSX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)によって、ワールドワイドで社会課題を解決するリーディングカンパニーを目指すことを掲げました。
──「凸版印刷」という名前からアナログなイメージを持つ学生もいると思うのですが、DXがどう結び付くのか、お聞きしたいです。
佐藤:例えば、凸版印刷はダイレクトメールを送付する業務などにおいて、膨大な顧客情報を扱っています。これらのデータを安全に管理する能力や、顧客データを適正に管理し、それを活用・分析する技術、マーケティングや企画に生かしていくノウハウを持っています。
また、多くの企業の課題解決をする中で、情報の担い手である凸版印刷が、企業のデジタル変革における解決策を提案するのは自然の流れだと思っています。
──なるほど。顧客の期待に応えようとする中で、デジタルにも強くなっていったのですね。
佐藤:ビジネスのあり方や生活者の嗜好(しこう)、行動が大きく変容しデジタル化が加速する中で、社会や企業のデジタル変革を支援する製品・サービスなどを積極的に提供しており、今後も拡大させていく予定です。
専門性の高いメンバーと一緒に課題解決に取り組む面白さ
──顧客の課題解決という話がありましたが、凸版印刷ならではの課題解決を挙げるなら、どのような特徴がありますか。
佐藤:社内基盤という意味では、凸版印刷には2万社以上の顧客基盤、つまりお客さまがいます。お客さまから相談を受けて対応するだけでなく、こちらからお客さまの課題を見つけ出し、自主的に企画を提案することもできるわけです。
例えば、私がある企画を実現したいと思ったときに、社内の営業担当に「こういう提案をしたいから、お客さまとつないでくれないか」と相談できます。トッパングループのネットワークを生かして、自ら提案し、企画を実現させることができるんです。
自分がこういうことをやってみたいと思ったら会社の看板を使って、何でもチャレンジできる基盤があるというのも凸版印刷の強みのひとつです。
──なるほど。お客さまや社員同士のつながりを生かせるのは凸版印刷の強みかもしれませんね。
行德:確かに、人脈づくりが得意な人、相談上手な人が、凸版印刷で活躍している印象です。営業担当の場合、お客さまから相談を受けたときに対応するための社内チームづくりを手際よく行います。例えば、「Webのプロモーションだったら◯◯さんが詳しいからすぐ連絡して……」というように、社内外にコネクションを持っており、すぐ相談できる人脈を持っている人が活躍しています。
言い換えると、社内に専門的な力を持っている人が豊富にいるということでもあります。お客さまの課題を解決するために、社内リソースをうまく活用できる人が活躍できる会社です。
行德 茜(ぎょうとく あかね):広報本部 宣伝部 主任
多摩美術大学美術学部卒業、東京藝術大学大学院美術研究科修了後、2011年に凸版印刷株式会社入社。クリエイティブ本部にて、企業のコーポレートコミュニケーションや販促の企画・制作を担当。2016年に広報本部に異動し企業広告の企画・制作に携わる。2021年4月より宣伝部に所属しTOPPANのリ・ブランディング活動に従事。
渡邊:私も同じように感じます。チームを組んで進めることに誰もが慣れているので、部署を超えた連携が得意だと思います。以前、販促支援の事業部にいたときに、今まで印刷物の制作でお付き合いしていたお客さまから、アプリをつくりたいという話があったんです。
希望されるスケジュールがタイトだったので、その後、すぐに社内の人間に相談しました。このお客さまは今までこうだった、今回の希望はこうだ、という情報を共有すると、方針を固めてお客さまにクイックに提案ができて受注につながることが多いです。お客さまの課題に向き合い、部署を超えて皆で協力し解決できるのが凸版印刷の強みです。
渡邊 慎悟(わたなべ しんご):広報本部 宣伝部 主任
2007年凸版印刷株式会社入社。大阪勤務時は写真撮影やディレクション業務を実践。2011年より東京で企業の販促支援、制作ディレクションを担当し、カタログ・チラシ・Web・アプリなどの企画・提案・制作を行う。2016年には青年海外協力隊としてベトナムのフエに赴任し観光支援活動に従事。2020年より広報本部へ異動し、TOPPANのリ・ブランディング活動に携わる。
──なるほど。今のお話では組織としての課題解決力をお聞きできたと思うのですが、事業としての強みはどこにあるでしょうか?
佐藤:事業領域が広いので、社内の豊富な技術やノウハウを組み合わせてソリューションを提供できることですね。一般の会社ですと、部門ごとに売るものが決まっている場合が多いと思いますが、凸版印刷はお客さまの業種業態も多岐にわたり、課題も幅が広いので、提案できるソリューションにはさまざまな形があります。お客さまの期待を超える解決策を、その都度考え、提供できます。
──事業領域の広さを実感することはありますか?
佐藤:私の場合ですと、もともとブランディングをやりたくて凸版印刷に中途入社したのですが、最初は「なんで印刷会社に行くの?」と周りから言われましたし、凸版印刷でブランディングの仕事が本当にできるのかなとも思いました。ブランディングをやりたいなら広告会社やコンサルティング会社に行く人が多いですから。
ところが、ふたを開けてみたら製造、金融、情報通信、サービスなど、多岐にわたる業種の企業のほか、地方公共団体や大学なども含めて、数多くのコーポレートブランディングプロジェクトに携わることができました。凸版印刷には、さまざまなフィールドや舞台が用意されているので、それを活用したい人には面白い会社だと思います。
やりたいことがあれば、大きなプロジェクトを動かせる
──行德さんと渡邊さんのお2人は、どのような理由で入社を決めたのですか?
行德:私は美術大学の出身で、就職活動をするにあたってはデザイナーよりもディレクターとしてデザインの仕事に携わりたいと考えていました。凸版印刷は、入社1年目からアートディレクションの業務に携われると聞いていたので視野に入れていました。そこで、OB・OG訪問をし、その先輩にとても良くしていただいたんです。入社までの選考やプロセスで、具体的なアドバイスをもらってこんな先輩と一緒に働きたいなと思い、凸版印刷を選びました。
渡邊:私も行德と同じく、芸術系の大学出身です。写真を専攻していたので写真に関われる企業を探して、凸版印刷の会社説明会に参加しました。今も在籍している南雲暁彦(凸版印刷のチーフフォトグラファー)というカメラマンがいます。世界中をフィールドに魅力的な写真を撮っているその姿に憧れを抱き、入社を決めました。
──社員のバックグラウンドも幅広いんですね。凸版印刷ではどのような人を求めているのでしょうか。
佐藤:高い志があり「自分がやりたいことを会社の看板を借りてやってしまおう」といった意欲を持った人が合うと思います。会社に入ったら、あとは会社がなんとかしてくれると考えてしまう受け身体質ではなく、自分の志のために、自らの意志で積極的にどんどん挑戦するような人ですね。
──凸版印刷には、自らやりたいことがある人や、新しいものにチャレンジしたい人が多いのでしょうか。
佐藤:社内には、さまざまな専門分野があって、その分野のプロフェッショナルがたくさんいます。「好き」を仕事につなげている人は輝いているように感じます。
これは直接的な業務だけでなく、例えば社内報に「社内のマニア見つけました」というコーナーがあります。宝塚歌劇団が好きだったり、鉄道マニアだったり、eスポーツだったり、ニッチな分野においても社内にはマニアがいます。この「好き」という気持ちを突き詰めて、人や仕事に結びつけられる人は、凸版印刷に合っているのではないでしょうか。
行德:実際に凸版印刷では社会人eスポーツリーグを運営していますが、それも若手社員の提案からです。若手からでも好きなことを仕事に結びつけられると実感しています。
渡邊:付け加えるなら、普段の業務に生かせる研修プログラムが非常に充実しているので、そういう面でもチャレンジを応援してくれます。私自身は社内のトレーニー制度を利用し、海外青年協力隊に所属してベトナムの観光業務に1年間従事しました。入社してからも学べる機会はたくさんあります。
情報・文化の担い手として、社会を支えながら世の中にインパクトを出せる仕事
──就職活動をされているみなさんにメッセージをお願いします。
渡邊:就職活動をしていると、入社がゴールみたいなイメージになると思うのですが、入社してからがスタートです。その会社に入ってから何をやりたいかも考えて活動すると良いと思います。
佐藤:その上でも会社を名前だけで判断せず、興味を持つ会社についてしっかり詳しく調べることが大切です。就活をする前は知らなかったその会社の事業や魅力が見つかると思います。それを知った上で、やりたいことや10年後の自分のありたい姿を想像し、自分に合う会社を探してほしいですね。
行德:気になる会社があればOBやOGを見つけて、直接話を聞いてみるのがいいかもしれませんね。他にはどのような先輩社員がいるのかを聞くことで、自分と会社のより良いマッチングが行えると思います
──最後に、凸版印刷は今後のどのような姿を目指していくのか教えてください。
佐藤:凸版印刷の企業理念に「情報・文化の担い手としてふれあい豊かなくらしに貢献します」という言葉があります。昔は、情報・文化を伝える手段の多くは印刷物だったかもしれませんが、今はその手段自体が大きく変わりました。
とはいえ、情報・文化の担い手として社会貢献していくという使命は、これからも変わりません。今進めている「すべてを突破する。TOPPA!!! TOPPAN」というメッセージも、その原点への回帰といえるかもしれませんし、あるいは、新たに文化をつくっていくことでもあります。
だからこそ、世界中のさまざまなフィールドで社会課題を突破する「社会的価値創造企業」を目指し、私たちは、コミュニケーションのプロフェッショナルとして、ステークホルダーから選ばれ、愛され続ける強いTOPPANブランドの構築に向けて、これからも、もっと突破していきます!
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